2024年9月 名古屋市交通局訪問の報告

活動履歴

2024年9月30日名古屋市交通局を訪問しました。

前回訪問してから5年ほど経っており、この度再度申し入れを行うことにしたものです。



名古屋市交通局の場所

名古屋市交通局の最寄り駅は地下鉄名城線の名古屋城駅。

かつて「市役所」と呼ばれていた駅である。

その名の通り、名古屋市役所へはホームから地上に出ること無く、改札を出て地下から直接入ることが出来る。

交通局はその市役所の中にあるのだが、今回訪問したのは福山代表と会員B。

本当は3名以上で訪問したかったのだが、交通局側から2名までという制限が付いたので今回はこの2名での訪問となった。

今回の訪問で申し入れたこと

今回は主に以下の内容について、要請や申し入れを行った。

  1. 「女性専用車両」という名称があらゆる誤解やトラブルを招く要因となっているため、可及的速やかに女性専用車両を廃止すること。

    さらに、すぐ廃止できないのなら、以下のことを実施していただきたい。

  2. 名古屋市営地下鉄の場合、他の鉄道事業者の運用と大きく異なる点として、障害者の男性が単独で乗車出来ないかのように「女性が介護者として同行する障害のある男性」「障害のある女性に介助者として同行する男性」の場合は乗れるといった表記をしているが、これは「一定の配慮が必要な男性などが乗車されていることもございますがご理解をお願いします」と表示が併記されていることから不要であり、早急に削除していただきたい。

  3. 熊本市電の「女性優先車両」のように強制力を持たない車両であると乗客が理解できる名称へ速やかに変更していただきたい。

  4. 女性専用車両は男性の任意協力に基づいて運行している旨を目立つ方法で駅ホームや車両内外に表示し、合わせて案内を行っていただきたい。

  5. 女性専用車両の表示に従来の「小学生以下の男児」「障がい者とその介護者」以外に
    ●高齢男性
    ●子供連れの男性
    ●その他配慮が必要な男性(LGBT等)
    を加えていただきたい。

  6. 犯罪にあうのは女性のみではない。加害者は男性のみでもない。あくまで「総合的な安全性を重視」した犯罪対策を行っていただきたい。具体的には
    ●すべての地下鉄車両に防犯カメラを設置してください
    ●警察官や犯罪に遭遇した人が被害を申告しやすいような体制を構築して下さい。

  7. 統計的根拠から男性全体を属性により「推定犯罪者」であるかのように仮定し、特定の車両の利用を制限することは人権侵害であり、憲法で定められた男女平等の理念から大きく逸脱し、現代社会が推進しているジェンダー平等の理念とも逆行するものであることを認識していただきたい。

まず、女性専用車両の廃止について「差別であること」そして差別に当たるから「任意協力ということにしてそのことを乗客には知らせず、強制であるかのように思わせて運行していること」について、当会から

「当然ながら防犯対策をするなとは言わないが、やり方というものがある。防犯対策を理由にすれば何をやっても良いわけではない。公共交通機関は誰でも同じ運賃を支払えば公平に利用できなければならないのが原則であるし、まして名古屋市交通局は公営の事業者である。公営の公共交通機関がこのようなことをやっても良いものか。

導入された当時は「痴漢被害が深刻だからやむを得ない」という理由で反対意見を押し切って導入したが、今では女性専用車両を導入しても痴漢が減らないこと、また「あってもわざわざ乗らない」という女性が少なくないことが判明し、そして車内防犯カメラのほうが【JR埼京線などで痴漢6割減の実績を残す】など「絶対に女性専用車両でなければならない」という理由などないということが明らかになっているのになぜ女性専用車両を「任意なのに専用」と偽ってまでいつまでも続ける必要があるのか?

と担当者に突っ込んだのだが「女性専用車両にはいろいろな意見があるのは承知しているが、廃止することは考えていない」とのこと。

そして、防犯カメラについては効果を認め、今後推進していくことも明らかにしたものの「女性専用車両とそれらの対策を組み合わせることで、より効果を発揮できるのではないかと考えている」と回答した。

しかしながら「女性専用車両と防犯カメラを組み合わせるとより効果的」などというデータなどどこにも存在しない。

また、私達は効果云々以前に公共交通機関での差別を問題にしているのだが、こうして見た限りでは、名古屋市交通局にはその観点は全く無いようだ(あるいは意図的にスルーしているのかもしれない)

今では全国の多くの鉄道路線で当たり前になった車内防犯カメラも(これは名古屋市交通局に限ったことではないが)当初は「設置費用が莫大だから出来ない」などと、どこの鉄道事業者も口を揃えて「設置できない理由」にしていた。

そしてインターネット上でも、主に女性専用車両賛成派と思われる者達が同じように

「車内防犯カメラは費用が莫大だから出来ない」

「監視カメラごときに何が出来る」

「カメラを設置しろとかいうならお前らが金を出せ」(→この理屈だと、女性専用車両を導入させた公明党が女性専用車両に関する費用を出さなければならないことになるが、なぜか防犯カメラなど「女性専用車両の代替案」を出したときだけ、こういう声が上がる)

等と一斉に車内防犯カメラを叩いていた。

しかし、島根県の一畑電鉄(一畑電車)という赤字ローカル私鉄が車内防犯カメラを設置したことから「費用が莫大」というのは単に「女性専用車両に代わって防犯カメラを設置しろ」という声をかわすための”方便”に過ぎないことが判明した。

女性専用車両と防犯カメラを併設すれば、防犯カメラだけの場合よりもさらに費用はかかる。

というのも、女性専用車両の案内掲示類など(老朽化等で)定期的に取り替える必要があるため、会社や路線にもよるが取り替えるたびに数百万円から数千万円ほどかかるという。

