2009年2月 国土交通省訪問の報告

活動履歴

去る2月12日に、当会の主要メンバーが国土交通省を訪問し、鉄道部門の担当者と 約2時間にわたって面談を行いました。

以下その報告です。


当会主要メンバーが国交省訪問 面談2時間

国交省の担当者に意見伝える

東京・霞ヶ関。近くに国会議事堂も見える。ここは国土交通省の正門前。

2月12日午前11時前、国土交通省の担当者に専用車反対の立場から意見を伝えるため、東西の「反対する会」の幹部が集合しました。

今回、「反対する会」から参加したのは、関東本部から2名、関西本部から3名の計5名。
(面談を行うスペースの関係上、一度に参加できる人数に限りがあったため、人数を制限しました。)

一方、私たちに応対したのは、国土交通省・鉄道業務政策課の中田氏と渡辺氏の2人。

最初は少し緊張した空気が漂っていたのですが、2人から専用車を正当化するような発言や私たちへの反論等はなく、2人とも穏やかに時には笑顔も交えながら私たちの話にじっくり耳を傾けてくださったので、次第に雰囲気が和んできました。

主に中田氏が私たちの話を聞き、渡辺氏が中田氏と私たちのやり取りをノートにメモしているというような感じでしたが、中田氏によると、今のポストについたのがつい数ヶ月ほど前で、今、女性専用車関係のことについても勉強中であるということでした。

ただ、現在の女性専用車については、他の事柄と違って、過去の文献などがほとんどなく、ネット上などから情報収集を行うくらいしか方法がないため、女性専用車関連のネット上のサイトなどもよく見るとのことで、当会のHPについても「拝見させていただいております」とのことでした。

まず、当会の「ミスター差別」こと、兼松信之会員が質問状を国交省の2人に提出しました。

質問の内容は

1・「男性は女性専用車を利用できるのかどうか」

2・「女性専用車という事実に反する名称、事実に反する表示や紛らわしい案内を指導するのかどうか」

3・「女性専用車に対する国交省と警察の見解に齟齬がないようにしていただけるのかどうか」

(↑についての詳細はこちらをご覧ください。)

これら3点の確認について、回答は文書でいただくことになっています。

その後も主に兼松会員が意見を述べ、その合間に他の4人がそれぞれ思うところなどを述べていくというような感じで進んでいきました。

以下、国交省(主に中田氏)と当会メンバー達とのやり取りです。

女性専用車両は「任意協力」であることの周知を・・・

国交省:利用者が安全に安心して利用できるよう事業者にお願いしている。

苦情があれば利用者に確認し、(事業者を)指導している。

警察との調整については明確に会社に伝えなければいけないのかな・・・ 調査して必要とあれば改善要求を出します。

会員:(任意協力であることが告知されていないので)女性と口論になってしまう。

乗ったときにトラブルがあるのはよくない。

思いやりを育てることと逆のことをしているのではないか。

会員:TX(つくばエクスプレス)は(駅員等による降車要請が)しつこいですよ。

会員:昔はもっとひどかった。

鉄道警察の成田(警部)ね、理屈では我々が勝っているが、権力を振りかざして「逮捕するぞ」なんて言う。

(↑詳細は、08年6月のTX非協力乗車会の報告 をご覧下さい。)

国交省:犯罪ではないので、そういうことをやると(国家賠償)訴訟になった例もありますんで・・・

(国交省の中田氏によると、その後TXに対して、国交省から指導を行ったとのこと。)

会員:鉄道営業法34条2項を警察が持ち出した。

   国交省も(適用が難しいことは)知っているはず。

国交省:そうです。

会員:任意(協力)と解る方法を示してほしい。

会員:私たちとしては、本当は専用車は廃止していただきたいのですが、任意性を告知するということでしたら1つの例を出したいと思います。

これは鉄道ではないのですが、名古屋のある百貨店では障がい者や高齢者などの優先エレベーターがあります。

それには、「一般の方も利用できますが、ご協力お願いします」という案内がなされています。

鉄道でもそのように出来ないですか?

会員:乗車中に抗議乗車カードを出すのは示威行為に当たると国交省は判断しているのでしょうか?

また、それは鉄道営業法35条に抵触すると判断しているのでしょうか?

