2025年2月25日、阪急神戸線(神戸高速線も含む)で非協力乗車会を行いました。
本年2月22日にダイヤ改正が行われるのに伴って、阪急神戸線では女性専用車両設置列車の本数が一気に増加し、さらにこれまで設定のなかった神戸高速線内にも設定されるようになりました。
土日祝日には設定がないことから女性専用車両の拡大初日は2月25日の火曜日となる(24日は祝日)わけですが、最初が肝心ということで神戸市内の新開地駅から大阪梅田駅の間で重点的に乗車活動を行いました。
以下その報告です。
今回の乗車会の概要
阪急神戸線ではこれまで、平日の朝ラッシュ時に「神戸三宮駅~大阪梅田駅」間で「10両編成の通勤特急に限って」上下両方向で女性専用車両を実施していたが、今回は8両編成の列車にも設定されて女性専用車両のある列車本数が大幅に増加する上、それまで女性専用車両のなかった新開地駅~神戸三宮駅間の神戸高速線にまで新たに設定されることになったのである。
もちろん「神戸高速線内で痴漢被害が深刻だから拡大された」のではない。
今回のダイヤ改定から10両編成の列車がなくなるため、これまで設定の無かった8両編成に女性専用車両が設定されることになったのである。
そして8両編成の通勤特急は(神戸三宮駅~大阪梅田駅間だけでなく)新開地駅と大阪梅田駅の間でも走っているから、結果的に神戸高速線にも設置されることになったのだ。
要するに「運用の都合」である。
10両から8両に減車し、その上女性専用車両は存続となると他の車両は混雑が増してかえって痴漢が発生しやすい環境となるだろう。もちろん冤罪もである。
そういう意味からもこれは完全に痴漢対策からかけ離れていると言える。
「女性専用車両が出来ると女性がそちらに行き、他車両から女性がいなくなるので痴漢は減り、男性も痴漢冤罪から逃れることが出来る…」みたいな思い込みがあるが、これは何の根拠もない「ただの思い込み」である。
そもそも「女性専用車両があると女性がみんなそちらに行く」というのが大間違い。女性専用車両があっても他の車両に女性は普通に乗ってくる。
なぜ女性専用車両を設けても痴漢が減らないのか、よく考えてみれば良い。

さて、今回は以下のルートで乗車した。
- 新開地6:08→大阪梅田6:44
- 大阪梅田7:13→高速神戸7:49
- 高速神戸8:01→神戸三宮8:05
- 神戸三宮8:18→新開地8:26
- 新開地8:31→(ここから新開地~高速神戸間3往復)→新開地8:58
- 新開地9:04→大阪梅田9:41
そして、今回は阪急・阪神1dayパス(1日乗車券)を購入。

これを持っていれば、券面に表示されている区間では1日、自由に乗り降りが出来るし、同じ所を改札を出ずに何度も往復しても問題ない(通常の切符でそれをやるとアウト)
拡大導入初日の新開地駅で
今回は朝の神戸高速線・新開地駅に6:00に集合。
6:08発の通勤特急に乗車する。

改札から地下のホームに降りていくと、すでに6:08発の大阪梅田行き通勤特急がホームに停車しており、すぐ隣には山陽電鉄の車両も停車していた。
ここには阪急・阪神・山陽の3社が乗り入れており、それぞれの車両が同一ホーム上で顔を合わせるのである。


阪急の列車はここが始発駅となる。
始発駅でしかも朝早いためか車内にはほとんど人が乗っていなかったが、女性専用車両内に助役が立っており、乗車してくる男性に個別に「こちら本日から女性専用車両になっておりますので」と声かけをしていた。
その助役が車外に出て、今度はホームにいる男性客にも声をかけていた。
ここで私達は女性専用車両に入り、ほぼ誰もいない車内で着席したのだが、車外(ホーム上)で助役が近づいてきた男性客に声かけしているのを見て、会員A(筆者)の隣に座っていた会員Bが立ち上がり、抗議しに行った。

