当会関西本部では、3月22日に大阪メトロ御堂筋線にて、非協力(任意確認)乗車会を行いました。
大阪メトロでは過去度々乗車活動が行われてきたせいか、最近では女性客や職員による声かけも全くありませんでしたが、今回の乗車会では1人の女性客から声掛けがあり、こちらが移動する意思はないことを伝えても引き下がらず、あげくには暴言を吐いてきたため私達と激しく口論となり、最終的には途中駅で下車し、警察がホームに来ることになりました。
以下その報告です。
御堂筋線で非協力(任意確認)乗車中、車内トラブル発生
1人の女性客が女性専用車両内にいる私達を見つけて、遠くからわざわざ声かけに来て口論に
新大阪~梅田
今回は御堂筋線の新大阪駅に19時集合である。元々は新大阪~天王寺区間を2往復する予定だったが、途中、車内で女性客とのトラブルに遭遇した影響で、1.5往復に変更した。
私達が乗る1本前の電車に男性が乗って行った。
次の19:01新大阪発天王寺行きに乗車した。新大阪始発の電車だったので車内は空席が多かった。
西中島南方駅発車後、車内に自動放送で終日専用車両アナウンスがなされた。
これは余談だが、大阪メトロでは、電車が決まった区間を通過する度に決まったアナウンスが流されている。
例えば、淀屋橋⇒梅田区間で「痴漢は犯罪です」のアナウンスが流されるとか。
梅田~心斎橋
梅田駅で後続列車に乗り換えのため下車。
入れ替わりに女性専用車両に乗り込んだ男性を数人確認した。
しばらく待って、後続の19:10発なかもず行き電車に乗車した。
立ち客がちらほらいたものの、混雑というほどではなかった。
乗車してしばらくは何もなかったが、列車が本町駅あたりにさしかかった頃、1人の女性客が遠くからわざわざ私達のところまで来て「ここ女性専用車両だけど…」と言ってきた。
会員1:分かって乗ってますよ。あくまでも任意協力なんで協力する義務はないんです。
女性客:わざと乗ってんの? あなたは禁煙場所のところにもタバコ吸うんですか。
↑これは誤った比較である。
禁煙区域での喫煙は法律上罰金が課されるように決められているので、禁煙場所でタバコを吸わないようにすることは「任意協力」ではなく「義務」である。
その一方、男性の女性専用車両への協力については、判例がある:(下記)「…義務を負うものではなく、あくまでも乗客の良識と任意の協力の下に実施されている」。
なので禁煙場所での喫煙行為と非協力乗車の比較は全然相応しくない。
また、タバコを吸う・吸わないは個人の意思でどうにでも出来る「行為」だが(現に喫煙者でも禁煙区域では基本的にタバコは控えているものである)、性別は「生まれつきの属性」であり、人種などと同様、本人の意思や努力では如何ともしがたいものである。
生まれつきの属性で排除することと、本人の意思でどうにでも出来る「行為」を同列に並べている時点で、この女性の言っていることは論外である。
なぜ女性専用車両が「女性専用」と名乗りつつ実は任意協力になっているのか、なぜ憲法云々の話になるのか、この女性の認識では到底理解できないだろう。
会員2:いいえ、喫煙と一緒にするのは違うんです
女性客:いや、わざと乗ってんの?
会員3:そうですよ
女性客:なんでわざと乗ってんー(ずっと黙っていた会員5を見て)あなたも?
会員1:この車両が一番人が少ないからです
女性客:なんで女性専用車両ができたと思ってんの?
会員2:痴漢対策は建前ですよ
女性客:痴漢を嫌がる人がいるからできたんですよ
会員1:これが痴漢対策っていうのは嘘です。
いつも当会サイトで言っているが、女性専用車両を推進したのは公明党をはじめとする一部政党である。そして女性専用車両を推進している政党は選挙などのたびに「女性専用車両を推進したのは〇〇党の実績です」などとアピールしている。
※議員の方のツイートについては、公人のため画像や氏名を隠す処理を行っていません。
このように女性専用車両が政治に利用されている時点で「痴漢対策は表向き」と気づくべきであるが、この女性客は女性専用車両=痴漢対策と信じ切って疑わないようだ。
女性客:何言ってんの?痴漢対策に決まっているのに…次の駅で降りて駅長室に行こうよ
↑移動を要求するだけでなく、なぜしれっと駅長室を引き合いに出してくるのか?
