2024年3月6日の朝、阪神電鉄と阪急京都線で非協力乗車を行いました。
阪神電鉄は元々朝の区間特急のみ、阪急京都線はかつて特急・通勤特急に平日終日実施だったのが2022年12月以降、平日朝の通勤特急上下3本のみと大幅に縮小はしましたが、両社とも声かけについてはどうか、ということで今回の乗車会を実施しました。
以下その報告です。
アナウンスがしつこい阪神と車内に乗り込んで男性排除しようとする阪急
阪神御影~大阪梅田(阪神本線)
2024年3月6日の朝、阪神電鉄御影駅に集合
阪神電鉄では昨年12月にも乗車会を行い、当会サイトでもそのことを公開しているが、今回は阪神電鉄に加えて大阪梅田から阪急京都線にも乗車した。
12月の乗車会の時と同じ、6:56発の大阪梅田行き区間特急に乗車する。
12月の乗車会の際は車内アナウンスがしつこい(それに加え、甲子園駅で直接声をかけてきた)と大阪梅田駅で抗議したが、今回はどうか。
列車がホームにやってきてドアが開いたので乗車。御影駅停車中に肉声による女性専用車両の案内放送あり。
時刻通り6:56に列車は御影駅を発車。発車直後にもまた肉声で女性専用車両アナウンス。
昨年12月の乗車会報告でも述べたが区間特急は始発駅である御影駅を出ると、途中の甲子園駅までは住吉駅、西宮駅、久寿川駅を除いて各駅に停まる。
今回のこの車掌は各駅を発車ごとに「女性専用車両です。ご協力お願いいたします」と流し続けた。
私達が乗車しているからであろうと思われるが、それにしてもあり得ないしつこさである(下記動画参照)
前回の乗車会の車掌もここまではしつこくなかったように記憶しているが、上からの指示だろうか。
前回、私達が乗車した上に大阪梅田駅で抗議したから、逆にアナウンスを強化してきたのか。
甲子園駅で後続列車に乗り換えるため、一旦下車した。
これはいつも言っている通り少しでも多く任意周知するためだが、下車した後に発車まで少し時間があったので車掌に直接抗議した。
すると、「会社からそのように指示を受けている」とのこと。
「(女性専用車両は)強制か?」と言ったら、「ご協力お願いいたします」の一点張り。
「しつこい放送には抗議する」旨を伝えた。
その後やってきた甲子園駅7:33発区間特急に乗車した。
駅係員からも声かけもなく、車掌からの案内放送もなかった。私達の他に男性客が1人乗車。
この列車の車掌は尼崎駅発車直後に肉声アナウンスをしたのだが、「皆様にお願いいたします・・・」と戸惑った言い方だった。そして「車内での携帯電話のご利用はマナーモードのうえ通話はご遠慮願います」と放送。
女性専用車両のことに触れるのをためらっていたのだろうか。
甲子園駅で前の列車(御影駅発6:56の列車)の車掌に抗議中、甲子園駅の係員が無線を飛ばしていた光景があったので指令に何か言ったのかもしれない。
私達の他に乗車していた男性客は野田駅で下車していった。
それ以外特に何も無く、7:49に終点の大阪梅田駅に到着。
大阪梅田〜烏丸(阪急京都線)
阪神大阪梅田駅から歩いて阪急の大阪梅田駅まで移動。
同じ「大阪梅田」駅だが、阪神の駅から阪急の駅まで徒歩だと結構歩く。
ご存じの方も多いと思うが、阪急京都線と言えばかつて平日の特急と通勤特急に終日女性専用車両を設置していた路線である。
当会サイトのニュースでも取り上げたが、2022年の12月のダイヤ改正でそれまで平日終日運行していた女性専用車両を平日朝の通勤特急3往復のみに縮小した。
実施時間帯や本数などで言えば私達の立場から見れば大幅な改善であるが、男性が女性専用車両にいた場合の声かけなどは運用改善されて以降の現在ではどうだろうか。
かつて京都線で終日やっていた頃も阪急は私達が乗車していると声をかけてきて、移動を拒否されると今度は列車が通りかかる先の駅に連絡を入れ、連絡を受けた駅からまた駅員などが乗り込んできて移動を要請してくる・・・というようなことをしていた。
例えば京都河原町発、大阪梅田行きの特急(または通勤特急)に乗車していると、京都河原町駅停車中に声をかけてきて、私達が「任意協力でしょう?」と移動を拒否すると、今度はその先の桂駅で(京都河原町駅から連絡を受けたであろう)駅員が乗り込んでくる・・・という具合である。
これについては当会で過去何度も乗車会を行い、その度に抗議するなどして、徐々にそうしたことは少なくなってきていたのだが、これらは日中から夕夜間にかけてのことが多く、もともと朝の早い時間帯に京都線で非協力乗車をしたことはこれまであまりなかった。
また、京都線の女性専用車両が縮小されてからは阪急で非協力乗車をすること自体も以前に比べ少なくなっていた。
そんな中、今回は声をかけてくるだろうか。
今回私達が乗車したのは大阪梅田駅8:12発、京都河原町行き通勤特急。
大阪梅田駅では乗務員からの声かけは無し。
私達以外に他の男性も数人乗車していた。1人の女性客が乗車した男性客に「女性専用車両です」と声かけしたので私達から「法的根拠はない」と言ったが、男性客の1人は別の車両に移動。
大阪梅田駅発車直後、女性専用車両の自動案内放送あり。
列車は淀川を渡り、十三駅に到着。
大阪梅田駅では阪急の駅員や乗務員による声かけは無かった(女性客の声かけのみ)だったが、十三駅では係員が車内に乗り込んできて「女性専用車両です。ご協力お願いいたします」と2回にわたって声かけしてきた(私達に直接声かけをするのではなく、車内全体に向けて)。