車内でも女性専用車両の自動アナウンスが流れていたが、会員Bの抗議により助役が声かけしなくなったため、男性客がこれまで通り(?)乗車してくるようになり、発車直前の時点で女性専用車両内に10数人の乗客がいて、そのうち約半数が男性という状態で新開地駅を発車した。
阪急神戸高速線→神戸線 新開地~大阪梅田
新開地駅から地下を600mほど走り、すぐに次の高速神戸駅に到着。
ここで会員Cがホームから乗車してきて私達と合流。早速会員Cに先ほどの新開地駅でのことを話した。
列車はさらに地下線内を走り次の花隈駅へ。花隈駅も地下駅である。
ここではあまり乗り降りはなく、しばらく走った先で地下トンネルから地上に出て神戸三宮駅に到着する。
外はまだ夜が明けきっておらず、薄暗い。
ここでもホームに男性乗車防止の駅員が立っているかと思いきやそれらしき駅員の姿はなかった。
今回新規に設定区間が拡大されたのは新開地駅から神戸三宮駅の間であり、今私達がいる神戸三宮駅から先、大阪梅田駅まではこれまでからも女性専用車両があった区間である。だから特に駅員は配置していなかったのかも知れない。
しかしながら神戸三宮駅からも男性客が複数乗ってきた。
三宮は神戸の中心部であり、普段は多くの人々が乗り降りするが、まだ朝早いためかそれほど乗り降りは多くなかった。
新開地駅出発時より乗客は増えたが、神戸三宮駅を出た時点でもまだ空席がある。
新開地駅からここ阪急神戸三宮駅までは特急・通勤特急を含め、全列車が各駅に停車するが、ここから先は列車の速度が上がり、通勤特急は岡本、夙川、西宮北口、塚口、十三以外の駅は全て通過する。

春日野道、王子公園、阪急六甲、御影の各駅を通過し、次に停車した岡本駅からも少し乗車があった。ここでも複数の男性が乗車。
まだわずかに空席があるが、車内の半分くらいが男性である。少なくとも今日のこの列車に関しては女性専用車両はほぼ形骸化していると言って良いだろう。
芦屋川駅を通過して次は夙川駅に停車。ここでは少しまとまった乗車があり、なんとその多くが男性。
車内の座席が埋まった。
夙川駅の次は神戸線の途中の主要駅である西宮北口駅。ここからもまた男性が乗って来た。
ここもラッシュ時などは多数の乗客が乗り降りする駅だが、やはりまだ朝早いせいか乗り降り自体はあまり多くない。
西宮北口駅から会員Dが合流。
西宮北口駅発車後にも女性専用車両の自動案内アナウンスが流れたが、ここで合流した会員Dが「(男性が多くて)車両を間違ったのかと思った。」と言っていた。
武庫之荘駅を通過し、次の停車駅は塚口駅である。
ここでもまた乗り降りがあり、男性も複数乗車してきた。
車掌が「大阪梅田行き通勤特急です」と肉声アナウンスしたが、女性専用車両には触れず。
塚口駅を出て園田駅、神崎川駅を通過し、次に停まるのは十三駅。
十三駅から会員Eが合流した。
十三駅で多数の乗客が降り、車内は立ち客がいなくなった。しかし相変わらず車内の乗客の半分以上が男性。
十三駅を出てすぐ淀川を渡り、中津駅を通過するとまもなく終点大阪梅田駅。
6:44に到着した。

大阪梅田駅で
私達が新開地から乗ってきた列車は折り返し大阪梅田6:54発の新開地行き通勤特急になる。
大阪梅田駅から神戸方面行きの列車にも女性専用車両の設定がある。

私達はこの後の7:13発の列車に乗る予定なので、ホームでしばらく様子を見ることにした。
6:54発の折り返し列車も男性が次々と女性専用車両に乗車し、私達が様子を見ている間に7〜8人くらいにはなっていただろうか。そこへ駅員2人がやってきて車内に入り「こちら女性専用車両です」と言おうとしたため会員BとDが車内まで行き抗議。
それに対し、車内にいた他の男性客が「うるさい奴だな」と言ってきて一時、女性専用車両内で男性同士が口論するという異様な状況となった。
結局その男性客は降りていき、乗ってきた駅員も声かけをやめたためそれ以上のトラブルにはならなかったが、私達はここで二手に分かれることにし、会員Dはそのまま6:54発の通勤特急で新開地駅まで乗車することになった。
そして会員Dを含め10人くらい男性が乗った状態でその通勤特急は大阪梅田駅を発車して行った。
筆者含め、他のメンバーは会員Dの乗った通勤特急を見送り、引き続きホームで様子見。
続いてやってきた大阪梅田駅7:05発の新開地行き通勤特急にも男性が複数乗車した。
しばらくして運転士がホームを歩いてきたが、車内の男性には声をかけなかった。
結局7:05発の通勤特急は10数人の乗客を乗せて発車(ラッシュと逆方向なので空いている。神戸寄りで混み出す)
その約半数が男性。
私達はそれをホームで見送り、7:13発の通勤特急に乗車するためホームに並んだ。


