オリジナルのパンくずリスト

白熊

article

『自己防衛』をめぐり思ったこと

2025年1月、このような記事があった。

【卑劣】受験生狙う痴漢 周りの人の”目配り”も大事 受験生ができる自衛策も

【卑劣】受験生狙う痴漢 周りの人の”目配り”も大事 受験生ができる自衛策も | 特集 | ニュース | 関西テレビ放送 カンテレ
関西テレビのニュースサイト。政治・経済・社会など最新情報を記事や動画で「いち早く」「正確に」お届け!特集や取材記者のコラムも。

大阪府警が女性を性被害から守るために、女性が自らできる痴漢対策を呼びかけるイベントを実施したというものである。

その中には「女性専用車両を利用する」「制服ではなく私服を着用する」というものがあった。なお、女性専用車両の是非についてはあえて一旦横に置いておく。

もちろん、乗客が自らの意思で痴漢対策を行うこと自体を否定することはない。しかし、痴漢を撲滅することにおいて「被害者側の自衛」ばかりを求めることは果たして適切なのだろうか。

2021年、イギリス・ロンドンにて、夜道を歩いていた女性が男性警察官に誘拐され殺害されるという事件が発生した。この事件をめぐり、現地警察が「夜道を女性1人で歩かないように」と呼びかけたことに対し、「女性も夜道を歩く権利がある」「被害者側ばかりが自衛を求められるべきではない」など、大きな非難の声が上がった。

こうした非難の声は性別にかかわりなく自由に行動できなければならないこと、犯罪においては悪いのは加害者側であることから当然のものであるといえる。

そうした中、英議会において「男性に夜6時以降の外出を禁止すべき」という提案が上がった。これに対し、「NOT ALL MEN」という言葉がXのトレンドに上がり、「全ての男性が犯罪者なのではない。自分は性犯罪もハラスメントもしない。」という主張が巻き起こった。これについても当然であろう。

この事件をめぐっては「『男性が暴力を起こす』という『有害な男性性』を、同じ男性がどう防ぐのか」という議論が巻き起こった。しかし、「有害な男性性」をむき出しにする男性など、全ての男性のごく一部である以上、「男性が暴力を起こす」というのは主語が大きすぎるものであると言わざるをえない。

「被害者側」に視点を戻す。

記事中の『一般社団法人』による痴漢対策においては「女性専用車両を利用する」「制服を避ける」というものがある。しかし、これらのような対策を「被害者側」に呼びかけることは適切なのであろうか。女性客は当然、どの車両にも乗る権利がある。

仮に女性専用車両がある列車において、女性が非女性専用車両にて痴漢被害に遭ったとしよう。そうした場合において、被害者が「女性専用車両に乗らなかったあなたに過失がある」などと言われるようなことがあってはならない。また、極端に肌の露出が多い等の、法に触れるようなものでない限り、どのような服装を着て電車に乗るのかは各個人の自由であるべきである。したがって、大阪府警によるこうした呼びかけは各個人が自由に生活できるべきという観点からすれば不当であると言わざるを得ない。

一方で痴漢などの犯罪が公共の場において発生しているのもまた事実である。公共の場において、誰が犯罪を防ぐべきなのかの答えは「社会が」である。そして、その「社会」を構成するのは、男性だけではなく女性も当然含まれる。「社会は男性によって動かされている」という声が「男社会」を主張する人から多く聞かれるが、こうした声が総理大臣も首都の知事も女性である2026年1月現在において適切であるかは、検討すべきである。

そして、「社会」においては「属性により不平等、排除すること」「ある属性のみが『自衛』を強いられること」はあってはならないのである。

男性が男性であるというだけで、ある車両から排除されてはならないのと同様に女性が女性専用車両に乗らないことにより過失を追及されてはならないし、被害者(性別を問わない。男性も痴漢被害に遭う。)が服装を理由に痴漢被害についての過失を追及されてはならないのである。なぜなら、痴漢という犯罪行為において、悪いのは絶対的に加害者であるからである。

痴漢の被害に遭った女性に「女性専用車両に乗らないのが悪い」と言い放つこと、これはもちろん言い放つ側が悪い。しかし、そうした「被害者の過失」という概念を生み出す存在の1つが女性専用車両である。

真の自由、権利、平等を実現するために、性別により排除する車両を撤廃すること、および車内監視カメラの増設、警備員や警察官の乗車など、「社会」があらゆる人々(当然、性別などを問わない)に対し「暴力性」を封じ込めるための対策を行うことが必要である。

【参考】

クラーク志織のハロー!フェミニズム

Vol.15 男性たちよ、自分たちの暴力性に向き合おう【クラーク志織のハロー!フェミニズム】

Vol.15 男性たちよ、自分たちの暴力性に向き合おう【クラーク志織のハロー!フェミニズム】
アメリカではアジア系女性への暴力が悲惨な事件へ発展。時を同じくしてロンドンで起こった男性警察官による女性誘拐殺人事件を身近に体験して考えたこと。

投稿フッター

女性専用車両に反対する会では新規入会者、および寄付を随時受け付けています。
女性専用車両について疑問や不満がある方はぜひ 入会申し込みフォーム より当会へお越しください。
入会するほどではなくとも寄付にて活動を支援していただける方はぜひ 寄付フォーム より寄付をしていただけますと幸甚です。
article
シェアボタン
0 コメント
新しい順(降順)
古い順(昇順) 「いいね」の順
インラインフィードバック
コメントをすべて表示