各鉄道事業者が運行する女性専用車両について、2016年2月25日に近畿管区行政評価局が鉄道事業を所管する近畿運輸局に対し、男性の身体障がい者やその介助者も利用できることを周知するよう改善を求めた。
現在、多くの鉄道会社において何らかの形で男性の障がい者や介護者が女性専用車両に乗車できるとしているが、その基準はまちまちで、男性の障がい者の乗車を全面的に認めているところもあれば、「障がい者か介護者のどちらかが女性でなければならない」などとしているところもある。
近畿地区では「女性専用車両に障がい者の男性も乗れる」ということを、車両やホームなどで表示していない鉄道事業者が多く見られ、評価局の調査によると、関東で女性専用車を実施している15の鉄道事業者のうち、14事業者で表示がなされていたが、近畿地区では女性専用車両を実施している12事業者のうち、表示を行っていたのは半分の6事業者にとどまった。
さらに関東では先頭か最後尾に女性専用車があることが多いが、近畿地区では中間車両のことが多い。
そのため、エレベーターなどから点字ブロックで誘導された先が女性専用車であることが多くなる。
「女性専用車両に障がい者の男性も乗れるということが知られていない現状で、女性専用車両を避けようとすると、移動距離が長くなる」との指摘があったことから、評価局では車両の設定の見直しも求めていくとのこと。
当会が以前から指摘しているように、女性専用車両は本来、年齢や障害の有無に関わらず、実は男性であっても誰でも乗れる車両である。
しかしながら、実際には男性は乗車禁止であるかのような運用がなされてきた。
それでも、障がい者の男性よりも健常者の女性を優先するのはさすがにまずいということなのか、鉄道事業者の多くは例外規定のように「小学生以下の男児や障がい者の男性は乗車可能」といった案内を行ってきたが、関西の鉄道事業者はそれすら十分に行ってこなかったということである。
本来であれば、「女性専用」という事実に反する表記をやめるか、もしくは「男性が乗車しないことを強制することは出来ない」ということを利用客に隠さず知らせるべきであるが、今回、行政評価局が動いて障がい者の男性は乗車できるということ(本来は誰でも乗れるが・・・)を鉄道事業者にきちんと告知させるよう改善を求めたこと、並びに字ブロックなどで障がい者が誘導されるような所に女性専用車両が来ないよう、車両の設定の見直しを求めていくことなどを決めたことは一歩前進であるといえよう。
情報元:
福祉新聞 男性障害者も女性専用車両に乗れます 行政評価局が周知徹底へ<アーカイブ>