当会関東本部では、2023年3月18日から新横浜線が開業し、相鉄と東急で直通運転が開始されたのを受け、相鉄線二俣川駅から西谷駅を通って、新横浜線で東横線に抜け、最終的には渋谷まで任意確認乗車会を実施いたしました。
新横浜線開業前から、相鉄は女性専用車にいる男性に声かけする気満々なのは情報としてつかんでいましたが、実際に乗車してみて改めて、相鉄と東急の姿勢の違いを実感することになりました。
以下、その報告です。
朝の新横浜線で任意確認乗車
男性排除に熱心な相鉄と声かけは一切しない東急
相鉄線 二俣川~西谷
現在の時刻は朝7:30。
相鉄・二俣川駅に集合し、横浜・新横浜方面ホーム先頭車付近へ向かった。


今回の乗車実施路線・区間は以下の通りである。
①相鉄本線:二俣川→西谷
②相鉄・東急新横浜線:西谷→新横浜→渋谷
相鉄はJR線直通を含め、女性専用車の設定は横浜方面行・新宿方面行共に最後尾(10号車)の設定だが、今回、新横浜線を介して直通することとなった東急東横線では、女性専用車が渋谷方面先頭車(1号車)に設定されているため、それに合わせる形で相鉄線内でも東急東横線直通の列車だけは女性専用車が1号車に設定されている。
つまり相鉄線内は列車によって女性専用車が先頭だったり最後尾だったりするという、なんとも複雑な状況になっている。


3月18日の開通からしばらくの間、相鉄線ではその先頭車付近で個別の声かけをするという情報をつかんでいたため、その偵察の意味で、今回は東横線直通列車を選んで乗車することにした。
先頭車両の停車位置付近には、手持ちのボードを持った警備員が1人と複数の駅員がおり、まずは試しに7:32発の各停池袋行きに乗車するふりをしたところ、案の定駅員がしつこい声かけをしてきた。
過去に乗車活動を重ねてきた結果、最近ではしつこい声かけは大体どこの路線でも全体的に少なくはなってきているのだが、相鉄のこのしつこさはまるで10年ぐらい時代をさかのぼったような感じがする。
7:47発通勤特急新宿三丁目行きに乗車。その際も、やはり別の駅員が「車両名の紹介」(「女性専用車」と書いてあっても、本当に女性専用ではなく、単なる車両の名称)をしてきた。
いずれにしろ、個別に声かけする必要はないはずだが・・・。
この電車で西谷まで行き、そこで西谷から参加のメンバーと合流した。
西谷駅で駅長?と問答。
次に西谷から乗車したのが、8:08発各停和光市行き。
乗車したところやはり、今度は駅長?がしつこい声かけをしてきた。
下記動画はそのときの様子である。
お願い(といってもどうして欲しいのかを言わないのも不思議)するなら、乗客全員にすべきだし、私らだけを選んで声かけすること自体が失礼。しかも、乗客の性別を見た目で勝手に決めているのは、なおさらアウトである。
ほどなくしてドアが閉まり、発車した。
西谷~渋谷
西谷を出てすぐ地下に潜り、しばらく走ると羽沢横浜国大に到着、声かけは無し。
車内でも特に声かけはなく、ここからはそのまま新規開業の区間に入る。
羽沢横浜国大駅を出てすぐ、JR直通線が分岐し、ほんの少しだけ地上(掘割)を走る。
そこを過ぎると再び地下トンネルになり、やがて新規開業したばかりの新横浜駅に着く。


