2025年3月18日に夜のTX(つくばエクスプレス)線で任意確認乗車を行いました。
女性客や鉄道係員からの声かけはなかったものの、私達以外に女性専用車に乗車する男性はほとんどおらず、形骸化とはほど遠い状況でした。
秋葉原→北千住
東京・秋葉原。
つくばエクスプレスはここが始発駅である。

つくばエクスプレス線(以下、TX線)はJRや地下鉄などの路線と異なり、TXは近年になってから作られた路線であることから、駅はかなり地下深いところにある。
今回は以下の順で任意確認乗車を行った。
- 秋葉原20:10発 区間快速
- 北千住20:25発 普通
- 八潮20:38発 区間快速
20時にTX線秋葉原駅の改札前に集合。
集合場所に集まった参加メンバー同士で軽く挨拶を交わし、改札内に入って秋葉原のホームに降りると既に20:10発の区間快速つくば行きが発車待ちをしていたのでその女性専用車に乗車。


席は埋まっているが立ち客は少なく、反対側のドアに余裕で移動できる程度でそんなに混んではいない。
私達の乗ったところからドア1つ離れたところで男性らしき乗客が1人いるのが確認できた。
程なくして列車は発車。
新御徒町、浅草、南千住と止まっていくが、降りる人はほぼおらず、乗ってくるのは数名程度。
ふと見ると車内には防犯カメラが設置されていた。

今では多くの鉄道路線で見られる車内防犯カメラだが、ほとんどの鉄道事業者で遅々延々と進んでいない現状がある。
これは多くの市民が痴漢対策として求めるものが女性専用車両であって車内防犯カメラを求めていないことが原因のひとつになっているのかもしれない。
そんな中、TXではつい最近、全ての列車に車内防犯カメラの設置が完了したと発表があった。
すでにご存じの方も多いと思うが、車内防犯カメラはJR埼京線で2009年に導入され「痴漢認知件数6割減」という大きな効果を発揮している。

導入後、路線によっては逆に痴漢が増加した女性専用車両(例:JR中央線・導入前2004年188件→導入後2005年217件 情報元:2006年8月8日朝日新聞)に比べ、素晴らしい効果であり、しかも女性専用車両のような差別の問題も生じない。
しかし「痴漢がいるのだから女性専用車両はやむを得ない」「女性専用車両に反対するなら他に有効な痴漢対策を出してからにしてください」と言っていた女性専用車両賛成派が防犯カメラのことを知った途端に「カメラごときに何が出来る」などと一斉に防犯カメラ叩きを始めた。
つまり(防犯カメラを叩く)女性専用車両賛成派が実は効果的な痴漢対策など望んでおらず、女性専用車両を正当化し維持するために痴漢やその被害者の存在を口実にしているだけだったということが露呈したのである。
当時、鉄道事業者の多くも防犯カメラの設置をやりたくないから「車内防犯カメラは費用が莫大だから出来ない」等とウソがミエミエな言い訳をしており、また女性専用車両賛成派もそれに同調して主にインターネット上などで「女性専用車両の代わりに防犯カメラを設置しろとかいう奴は【莫大な費用】という現実を見ていない。そんなにカメラカメラ言うならお前らが費用を負担しろ!」などと発言するなど、女性専用車両が防犯カメラに取って代わられるのを何としてでも阻止しようとしていた。
後に島根県の一畑電鉄(現:一畑電車)という赤字ローカル私鉄が車内防犯カメラを設置し始めたため、「車内防犯カメラは莫大な費用がかかるから出来ない」というのが【真っ赤なウソ】であるとバレてしまったのだが…。
現在では多くの鉄道事業者が車内防犯カメラの設置を推進しているが、鉄道会社が防犯カメラを設置してもその代わりに女性専用車両を廃止しないと分かって女性専用車両賛成派も安心したのかカメラ叩きはしなくなった。
しかし、これだけ見ても女性専用車両賛成派の中に「女性専用車両がほしいだけ」の者がたくさんいることがよく分かる。
しばらく走って列車は北千住駅に到着。
私達はさらなる任意周知のため、後続の列車に乗り継ぐべく北千住駅で降りた。

