JR西日本の大阪環状線に新しく導入する新車両、323系の詳細が発表された。
痴漢対策よりも女性集客効果を期待していると思われる女性専用車には以前から非常に熱心なJR西日本だが、今回導入される323系においてもやはり女性専用車は継続して設定される。
それも、今回は女性専用車のみ車体カラーを他の車両とは異なる色とし、車内の照明の色も変更するなど、これまでにも増して女性専用車に力を入れた内容となっている。
一方、今回323系に試験的に車内監視カメラが導入されることも発表された。
試験的とはいえ、JR西日本の通勤車両としては初めて監視カメラが設置されることとなったが、女性専用車の置き換えではなく、女性専用車は存続したまま、監視カメラとの併設になる。
言うまでもないが、私達は女性専用車の置き換えとしての監視カメラを提唱しているのであって、監視カメラと女性専用車の「併設」など求めていない。
私達はこれまで、(JR西日本に限らず)女性専用車両が痴漢対策と言いつつ、実際にはそこから外れて「女性専用車両限定広告」で利益を上げるなど、営利目的になっていることや導入した結果、痴漢の件数が減っていない路線が多いにも関わらず、「当社では痴漢の件数は取っていない」とウソをついてまで女性専用車両を続けていること、つまり「痴漢対策は建前であること」を批判してきた。
そして、「痴漢対策など建前」で、実際には公共の場における不当な差別でしかない女性専用車の廃止と2009年に関東のJR埼京線で導入され、痴漢が多いことで知られる埼京線での痴漢件数を約6割も減少させた実績のある監視カメラの導入を提唱してきた。
女性専用車両は痴漢でない大多数の男性も含め、同じ運積を支払っているにも関わらず、男性であるというだけで不利益を与えるものである。
つまり、車内での喫煙や携帯の通話などとは異なり、本人の意思や努力ではどうすることもできない、「性別」という生まれつきの属性を理由に公共の場で差別しているのが問題なのである。
「女性専用車両には痴漢対策という正当な理由があるから差別ではない」などという反論をする者もいるが、これまで述べてきたようにそもそも痴漢対策とは名ばかりで、実際には鉄道事業者の営利目的車両になり下がっているのだから、これは「痴漢対策を理由にした、公共の場での差別」 以外の何物でもない。
しかも、監視カメラという代替策もあるのだから、本当に痴漢対策をしたいのであれば、そちらに移行するのが筋であろう。
監視カメラを導入しても女性専用車両が存在する限り、「属性による差別」という問題は解消しない。
情報元:
車内に防犯カメラや空気清浄機 大阪環状線の新車両公開:朝日新聞デジタル <アーカイブ>
JR西日本ニュースリリース<アーカイブ>