5.南海電鉄本社抗議
なんばウォーク(地下街)で昼食を済ませた私達は、そこから約15分歩いて、南海電鉄本社を目指しました。
本社で抗議を行ったあと、JR難波駅まで戻り、そこから大阪駅まで任意確認乗車し、解散しました。
本社社員、「女性専用車両が痴漢冤罪防止になる」と発言
ドクター差別氏に「根拠は?」と突っ込まれる
女性専用車両の導入が「当たり前のこと」になっている?
なんばウオークで遅めの昼食を済ませた私たちは、そこから徒歩で南海電鉄本社を目指した。
昨年(2015年)12月のダイヤ改正で、これまで設定のなかった、高野線の区間急行まで女性専用車両を拡大したことに対する抗議が主な目的である。
南海高野線と直通乗り入れしている泉北高速鉄道が、昨年12月にダイヤ改正したのに合わせ、これまで女性専用車両の設定のなかった泉北高速線に女性専用車両が導入された。
泉北高速線では「急行」は走っておらず、そのため「区間急行」に女性専用車両が導入されたが、一方で乗り入れ先の南海高野線では、「急行」のみに女性専用車両が設定されており、区間急行は対象外だった。このため、このまま乗り入れると高野線内では、同じ「区間急行」なのに、列車によって女性専用車両があったり無かったりということになる。
そこで泉北高速鉄道に合わせるために、高野線のみを走る区間急行まで対象となったものである。
しかし、最近になって、泉北高速線で特に痴漢が大幅に増加して問題になったというような話はないし、また今回のダイヤ改正は、泉北高速線発着の区間急行を大幅増発したり、これまで存在しなかった、泉北高速線発着の有料特急を新設したりするなど、泉北高速鉄道が南海の子会社となってから初の、「一大転機」といっても良いようなダイヤ改正である。
そして今回、それに合わせての女性専用車両設定ということで、これは防犯対策のためにやむを得ず・・・ではなく、「女性専用車両を設定すると、サービス向上に繋がる」という発想で、安易に女性専用車両を拡大した可能性が高い。
もしそうだとすれば、「同じ運賃を支払えば誰でも公平に利用できるのが大原則」の公共交通機関で、「本来、このようなことはするべきではない」という意識が全くなく、女性専用車両の設定や拡大を当たり前のような感覚で行っているということになる。
先の阪急やJR西日本にも言えることだが、これは公共交通機関として、「とんでもないこと」である。
南海本社抗議
地下街から地上に出てしばらく歩くと、南海電鉄の本社らしき建物が見えてきた。
今日は朝からすっきりしない天気だったものの、この時間になって少しずつ晴れ間がのぞくようになってきた。
さらに歩いて、南海電鉄本社に到着。
中に入ると、阪急・JRの時と同じように福山代表が受付で話をつけ、私達はロビーでしばらく待つことに。
しばらくして南海の社員2人がやってきた。
以下、私達と南海社員とのやり取りから一部抜粋。
福山:泉北高速さんと南海電鉄さんは、去年の12月に女性専用車両を拡大されましたが、そんなに痴漢被害が増加するとか、何かどうしても女性専用車を拡大しなければならない理由があったのですか?
南海:泉北高速鉄道が和泉中央発の区間急行に女性専用車を設定したということで、高野線でも区間急行という部分で導入した次第なんですが、痴漢が特に増えているとか増えていないとかではなく、実際の痴漢件数は警察が把握しているので、私達のほうでは具体的には把握出来ていないんですが、女性のお客様から「女性専用車両を増やしてほしい」であるとか、「男性のお客様から、そんなものはいらないだろう」と、様々なご意見を踏まえて、運用させていただいているということですね。
福山:男性からは「そんなもの要らないじゃないか」という意見が来ているのなら、それはどう思っているのですか。
南海:まあ、私達としては女性のお客様、男性のお客様双方にとってより良い車内ということで、今の設定にしているところなんですが・・・
ドクター差別氏:男性にとって、女性専用車で何かいいことあるんですか?