この回答を見る限り、名古屋市交通局も「女性専用車両」という名前で利用客に「男性の乗車は出来ない」と思わせて、私達のような反対意見はやり過ごしてしまおうという考えであるようにも思える。

実際(2024年)9月27日に東山線で乗車した時「一定の配慮が必要な男性以外は乗れないんですよ!」と私達に言ってきた女性客がいた。

女性”専用”車両という表記と「一定の配慮が必要な男性は乗れる」(=「それ以外は乗ってはいけない」と誤解させる表示)で、実際に利用客に「男性は乗車禁止」だと思わせているのだ。

しかしこの様子だと、交通局に改善しようという意図は全く見えない。

上記2.の「女性が介護者として同行する障害のある男性」「障害のある女性に介助者として同行する男性」の表記についても、恐らく撤廃する気はないのではないだろうか。

見るからに「(たとえ小学生以下の子供や障がい者などの弱者であったとしても)男性は可能な限り乗せたくない」というのがありありと伝わってくる。

以前は名古屋以外の鉄道事業者でもこのような表記をしている鉄道事業者は多かった。

しかし「障がい者の男性より、健常者の女性を優先するのか?」という異論があったことなどから、関東や関西では今では「障がい者や介護者は(男性だけでも)乗れる」としている。(本当は男性であっても、乗れない人は一人もいない)

ここまでご覧いただいても分かる通り、名古屋市交通局は反対意見を適当にやり過ごして片付けようとしているように見える。当会のことを「極々少数意見だから相手にする必要もない」と思っているのかもしれない。

実際には私達のように実際に動く人間が少ないというだけで、女性専用車両のことをよく思っていない人間自体は決して少なくはないだろう。多数派とまでは言えないにしても。

また、女性専用車両が「痴漢対策のためという正当な理由があって設けられた車両」という社会の思い込みも一因しているかもしれない。

実際は過去に何度も述べた通り、公明党や共産党の選挙対策や実績作りのネタになっており、導入すること自体が目的になっている(つまり実態は痴漢対策でもなんでもなく、ただの差別)ということがもっと世間に知れれば状況もある程度は変わってくるだろう。

※議員の方のポストについては、公人のため画像や氏名を隠す処理をしていません。

こういうと「女性専用車両は御堂筋線事件という悲惨な事件がきっかけで出来たものだから、ただの差別だなんてことはない。女性専用車両がどうして出来たか知らないから反対できるんだろう」などと言ってくる者がいるが、女性専用車両賛成派の間で当然の事実のように語られている「女性専用車両の導入は御堂筋線事件がきっかけ」は、2001年頃に現在の女性専用車両が導入され始めてから15年以上も経った2017年頃に突然現れて広まった、根も葉もないデマである。

(参照)女性専用車両の導入は御堂筋線事件がきっかけ」というデマについて

とはいえ、私達も主に会社員などで構成されている市民団体であり、今回のように交通局に直接申し入れを行おうとしても平日は仕事があるので、なかなかそう度々足を運ぶわけにもいかない。

結局、現状では非協力乗車を重ねて反対派の存在をアピールし、交通局が反対派のことを無視できなくするしかないのである。

よく「女性専用車両に乗り込むんじゃなく交通局に直接抗議したらどうだ?女性専用車両に無理やり乗り込んで乗客の女性に文句を言ったって何も変わらないのに」という人間がいるが、これは何も分かっていない人間の言うことである。

私達の目的は乗客の女性に文句を言うことではないということぐらい、分からないものかと…

男性の乗車が多くなってくると一部の女性客が「男が乗っている。交通局は何をやっているのか?男を乗せるな!きっちり仕事しろ!」とクレームをつけることだろう。

しかし女性専用車両と名前はつけていても、実際には強制はできないわけだから交通局としては困るわけである。「任意なのに専用」と嘘をついてやり過ごそうとしても出来なくなるわけだ。

そしてその結果「女性専用車両を設置すると面倒だな・・・」と鉄道事業者に思わせるようにするしかないのだ。もちろんこういうことをしたからといってすぐ女性専用車両が廃止されるということはないだろう。

しかし、こうすることによって鉄道事業者に今後のさらなる拡大を躊躇わせる効果があることも忘れてはならない。

約1時間にわたってやり取りしたが…

その他、女性専用車両とは直接の関係はないものの男性差別の観点から、名古屋市交通局内のトイレにおいて、女性側のみに通報ボタンがあり、男性側にないことについても申し入れたが、それについては「部署が異なるので直接私達の方でどうこう出来ないが、そちらの方を担当する部署に伝える」とのことだった。

一応念のために言っておくが、当然ながら当会男性会員が女性用トイレに侵入して確認したわけではない。女性用トイレは当会女性会員に確認してもらったものである。誤解なきよう。

トイレで犯罪といえば、どうしても性犯罪がイメージされがちで「性犯罪は女性が被害者」という固定観念に陥りやすいが、何も犯罪は性犯罪に限ったことではない。

例えば不良やチンピラがおとなしそうな男性をトイレに連れ込んでカツアゲをしたりするような場合も考えられる。

先にも言ったが「犯罪にあうのは女性のみではない。加害者は男性のみでもない。あくまで【総合的な安全性を重視した犯罪対策】を行っていただきたい」ものである。

そのまま約1時間弱にわたって交通局側とやり取りしたが、当会からの質問について文書で回答を求めたが、今の口頭での回答で回答したことにしてほしいと言われ、文書での回答はいただけなかった。

最後に「お忙しいところお時間を取っていただきありがとうございました」と礼を述べて交通局を後にしたが、先にも言った通り、名古屋市交通局は反対の声を「やり過ごす」つもりのようである。

まだまだ名古屋地区での活動を強化する必要がある。

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