新横浜線はここまでが相鉄で、この先日吉までは東急新横浜線となる。
相鉄と異なり、東急電鉄は女性専用車に男性がいても声かけはしない方針のようである。先日(2023年3月6日)に当会が東急電鉄本社を訪問した際も、東急電鉄では声かけはしないと明言していた。
実際、新横浜線内はもちろん、そのまま日吉を過ぎて東横線で渋谷まで乗車したが、東急線内では全く声かけはなかった。
当会がいつも言っている通り、女性専用車と名前がついていても、実際には任意協力で強制力が無く、男性の乗車を禁ずるものではない(つまり本当は女性専用ではない)からこそ、公共交通機関での差別には当たらないということで「問題ない」とされ、現在も運行され続けているのである。
よく鉄道事業者の回答やHPなどに「任意協力であることや、導入の趣旨から差別には当たらないと考えています」などという記載が見られる。
(ここに鉄道事業者からの回答及びHPでの記載(導入の趣旨から差別には当たらないという記載のあるもの)を掲載する)
一見何の意図も問題もない、無難な文章のように見えるが、先述の通り女性専用車両は任意だから差別ではないことになっているのであって、「痴漢対策だから差別ではない」のではない。
それを「任意協力であるから差別ではない」と、先に正しいことを言っておいて、その後にしれっと「導入の趣旨」(もちろん痴漢対策のことを指していると思われるが)を差し込み、いかにも「痴漢対策だから差別ではないし正当」と読み手に思い込ませる文章である。
もう一度言うが「任意協力だから差別でない」のであって、「痴漢対策だから」ではない。
「痴漢対策だから差別ではない」というのであれば、男性の乗車を禁止にして女性専用車両を強制にすれば良いのだ。そして「痴漢対策だから強制しても差別には当たりません」と言えば良いのである。
しかしどこの鉄道事業者も女性専用車を「任意協力」にしている。なぜそんなことをするのだろうか・・
察しの良い方ならすでに気づいているだろうが、「女性専用車両が痴漢対策であり被害者を保護するためのもの」という理由づけで「だから合憲である」とは言えないと各鉄道事業者が認識しているからだ。
つまり、差別云々(憲法云々)の問題を建前上の「任意協力」でかいくぐりながら、それを「痴漢対策だから(導入の趣旨から)差別には当たりません」と言って、「女性専用車両は痴漢対策だから正当だし差別ではない」と人々に思い込ませているのである。
もう一度言うが、「痴漢対策だから差別ではない」というのなら、男性の乗車を禁止して強制にすれば良いのである。
「女性専用車は痴漢対策」と言っておけば「女性専用車が女性への配慮からやむを得ず設けられた正当なもの」と思い込ませることが出来るし、「反対する者は痴漢被害者のことを考えていないから反対できる」などと、反対者を悪者にすることも出来る。
実際には、過去何度も述べてきたとおり、女性専用車両が導入されるのは政治家・政党の政治活動のため(選挙での人気取り政策・実績作りのため)になっているからである。
特に下右のツイートのように「コロナで乗客が減って混雑が緩和され、女性専用車両が導入しやすくなったから導入させよう」というのであれば、これはもはや「導入させること自体が目的」であるとしか考えられない。
痴漢は混雑に乗じて発生することを考えれば、完全に本末転倒であるからだ。
※議員の方のツイートについては、公人のため氏名や画像を隠す処理を行っていません



また一方、女性専用車を広告媒体に使用することで、基本的に女性しかいない場所に女性向けの広告を出すと宣伝効果が高いということで、広告料も割高に設定される(それでも広告主がつく)など、それで利益を上げている者もいる。(下記資料は関西の物だが、全国でこのようなことが行われている)
(↓取りあえす関西の物を入れているが、他に資料や画像があれば是非お願いします・・・)

そして本来、女性専用車のようなものは、「同じ運賃を支払えば公平にサービスを提供しなければならない公共交通機関」でやるべきではないことなのである。それを「痴漢対策のため」という理由付けで反対を押し切って導入し、しかもそれを上記の通り、人気取りや利益を上げるためのものとして利用している者がいるというわけである。
痴漢対策などただの建前である。
世間がそれを痴漢対策だと思ってくれているのを良いことに、今も当たり前のように存在しているのだ。
しかし、一般の利用者などにはそんなことは一切知らされていないから、反対者に対し、
「なぜ女性専用車両を導入しなければならなくなったかよく考えるべき」
「女性専用車両が導入された経緯を考えたら、反対なんて出来ないはず」
などと、”周回遅れ”な反論を「正論」のつもりでふっかけてくる者が少なくない。
東急電鉄は過去いろいろあったこともあるだろうが、現在では「男性が乗っていても声かけはしない」ということで、女性専用車を実施している鉄道事業者としてはまだ良心的な方である。(とは言え、本当は任意協力であるものを「女性専用車」という名前で運行していること自体、本当は利用客に対し、事実と違う情報を出していることにはなるが・・・)
それに引き換え、相鉄はどうだろうか。
これは今後も乗車活動を重ねていくしかない。
女性専用車は痴漢対策とか弱者保護などという、「正義の仮面」を被っているから、それに反対しきるのはなかなか難しいと言わざるを得ない。
しかし、以前は強制的に降車させるような行為が全国で見られたものの、最近ではそうした行為は(少なくとも鉄道員によるそうした行為は)ほぼ見られなくなった。
現在でも相鉄のようにしつこく声かけしてくる鉄道事業者もあるのはあるが、これも活動を続けていくことで少しずつ変わってくることだろう。
当ページをご覧の皆様の中にも、女性専用車について「何かおかしい」と思っておられる方は少なくないと思う。
今すぐに結果は出なくても、地道でも良いから根気よく活動を続けていれば、少しずつでも状況は変わっていくものである。逆に言えば、ネットで意見を主張するだけでなく、実際に活動しなければ現実は変わらないのである。
もちろん活動を継続するには、それなりに人数も必要である。しかし今活動しているメンバーもこの先、永久に活動し続けられるわけではない。
当ページをご覧の方で、女性専用車両に疑問や不満のある方は是非当会入会申し込みフォームまでお申し込みを頂きたい。