京阪電鉄の枚方市駅で個人的に非協力乗車していた男性に対し、京阪電鉄の社員が男性の体に触れたうえ「お前が原因や」などと発言するという不適切な対応がありました。
(この件については当会サイト内のニュースでも取り上げました)
そこで、当会関西本部では急遽、京阪電鉄での非協力乗車を行うこととし、9月27日の朝に淀屋橋駅から京都の祇園四条駅まで乗車しました。(帰りはJR京都線の普通列車に乗車しました)
以下その報告です。
朝の京阪本線とJR京都線で非協力(任意確認)乗車
今回の乗車会を行う事になった理由
2023年9月6日に京阪電鉄枚方市駅で個人的に女性専用車両に非協力乗車していた男性が京阪電鉄の社員と思われる人物に体を触れられた上に「お前が原因や」などと、『お前』呼ばわりされる事案が発生した。
いつも言っている通り、女性専用車両という名前がついているからといって男性の乗車を禁ずる効力があるわけではなく、実は法的根拠も何の強制力もない「ただの一般車両」である。
公共交通機関で性別という、本人の意思や努力では如何ともしがたい「生まれ持った属性」を理由に女性と同じ運賃を支払っている男性の乗車を制限することは出来ない。
何の強制力もない任意協力のものを、あたかも強制力があるかのように見せかけて利用者を騙し成り立っているのが女性専用車両なのである。
京阪に限らず、日本の鉄道事業者の各種約款には女性専用車両のことは全く書かれていない。
つまり、女性専用車両は強制力がある・ない以前にそもそもルール・規則ですらないのである。
女性専用車両に乗る男性に対して「ルールを守れ」だの「マナー違反」などと言っている人間はその時点で「無知」であり、それを指摘されてもなお「そんなのルールに決まっているだろ! 守らない奴は非常識!」などと居直る輩は「無知」な上に「無恥」でもある。
そして表向き痴漢対策と言いつつ、実際には政治活動に利用されていることもマスコミなどが全く言わないためか世間ではあまり知られていない。
痴漢対策は建前であり、実態は公共の場における「痴漢対策を口実にした差別」である。
(だからこそ鉄道事業者は女性専用車両を「任意協力」という事にして「強制していないので差別ではありません」と言えるようにしているのである)
当会も京阪線では過去に何度も乗車活動を行い、声掛けがあったりその他問題があればその都度、駅事務所や本社に抗議したりもしていた。
かつては女性専用車両に着席していた高齢の男性を車掌が混雑している隣の車両に移動させたり(2018年5月)、あるいは私達が乗車してしているからと車掌が女性専用車両の車内アナウンスをやたらしつこく行うばかりでなく、女性専用車両の乗客ひとりひとりに「男性が乗車して申し訳ございません」などと言って回る(2019年10月)など酷いものだったが、乗車活動や抗議を繰り返すことで、そうした事象は(少なくとも私達が乗車した限りでは)あまり見られなくなり改善されたと思っていた。
関西では女性専用車両を終日運行する路線が多く、どうしてもそちらでの活動が優先となってしまって平日の朝のみ運行の路線については後回しになりがちだ。
当会関西本部では最近の活動のメイン路線が大阪近辺のJR線や大阪メトロ御堂筋線、あるいは神戸市営地下鉄や神戸電鉄などに移り、京阪線についてはしばらく会としての活動を行っていなかった。
そんな中、YouTubeで先述の京阪線での動画が公開されたのだが「しばらく活動していないと対応がここまで酷くなるのか!?」と当会内部でも驚きの声が上がった。
そして「早急に京阪でもまた乗車会をする必要がある」という話になったのである。
京阪淀屋橋駅で
今回は朝6:50に京阪淀屋橋駅に集合。
朝早いためか、淀屋橋駅のホームもまだ人影はまばらである。
しかし、そうした中でも電車は結構な頻度で淀屋橋駅に発着している。
京阪電鉄の女性専用車両は平日の朝、淀屋橋~出町柳間の特急(上下両方向)に設定されている。
私達が今回乗車するのは6:56発の出町柳行き特急である。
参加予定メンバーもそろったので乗車位置に並ぶことにした。