実はこの7:13発の通勤特急には毎日この列車を利用している”超”賛成派の女性客がおり(とりあえずここでは女性客Aとする )、女性専用車両で男性を見つけると徹底的に声をかけて排除しようとしてくる。
この女性客Aには過去の乗車会で何度も遭遇していて、2024年9月の乗車会の際には筆者も「ここ女性専用車両!」と声をかけられたことがある。
その2024年9月の乗車会報告ページにも記載しているが、その時はこちらから「知ってます」と返したところ「きもっ!」と侮辱発言をし、それでも諦めず今度は駅員を呼んできて「警察呼べば?営業妨害だし…」などと言うのでこちらから「呼んでもいいですよ」と返してやった。
そもそも女性専用車両は任意協力であり男性乗車禁止ではない(男性乗車禁止のように鉄道事業者が装っているだけ)。しかもこちらは正規の運賃を支払って乗車しているのだから、おとなしく乗っている限り営業妨害でも何でも無い。
今回も来るだろうかと思って乗車していると、しばらくしてから会員Cが「あ、来ましたよ」。
私達が乗車しているのを見つけた女性客Aは直接声をかけても私達が移動しないのは分かっているので駅員を呼びに行った。
しばらくして助役と思われる駅員が車内に乗り込んできて「他のお客様から申し出がありましたので」と前置きして「任意ですがご協力お願いします。」ときた。
もちろん、応じるわけはない。
この助役と思われる駅員も「他のお客様から申し出がありましたので」「任意ですが」と前置きするあたり、私達が敢えて乗車していると分かっていたのだろう。
会社がこんな車両を設けて、しかも任意なのに「女性専用」などと表示するからこういう女性客が出てくるし、お客様(女性客)から言われた以上、声掛けしないわけにも行かない。
駅員の方もご苦労様である。
とはいえ駅員も駅員で、女性客からの申し出があった場合には私達に声かけする前に、その場で任意協力であることをしっかり伝えるべきかと思うのだが…(ただこの女性客Aの場合、任意協力だと説明されても全く承知しないのかも知れない)
駅員が引き下がってしまったので、女性客Aは私達を排除しようとするのはとりあえず諦めたようだったが、今度はあとから女性専用車両に乗車してきた男性客に「女性専用車両!」と声をかけて追い出そうとしたので、私達から男性客に「乗っても構いませんよ」と伝えた。
その男性客はそのまま空いた座席に着席した。
それにしてもこの女性客A、なんとしても男性を排除しないと気が済まないらしい。
過去に車内でトラブルを起こした際にも「女性専用車両は任意協力」であると何度も言われているので、任意協力であることを知っているはずだが、それでもこの有様。
女性専用車両を自分(を含めた女性)の「縄張り」だと勘違いしているのだろう。
阪急神戸線→高速神戸線 大阪梅田~高速神戸
いろいろあったが列車は7:13定刻に大阪梅田駅を発車。
車内は20人程度。その半数近くが男性という状態で、すっかり夜も明けて明るくなった大阪の街を走りだした。
中津駅を通過して次の停車駅である十三駅に到着。
十三駅に入る際、駅の構内アナウンスで「一番前の車両は女性専用車両です」と自動放送で流しているのが車内からも聞こえてきた。
しかし、十三駅から乗車してきた乗客の中に男性多数。
車内は立ち客が結構いるくらいの乗車率となった。十三駅でかなり乗車したようだ。
十三駅を発車したあと、すぐに女性専用車両の自動案内アナウンス。
しばらくして1人の男性客が立ち客の間をくぐるようにして隣の車両に移動していった。移動する必要は無いのだが…
もしや先ほどの女性客Aに出て行けと言われたのだろうか?
次の塚口駅でも普通に男性が乗車してきて、この列車も女性専用車両はほぼ形骸化している状態だった。
西宮北口駅に着く頃には車内は立ち客でいっぱいになり、座席に座っている私達から少し離れた位置にいる女性客Aの姿は見えないが、今度は西宮北口駅から乗車してきて私達の前に立った女性客(女性客Bとする)が独り言のように「女性専用車両…」と言ってきたが、それ以上は言って来なかったので、相手にしなかった。
西宮北口駅を発車した後、女性専用車両の自動案内アナウンスがあった。
次の夙川駅ではあまり乗り降りなし。
岡本駅でホームを駅員が歩いて行ったのを見て女性客Bが手で合図を送るも気づかれず。
任意協力だから駅員に「男を排除してください」と言ったところで無駄なのだが、やはり女性専用車両という名前に騙されているのだろうか。
もし任意協力だと知っていて排除しようとしているのなら先の女性客Aと同様、悪質であると言える。
岡本駅を出て神戸三宮駅には7:44頃着。多くの乗客が降り、車内は立ち客がわずかにいる程度になったが、相変わらず男性の数が多い。
神戸三宮駅を出てすぐ地下に潜り、花隈駅を過ぎて高速神戸駅に7:49着。
この列車はここが終点だったので私達も全員ここで降りたのだが、ホームにいる私達を女性客Aが通り過ぎながら、睨み付けるようにじ~っと見ていた。もはや野生動物のようなものすごい縄張り意識だ。
ここで少し時間があるので、先ほど大阪梅田駅6:54発の新開地行き通勤特急で私達と別れて先に新開地駅まで行った会員Dと連絡を取った。
電話に出た会員Dによるとその大阪梅田駅6:54発の通勤特急も特に声かけは無く、また男性が多数乗車していてほぼ形骸化していたとのことである。
「後で合流しましょう」と言って通話を終えた。
阪急神戸高速線 高速神戸~神戸三宮~新開地
私達は高速神戸駅から8:01発の大阪梅田行き通勤特急に乗車した。
ここから神戸三宮駅まで乗車し、そこで降りてまたこちらに戻ってくる予定である。