国交省:抵触しないと明確にはいえないが、言われたときに見せるぐらいは大丈夫ではないか。

会員:関東では障害男性の単独乗車も認めているが、名古屋や関西では障がい者か介助者のどちらかが女性でないと認めないところが多い。

あと、「女性のお客様の他、小学生以下の男児や障がい者の場合、男性も乗車できる」という表記をする鉄道会社が増えてきているが、これでは逆に「中学生以上で障がい者ではない男性は乗車禁止」という風にも受け取られてしまう。

国交省:指導してゆきたい。ただ会社側の判断であるのでああしろこうしろとは言いにくい。

会員:ある程度は解るが、もっと国交省がリーダーシップをとってくれないと各社が思い思いのことをして無茶苦茶になってしまう。

会員:各都市の交通局に任意性を告知するよう申し入れても「任意性を伝えたら専用車の意味がない」と言う。

先日札幌に行ってきたが「男性も乗れることをHPだけでなく広く知らせてほしい。」といったら札幌もやはり、「そんなことをしたら(車両を)設置した意味がなくなるからそんなことは出来ない」と言っていた。

これでは任意協力とは言えない。利用者は知らないだけ。

会員:差別しているという意識がないから書こうとしない。

現在の女性専用車のように、真実(男性乗車禁止ではないこと)を伝えると 存在できなくなるものはそれ自体が問題。

痴漢が無くなるようにするのは当たり前。でも差別にならない方法で。

強制的な鉄道事業者には指導を・・・

会員:女性専用車は任意協力ということで、国交省の方からも「強制的に降車させる行為は不適切であり、(鉄道事業者に)行き過ぎた行為があった場合は指導してまいりたい」との回答を頂いているのだが、今でも半ば強制的に男性を降車させようとするようなことが次々起きている。

会員:これは名古屋在住の当会会員が、名古屋の地下鉄東山線で自主的に非協力乗車をしていた時のことなんですが、ある駅で駅員が車内まで乗り込んできて、女性専用車だから移るように言ってきたんだそうです。

(ここで、その名古屋の会員が送って来た、非協力乗車の報告のメールをプリントアウトした紙を出す。)

その会員は「任意でしょう?」と言ったにもかかわらず、駅員は「任意とかじゃなくて移るように」「周りの乗客の迷惑になりますから」と、執拗に降車要請をした挙句、「私は何もしていないのに、なぜ座っているだけで迷惑なのですか?」という会員の言葉にも「何もしないとかではなくて、何かあってからでは困るんです」と答えたそうです。

さらに、電車が発車してもその駅員は電車に乗ったまま、さらに執拗に「女性専用ですから移動してください」と言い続け、結局、その会員が降りる駅までついて来て、会員が「私はもうここで降りますんで」と降りた駅のホームでその会員に「今回はこうして降りていただきましたけど、次からは隣の車両に乗ってください」と言ったそうです。

国交省:そんなことがあったんですか。

会員:はい。他にもこれは別の会員なんですが、仕事で名古屋に出張に行った際、やはり東山線で非協力乗車を行ったのですが、ホームにいた駅員に国交省の回答文(任意協力であり、強制的に降車させる行為は不適切)を見せ、「協力する意思がないので乗車させていただく」と伝えたところ、「いえダメです」と答え、さらにその会員が「ダメだと言うなら法的根拠を示せ」と言っても「皆に協力してもらっているのだから・・・」「意見があるなら駅長に言ってください」「ルールですから」などと言って、(国交省の回答文を見せたにもかかわらず)徹底して乗車拒否してきたそうです。

それでその会員が「ふざけるな!」とその駅員に一喝して電車に乗り込もうとしたら、その会員の腕をつかんで制止しようとしたそうです。

会員:大体、乗客の身体に触れること自体まずいですよね?

会員:もっとも、力づくで引きずり降ろそうとしたのではなく、服の袖を少しつかんだだけのようですが。(と言って、自分の服の袖をつかむ)

国交省:ああ、そういう感じでね・・・

会員:ちなみにさっきの「電車に乗ってきて、会員が降りる駅までついてきた駅員」も最後には駅のホームで「今回は行きすぎた 行為があったかもしれません。

こういう意見があったことは上に伝えますので」と言って謝罪の上、自らの名前を名乗ったそうです。

会員:先の降車駅までついてきた駅員の名前が○○で、後の会員の腕を引っぱった駅員の名前が△△というそうです。

国交省:はい。

会員:関東の京王も半ば強制していますよ。

これ見てください(と言って、京王新宿駅の「これより女性専用車」の立て看板の写真を 見せる)。

ホームにこんなものを立てて、しかも警備員を置いているんです。

これでは誰も任意協力だとは思いません。

「これより先、男性は立ち入り禁止」と言っているようなものです。

女性専用車両は本当に「痴漢対策」なのか?

会員:今では女性専用車の設置そのものが目的になっているのではないか?