南海:痴漢に関して言えば、俗に言われる、”痴漢の冤罪”を防止できるという部分で・・・
ドクター差別:痴漢件数の把握もしていないで何で、女性専用車は冤罪対策になるとか言えるんですか?根拠は何なんですか?根拠のないこと言っちゃだめでしょう。
世間でも未だに「女性専用車両を設置すると、痴漢対策の他、冤罪対策にもなり、男女双方にメリットがある」などと言う人が後を絶たず、ひどいのになると、「女性専用車両に反対して、それを廃止して痴漢冤罪に遭っても文句は言わないんでしょうね?」などと言ってくるような、どうしようもなく勘違いの激しい人間もいるが、結論から先に言えば、【女性専用車は痴漢冤罪対策には全くならない】。
なぜなのか、一応ここで解説しておくことにする。
女性専用車両を設置しても痴漢件数は減っていない所が多い。
路線によっては微増していたりすることもある。
(一例)
●JR中央線・・・女性専用車導入前2004年 188件 → 導入後2005年 217件(+29件)
●京王線・・・女性専用車朝夕ラッシュ時拡大前 125件 → 朝夕ラッシュ時拡大後2005年 146件(+21件)
(2006年 8月8日付 朝日新聞より)
しかも、女性専用車両が出来て、痴漢が発生する可能性のある車両が1両減っているにも関わらず、全体の件数が減っていないか微増なのだから、非女性専用車両1両あたりでは、痴漢の発生率(密度)はかなり上がっているといえる。
つまり、【女性専用車両が出来た分、他の車両に痴漢被害がしわ寄せされている】のだ。
そして、男性がいるのは通常、その「しわ寄せを受けた他の車両」であるから、女性専用車両が痴漢冤罪対策になるわけがないのである。
もし、「女性専用車両が冤罪対策になる」と主張する人間が言うように、「痴漢冤罪を起こす女がみんな女性専用車両に行って、男性が救われる」のなら、こんな結果は出ないであろう。
そもそも、「女性専用車両が出来ると女性がそちらに行き、他の車両から女性がいなくなって、男性が冤罪に気を使わなくて済むようになる」というのが、根拠のない思い込みである。
ましてや、わざと痴漢をでっち上げて金儲けをするような輩が、わざわざ「獲物」のいない女性専用車両に乗るわけがない。
女性専用車両が痴漢冤罪対策になっているというなら、女性専用車両導入後、冤罪の件数が何件減ったのか、何%減ったのか、具体的な数字(データ)で示していただきたいものである。
まあそんなデータなど、どこにもないだろうが・・・
・・・その後も、「女性専用車両の痴漢対策としての有効性への疑問(そもそも本当に痴漢対策なのか?)」や、「女性専用車が”任意協力”であることを周知せずに運行しているから、トラブルのもとになる(男性に「乗るな」と強制は出来ない)こと」など、主にドクター差別氏が抗議(講義)し、南海電鉄本社での抗議を終えることにした。
しかし、一般のネットユーザーならともかく、電鉄会社の本社の社員が、この程度の認識(女性専用車は痴漢冤罪対策にもなる)だったとは、少々驚いた。
結局、女性専用車両は「男女ともにメリットがある」と思いこんで、反対意見など意に介していなかったのであろう。
今回対応した社員は、多数いる社員のうちの2人ということだが、社内全体で女性専用車両について、正しい知識を共有しているならば、私達の抗議に対して、このような対応にはならなかったはずである。
まあ、正しい認識を持ちながら、ウソをついてまで女性専用車両を維持しようとするようなら、本当に最悪だが・・・
それだけはないことを願おう。
いよいよお別れの時・・・
さて、南海本社を後にした私達は、帰路につくことにした。
関東から来たドクター差別氏とレノン氏は、新大阪から新幹線で帰ることになるが、難波から新大阪までの移動なら通常、御堂筋線でなんば駅から新大阪駅まで乗車して、そこから新幹線に乗り換えるのが一般的である。
しかし、今回は敢えて少し離れたところにあるJR難波駅まで歩き、そこから任意確認乗車も兼ねて、関西線・大阪環状線で大阪駅まで行き、大阪駅から新大阪に向かうルートを取った。
以前、JR難波など、JR西日本の「列車が折り返す駅」では、男性が女性専用車両にいると、必ずといっていいほど車掌や運転士などから声掛けがあり、場合によってはかなりしつこいこともあった。
(以前、当会でも声掛けについて、JRに抗議したことがある)
当、活動報告のページでもこれまでからお伝えしているように、このところJR西日本では女性専用車両に乗車する男性への声掛けは減っているが、今回、JR難波から乗ったのは、本当に声掛けしてこないか、確認する意味もある。
JR難波駅から大和路線(関西線)王寺行の普通列車の女性専用車両に6人で乗車。
行き止まり駅なので、車掌と運転士がホームを歩いて場所を替わるが、その際、女性専用車両の前を通る(JR西日本など、関西では中間車両に設定されている場合が多い)。
私達が乗車した時、車内は私達6人のほか、女性客が数える程度で、ホームから私達が乗車しているのがはっきりとわかる状態だったが、車掌も運転士も私達には声をかけずにホームを通り過ぎていった。
やがて列車は地下のJR難波駅をゆっくりと発車し、地下トンネルの中を走り始めた。
次の今宮駅の手前で地上に出て、大阪環状線と合流。
私達は新今宮で大阪環状線の電車に乗り換えた。
大阪環状線内回りで、天王寺・鶴橋・京橋と過ぎ、下車駅の大阪駅に着くまで、怪訝な顔をする女性客はいたが、結局JR職員や女性客からの声掛けはなかった。
大阪駅で下車した私達は、とりあえずホームから階段を下り、通行の邪魔にならないところで集まって、輪になった。
私達からドクター差別氏・レノン氏に大阪まで来ていただいたお礼と、「また一緒に活動しましょう」というようなことを伝え、お互いに握手をして解散。
ドクター差別氏とレノン氏は新幹線に乗り換えるため、東海道(JR京都)線・新大阪方面ホームへ。
関西メンバーは各自、帰宅するためそれぞれの路線へと向かっていった。
(終わり)