列車がホームに入ってきたので乗車した。車内は比較的空いている。
ホームを車掌が移動していったが声かけなし。
高速神戸駅を発車後、車掌が肉声で「この電車の一番後ろの車両は女性専用車両となっております」と女性専用車両の案内アナウンスを流した。
花隈駅を出て地上に上がってきて、そのまま神戸三宮駅に到着。ここで私達は全員下車した。
やはりラッシュの時間帯に入ったからか、ホームは多くの人がいた。
とはいえ、ラッシュにしてはまだ比較的余裕がある。
ホームには今回のダイヤ改定で神戸線に初めて設定された「快速」が停車していた。


しばらく待って、神戸三宮駅8:20発の新開地行き通勤特急が到着。多くの乗客が下車したが、その中に男性も数人いた。
神戸三宮駅でしばらく停車の後に発車。車内は立ち客がわずかにいる程度。私達以外に男性の姿もちらほら見られる。
花隈駅を過ぎ、高速神戸駅で先ほど電話した会員Dが乗車してきて私達と再合流。
高速神戸を出てすぐ終点の新開地駅に到着。新開地駅ではホームの女性専用車両位置に駅員が立っていた。
私達の乗った列車はそのまま折り返し、新開地8:31発の大阪梅田行き通勤特急となる。1日乗車券があるので下車することなく私達はそのまま乗車し続けた。
ホームで立っている駅員が「こちらは女性専用車両になります」と乗客に声かけしていたので、会員BとDが「任意なら任意だということをちゃんと言うように」と抗議した。
阪急神戸高速線 新開地~高速神戸~新開地(3往復)
車内はガラガラのまま通勤特急は8:31定刻に新開地駅を発車。
特に何も無く、次の高速神戸駅で降りて逆方向の列車(女性専用車両なし)で新開地駅まで戻った。
新開地駅に着くと、ホームに8:44発大阪梅田行き通勤特急が停車していた。
最初はガラガラだったが、続々乗車があり座席が埋まっていった。
ホームでは駅員が肉声で「一番後ろの車両はダイヤ改正に伴い、女性専用車両となっております」と繰り返しアナウンス。車内でも女性専用車両の自動アナウンスが流れた。
しかし、それでも女性専用車両内には私達以外に10人以上の男性が乗っていた。
一方、ホームの駅員は私達の見えないところで個別に声かけしていたので会員Bが抗議した。
8:44の発車時点で立ち客もちらほら。
新開地駅を発車してすぐに高速神戸駅に到着。また反対方向の列車で新開地駅に戻った。

