3.阪急本社訪問
以前、会社のHP上に「人にやさしい魅力ある鉄道サービスを実現するためのサービス水準向上の一施策」などと明記して、女性専用車両を宝塚線・神戸線にまで拡大した阪急電鉄を再度訪問。
改めて女性専用車両に対する抗議を行ってきました。
阪急本社を訪問、抗議
担当者の発言に、会員から突っ込み続々・・・
天満橋から梅田に移動
京阪本社訪問を終えた私達は、天満橋から次の訪問先である阪急電鉄の本社がある梅田に移動した。
天満橋からは地下鉄谷町線で移動。
ここも平日の始発から朝9時までの間で女性専用車両があるが、今私達が乗車しているこの時間帯は設定対象外である。
関西ではJR西日本や神戸市営地下鉄のように、土日も含めて毎日、年中無休で終日実施というようなところや神戸電鉄・神戸市営地下鉄海岸線などのように、わずか4両編成で、そのうちの一両を終日、女性専用車両に設定(神戸電鉄は早朝だけ解除)するような、実施時間帯を見るだけでも明らかに痴漢対策とはかけ離れた、悪質な事業者が多い。
そのため、先ほどの京阪やこの谷町線などのように「平日朝だけ実施」の鉄道事業者はつい忘れがちだが、平日朝だけと言っても公共の場における不当な差別には変わりない。
谷町線で東梅田に到着した私達は、とりあえず梅田近辺で昼食を取ることにした。
会員の一人が、安くて良い店を知っているとのことで、一同その店に向かうことに。
店内では、昼食を取りながら各自歓談し、しばし楽しいひと時を過ごした。
外部から見れば、私達はどんな人間の集まりかと思われているかも知れないが、実際にはこのように仲間として交流を深めつつ活動している。
ただ、なかなかこのHPでは当会の内部の雰囲気まで伝えることが出来ないのは、いつももどかしく感じているが・・・・
さて、昼食を済ませた私達は、そこから徒歩で阪急の本社へ。
阪急本社には、過去にも一度、差別ネットワークのドクター差別氏とともに、抗議に行ったことはあるが、その後も男性が女性専用車にいると、しつこい声掛けをしたり、職員がついて同乗するなど、相変わらずなので、改めて訪問することにした。
受付で要件を伝え、しばらく待っていると、阪急の担当者2名が私達のところにやってきた。
互いに「よろしくお願いします」と挨拶をかわし、阪急本社内の面談室へ・・・
2人いるうちの一人が回答役に回り、もう一人が記録するスタイルは京阪と同じ。
まずは会員Fが話を切り出した。
以下、阪急の担当者と私達とのやり取り。
数年前から女性専用車両に
会員F:阪急さんはだいぶ前に、京都線に女性専用車両を導入されましたが、それからかなり長い間、京都線だけだったのですが、最近になって宝塚線や神戸線にも導入されました(※)。急に女性専用車両の拡大に熱心になったようにも見受けられるのですが、これは何かあったのでしょうか?
2015年以降に宝塚線・神戸線に導入するまで10年以上、拡大の動きはなかった。
担当者:あー まあ、京都線での女性専用車両にご協力いただいた中で、やはり宝塚線や神戸線にも京都線と同じ考え方で、痴漢対策とか迷惑行為防止に有意義であるということと、お客様からもそうしたご意見をいただいていることもあり、拡大いたしました。
会員F:では、京都線で女性専用車両を導入してから、痴漢は減ったんですか?
担当者:えーと 減った・減らないの話ではなく、国土交通省からの「有意義である」という判断を頂いて・・・ということですね。←痴漢が減らないのに「有意義」とはこれいかに?
会員F:その「有意義であるという判断をいただいて導入」というのは、京都線のことですか?
それとも、宝塚線・神戸線でもやはり国土交通省からそのような判断をいただいたということですか?
担当者:(宝塚線・神戸線に関しては)そうではないですね。多くのお客様からご支持いただいているということがベースにございまして、有効な政策のひとつであると・・・
で、国交省から京都線の時に導入を提言されていると・・・
神戸線・宝塚線に関しても「女性専用車両を設置してほしい」というご意見をいただいているということから拡大いたしました。
会員F:反対意見は来てないんですか?
担当者:・・・どちらもございます。
確かにどちらもございますが、宝塚線・神戸線にも入れてほしいという意見が多く来ていましたので、導入いたしました。
PRが足りない?
会員F:最近では、多くの鉄道事業者で「男性の障がい者は単独でも女性専用車両に乗れる」ということになっていますが、実際に男性の障がい者や足腰の弱った高齢者が女性専用車両に入った場合、それを知らない女性客が暴言を吐いたり、場合によっては暴力を振るうというようなことも起きていますが、それでも女性専用車両はあるべきとお考えなんでしょうか?
