痴漢対策とは名ばかりの、金儲け目的車両
ここでは、JR西日本の女性専用車限定広告について、より詳しく見ていくことにする。
女性専用車限定広告とは、「女性しかいない場所に女性向け広告を出すと、宣伝効果が高い」ということで、女性専用車だけ別枠で、一般車両よりも割高な広告料で広告主を募集し、女性専用車を広告料収入源として利用しているものである。
JR西日本の場合、ドア窓に女性専用車限定広告が掲出されていることが多いが、どういうわけか、他の車両の同じ部分(ドア窓)に掲出されている広告よりも、かなりサイズが大きい。
JR西日本の車内広告料について、以下のサイト(JR西日本コミュニケーションズのHP)によれば、
http://www.jcomm.co.jp/transit/price/media_guide/2016/(リンク切れ)
一般車両広告(普通列車)は納品枚数10200枚、1か月 116万4300円
女性専用車限定広告は納品枚数1650枚、1か月 79万円
これでは分かりにくいので、広告1枚当たりの価格に直すと、
非女性専用車車両広告:1枚当たり 約114円15銭 (116万4300÷10200)
女性専用車限定広告:1枚当たり 約478円79銭 (79万÷1650)
となる。
女性専用車限定広告のほうが、広告1枚当たりでは約4倍も割高な料金を取っているのだ。
「広告のサイズが大きいから高いのだ」と言う人もいるかもしれないが、車両の全く同じ部分(ドア窓)に出している広告なのに、なぜ女性専用車限定広告「だけ」サイズを大きくする必要があるのか?
「サイズが大きいから高い」のではなく、「高くするためにサイズを大きくしている」のではないのか?
あるいは、広告主に対する「目玉商品」として、特にサイズを大きく取っているのか?
いずれにしても、JR西日本コミュニケーションズのHPには「セグメント化したターゲットに確実に訴求」などと書かれており、JR西日本が女性専用車を広告料収入源として営利目的で運行しているのは明らかである。
公共交通機関においては、法的にも公平性が強く求められているはずだが、女性専用車は「痴漢対策のためのやむを得ない措置」という名目で、反対意見を押し切り、設けられたのではなかったのか?
それを、表向き「痴漢対策」ということにしながら、当たり前のように広告料収入源として営利目的で運行するなど、言語道断である。
世間には未だに、「痴漢がいるから女性専用車が出来たのだから、反対派は差別云々いう前に、痴漢を何とかしてからものを言え」などと言う人間がいるが、そうした者達がいかに「無知」であるか、こうした事実を見れば良く分かるだろう。
もちろん、仮に痴漢がなくなったとしても、女性専用車は無くならない。
痴漢がなくなったからと言って、鉄道事業者が美味しい広告料収入源を手放そうとするのかどうか、良く考えてみれば良いのである。