2022年12月15日、阪急京都線とJR京都線の大阪~京都間を往復しました。
阪急京都線では途中の駅から男性客が乗車してきてずっと車内にいたのですが、後から女性専用車両の表示に気づき移動しようとしたため、たまたま隣にいた会員が「移動する必要はない」ことを伝え、それからしばらくその男性客と車内でいろいろ話をしていました。
JR京都線は今では乗務員や女性客からの声掛けもなくなり、今回も車内は非常に静かでした。
以下、その報告です。
ダイヤ改正直前の阪急京都線で乗車
今回のルート
①阪急京都線 大阪梅田→烏丸
②(徒歩 烏丸→四条)京都市営地下鉄烏丸線 四条→京都(女性専用車両なし)
③JR京都線 京都→大阪
阪急京都線 大阪梅田〜烏丸
私達は阪急大阪梅田駅19:20発、京都河原町行き通勤特急に乗るために女性専用車両乗車位置に並んだ。
ラッシュ時ということもあり、ホームには多数の人が並んで列車を待っていた。周囲の女性客からの声掛けはなし。
しばらくして19:15頃、通勤特急がホームに入ってきた。
阪急京都線の特急・通勤特急はその多くがクロスシート車両(新幹線やJR特急のような向かい合わせのシート)で運行されている。
ドアが開くと、筆者と会員Aは4人がけのクロスシート座席の窓側に、会員Bは少し離れたところに1人で着席した。
ホームで並んでいた人が車内になだれ込み、あっと言う間に通路まで人でいっぱいになった。
そして筆者と会員Aの隣(通路側の席)にも普通に女性客が座ってきて、特に私達のことを気にする様子もなく、スマホを見始めた。
ひと昔前なら、車内が混んでいても私達の周りだけ人がいないエリアが出来たり、「ここは女性専用!」と騒ぎ出す女性客が出てきたり、さらには乗務員がやってきて「ご協力を」「お断りします」の問答になったりしたものだが、それからすれば今は随分と変わったものである。
これも、今までの反対派の活動の成果と言えるのかも知れない。
しかしここで乗車活動をやめてしまったら時間の経過と共に少しずつまた元に戻って行ってしまう。
だから乗車活動にはこれからも力を入れていく必要がある。
もちろん私達の最終目的は女性専用車両の全廃だが。
やがて出発時刻となり、列車は大阪梅田駅をゆっくりと発車した。
梅田発車直後に女性専用車両の案内アナウンスが車内に流れ、さらに中津駅の脇を通りすぎると、列車は淀川を長い橋梁で渡っていく。
そして、渡り終えるとすぐ次の停車駅十三に到着。
十三からも結構乗ってきたが、その中に確認しただけで男性が2名いた。
その男性客はそのままつり革を持ち、車内に留まるようだった。
十三発車後にも自動音声の女性専用車両アナウンスが車内に流れた。
十三を出ても、まだ辺りは大阪の市街地である。
夜の市街地の中を快調に走り、南方と崇禅寺を通り過ぎて鉄道高架化工事区間を進み、やがて列車の速度が落ちてきたかと思うと、淡路駅もゆっくりと通過した。
阪急京都線では(2022年12月15日時点で)特急と通勤特急に女性専用車両が設定されている。
特急は淡路に停まるが、西院と大宮は通過する。一方、通勤特急は淡路を通過するが、西院と大宮には停まる。
今回の乗車会の2日後、12月17日のダイヤ改正から京都線の女性専用車両は通勤特急のみの設定となる。
つまり千里線との乗換駅である淡路に停まる列車からは女性専用車両が全く無くなるうえに、通勤特急自体も平日の朝のみの1日3往復だけになる。
これまで、阪急京都線では平日の特急と通勤特急に終日女性専用車両が設定されていたが、これにより関西の終日運行路線の1つがなくなることになる。
列車は再び速度を上げて次々に駅を通過し、19:36に茨木市に到着した。
反対側のホームに大阪梅田行きの通勤特急が停まっていたので、女性専用車両に男性の姿はないかと見ていたが、ロングシート車(通勤電車に良くある、横長のシートの車両)だった。
阪急京都線ではロングシート車は特急や通勤特急であっても女性専用車両設定対象外である。
茨木市を出て次の停車駅高槻市に到着するあたりから、立ち客が減り車内は少し空いてきた。
そして列車は大阪府から京都府に入り、長岡天神でさらに乗客が降りて、車内は空席が出始めた。
十三からの男性客はつり革をもって立っていたが、車内が空いてきたのでたまたま(筆者から少し離れたところで着席していた)会員Bの隣に座った。