北千住駅からは私達と入れ替わりに見渡す限りでは女性らしき客ばかりがたくさん乗っていき、男性らしき客は見当たらなかった。
女性専用車は結構な混雑となって出発していった。
北千住→八潮
秋葉原駅から乗ってきた区間快速を見送り、ホームで数分ほど待っていると後続の北千住20:25発の普通守谷行きが到着した。

普通列車は空いているかなと思ったが、そうでもないようだ。
普通列車の停車直前に外から見た女性専用車はかなり混雑していた。ドアが開いて乗客が乗り降りした後に最後に私達も乗車したが、やはり車内は混雑したままだった。
先ほどの区間快速は北千住まで車内で移動が出来るレベルだったが、この列車の混雑ではもはや反対側のドアに行くことはできない。
周りを見てみたが女性専用車内に私達以外に男性らしき乗客は見えない。
列車は青井駅、六町駅と停まっていくが若干の降車があるだけで乗車客はほぼおらず。
やがて八潮駅に到着。
八潮駅では私達と共に結構な乗客が降りていった。
私達はここでも任意周知のため後続列車に乗り継ぐことにした。

八潮→南流山
数分待って八潮20:38発の区間快速つくば行きが到着。
この列車も結構な混雑で八潮駅のホームに入ってきたが、ここでそこそこの乗客が降り、車内に余裕ができたところで私達が乗車した。


やはり男性らしき客は見えない。
次の停車駅の三郷中央駅でややまとまった降車があり、列車は空いてきた。
そして乗車会終了駅の南流山駅に到着。
南流山駅でもややまとまった降車があった。
私達が乗車してきた列車は秋葉原乗車時と同じくらいの車両の反対側に余裕で移動できる程の空き具合で発車していった。
時間がなく、隣の車両との混雑差までは確認できなかった。
時刻も21時近くなり、今回はここで解散となった。
今回の乗車会を振り返って
今回の乗車会を通して係員や女性客からの声かけなどは一切なく、状況としては男性も女性専用車に乗りやすいと感じた。にも関わらず、男性らしき乗客は最初に秋葉原駅で確認した1人のみであり(声かけが全く無いため形骸化しやすい状況なのに)形骸化には程遠いと感じた。
以前、JR埼京線の夜間の女性専用車に乗ったときは車内の乗客の約半数が男性らしき乗客で、女性専用車の案内放送もされていたものの、それで移動する男性らしき乗客は皆無で完全に形骸化していた。
しかしTXではこの状況。この差は何なんだろうと思う。
TXでは女性専用車を案内する際「〜女性専用となります」と案内している(「『女性専用車』となります」ではなく、「『女性専用』となります」と案内している)
要は後ろに「車」(または「車両」)が付くか付かないかだが、実はこれだけで大違いなのである。
「何を細かいことを」と思うかも知れないが、女性専用車(車両)なら「そういう名前であると言うだけで、実は誰でも乗車できるただの一般車両」という解釈をすることも何とか出来なくはないのだが「女性専用となります」と言ってしまうと、これは完全に「男性は乗車禁止」と言っているも同然であり、女性専用車両(という名前の一般車両)が任意協力であるという事実に完全に反することとなる。
つまり「女性専用となります」という案内はそれ自体が「真っ赤なウソ」なのだ。
そしてそのすぐ下には「男性は小学生以下や障がい者・介助者以外乗車禁止」と勘違いさせる案内も(字は小さいが)しっかりとされている。


当会がいつも言い続けているように「女性専用車は任意協力」だから、つまり「男性が自由に乗っても良いから差別ではない」ということでまかり通っているのである。
女性専用車という名前に騙されて「男性は乗ってはいけない」と思って(男性が自ら)乗らないようにしていたら「差別だと言われないようにしつつ、事実上は男性排除をしようとする鉄道事業者」の思うつぼになってしまう。
そして今や多くの鉄道事業者は女性専用車両のことを「痴漢対策」とは言わなくなっている(「迷惑行為防止」とか「安心して乗車できるようにするため」等と言い換え、「痴漢対策」というワードを明らかに避けている)。
一方で世間の女性専用車両賛成派やマスコミは今でも「女性専用車両=痴漢対策」を前面に出して、女性専用車両は不当であるという批判を「的外れ」と切り捨てようとしている。
TX沿線の方の中からもこの問題に関心を持っていただける方が出てくれば幸いである。