当会関西本部では、2017年1月22日に、JR西日本線で非協力乗車会を行いました。
今回もJR職員や女性客などからの声掛けはありませんでしたが、一方でこれまで無かったと思われる、車体への女性専用車限定広告が発見されるなど、やはりJR西日本が女性専用車を営利目的で運行しているのが明らかになりました。
以下、当日の報告です。
車体にも女性専用車限定広告
女性専用車の商業利用がまたひとつ・・・
京橋~ユニバーサルシティ―
集合場所であるJR京橋駅に少し早い時間に着いたので、ホームで女性専用車に乗車する人々を観察することにした。
乗車しかけたものの、女性専用車だからと避けた男性客もいれば、そのまま乗っていった男性客も観察している間に2人ほど確認。
集合時刻が近づき、メンバーが続々集まってきて集合場所は徐々に賑やかになってきたが、そこでメンバーの一人が、ホームに入ってきた電車の女性専用車両の車体に「女性専用車限定広告」が掲出されているのを発見。
これまで、JR西日本が女性専用車の車内のドア窓に女性専用広告を出して、女性専用車を広告料収入源にしていることは、当サイトでもこれまで述べてきた通りであり、それを当会が、「痴漢対策など建前で、実は金儲けが目的で女性専用車をやっている」と批判し続けてきたのは、これまで当会サイトをいつもご覧くださっている皆様ならすでにご存知かとは思うが、どうやら車内だけでなく、車体にも女性専用車限定広告を出し始めたようだ。
当会は、これまでからもHPで女性専用車限定広告を批判してきたが、JR西日本はそれを知らないのだろうか?
あるいは知っていても、「儲かるから」と、やっているのだろうか?
私達は予定通り、JR京橋駅17:09発の環状内回り列車の女性専用車に乗車することにした。
車内はそれほど混雑していなかったが、ふと隣の車両を見ると、前の車両は結構混雑しており、女性専用車との混雑差が目についた。
京橋発車後、車掌がいつも通りに「前から4両目は終日女性専用車です」と車内アナウンス。
いつも当会が言っている取り、実は男性も乗れるので、本当は「女性専用」ではないのだが、JR西日本はもちろん、他の鉄道事業者も、「他社(局)もその名称でやっているから・・・」などと言って、この名称をなかなかやめようとはしない。
日本では札幌の地下鉄だけが、「女性と子どもの安心車両」などと銘打っているが、これもこれで、「男性がいると安心出来ない」というような、「男性=悪」というイメージを社会に垂れ流すかのような名称であり、到底賛同できない。
列車は桜ノ宮・天満を過ぎ、大阪駅に到着。ここで多くの乗客が入れ替わり、男性客が1人乗車。
大阪駅を出てすぐ、次の福島駅に到着。ここからも1人の男性客が乗車。
そしてその福島駅発車後にまた車掌が専用車アナウンス。
福島の次の野田駅からも電車内の様子を伺っていた1人の男性客が乗って来たものの、すぐに隣の車両に移動。
西九条駅でゆめ咲線(桜島線)に乗り換えるために一旦降り、17:27発の桜島行に乗り換え。
西九条の女性専用車位置に男性駅員が立っていて案内していたが、その駅員は私達が集団で女性専用車に乗車するのを見ても、何も言って来なかった。
やはり「任意協力」であるということを上から言われているのだろうか?