しばらくすると、その男性客と会員Bが話をしているのが聞こえた。
後で会員Bから聞いたのだが、その男性客が女性専用車両と気づいて移動しようとしたため、移動する必要はないことを伝え、女性専用車両は任意であるということを、過去の裁判例なども交えて話したとのこと。
当会では「乗車活動中に他の乗客には原則こちらから話しかけない」という内部ルールがあるが、これはあくまで「こちらから他の乗客に喧嘩を吹っかけるようなことはしない」という意味であり、今回のようなケースについて話しかけることを禁じているわけではない。
その会員Bが男性客に話した「過去の裁判例」でも「女性専用車両は任意協力でしかなく、男性に乗車しない義務や乗車した場合の罰則なども無いため、不当な差別には当たらない」という解釈がなされている。
世の中にはこれを「女性専用車両は問題ないとすでに裁判で結論が出ている」などと都合よく解釈する女性専用車両賛成派がいるが、判例はあくまで「任意協力でしかないから問題ない」としているだけで、男性の乗車を禁ずる車両が認められているわけではない。
つまり、男性の乗車を禁ずることは出来ない車両だからこそ「問題ない」のである。
逆に言うと、強制したら問題になるようなものを「任意協力」を逃げ道にしてまかり通らせているだけなのである。
だからこそ、男性が乗っても構わないし、また男性がどんどん乗る必要があるのだ。
その男性客は結局、自身が降りる予定の駅まで女性専用車両内にとどまり、会員Bと話をしていた。
次の桂で私達の隣の通路側の席に座っていた女性客も降り、車内は半分くらい空席になった。
桂発車直後、男性が1人通り抜けていった。
桂を出ると西京極を通過して、その先で地下に潜る。
地下区間に入って最初の駅西院に停車。
大宮にも停車して烏丸には20:02到着し、私達はここで乗り換えのため下車して徒歩で京都市営地下鉄烏丸線の四条駅まで移動した。
阪急烏丸駅から地下鉄の四条駅までは、地上に上がることなく地下通路を歩くだけで行くことが出来る。名前は違うが、連絡駅のようなものだ。
京都市営地下鉄には女性専用車両の設定は全くない(これで良いのだ)。あくまでJR京都駅まで移動するための乗車である。
JR京都線 京都〜大阪
次に京都駅から発車する大阪方面の女性専用車設定列車は20:28発の西明石行普通で、私達がホームに上がるとすでに入線していた。
車内は座席がほぼ埋まるくらいの乗車率で、私達はつり革をもって立って乗車した。
しばらくすると「先行列車が遅れているため発車が少し遅れております。信号が変わり次第発車します」とアナウンスが流れ、結局3分ほど遅れて20:31頃に発車した。
京都発車後、車掌が肉声で女性専用車の案内アナウンスをした。
車掌によっては終日であることを強調したりする人もいるが、この車掌のアナウンスは通り一遍の形式的なものだった。
次の西大路でややまとまった下車があり、その次の桂川あたりで早くもガラガラになり始めた。
つり革をもって立っていた私達も空いた席に着席することにした。
車内は至って静かである。以前は男性が乗車したら大騒ぎになることもしばしばだったが、それに比べると今は静かになったものだ。もちろんだからと言って乗車することをやめればまた少しずつ元に戻って行くだろう。これからは、いかに乗車する男性を増やし、女性専用車両を形骸化させていくかが、課題となるだろう。
車内は私達以外に女性客が十数人といったところか。
よく見ると車内端の方に男性客が1人着席しているのが見えた。
列車は大阪府に入り高槻で少し乗ってきたが、ガラガラであることに変わりはない。
高槻を出てから、また女性専用車アナウンスが入った。茨木でも乗客が降りて、さらにガラガラになり、岸辺では私達以外に4〜5人程度になった。
そして吹田でその残っていた女性客も降りて、私達以外には吹田から乗ってきた女性客が1人だけになった。
新大阪で数十人くらい乗って来て車内は再び賑やかになった。といっても、まだ半分くらい空席である。
淀川を渡ると、列車遅延のお詫び放送が入った。京都駅発車時点で3分ほど遅れていたが、まだ回復していなかったようだ。
程なくして21:22ごろ大阪駅に到着し、私達は乗車会を終了とした。