何かおかしい。
どうやら、私達のことを「警察に突き出せる」と思っているようだ。
もっとも、男性が乗車しただけでは何の違法性もないので、そんなことをしたところで警察は動かないが・・・
会員2:何で駅長室に行かなきゃなんないの?(降りるのは)次の駅じゃないし
女性客:私も次の駅じゃないよ。でもお前らわざと乗ってんやろ女性専用車両に
なんでできたかも男の都合でできたのもあんねんで…
その後もさらに口論するが、その女性客が「お前ら降りろ!」などと暴言を吐いたこともあり、車両全体に鳴り響くほどの大声での怒鳴りあいになってしまった。
会員3:憲法14条(法の下の平等)知らんのか!!
会員4:警察呼べや!!
↑会員が「警察呼べや!」と言ったのにはわけがある。
先にも述べたとおり、この女性客は「女性専用車両に乗る男性を警察に突き出せる」と考えているようだったので、それなら警察を呼ばせた上で、警察官と女性客の目の前で女性専用車両に乗り込み、「男性が乗車することに何の違法性もないし警察も手を出せない」ということを、証明して見せてやろうという考えだったのである。
当会では、
「乗車活動中に、他の乗客には(特に必要がない限り原則として)こちらからは話しかけない」
「他の乗客が声をかけてきたとしても、相手が高圧的な態度に出ない限り、こちらも高圧的な態度を取ってはならない」
という内部ルールを定め、それに従って活動している。
しかし、この女性客はこのように高圧的な態度を取ってきたので、こちらも強く出ることにしたのである。
心斎橋で下車
紆余曲折で心斎橋駅に到着。女性客は会員に「警察呼ばんか!」と言われたこともあり、心斎橋駅に着いた瞬間、電車の中で警察に電話を掛けはじめた。
恐らくこの時点ではまだ私達のことを警察に突き出せると思っていたのだろう。
結局、電車が3分程遅れてしまい、私達と女性客が一緒に降りることになった。
電車から降りても、女性客はホームで1988年に起きた御堂筋線事件に言及して「その事件がきっかけで女性専用車両ができた」と間違った主張をしていた(御堂筋線に女性専用車両が導入されたのは2002年で、御堂筋線事件から10年以上も離れている)
会員の1人が「それ1988年に起きたんじゃないですか」と返したら堂々と否定して、「御堂筋線の女性専用車両の導入年度に近い」などと言った。
ちょっと調べれば分かるが、御堂筋線事件は議論の余地無く1988年の出来事である。
間違いを指摘されても、ウソをついてまで絶対に自分の間違いを認めない人間のようだ。
その上、私達の動きを勝手に制御する権限でもあるかのように「一般車両に乗れよ、一般車両に乗ればよかったじゃん!」とか叫んだ。
そして、ホームでもまだ私達を何とかして駅長室に連れて行こうとしていたが、もちろん私達は応じなかった。
先にも述べた通り、女性専用車両に男性が乗ったところで何の違法性もないのだが、今回のようにトラブルになった場合、女性客がその腹いせに私達を痴漢にでっち上げる可能性がある。
だから応じなかったのだ。
ホームには駅員が2人(いずれも男性)がおり、私達は駅員達に事情を説明した。
またその後しばらくして警察もやってきたので、そちらにも事情を説明した。
後日、その女性客のものと思われるTwitterアカウントが見つかった。(下の画像)
その後凍結されたらしく、このアカウントは現在は見られない(上記ツイート画像は凍結される前に会員の1人がスクリーンショットとして保存していたもの)のだが、上記ツイートの他にも私達が駅員や警察に説明している様子を見て「いつものことなんだが、こいつら男相手にはおとなしいんだよな」などとツイートしたりもしていた。
駅員や警察は事情を聞きに来ただけで、私達にいちゃもんをつけに来たわけではない。
だから紳士的に対応するのは当然である。一方でこの女性客は私達に暴言を吐いた。
だから当会も強く出たのだが、それを「私が女だからナメて強い態度に出てきた」と勝手に思い込んでいるのである。
先ほどの御堂筋線事件についての「絶対に間違いを認めない(認められない)態度」といい、この思い込みといい、正直ため息が出る。
警察は女性客と私達とで、少し離れた位置で別々に事情聴取を行った。
私達に対応した警察も「女性専用車両が任意協力であること」はよく分かっていて、「男性が乗車しても法的に何の問題もないのは承知しています」とのこと。
「ただ、男性が乗ると気にする方もいらっしゃるので、どうかその辺は・・・」とも言っていた。