担当者:あのー 私達も女性専用車両に対してのPRが少ないと言われれば、そこはお詫び申し上げなければいけないんですけれども。
会員F:PRが足りないと仰いましたけれども、では今後そのあたりのことについてPRするお考えなんでしょうか?
担当者:実際のところ、女性専用車両については男性のお客様のご協力の上に成り立っているものでございますので、現状のPRでやらしていただいている所でございます。
これ以上と言われましても、・・・それはお客様からいろいろいただくご意見を参考にさせていただいて、分かりやすい案内を研究してまいります。
会員F:それでしたら私どもが申し上げたいのは、まず「男性の障がい者が乗れる」と、一応駅では掲示されてはいますが、もっと分かりやすく、例えば駅で掲示するだけでなく、放送で言うとか・・・
あと、もう一つ申し上げたいのは、女性専用と名乗っているから、男性は乗ってはいけないように思われる。
実際には任意協力であって、強制ではないわけですから、事実上「女性専用」ではない。
だから女性専用車両という名前は不適切であると思います。
そういった点についても今後、研究・ご検討はしていただけるんでしょうか?
担当者:すぐに実現できるか分かりませんけれども、研究を重ねさせていただきたいと思います。
痴漢の減らない女性専用車両が、「一番有効な手段」???
会員F:今、痴漢対策と仰いましたけども、他に方法があれば、女性専用車両の廃止はありえるんでしょうか?
担当者:現在のところはお答えできません。
会員F:さっき、痴漢件数が減ったかどうか尋ねましたが、「減った・減らないではない」とのお答えでした。
どうしても女性専用車両でなければならないわけですか?
他に何か対策は考えていらっしゃるんですか?
担当者:対策としましては、現状これが一番有効な手段だという考えでございます。
会員G:有効と言っても、特に神戸線ですけど、女性専用車両を設定するためにかなりダイヤにしわ寄せしていて、何か女性専用車両を設定すること自体が目的になっているようにも見えます。
女性専用車両設定のために、新開地から梅田まで直通する特急を減らして、新開地から梅田方面の乗客の利便性を犠牲にした上、車両の使い方にも無駄を生じさせて、そこまでしてする必要があったのかと思いますね。
会員F:公共交通と言えば、「同じ運賃を支払えば、だれでも公平に利用できる」というのが本来ですが、当初「痴漢被害が深刻だから」と言って、そこを押し切って女性専用車両を導入したというのが、(阪急に限らず)最初の頃はどこもそうだったと思うんですけども、何か今見ていると、痴漢対策云々よりも「サービス」になってきているのではないですか?
何度も言いますが、痴漢件数が減ったのかという問いに対し、「そういうことではなくて・・・」というお答えでした。
ということは、「女性専用車両で目に見えて痴漢が減っていない」ということですね。
で、そんなもののために、公共交通の大原則に反することをやってまで、なぜ女性専用車両を拡大するのか。
やるなら他にもっと方法があるんじゃないのかと ・・・本当に痴漢対策ならね。
「世間が支持しているから女性専用車両は存続する」と言いながら・・・
会員F:ご存知かどうか知りませんが、2009年に関東のJR埼京線で監視カメラが導入されたというのは、ご存知ですか?
それで痴漢件数が約6割も減ったというのはご存知ですか?
本当に痴漢対策がしたいなら、そちらをやればよいと思うのですが、なぜ女性専用車両にこだわるのかと・・・
担当者:繰り返しになりますが、多くのお客様からご支持をいただいている観点から、男性のお客様にもご協力頂いて運行しているところでございますので、現状のまま運行させていただくということで・・・
会員F:ということは、「女性専用車両を支持する人がいる」から、男性の障がい者や高齢者が不利益を被っても、それは仕方がないということですか?
担当者:そういう意味ではございませんけれども・・・
会員R:「女性専用車両が必要」だと言うのは、国交省の判断なんですか?
それとも事業者自身の判断なんですか?
あるいは両方の判断なのか?
どうなんですか?
担当者:国土交通省とか、あのー、有効な政策の一つとして提言されておって、それを弊社でも、その・・・判断の上、えー、女性専用車両を設定させていただいたと・・・
会員R:ということは国交省が「女性専用車両は意味がない」とか、「差別的だからやめましょう」と言うまでは、いつやめるとか、そういうことは考えないわけですか・・・
担当者:現状では、世間の動向とかを見た上で、女性専用車両についても判断させていただくというか・・・
会員R:世間の人々っていうのは、「女性専用車両は来月から止めましょう」とか、そういうこと判断するんですか?
「女性専用車両が必要」という意見は、女性専用車両に賛成する人なら言いますけれども、では「もう女性専用車両は必要なくなった」と誰が言うのか?