私達以外の乗客は各乗車位置に数人程度しかおらず、混雑とは程遠い状況である。
ほどなくして、ホームには濃紺色の3000系電車が入ってきた。
淀屋橋は終点駅のため、すべての列車がここで折り返す。
京都方面からの乗客が降りたあと、車内整備のために一旦ドアが閉まり、それが終わると今度は京都方面(出町柳)行きとなり再度ドアが開く。
周囲にいたわずかばかりの女性客と共に私達も乗車、着席した。
車内はクロスシート(新幹線やJRの特急のような、向かい合わせで座る座席)である。
座り心地は非常に良く快適そのものだが、今回は乗車活動である。
それもつい先日、社員が乗客に触れたり『お前』呼ばわりするような出来事があった路線である。
ゆっくりと快適な乗車を楽しむというわけにはいかない。
気を引き締め、何かあったらいつでも対応できるよう、心の準備をしておかなければならない。
そう思っていると早速、乗務員と思われる人物から声掛けがあった。
「こちら女性専用車両になりますが、構いませんか?」
どうやら私達が意図的に女性専用車両に乗車していると分かっているような感じの声掛けだった。
恐らくこちらの人数や同じような位置にまとまって座っているなどの状況から、私達が敢えて乗車していると分かったのだろう。
「承知しています」
「法的根拠もないのは知ってますので・・・」
などと各自で返すと、その乗務員と思しき京阪社員はすぐに引き下がっていった。
車内は私達以外には数えるほどしか乗客がおらず、ガラガラである。
もう少し乗ってくるかと思ったが、結局ガラガラのまま淀屋橋駅を発車した。
京阪本線 淀屋橋~祇園四条
淀屋橋駅を出た列車は地下を走ってすぐ次の北浜駅に到着。
ほとんど乗り降りはなく、また何事もなく発車。
その次の天満橋駅で少し乗車があったが、発車間際に男性が2人ほど駆け込んできてすぐ「女性専用や」と言って慌てて隣の車両に移っていった。
本当は専用でもないのに女性専用車両と表記するから皆騙される。
天満橋駅の先で地上に上がり、ほどなくするとJR大阪環状線と交差する主要駅の京橋駅である。
ここで多数の乗客が乗ってきて車内は座席がほぼ埋まり、若干立ち客も出始めた。
京橋駅を発車。
しばらくして、車掌が肉声で「この列車の一番前の車両は女性専用車両です」とアナウンス。
地上に上がって外の景色が見えるようになったが、空は少し青空がのぞいているものの、雲が多い天気である。
特急は大阪の京橋駅を出ると、次は京都府との境に近い枚方市駅まで停まらない。
あのYouTubeの動画になっていた枚方市駅が次の停車駅である。
列車は朝の市街地を高架線で快調に駆け抜ける。
あれよあれよと言う間に大阪市内を過ぎ、守口市駅を通過。
守口市駅を通過した後も門真市駅や寝屋川市駅などを次々通過し、その後地上に降りる。
線路が地上に降りたあとも列車は住宅が密集する風景の中を走る。
やがて列車の速度が落ちてきたかと思うと、枚方公園駅を通過。
その後高架に上がって、車内アナウンスが入ると次の停車駅の枚方市駅に到着。
先にも述べた通り、枚方市駅は「問題のあった場所」である。
車内にいた参加メンバーたちの間にも少し緊張感が伝わる。
ホームから駅員や警備員などが乗車して来ないか座席から目を凝らして見ていたが、乗客の乗り降りがあったのみで、駅員や警備員が乗って来る・来ない以前に居るかどうかも確認できなかった。
YouTubeで動画が拡散され、京阪電鉄や国土交通省などにも抗議や通報が届いたせいであろうか。
あるいはたまたま今日は駅員が居なかった(あるいは居ても何もしてこなかった)だけだろうか。
結局、枚方市駅では何事もなくそのまま発車した。
枚方市駅を出ると次に停車するのは樟葉駅である。
枚方市駅から樟葉駅までは途中2駅通過するだけで、それほど離れていない。
しばらく走って樟葉駅に到着。
駅の左側(西側)はまだあまり開発されておらず長閑な風景が広がる一方、駅の右側は開発された大規模な住宅地が広がるという、明らかに後から開発された街である。