まあ、私達の立場からすれば「はい分かりました」とは言えないのだが、警察も女性専用車両の法的な立ち位置について、よく知っていたのは幸いであった。
この後、警察は帰って行き、女性客もどこかへ消えていった。
結局、駅を降りて警察からの事情聴取が終わるまで30分ほどかかった。
当然ながら、警察が来たところで誰一人逮捕されることはなく、この女性客は自分と警察の時間を無駄にしただけに終わった。
ただ後日、こちらもツイッターにおいてだが、この女性客は「呆れた。もう疲れた。」などと言いつつも、その一方で今回のことを「女性専用車両に乗る男どもを降ろしてやった」と言わんばかりに、まるで武勇伝のように勝ち誇っており、それに対して「よくやった!」「これは偉業だ!」という返信がいくつも付いていた。
実際は警察が去った後、私達はすぐ乗車会を再開したのだが、この女性客も、返信をつけていた者達も「女性が1人で反対派の乗車活動を潰すことに成功した」と思い込んでいたのではないだろうか。
はっきりしておきたいこと
ここではっきりさせておきたいことが二つある。一つは女性専用車両は決して痴漢対策ではないし、その証拠もない。問題の一つとして、2006年8月8日の朝日新聞の統計(下左=痴漢が減らずむしろ逆に増えている)などを見て「えっ、女性専用車両って本当に痴漢対策なの?」と疑問を抱いてしまったりするが、問題はそこではない。
根本的な問題は、女性専用車両が痴漢撲滅はおろか痴漢問題自体にも実は手を触れてもいないことだ。常識的に考えて女性専用車両ができたところで、「あっ、この電車女性専用車両あるんだ。じゃ痴漢行為やめようぜ」と思う痴漢はいないし、むしろ痴漢にとっては女性専用車両があってもそれ以外の車両で痴漢行為がやりたい放題できるので痴漢がしづらくなることは全くなく、女性専用車両に反対する理由もない。
痴漢が何も困らないのに、それを痴漢対策と呼ぶのは明らかな無理がある。(だからこそ一部の賛成派は「女性専用車両はシェルターだから痴漢が減る・減らないは関係ない」と言い張る)
ところで女性の地位が比較的に高い海外では女性専用車両が痴漢対策だと全然思われていない。例を挙げると、イギリスでも急増していた痴漢行為への対策の一環として男性の国会議員が女性専用車両を提案しただけで、多くの女性国会議員と女性団体(フェミニスト団体)に叩かれた。
イギリスの女性国会議員の一人のStella Creasyの言葉を和訳すると、「女性たちの行ける場所を限るより全車両を安全にしてほしい…女性たちの動きを拘束するのは女性の安全確保ではなく、痴漢行為を一般化する事に過ぎない。問題は女性たちの座席プランではなく、加害者たちであることをはっきりしてほしい。」などと言った。
見ての通り、イギリスでは女性専用車両のことを「女性が守られるね!いいね!」など「木」しか見ないのではなく、「加害者に対して何の行動も取らないのに、それのどこが痴漢対策だ?」など、ちゃんと「森」もみているようだ。
リンク:https://www.bbc.com/news/uk-politics-41028234
つまり、女性専用車両を痴漢対策と呼ぶのは、セクハラされた女性職員に「セクハラされたくなければ自分たちのフロアを作ってそこで働けばいいじゃん」と告げるのをセクハラ対策と呼ぶほど信憑性がない。
二つ目は御堂筋線事件についてだが、それについてはまずこちらの記事を見てほしい:https://oawc.jp/activities/material/article-3052/
要は女性専用車両に賛成する人達すらも、その事件が女性専用車両の導入のきっかけだとの主張に同意していないということだ。
御堂筋線事件を受けて発足し、痴漢撲滅運動を展開してきた「性暴力を許さない女の会」(つまり、デマ上で女性専用車両を実現させたことになっている当事者)も御堂筋線事件起源論を全面的に否定している。(下記画像参照)
この画像はネット記事のスクリーンショットであるが、この記事自体もあわせてご紹介しておく。
大阪メトロ御堂筋線で起きたレイプ被害について by 牧野雅子|LOVE PIECE CLUB(ラブピースクラブ)
この記事も性犯罪・性暴力を強く糾弾している方々が書いたものであり、女性専用車両反対派の記事ではない。
逆に言えば女性専用車両反対派ではない人々からも「女性専用車両は御堂筋線事件がきっかけ」という「御堂筋線事件起源論」は完全に否定されているのである。