やがて列車は西九条駅を発車。
京橋で乗車を開始した時はまだ辺りは明るかったが、やはり時期的に日が落ちるのも早く、西九条駅を出た時点で、辺りはかなり暗くなっていた。
大阪市の港湾地区を走りながら、次の安治川口駅に到着。
ホームは人気(ひとけ)が少なく、私達が乗った車内もガラガラで、外気も冷たく、雰囲気的に何となく陰鬱な感じ。
安治川口を出てすぐ、17:32に次のユニバーサルシティ駅に到着。私達はここで下車。
ユニバーサルシティ~西九条
今回は大回り乗車(隣の駅までの切符を買って、大きく迂回してから隣の駅で降りる)ではないので、とりあえずユニバーサルシティ―駅で改札外に出て、切符を買いなおすことにした。
先ほどの人気(ひとけ)のない安治川口駅と異なり、ユニバーサルシティ―駅はたくさんの人でにぎわっていた。
恐らく、今日(乗車会当日)が日曜日で、多数の人がUSJを訪れていたということもあるだろう。
少し時間があるので、西九条方面に向けて折り返す前に、駅周辺を軽く見て回ることにした。
西九条からここまでの港湾地帯の風景とは異なり、辺りは華やかそのもの(下の写真)
今回、USJの中には入らなかったが、やはりUSJの集客力と言うか、影響力は相当なもののようだ。
USJが出来る以前は恐らくここも、これまで見てきたような、「何の変哲もない港湾地帯」だったのだろう。
ユニバーサルシティ駅からは17:57発の西九条行に乗車することに。
ホームに並んでいる時点で、既に隣の車両と、並んでいる列の長さの差が明らかになっていた。
やがて列車がホームに到着。ガラガラの状態で到着したが、ユニバーサルシティ駅からの乗客でたちまち一杯になった。
一方、私達の乗りこんだ女性専用車はまだ空席もある。
私達が乗った直後、駅に停車中に車掌が女性専用車アナウンス。
女性専用車には、私達以外に男性客が一人だけ乗車して来たが、それ以外の男性客は混雑している他の車両に乗車。さらに隣の車両から、男性客数人が不思議そうな目でこちらをジロジロと見ていた。
恐らく、「女性専用車なのに乗っている男がいる。どういうことだ?」ということであろう。
普段、定期客として鉄道を利用している人なら、女性専用車が「女性専用」と名乗りつつも、実は男性も乗れるということを知っている人も少なくはないだろう。
これは今までの反対派の活動の結果といえるかもしれない。
しかし、ゆめ咲(桜島)線は沿線にUSJがあることから、恐らく、普段電車をあまり利用しない「非定期」の乗客も多いと思われる。
それゆえ、「女性専用車は任意」だということを知らない人も、まだ多いのかも知れない。
やはり、「女性専用車は任意であり、専用は名前だけ」ということを、これからも、もっともっと広く世間に知らしめていく必要がある。
先にも書いた通り、鉄道事業者は「女性専用車」という、いかにも強制力がありそうな名前を出して、利用客に「女性専用車両は男性乗車禁止」と勘違いさせ、さらに、反対派からの「女性専用という、事実に反する名称はやめるべき」という意見にも、耳を貸そうとしないわけだから、「任意協力」をさらに広く知らしめることも、抗議活動の一つとして、十分有効といえるだろう。
それにしても、ユニバーサルシティ駅最寄りのUSJには男友達同士や女友達同士だけでなく、カップルや家族連れも多く来場するのだが、そんな路線で、それも土日祝日などに女性専用車が必要なのだろうか?
まあ、JR西日本が表向き、女性専用車を「痴漢等の迷惑行為から女性を守るための取り組み」と言いながら、実際には営利目的丸出しなのは、これまで当会が何度も繰り返し指摘してきたとおりだが、JR西日本にしてみれば女性専用車は、「サービス向上の切り札」のようなものであり、女性専用車がないことのほうが、「旅客サービス上まずいこと」という認識なのかもしれない。
これは、女性専用車限定広告だけでなく、JR西日本が、「女性専用車、乗ってますか?」「私は乗る、女性専用車」「終日終日運行しているからいつでも乗れる」「行きも帰りも女性専用車、もう私の習慣です」などという謳い文句で、女性専用車を売り物のように宣伝していたことからもうかがえる。
