当会は平成17年1月に中日新聞より取材を受け、紙面に取り上げていただきました。
その記事を当会サイトへ転載する許可が中日新聞より下りたため、掲載記事の全文をここで紹介いたします。
なお、記事文中の専用車両実施路線数や当会の会員数などの記述は平成17年1月現在のものですので、あらかじめご承知おき下さい。
中日新聞1月27日付朝刊に掲載された記事全文
「女性専用車両」に賛否
関西で電車に乗ると、最近目立つのが「女性専用車両」だ。
痴漢対策としてJR・私鉄・地下鉄の多くが設けている。
ところが、男性の乗客からは「女性専用車両は席が空いている」などの不満も根強く、関西の男性たちが「女性専用車両に反対する会」なる組織を結成。
一方で、痴漢対策に取り組む女性団体からは女性専用車両を評価する声も上がっている。
(菅原 洋)
午前中の通勤時間を過ぎた時間帯。
満席の一般車両はつり革につかまる乗客が所々におり、中には年配男性の姿も。
隣の女性専用車両では、並んで座った学生風の若い女性たちがおしゃべりし、空席が目立つ。
だが、男性たちは車両を移って座ろうとはしない。
記者のように間違って女性専用車両に入ると、女性達の「冷たい視線」が待ち受けているからだ。
男性の言い分
「これは男性に対する”逆差別”ではないのか」と憤るのは「女性専用車両に反対する会」の会員達だ。同会は2003年6月、インターネットを通じて知り合った3人で発足、現在は関西を中心に名古屋市もを含めて全国に24人の会員がいる。
同会の調査によると、女性専用車両は全国で24の路線が採用し、うち8割に当たる19路線が関西に集中。名古屋市営地下鉄東山線も03年に導入している。
同会はこれまで、名古屋市営地下鉄に抗議のメールを送ったほか、ホームページやポスターで主張を展開している。
大阪市の会員山尾崇人さんは椎間板(ついかんばん)ヘルニアの持病を抱え、ホームの移動にはエレベーターを利用している。
ところが、エレベーターの前に女性専用車両が止まるようになり「女性専用車両の導入によって混雑する前後の一般車両に乗らざるを得なくなった。
ホームを余分に歩くのもつらい」と訴える。
山尾さんは「車内に防犯カメラを設置するなど、費用を出せば痴漢対策はあるはず。
痴漢対策の遅れを指摘されるが、経費を掛けたくない鉄道側が乗客の男性に負担を押し付けたのが、女性専用車両だ」と主張した。
ある会員は「痴漢犯罪が許せないのはもちろんだが、”男女平等社会”を目指すのならば、女性専用車両は矛盾しているのでは」と話している。
女性の言い分
これに対し「女性専用車両は痴漢の犯罪性を顕在化させた点で十分に評価されるべきだ」と反論するのは「痴漢犯罪NO!鉄道利用者の会」(千葉県市川市)の石橋英子代表だ。
同会は00年に設立され、現在は関東を中心に会社員や主婦ら計13人が名を連ねている。
活動は痴漢撃退法を広めたり、講演などが中心だ。
同会が03年に東京都内の女子高生400人を対象にしたアンケートによると、「電車内での身体接触を伴う不快経験」は48.1%に達した。
同会には、高校生から小学1年生への痴漢行為や、小学校の6年間を母子で登校する覚悟の保護者など、被害を訴える勇気のない若年被害者の深刻な痴漢相談が寄せられている。
ただ、石橋代表は「女性専用車両は抜本的な解決策ではなく、男性の”隔離策”であり、緊急避難の次善策でしかない」と「反対する会」に近い考え方もしている。
「そもそも(痴漢犯罪を誘う)混雑する電車を放置してきた交通政策、都市計画が問題だ。
関西では夕方の他、終日指定している路線もある。神戸市交通局が2002-03年に乗客2717人に実施したアンケートによると、男性の80.0%が、女性も32.6%が女性専用車両に反対している。
導入後の全車両での効果は痴漢が減る場合と、名古屋市営地下鉄東山線(平日朝に実施)などのように増えたケースもある。
(中日新聞 平成17.1.27朝刊より転載)
※この記事は、【記事全文をもれなく掲載すること】・【当会としてこの記事にコメントや批評を加えないこと】を条件として、中日新聞社の承諾を得て転載しています。無断で転載、送信するなど、中日新聞社の権利を侵害する一切の行為を禁止します。