以下は余談だが、SNSなどでたまに「女性専用車両に乗り込む奴らはスタッフオンリー(の場所)にも入るのか」みたいな例えも目にするが、私たちは単に「男性も乗れる」からこのような活動をしているわけではない。
「非女性専用車両内での痴漢行為を完全に野放しにしている女性専用車両のどこが痴漢ゼロ策なの?」「任意協力なのになぜ女性専用車両などとウソをつくの?」などの疑問しかないから女性専用車両の協力を積極的に拒んで乗るわけだ。
振り返ってみると…
だが今回怒鳴り合いになったことについては、参加メンバーの中でも意見は分かれた。
以下、参加メンバーの1人の意見である。
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確かに最初に声を上げてきたのは女性客だったが、だからと言って同じく声を上げて怒鳴りあってしまったことは決して誇るべきことではない。
また、あの女性客の態度が必要以上に敵対的だったとはいえ、せめて彼女は話を違う方向へ導こうとした。
ほとんどの場合、私達が女性専用車両に乗っても声かけはないし、あったとしても「分かって乗ってますよ」と返すだけで済むが、あの女性客はそこで止まらず「痴漢対策」という私達が乗るべきではない理由をちゃんと出そうとした。
それに対して私達は「それは建前だけです」、「憲法14条知らんのか」みたいな融通性の足りない対応しかせず、どちらかと言うとこれは決して良い対処ではなかったと思う。
特に先に怒鳴られただけで「警察呼べや」と唆したことについては必ず反省しなければならない。
もし時間を戻せるなら、「それじゃ痴漢たちは女性専用車両をみると、《あっ、この電車女性専用車両あるんだ。痴漢行為やめようぜ》とか思っちゃうんですか?」など彼女の考え方を直接問うように対応しようと思っている。そのように話を続けたら、より健全な会話ができて、お互い向こうの立場について理解しあえたかも知れない。
あの女性客とのやり取りには、私達も色々考えさせられた:
私達は一体何のために非協力乗車を行っているのか。単に「男性も乗れるよ」の旨を伝えるだけではなく、私達に疑問を持っている賛成派に自分の立場についてちゃんと説明するためでもないのか。
その機会を何もせず逃したのではないか。次回にあの女性客に出会ったらどのような反応を先見してどのように対応すべきなのか。
いくら女性客や駅員や警察の対応が悪いとしても(今回、駅員や警察の対応は問題なかったが・・・)結局変えられるのは自分たちのことしかない。
だから、より良い活動のためにも、私達は自分のことを振り返りながら改善点を探し続けなければならない。こう振り返ってみると、私達は話を新しい方向へ導こうとして私達に色々考えさせたあの女性客に感謝すべきところもあるのかも知れない。
心斎橋~天王寺
事情聴取が終わり、私達は19:47心斎橋発なかもず行きの電車に乗車した。
なんば駅で1人の男性が女性専用車両に乗車するのを確認した。
結局、何の声掛けもなく無事に天王寺駅に到着した。
天王寺~梅田
折り返し、天王寺20:03発千里中央行きの電車に乗車した。
遠くの方で外国人の女性客2人ががこちらをじっと見ていたようだったか、私達へ何も言って来なかった。
後続乗車のため、なんば駅で一回下車した。
暫く並んだ後、後続の20:14発新大阪行き電車が来た。
並んでいた私達の後ろに6人の男性達が並んでいた。その男性客は私達を見て安心していたのか、そのまま一緒に女性専用車両に乗り込んだ。
総合的に、私達と共に10人の成人男性が乗車した。
車内は若干立ち客がいる程度でさほど混んでいない。
心斎橋駅でさらに男性が乗車。正確には数えていないが、20人近くはいるのではないだろうか。
梅田駅まで何の声掛けもなく、梅田駅で下車した。
梅田~動物園前
折り返し、20:27発なかもず行き電車に乗った。
車内は立ち客が若干いる程度であり、時々男性が通り抜けられるほど空いていた。
何の声掛けもなく、動物園前駅で乗車会が終わり、皆解散する形になった。
女性専用車両をゆくゆくは縮小・廃止させる課程において、今後どうやって形骸化させていくかが課題ということになるが、このページをご覧の皆様で女性専用車両に疑問や不満をお持ちの方は、是非入会申し込みフォームからお申し込みいただければ幸いである。
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