新開地駅に戻ると先ほどの駅員はどこかに姿を消していた。
ホームには8:54発大阪梅田行き通勤特急が停車中。座席の多くが埋まっていた。男性もちらほらいる。
車内で女性専用車両の自動案内アナウンスが流れたが移動する男性なし。
この列車も時刻通り発車。次の高速神戸で下車し、逆方向の列車で新開地に戻った。
阪急高速神戸線→神戸線 新開地~大阪梅田
新開地駅からは9:04発の大阪梅田行き通勤特急に乗車。
車内は空いているが男性客が複数乗っている。
その後少しずつ乗客が乗ってきたが、ラッシュは過ぎたのか乗車率は低めだった。
次の高速神戸駅でも男性客が数人乗車。そのうち2人は隣の車両に移っていったが、他の男性客はそのまま乗車し続けていた。
花隈駅を出て地上に上がると外はすっかり太陽が昇っていた。


神戸三宮駅を出てすぐ、女性専用車両の自動案内アナウンスが車内に流れたが移動する男性なし。
車掌室には(車掌を含めて)2人の職員がいたのだが、そのうち1人が車掌室から出てきて車内を巡回した。
私達の目の前を通り過ぎたが声かけなどはなく、そのまま隣の車両へと通り抜けていった。
岡本駅からも男性が1人乗車。
夙川駅からも3人ほど男性が乗車してきて、このあたりから立ち客も出始めた。
次の西宮北口駅では警備員と思しき人物が女性専用車両前に立っていた。
何も言って来なかったが、ホームドア設置工事の関係だろうか。
西宮北口駅からも男性客が5人以上乗ってきた。
西宮北口発車後にまた女性専用車両の自動案内アナウンス。
しかし誰1人として移動しなかった。
外はすっかり良い天気で、車内も普段女性専用車両に非協力乗車している時のような緊張感のある状態ではなく、何だか普通に電車で移動している時のように穏やかな空気が流れていた。
車内で居眠りをしている女性客や他の席でやはり居眠りしている男性客の姿もあった。

先ほどの女性客Aのような「ここは私(達)の縄張りだ!」みたいな人間がいたらこんな雰囲気には絶対にならない。
鉄道事業者にも防犯対策自体はきっちりとやってもらいたいが、女性専用車両は本当に考えものだ。「女性専用車両に反対=防犯対策に反対なんだろう」という短絡的なものの見方しか出来ない人間が少なくないが、何も女性専用車両でなければ防犯対策が出来ないなどということはない。
もっと言えば女性専用車両を設けても痴漢は減らない(痴漢が他の車両などで痴漢行為に及ぶだけ)し、また関西ではJR西日本や神戸市営地下鉄など、ガラガラの列車に女性専用車両が終日設定されているような例も珍しくない。
そして他の記事でも触れたとおり、鉄道事業者は今や女性専用車両の設置理由を「迷惑行為防止」「安心して乗車いただけるため」などとはぐらかしており、痴漢対策だとは(少なくとも公式には)まず言わない。
次に停車した塚口駅からも男性客が乗って来た。
この先、園田駅を通過して少し行ったあたりで兵庫県から大阪府に入る。
大阪府豊中市内を快調に駆け抜け、神崎川駅を通過して十三駅に到着。ここでややまとまった数の乗客が降りていった。
車内にちらほら立ち客もいる状態で十三駅を発車。
そして9:41頃に大阪梅田駅に到着。ここで乗車会は終了となった。
乗車会を終えて
今回、新開地駅などで声かけのための駅員が立っていたり、車内でも女性客Aに呼ばれて来た助役と思われる駅員が私達に声かけしてきたりなどはあったものの、それでも女性専用車両に多くの男性が乗車し、今日に限って言えば阪急神戸線の女性専用車両は形骸化していたと言えるだろう。
しかし、これを今日1日だけで終わらせてはならない。
女性専用車両は「任意だから差別ではない」ということになっているのであり「任意といいつつ、事実上の強制」にしてはならないのだ。
新開地駅には「男性が乗車している場合、声かけすることがあります」というポスターが貼ってある。