普通、そんなことをわざわざ言う人はいないと思いますが。
担当者:ご意見を一杯いただいている中で、やはり総合的に判断して・・・ということですね
会員F:ということは、「反対意見がたくさん来たらやめる」ということですか?
担当者:・・・そこは、反対意見が極端にたくさん来たからやめる、ということではなく総合的に・・・
↑「女性専用車両の存廃は、世間の動向を見て判断する」と言いながら、「では、世間から反対意見がたくさん出たら廃止するのか?」と問われると、今度は、「(賛否だけでなく)総合的に・・・」と言う。
要するに、「現在、女性専用車両を続けていることを、世間の動向のせいにしている」だけで、実際は女性専用車両を廃止する気など、全くないのである。
会員R:ということは、事業者(阪急)自身が「女性専用車両の存廃の判断基準を持っている」(=反対意見が多数でも、存続させるかさせないかは阪急が”総合的に”判断して決める)ということになりますが、事業者内ではどういった基準で女性専用車両の存廃を決めるんですか?
担当者:判断基準と言うのは、世間一般の方々からご意見を頂いて、総合的に判断しているということです。
会員R:世間一般の人々は「女性専用車両が存続しているということは、必要とされているから存続しているのだろう」と判断しますよ。
会員F:今、「総合的に判断」と仰いましたが、このやり方だと、賛成が多かろうが、反対が多かろうが、どちらに転んでも「総合的に判断した」と言えば、結局、存続ということにしてしまえるわけです。
阪急さん以外でも、「総合的に判断した」という言葉を使った鉄道事業者がありました。
極端な話をすれば、仮に女性専用車両に99%の人が反対して、賛成が1%だったとしても、「他の要素も含めて、総合的に判断した」と言えば、反対多数の結果など、簡単にひっくり返すことが出来るということです。
担当者:他社のことについては弊社では分かりかねるのですが、弊社に関しては、総合的な判断としか申し上げようがございません。
女性専用車両は「人にやさしい魅力ある鉄道サービス」???
会員G:警視庁のデータですけど、痴漢に遭う人の多くは20代・30代の若い人が圧倒的に多いというデータがあります。
にもかかわらず、実際にその世代の人々が、女性専用車両を積極的に利用しているかと言えばそうではなくて、わざわざ乗りに行くのが面倒くさいなどの理由で他の車両を使うなどしていることが多い。
一方で、痴漢被害にはほとんど遭わないと思われる世代の人々が多く女性専用車両を使うということになって、その時点ですでに痴漢対策と言う理由は破綻していると思う。
国交省が「女性専用車両が有意義である」と言っているのは、そうしたデータを踏まえてのことなのか?
どう考えても女性を優遇して、女性客の顧客満足度を上げるためのものとしか思えない。
阪急電鉄は男性無視なのかと・・・
会員F:少し前ですが、宝塚線や神戸線での女性専用車両導入に関して、阪急さんのHPに「人にやさしい鉄道サービスを実現するための、サービス向上策の一環」という文言がありました(下の写真)。ここでいう、”人”とは誰のことを指しているんですか?
担当者:お客様ですね。皆様です。
会員F:ということは、男性客も含めてということですか?
担当者:そうですね。人にやさしいということですから。
会員F:では、男性客に対して女性専用車両がどうやさしいのですか?
担当者:・・・やさしい えーと・・・どういう観点でと言うのが私にはわからないんですけど?
会員F:どう考えても、男性に女性専用車両がやさしいとは思えないんですけどね。
しかしHPには「人にやさしい」と書いてある。
解釈のしようによっては「”人”の中に男性は含まれていないのか?」となります。
担当者:・・・全ての人・・・ですよね。
会員F:だったら、「男性に女性専用車両がどうやさしいのか説明できないのは何で?」という話になります。
担当者:・・・あのー、「やさしい」というところが私としては、何をもって「やさしい」と仰るのかよく分からない。
何をもって「男性にはやさしくない」と仰るっていうのは・・・ まあ・・・
会員F:いや、これ阪急さんのHPに書いてあったんですよ。「人にやさしい」って。
阪急さんのHPに書いてあることを、なぜ阪急さんが説明できないのかと・・・
担当者:・・・・・・
この後、女性専用車両は、「同じ運賃を支払えばだれでも公平に乗れる」という公共交通の大原則に反するものだが、それが「やむを得ず」ではなく、「あって当たり前」のような感覚になっている。
男性の存在を無視して、女性へのウケを狙っていると思われても仕方がないような女性専用車両を拡大するのではなく、犯罪者が本当に犯罪行為をしにくくなる、そんな防犯対策を確立していってもらいたい。
というようなことを念押しに言って、私達は阪急本社を後にした。
この後、阪急本社から、阪神の本社のある野田に移動。
京阪に続き、阪神も本社訪問は今回が初めてだったが、その模様は次のページで・・・