さらに外国人に対して「women only」 などと言ってきたため、会員達が係員のところに行き、
「余計な案内しないでもらえます?」
「誰でも乗れるでしょう。男性が乗っているのを見とけ」
と抗議した。
その後、係員が降車してドアが閉まり、会員は車内からその係員に向かって女性専用車両に男性が乗っていることアピールしながら手を振った。
いつも言っているが、実際には法的な問題もあり強制には出来ない(つまり誰でも乗れる)車両に「女性専用」と名前をつけ、さも男性は乗車禁止であるかのように装っているのがこの女性専用車両(と名のつく一般車両)なのだから、こういう「男性乗車禁止と思わせて追い出そうとする」やり方(こうすれば「男性客が自分の意思で移動したのだから強制していないし、問題ない」ということに出来てしまう)には当然抗議する。
十三駅発車直後、自動の女性専用車両案内放送があった。
その後しばらくは何もなかったが、高槻市駅発車直後に女性客より声をかけられた。
「任意協力なので協力する義務はありません。ウソだと思うなら係員に言って下さい」と、会員が協力しない旨を伝えたら引き下がったが、どうやら他の座席が埋まっていたための座席狙いだったようだ。
こういうところからも女性専用車両と名のつく車両が表向き言われている理由(痴漢対策)とは違う使われ方をしているのがよく分かる。
それ以降は特に何も無く、京都市営地下鉄との乗り換え駅である烏丸駅に到着した。
乗車会終了後、特急サンダーバードの女性専用席に乗車
会の活動としての乗車会はここで終わりだが、この後地下鉄でJR京都駅まで移動して特急サンダーバードの女性専用席に非協力(任意確認)乗車した。
当会では活動範囲を「通勤列車の女性専用車両」に限定しているため、これは会としての活動ではなく「会とは関係のない会員有志による個人的な活動」ということになるが、当会に良くない影響の出ない範囲であればこうした会員各自の(会としてではない)活動も可能である。
今回は乗車会の後にサンダーバードに乗る予定にしていたため、参加者全員分の特急券を事前に購入済み。
券面には「女性のみ利用可」とあるが、そもそも男性の利用を禁じる法律や規定がないため、実際にはこの文言に何の効力もない。
また、特急券を購入する際も厳重に「女性のお客様および同伴される小学生以下の男性のお子様に限り利用できる座席です」と同意を求め、いかにも「ここで男性が”性別を偽って同意”したら犯罪になる」かのように思ってしまう画面が出てくるが、もちろんこれにも実は何の法的根拠もない。
要するに、これらは男性利用禁止と思わせるための「騙し」なのである。
各鉄道事業者が運行している女性専用車両(JR西日本は「女性専用車」表記)についてはすでに「任意協力」であると言うことは世間に知れ渡っているが、女性専用席についてはご覧の有様である。女性専用車両も「任意協力」であるということを反対派が世間に知らせる活動をしなかったら今頃「男性が乗車したら犯罪」という認識が当たり前になっていたかもしれない。
ここまで言うと今度は「防犯対策のために鉄道会社がやっていることを”妨害”するなんて・・・」という者が必ずと言っていいくらい出てくるが、JR西日本の女性専用席は「女性客寄せサービス」のようなもので防犯対策ではない。
サンダーバードの女性専用席は、2007年にサンダーバード車内で発生した暴行事件の翌日、早速導入が発表されたので防犯対策として設けられたように思われているが、実際には当のJR西日本が「元々女性客からの要望があり、サンダーバードでの事件と女性専用席は直接関係ない」とマスコミに対して発言しており(情報元:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070823-00000923-san-soci=現在はリンク切れ)これは事件に便乗して防犯対策に見せかけ導入したものであると言える。
実際、特急サンダーバードや特急くろしおに女性専用席が導入された際の宣伝文句が「「あったらいいな」からできました」であり、後の2019年に登場したJR神戸線の特急「ラクラクはりま」運行開始の際も、ポスターなどで「ラクラクはりまには、もちろん女性専用席もあります!」などと、女性専用席の存在を宣伝していたので、JR西日本が女性専用席を「客寄せサービス」と位置づけているのはほぼ間違いないだろう。
もっともJR西日本が車内での防犯対策をやっていないかというと、そんなことはない。
サンダーバードやその他在来線特急の車内にも防犯カメラが設置されているし、SOSボタンも設置するなど確かに対策はしているのだが、それに便乗するかのように、かつてのアパルトヘイトを彷彿とさせるような女性専用席を、まるで防犯対策であるかのように設置するのは今すぐにでもやめていただきたいものである。
女性専用車の毎日・終日運行や特急の女性専用席の導入などを見ていると一見、JR西日本が痴漢対策に非常に熱心に取り組んでいるかのように思ってしまうが、実際は女性専用車・席については先にも述べた通り「客寄せサービス」としての性格が強い。
だからこそ、こうしたものには「防犯対策」という建前に惑わされることなく反対していく必要があるのだ。
例え百歩譲って、それが仮に本当に防犯対策であると認めるとしても、公共交通機関でやって良いことと悪いことがある。【手段は目的を正当化しない】のだ。
結局、サンダーバードでは車掌による巡回があったのみで、特に問題は無く大阪まで乗車出来た。