元々は京阪電鉄の特急はこの樟葉駅には停まらなかった(大阪の京橋駅を出ると、次は京都の七条駅まで停まらなかった)のだが、後年になって先ほどの枚方市駅やこの樟葉駅、さらには京都府内の中書島駅や丹波橋駅にも停まるようになったのである。
樟葉駅のホームにはかなり数の乗客が列を作っていた。
淀屋橋からここまではそれほど混雑しなかったが、ここに来て車内は一気に混み始めた。
どうやらこの辺りからだと、朝に大阪方面だけでなく、京都方面に向かう流れも多いようだ。
樟葉駅を出てすぐ大阪府から京都府に入る。
ここで車内に自動音声で女性専用車両アナウンスか流れた。
しばらくは京都府八幡市内を走って橋本駅を通過。続いて、かつて「八幡市駅」と呼ばれていた石清水八幡宮駅も通過。さらに淀駅も通過し、次の停車駅の中書島駅に到着。
ホームには沢山の人が並んでいたが、女性専用車両にはあまり乗って来なかった。
改札や階段などとの位置関係のせいかもしれない。
京阪の女性専用車両は最も京都よりの端の車両(出町柳行きの場合、先頭車両)である。
車内は樟葉駅などから乗車してきた乗客で混雑した状態のままだが。
中書島駅を出るとすぐ、次の伏見桃山駅を通過して丹波橋駅に停車。丹波橋駅も沢山の人がホームに並んでいる。
やはり乗り降りがあったが、女性専用車両にはそれほど乗って来なかった。
ここも女性専用車両が一番端だからというのもあるだろう。
女性専用車両も結構混んでいて隣の車両の様子が分からないが、駅の放送で「車内奥までつめてご乗車下さい。ご協力をお願いします」などと流れていたことから、他の車両はさらなる混雜になっているのだろう。
列車は柔らかい朝日の中、京都の住宅密集地を市街に向けて走って行く。
やがて左の車窓遠くのほうに京都タワーが見え、東福寺駅を通過。
あの京都タワーのある位置にJRの京都駅がある。
東福寺駅の先で地下に潜って七条駅に到着する。
ここからは終点の出町柳駅までずっと地下である。七条駅でまとまった下車があり、少し混雑が緩和された。
七条駅を出て次の清水五条駅はゆっくりと通過し、祇園四条駅に7:50着。
私達はここで下車した。
結局、京阪線内では今回、淀屋橋駅停車中に乗務員に声をかけられただけだった。
祇園四条からJR京都駅前まで移動
京阪の祇園四条駅を降りて地上に上がると、すぐ目の前に鴨川が流れている。
その鴨川にかかる橋で対岸に渡ると、阪急京都線の終点である京都河原町駅がある。
京都河原町駅付近は京都の繁華街であり、休日の日中などは多くの人々が行き交い、賑わうところである。
だが、今は朝早いせいか人通りはそれほど多くない。
阪急京都線と言えば、つい昨年(2022年)12月まで平日の特急・通勤特急(上下両方向)に終日女性専用車両を設置していた路線であるが、現在は大幅に縮小されて朝ラッシュ時に上下3本ずつ運転される通勤特急に女性専用車両があるのみである。
以前なら、淀屋橋駅から祇園四条駅まで京阪で非協力乗車したあとに京都河原町駅まで徒歩で移動し、そこから阪急京都線で大阪梅田駅まで引き返す非協力乗車パターンもあったが、現在は京都河原町駅を出る一番あとの通勤特急が7:31発(現在の時刻は午前7時55分くらい)なので、それは出来ない。
今、もしそれをやろうとすれば、淀屋橋駅6:08発の特急に乗車する必要があるが、淀屋橋駅の近くに住んでいない限りは前日から駅付近のホテル等に前泊する必要がある。
もちろん、阪急京都線の女性専用車両の設定が減って京阪や阪急での往復非協力乗車が出来なくなったわけだから、当会の立場からすればこれは喜ばしいことと言うべきだろう。
そして他の鉄道事業者も女性専用車両の大幅縮小に関しては「痴漢が減らない上に差別にもなる」女性専用車両に固執するのではなく、阪急の後に続くべきであろう。(本来は全廃が望ましいが・・・)
私達は阪急京都河原町駅付近にあるバス停からJR京都駅行きのバスに乗ることにした。
しばらく待って、京都市の市バスが到着。
京都の街中を十数分ほど走って、先ほど京阪の東福寺駅付近の車窓から遠くに見えた京都タワーが目の前に迫るとJR京都駅である。
JR京都線、京都~大阪
JR京都駅には8:15頃到着。
