大阪市の地下鉄で、示談金目当ての男女に痴漢にでっちあげられ、会社員の男性が大阪府迷惑防止条例違反容疑で誤って逮捕される事件があった。後に女が自首してきたため男性の無実が晴れ、大学生の男は虚偽告訴容疑で府警に逮捕された。「自分の言っていることが信じてもらえず、悔しさと不安でたまらなかった」。誤認逮捕された国分和生(こくぶ・かずお)さん(58)=堺市北区=は13日、朝日新聞の取材に当時の心境を明かした。事件は、被害者の供述に立証を頼る痴漢事件の危うさを浮き彫りにした。
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女性が示談金ほしさにうそをついたと自首したのは2月7日。1月末に大阪・ミナミの路上で声をかけられて交際するようになった蒔田容疑者に「金に困っているので協力してくれ」と持ちかけられたという。署に呼び出された国分さんに署員が「自分たちもだまされた」と頭を下げた。同署は今月11日、蒔田容疑者を逮捕した。
国分さんは「信念を持って最高裁まで争うつもりだった」と言う一方、「留置が長引けば、精神的にどうなったかわからない」とも話す。府警に対して「うそを見抜くのは難しかったと思うが、今後同じことがないよう、ちゃんと話を聞くべきだ」と訴えた。
「示談金目当てと知ってがくぜんとした。大学で法律を学んでいる者が、なんでこんなことをするのか」。蒔田容疑者への怒りは収まらない。
同署は、被害者役の女性も虚偽告訴容疑で書類送検する方針。
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