このポスターは、神戸高速線、神戸線と宝塚線も貼られております。
このポスターだが、「男性が乗車していたら声をかけることがある」という記載以外にも当会が現在指摘している近年の鉄道事業者の「問題点」がしっかりと記載されている。
「女性専用車両は、小学生以下のお子様、お身体の不自由なお客様とその介助者の男性もご乗車になれます」という案内
「それ以外の男性は乗車禁止」と利用者(特に女性客)が思い込む原因。
よく見れば分かるが、あくまでも「小学生以下や障がい者・介護者は乗れる」と言っているだけで、「それ以外の男性は乗れない」とは一言も言っていない。
「女性専用車両は任意協力であり、実は誰でも乗れる(女性専用は名前だけ)」という事実を隠そうとしているのかと勘ぐられても仕方ない。
先ほど、ポスターの写真のすぐ下に【このポスターは、神戸高速線、神戸線と宝塚線も貼られております。】と記載したが、これはポスターの女性専用車両の案内(女性専用車両は、小学生以下のお子様、お身体の不自由なお客様とその介助者の男性もご乗車になれます)と同じ文体で書いてあることにお気づきだろうか?
この表現だと、まるで神戸高速線・神戸線・宝塚線の駅だけにしかポスターがないような印象を受けるが、実はこれらの路線だけでなく阪急京都線にも同じ案内ポスターが貼られている。
「京都線の駅にはポスターがない」などとは一言も言っていないのだが、こう表現するだけで阪急京都線の駅にはポスターがないように錯覚させることが出来る。
もちろん「京都線の駅にはポスターがない」とは言っていないので、ウソをついていることにはならない。
「女性専用車両は、小学生以下のお子様、お身体の不自由なお客様とその介助者の男性もご乗車になれます」という案内がいかに狡いものかよくお分かりいただけるだろう。

導入理由を「痴漢対策」と言わず「迷惑行為防止」「安心してご乗車いただけるよう」とはぐらかしている。
これは先の【阪急高速神戸線→神戸線 新開地~大阪梅田】の項でも少し触れたが、女性専用車両が「痴漢対策ではない」と暗に認めているようなもの。痴漢対策ならそう書けば良いのになぜ「痴漢対策」というワードを避けるのか。
しかし、よく気をつけて見ないと「迷惑行為防止」や「安心して乗車いただける」という文言が単なる「痴漢対策というワードの言い換え」のように映るので、鉄道事業者が「女性専用車両のことを痴漢対策とはすでに言っていない」と見破るのは難しい。
このように鉄道事業者(阪急に限らず)は、ポスターやその他の案内では未だに利用客に「女性専用車両は男性乗車禁止」「女性専用車両は迷惑行為防止であり、安心して乗車いただけるようにするための正当なもの(ならばなぜ「痴漢対策」というワードをここまで徹底的に避けるのか?)」と思わせる案内を続けている。
しかしそれでも以前に比べると、鉄道事業者の対応は徐々に変化しつつはある。2016年に阪急神戸線に女性専用車両が新規に設定された時と比べてもかなり変わってきている。
鉄道事業者の中でも当会のような活動が存在することが知れ渡り、それに伴って女性専用車両が任意協力で実は強制できないものであると言うことも、やはり知れ渡っている(鉄道事業者も社員教育で「女性専用車両を強制してはならない」と教えざるを得なくなるから)ということだろう。
例えば今回でも大阪梅田駅7:13発の列車で車内に入ってきて(女性客から声かけするように言われたとはいえ)私達に声かけをしてきた駅員の対応を見てもそれは分かる。
もちろんこれは阪急に限ったことではない。他の多くの鉄道事業者においても言えることである。
当会ではさらに活動に参加してくださる方を老若男女問わず随時募集している(もちろん関西だけでなく、関東や名古屋など全国で募集している)。
この活動は時間はかかっても根気よく続けること、そして1人でも多くの人が参加することが必要なのだ。