また、かつてJR阪和線・大和路線に女性専用車を導入した際、案内のパンフレットに、「他線区に比べ、女性専用車の運行本数が少なくなりますが、ご了承下さい」などと、不便をかける男性客に詫びるのではなく、女性客に「女性専用車の本数が少なくてすみません」と詫びるようなコメントを掲載するなどしていたことからもうかがえる。
JR西日本だけではない。
阪急も、「女性専用車両の導入が、人にやさしい、魅力ある鉄道サービスを実現するためのサービス水準向上の一施策・・・」などとHPに載せていたし、福岡の西鉄も、実際には女性専用車の拡大には至らなかったが、数年前に、CS(顧客満足度)向上アンケートと称して、女性専用車の拡大の是非を問うていたこともあった。
つまり、女性専用車は、「防犯対策のためのやむを得ない施策」ではなく、男性の存在を無視した、「女性の顧客満足度向上サービス」なのだ。
鉄道事業者(JRに限らず)が痴漢を減らすことよりも、女性専用車両に男性を一人も乗せまいと、そちらのほうにやたら一生懸命になるのも、これで説明がつく。
鉄道事業者にとって、男性が女性専用車両にいると、女性客に対するサービスダウンになる。
だから、「女性専用車両に男性を一人も乗せまいと、やたら一生懸命」になるのだ。
もっとも、JR西日本では2014年の御幣島事件(※)以来、直接の声掛けや、強制まがいの移動要請は比較的少なくなっているが、この点に関しては、現在ではむしろ阪急などのほうが悪質かもしれない。
いや、JR西日本でも個人で非協力乗車していた会員が、駅員などから強い態度で移動を要請されたり、一緒にくっついて乗車してこられたりということが、御幣島事件以降も何度かあったことから、こちらも油断は出来ない。
しばらくの停車の後、列車はゆっくりとユニバーサルシティ―駅を発車。約5分ほどで西九条に到着した。
西九条~(天王寺経由)~京橋
西九条駅に戻り、そこで会員2名が合流。
私達はさらに人数が増えた。
ホームには、やはり駅員が立っていたが、先ほどの駅員とは別人。
先ほどの駅員は私達が目の前で女性専用車に乗りこんでも何も言ってこなかったが、今度の駅員はどうだろうか。
私達が次に乗るのは、18:10発の環状内回り電車である。
やがて列車が到着し、私達は女性専用車位置から乗車したが、やはり駅員は何も言ってこなかった。それで良いのだ。
女性専用車には私達のほか、カップルが一組乗車してきた。
私達は、ロングシートの座席1区画分を丸々、男性だけで埋めた。
弁天町・大正・芦原橋と過ぎ、途中の今宮駅からもカップルらしき男女が乗って来た。
天王寺駅で乗客の多くが入れ替わり、男性客が1人だけ乗ってきたものの、すぐに隣の車両に移動。
天王寺駅のホームでも西九条駅と同様、駅員が立っていたものの、私達には声かけして来なかった。
桃谷駅でも1人の男性客が乗車。
結局、JR職員からも他の乗客からも声かけ等はなく、無事京橋駅に到着。
ここでJR東西線に乗り換え。
京橋~(北新地経由)~尼崎~大阪
JR京橋駅から18:46発の西明石行の普通列車に乗車。
乗車するなり、女性客数人がこちらを怪訝な表情で見てきた。
雰囲気がJR大阪環状線やゆめ咲線などと違うと感じたものの、声掛けはこちらでも無し。
JR学研都市線やJR東西線では原則すべての列車に女性専用車があり、「大阪環状線などとの雰囲気の違いもそのせいか?」とも思ったものの、京橋の次の大阪城北詰駅で、男性客が一人乗車してきたのを発見。
北新地を過ぎると、車内はだんだん空いてきた。
かつて強制排除事件の舞台となった御幣島駅も何事もなく過ぎ、結局、そのまま無事に尼崎に到着。私達はそこで下車し、JR神戸線(東海道線)大阪方面に乗り換えた。
尼崎駅で、しばらくの待ち時間の後、尼崎19:13発の京都方面の普通列車に乗車。
こちらも特に問題なく、今回の乗車会のゴールである大阪駅に着いた。
結局、今回は最初から最後まで、JR職員から声をかけられることは全くなかった。
「女性専用車に男性が居ることが別に珍しくなくなること」「特に声をかけられることなく、男性も任意で乗車できること」を望んでいる私たちとしては、それで良いのだが、一方で、JR西日本は現在も女性専用車の毎日終日実施を継続しており、女性専用車限定広告などの女性専用車の商業利用も相変わらずである。
やはりまだまだこれからであるが、私達が乗車していてもあまり声掛けをされなくなったのは、一つの変化であろう。
この先も、道のりは長いが、少しずつ前進していければと思う。