阪急の携帯電話オフ車両が7月から「取りやめ」に

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阪急電鉄ではこれまで、神戸線・宝塚線・京都線の列車の編成のうち一両を終日「携帯電話電源オフ車両」としてきたが、7月15日から「携帯電源オフ車両」をなくし、「混雑時に優先座席付近で携帯の電源を切るようにお願いする」という扱いに変更する。

これは、関西鉄道協会に所属している関西の鉄道事業者24社とJR西日本が、これまで乗客に呼びかけてきた優先席付近での携帯電話電源の電源オフを、7月から「混雑時のみに限定する」という方向で統一すると発表したことに伴うもの。

すでに周知のとおり、携帯電話の発する電波が心臓ペースメーカーなどの医療器具に影響を及ぼすということで、各鉄道事業者とも「優先座席付近では携帯電話電源オフ」とするなどしていたが、そんな中で1車両を丸ごと「携帯電話電源オフ車両」にしていたのが阪急である。

しかし、電波の強い「第二世代」と呼ばれる携帯電話の電波が2012年7月22日で完全停波となる関係で、国(総務省)の指針が緩和され、それまで「携帯をペースメーカーから22センチ以上離すこと」を指針としてきたのを、2013年1月から「15センチ以上」ということにした。

実際には心臓ペースメーカーから3センチくらいまで近づかないと影響は出ないということが実験で明らかになっており、専門家によると「胸のポケットに携帯を入れて抱き合うようなことでもしない限り、影響はほとんどない」とのこと。

今回、それを受けての制度見直しということだが、携帯電話の影響がほぼない、つまり携帯電話の電源オフの根拠がないと分かっても「不安だから、継続してほしい」との声がある。

また、それに対して、ネット上などでは「根拠がないと分かっているのに、制度だけは続けろというのはおかしい」といった意見も見られる。

今回の件、当会が取り組んでいる女性専用車両の問題とは直接の関係はないものの、「効果がないのに制度として存続してきた」という点で共通点がある。

女性専用車両導入後、痴漢件数の大きな変化が見られず、路線によっては逆に増えてしまったところもあることなどから、鉄道会社が自社路線での痴漢件数を「当社では痴漢件数の統計は取っていません」「個人情報なので公開できません」などとウソをついて隠してきたのは、当会がこれまで述べてきたとおりである。

つまり、女性専用車両を設けても、単に女性専用車両以外の一般車両に痴漢被害を「しわ寄せ」する結果になるだけということである。

当然男性の冤罪対策にもならない。

それでも、「女性専用車両内では痴漢が起きないのだから、効果はある」という意見も聞かれるが、実際には女性専用車両に賛成している女性にアンケートを取った結果、その大半が「臭いオヤジがいなくていい」「空いてて快適」「気兼ねなく車内で化粧ができる」などの、痴漢対策とはかけ離れた理由で賛成しているという結果も出ている。

この結果から「女性専用車両の乗客は皆、救われている人達」と考えるのは一種の「幻想」であると見ることができる。

しかしながら、今回の関西での携帯電源オフ見直しについても、携帯電話を使用していた乗客とそれに文句をつけた乗客とのトラブルが発生していたことやまた総務省の指針の緩和もあり、制度見直しの動きに繋がったものの、鉄道事業者の慎重論があったことや合意形成などに時間がかかったことなどから、実際に制度見直しに至るまで約一年半かかっている。

女性専用車両も先にも述べたとおり、痴漢対策と言いながら、実際には痴漢の件数が減らない、さらに鉄道事業者がそれを隠ぺいしてごまかすというような、何とも無様な実態があり、また、女性専用車両と気付かず(あるいは障がい者だから等の理由で)乗った男性と女性客とのトラブルが続発するなど、非常に問題点は多く、そもそも本当に痴漢対策なのかどうかも怪しいが、導入に当たって政党や国交省などが関与していることや一般利用客の中にも「痴漢対策という導入理由」を疑いなく信じている者が多いと思われることなどから、廃止するとなると鉄道事業者も恐らくは携帯電源オフ以上に慎重になることが考えられる。

また導入後、一部の鉄道事業者が女性専用車両限定広告を募集し、広告料収入源とするなど、痴漢対策を名目にしたビジネスと化していることからも、すぐに完全な廃止に持っていくことはなかなか難しいと思われるが、それでも決して諦めず、粘り強く反対の声を上げ続けることが、いずれこのような制度の見直しにつながっていくであろう。

情報元:優先席付近の携帯電源オフ、必要ない? 心臓ペースメーカーへの影響巡って論議に: J-CAST ニュース

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