ご存じの方も多いかと思うが、JR西日本は京阪神圏の在来線のほとんどの路線で普通列車を中心に毎日・終日女性専用車を運行している。
JR西日本線については最近でも当会関西本部はよく乗車活動をしているが、先述の通り大阪近辺の路線で行うことが多く、平日の午前中に京都から大阪に向けて乗車活動することは最近ではあまりなかった。
過去の活動で京阪や阪急で大阪から京都方面に乗車活動したあとに京都駅からJR京都線に乗車したことはあるが、結構前の話である。
だからこちらもたまには乗車しておく必要もあるだろうということで今回乗車した。
京都駅の改札に入り、停車していた8:32発甲子園口行き(京都始発)に乗車。
発車までまだ10分近く時間があるためか、車内は私達以外には女性客が10人ほどでガラガラである。
乗車しようとした際、乗務員が近くを通り過ぎたが声掛けは無し。
乗車してすぐ向かいの席に座っていた女性客が声をかけてきたが、「知ってます」と返すとそれ以上は言ってこなかった。
発車時刻が近づくにつれて少しずつ人が乗ってきて、外国人の男性も1人乗ってきた。
発車時点でほぼ座席が埋まり、わずかに立ち客が出るくらいになった。
いつも言っているが、当会はトラブルを起こすために乗車しているのではない。
あくまでも「任意性が保たれているか」「任意と言いつつ事実上の強制になっていないか」を確認するために乗車している。
だから私達の方から女性客に絡みに行くようなことは絶対にしないし、また女性客の方から何か言ってきたとしても、それだけで強い態度に出ることはせず、まずはソフトに対応する。
それでも女性客が私達に高圧的な態度を取ってきたり、私達を排除しようとして手を出すなどしてきた場合にはそれ相応の対応を取ることもあるが、私達が強い態度に出るのはこのような場合のみである。
次の西大路駅で若干の乗り降りがあったが車内の乗車率は変わらない。
桂川駅で隣の車両から男性が1人移ってきて着席。
桂川駅では乗って来る人より降りた人がやや多かったため、車内は立ち客かほぼいなくなった。
長岡京駅でも人が降り、空席が出始めた。
長岡京駅の次の山崎駅で京都府から大阪府に入る。
山崎駅は駅自体が大阪府と京都府の境目にある。
京都駅からの外国人男性は山崎駅の次の島本駅で下車。
島本駅を過ぎてしばらく走ると新快速も停まる高槻駅。
高槻駅では階段がちょうど女性専用車の目の前である。
発車間際に男性が駆け込んできたが、すぐ隣に移動。
次の摂津富田駅も階段・エスカレーターが目の前。車内は再び座席が埋まってきた。
近年追加設置されたJR総持寺駅を過ぎ、その次の茨木駅も階段が目の前。
JR西日本が階段やエスカレーター・エレベーターを意図的にできるだけ女性専用車に近い位置に持ってきているのは過去の活動報告ページでも何度も触れているので、当会サイトを以前からご覧の方はよくご存じだろう。
茨木駅を過ぎてから車内は立ち客が少しずつ出始めた。
千里丘駅、岸辺駅と過ぎ、さらに立ち客が増えてきた。
車内には柔らかい日光が差し込んでいた。
今年の夏も非常に暑い夏だったが、流石に9月も下旬になり、朝夕は少し和らいだように思う。
立ち客が増えてきて、吹田駅では車内の見通しがだんだん効かなくなってきた。
立ち客で見づらいが、吹田駅でも女性専用車内からエレベーターが目の前に見えた。
東淀川駅を過ぎ、新大阪駅で乗り降りがあったが、乗車率はさほど変わらず。
新大阪駅を出て9:21に大阪駅到着。ここで多数の乗客が降り、私達も一緒に下車した。
そして、列車は大阪駅をガラガラの状態で発車していった。
結局、JR京都線でも京都駅停車中に向かいの座席の女性客が軽く声掛けしてきただけであった。
しかし、任意協力であるのだから声掛けが無いのが本来である。
今回はたまたま声掛けが少なかっただけなのか、どうなのか。
また、帰りのJRでは男性の乗車が若干見られたが、京阪では(私達が気付かなかっただけかもしれないが)天満橋駅で女性専用車両の表示を見て慌てて降りて行った男性のみだった。
各路線とも声掛けこそ少なくなったが、まだまだ活動していく必要はあるだろうと思った。