当初は「痴漢対策」と言っていたのに、いつのまにか「女性に安心して乗ってもらうため」に変わってきている。

本来公平でなければならない公共交通機関に痴漢対策かどうかも疑わしい女性専用車が当たり前のことのように次々設置されるのはいかがなものか?

会員:公共交通機関において、市議会等で(女性専用車を)特定の政党がごり押ししていることをご存じか?

国交省:それを言われてもちょっと困るんですが・・・

会員:去年乗ったとき京王はすごかった。

会員:「降りろ!」コールが起こった。

会員:あれは痴漢対策でも何でもない、「女性特権車両」ですよ。

会員:韓国国鉄は1992年に女性の反対で(専用車を)やめた。

外国人の人は「おかしい」という。

日本人の差別に対する意識は薄い。

女性専用車と(アメリカに昔あった)白人席の違いへの明確な答えが返ってこない。 

(注:韓国の場合は、1992年に水原(スウォン)-仁川(インチョン)間の国鉄などで導入されたものを、2008年にソウル地下鉄を運営する都市鉄道公社がソウル地下鉄でも導入しようとしましたが、女性団体等からの反対もあり、導入を見送りました。韓国国鉄での女性専用車については、その後廃止されたという報道もありましたが、実際のところは確認が取れていません。)

会員:(JR西の女性専用車の)ドアに張られた鏡、定着させようというもくろみだ。

会員:(JR西は)乗り換えなどに一番便利なところにわざと専用車を設定している。

会員:女性優遇をポリシーにする会社があっても何も言えないが、強制はいけない。

会員:女性同士の差別も発生しているようだ(若い女性が女専車の年配女性を白い目で見る)

会員:半蔵門線なんてほとんど車内に人がいないときでも(男性がいると)放送して、それでも移動しないと(乗務員が)出てきて「お願い」してくる。

会員:本当に痴漢が減る対策方法をみんなで考えよう。

会員:台湾なんかは「安全エリア」があって常にカメラで監視されているので安心できる。女性だけが弱者ではない。

(ここで、女性専用車が廃止された台湾で現在実際に行われている、「夜間婦女候車区」を国交省の中田・渡辺両氏に説明。「夜間婦女候車区」は、監視カメラで常に監視されていて、何かあったらすぐに警備員が駆けつけるエリア。つまりそこにいる限り、何があってもすぐに警備員が駆けつけるので安心できる。女性専用車のように特定の属性(性別)を理由に、該当する全ての人間を排除するようなものではない。)

バスでも女性専用が設置されているが・・・

会員:バスにおける女性専用車と道路運送法30条の関係はどうなんですか。

国交省:全体としての輸送量が担保されていればよいのかもしれない。

会員:「貸し切り」という解釈も成り立つのでは?

国交省:私たちは鉄道畑なので、バスについてはよくわからない。

(高速バスなど自動車事業については、国交省でも部署が異なるらしい。)

国交省訪問を終えて

ここまで紹介してきたこと以外にもいろいろ話しましたが、大体こんな感じで約2時間に渡って意見交換を行いました。

国交省は以前(公明党の北側氏が国土交通大臣だった頃)、「女性等に配慮した車両の導入促進に関する協議会」を発足させ、当時導入を渋っていた関東の鉄道事業者のトップを集めて、2005年に関東でも女性専用車を一斉導入させた上、「女性専用車は鉄道事業者が自主的にやったことであり、国交省は勧めただけ。」と、責任を鉄道事業者に押し付け、さらに私達が国交省の担当者に電話で問い合わせしようとしても必ず、「担当者は今、席を外しております」と答えて、一切のコンタクトを拒否するなどしていました。

当会サイト「メンバーズルーム」の白兎の部屋、マスターの部屋などでも、当時のそうした国交省の姿勢を強く批判していますが、現在は私たちとの面談にも応じて話も聞くなど、北側大臣の頃とはかなり変わってきたような印象を受けました。

少なくとも現在は国交省も「何が何でも女性専用車推進」の立場ではなくなってきているようにも思われます。

現在も、各都市の市議会などで、主に公明党の議員などがその都市の交通局に対して、女性専用車の導入・拡大を強く要求している状況があるようですが、国土交通大臣が公明党ではなくなったことで、少しは風向きも変わってきているのではないでしょうか?

当会では今後も、設置すること自体が目的となってしまっている感のある女性専用車への反対運動を行っていきます。

以下のコメント欄では当会会員以外も、どなた様でもコメントができます。

なお、コメントが当会にご意見・ご回答を求められている内容の場合には当会はコメント欄での返信は行わず、別途「ご意見・体験談の紹介」ページで当会公式の返答として掲載させていただく場合がございます。

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