Red Bear

Case7.消えた900人(西武鉄道)

Case5でも触れたが、5・9で専用車を導入した事業者の中で西武もアンケート調査を行なっている。

というより、Case5で挙げた以外の事業者、つまり東武・京成・小田急・東京メトロはアンケート調査を行なわずに、どうやって専用車の是非や支持を検証しているのだろうか?

短兵急に専用車の導入を行なったのだからせめて事後的な検討は実施せねばならないはずである。

西武の専用車アンケート発表は2005年10月に行なわれたが、その内容はご他聞に漏れず「7割が賛成。専用車は利用者の御理解を得られた」という趣旨のものであった。

同社の場合、アンケートをネット調査と対面調査の併用で行なっていたらしく、結果発表の末尾に

対面調査のほかに、西武鉄道を利用している689名の方に対しインターネット調査も実施しました。

その結果、全体で「賛成」37.0%、「どちらかといえば賛成」34.4%、計71.4%と、対面調査とほぼ同様の結果が出ました。

という記述があった。

この記述を見た時、私は不覚にも「ああ、名古屋市交通局や横浜市交通局とは違って、ネットでも同様の結果が出たのか。

やはり外部の業者(西武は日経リサーチに調査を委託した)が調べれば調査手法による差は出ないのか。」と単純に受け止めてしまった。

何が不覚だったのかは、これから説明していこう。

最近、当会のある会員が西武のアンケートの不備を指摘した。

それは「西武鉄道に問い合わせたら対面調査とネット調査を行なったと聞いたが、同社のサイトでは対面調査の結果しか出ていない。」というものだった。

私は「西武は確か『ネットでも同様の結果が出ていた』となっていたはず」と記憶していたので、この指摘を確認するために西武のアンケート関連の記録を改めて調べることにした。

すると同社のサイトでは確かに1600名を対象に対面調査を行なったことしか書かれていなかった。

実はそれと並行してニュースリリースの文書(PDFファイルで公開されていた)でもこのアンケート結果が発表されていたのだが、私が見た「ネットでも同様の結果」という記述はこちらの方に掲載されていた。

会員の情報では「約1500人の対面調査と約1600人のネット調査(うち西武鉄道メイン利用者689人)」を対象にした」と聞いたので、文中の調査人数を確認していると驚くべき事実に直面した。

もう一度上で紹介したニュースリリースの記述を見て欲しい。

「西武鉄道を利用している689名の方」、つまりここで「対面調査とほぼ同様」と言っているのは「ネット調査対象者約1600名」ではなく、「(ネット調査対象者のうちの)西武鉄道メイン利用者」の689名なのである。

それでは“西武鉄道を利用していない”約900名の意見は一体何処へ行ったのだろうか?

それ以前に「西武鉄道利用者」の定義はどのように定めているのか、そしてそもそも何故ここでそのような区分を持ち出す必要があったのか?

文書中にはその答えは見付からなかった。

これでは「ネットでの結果を普通に集計したら反対が多く出てしまった。

これでは“世論と食い違ってしまう”ことになり、また通勤列車に関する問題なのだから“沿線住民の声が最も反映されなければならない”」という判断からそのような操作を行なったと見られても仕方がないだろう。

やはり西武も名古屋市交通局や横浜市交通局と同様、「専用車は支持されている」という予定調和を維持するために“不都合な真実”を排除していたのだ。

いくら調査を外部の業者に委託してもその結果を使う側が発表や判断の段階で捻じ曲げてしまっては意味がない。

西武鉄道は有価証券報告書虚偽記載問題で上場廃止となり、また系列の球団が裏金問題を起こしている。

この専用車アンケートを見ていると、ここにもそのような体質が現れているとしか思えない。

そして鉄道事業者の虚偽記載・プロ野球球団の裏金問題は共に同業他社でも発覚した。

つまり、「このような体質」は西武グループ一資本にとどまった話ではないということだ。

これらの問題や専用車には業界ぐるみの「みんなでやれば怖くない」というか「業界の常識は世間の非常識」という、鉄道や球団といった閉鎖的な業界にありがちな思考が働いているのではないかと勘繰ってしまう。

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