2014年2月21日、当会関西本部では、JR京都線(東海道線)で非協力乗車会を行いました。
(実施区間:大阪~高槻間往復)
今回、大阪駅で女性専用車に乗車しようとしたところ、ホームにいた若い駅員が両手を広げて私達の乗車を阻止しようとしました。
さらに「任意協力」である女性専用車には協力しない旨を伝えても承知せず、私達の肩などに手をかけて、身体に接触する形で(有形力を行使して)私達の乗車を阻止したので、厳重に抗議しました。
また今回、女性専用車の商業利用である、「女性専用車限定広告」が車内に掲出されているのを確認いたしました。
以下、当日参加したメンバーからの報告です。
駅員がメンバーの肩に手をかけ、乗車阻止
車内には女性専用車限定広告
大阪駅で駅員が私達の乗車を阻止
今回は、夜のJR京都線で乗車活動を行おうということで、大阪駅ホームに20時に集合。
集合時刻の15分ほど前に行くとすでに一人、会員が待っていた。
20時まで少し間があるので、その会員と立ち話をしていたのだが、その中で、JR西日本のポスターやモニター等での、女性専用車を売り込むかのような宣伝文句の話になった。
「私は乗る、女性専用車」「行きも帰りも女性専用車、もう私の習慣です」など、どう考えても女性専用車をセールスポイント・女性客獲得の手段として宣伝しているとしか思えない宣伝文句だが、その会員とは、「もし、女性専用車に乗車している時に、JRの駅員や乗務員が何か言ってきたら、『私は乗る、女性専用車!』・『もう私の習慣です!』と返してやろうか」などと、冗談半分で話していた。
しかし今回、開始早々にとんでもない事が起ころうとは、その時には思いもしなかった。
その後も続々と会員がやってきて、20時までに参加予定のメンバーが揃ったので、その場に停車していた20:02発、高槻行き普通列車の女性専用車に乗り込もうとしたその時だった。
ホームにいたJRの駅員が女性専用車のドアの前で両手を広げて立ちふさがり、さらにその上、乗車しようとしたメンバーの肩に手を回し、有形力を行使して(=私達の身体に触れて)乗車を阻止しようとしたのだ。
これは、大変なことである。
もし私達が法律や約款に触れるようなこと(例えば、無賃乗車で改札口を突破しようとする行為など)をしたのなら、有形力を行使されても仕方がないが、すでに広く知られているように、女性専用車に男性が乗ることを禁止する法律はない(鉄道営業法34条2項は適用されない)。
もっと言えば、法律だけではなく約款にすら女性専用車のことは載っていない。
約款にも載っていないということは、「JRの定めた規則やルールですらない」ということである。
つまり、その駅員は、法的にはもちろん、JR内部の規則・ルールにも反していない私達に対して手を出したことになる。
これは、ひとつ間違えれば暴行罪に問われてもおかしくない行為なのだ。
当然、私達はホーム上でその駅員に厳重に抗議した。
会員:乗客にさわるんですか?ドアの前に立っていたら乗れないでしょう。何するんですか?
駅員:ご協力をお願いします。
会員:私は協力しませんので乗ります。それでいいですか。
駅員:他の方(乗客)が納得されていないかもしれませんので・・・
会員:何で他の方に許可がいるんですか
駅員:ご協力お願いしますと言うことで・・・
会員:協力しないと言っているでしょう。
駅員:分かりました(と言って立ち去ろうとする)
会員:待ちなさい。待たんかい!
通常ならここで乗車するところだが、今回は駅員の行為が行為なだけに、私達は電車を見送り、さらに抗議を続けた。
会員:あなたドアの前でこうやった(両手を広げて立ちふさがった)でしょう。これって「乗れない」という意味ではないですか?それに今、私の身体に触れましたよね?これ(女性専用車)はだれでも乗れる車両でしょう(※下記)。これは問題ですよ。
会員:声かけだけだったらまだ分かりますよ。ドアの前に立って乗れないようにするって、これは「お願い」じゃないでしょう。
会員:有形力を行使して乗せないようにしましたね。あなた。他の鉄道会社さんでも、こうやってドアの前に立って乗せないというようなことされたことあるんですよ。私、東京に住んでいたことありまして、京王電鉄でこれ、されたことあります。警察行きました。それくらい重大なことだと認識してこういうことされたんですか。
※女性専用車は誰でも乗れる。
…これは当会サイトでも過去、何度も述べているように「女性専用車」と名前がついていても、実際は名前だけで、実はただの一般車両なのである。
逆に、鉄道事業者やその関係者などが、男性だからというだけで、乗客をその車両に乗せないよう「強制」すれば、そちらのほうが法的に問題になりかねない。
これは私達が勝手に言っているのではなく、国交省からも直接、「女性専用車両は任意協力である」、つまり乗る・乗らないは乗客の意思に委ねられているという回答を得ている。またJR西日本のお客様センターに問い合わせてもやはり、「任意協力」であることを認める。つまり、鉄道事業者は「女性専用車に男性は乗るな」と強制することは出来ず、あくまで「お願い」しか出来ないのだ。
なおJRも含め、「小学生以下の男性のお子様や、障害を持つ男性の方及び、その介護者も乗れます」という主旨の案内をしている鉄道事業者が多いが、これとて、実は「小学生以下の子供や障がい者・介護者以外の男性は乗れない」という案内ではない。
よく見れば分かるが、「小学生以下の子供や障がい者・介護者の男性も乗れる」と言っているだけで、「それ以外の男性は乗れない」とは言っていない。
非常に誤解を招きやすい案内である。
駅員:えー、間違って乗られる方もいらっしゃいますし、女性専用車に乗るつもりがなくて、乗られる方も・・・
会員:音声でいいじゃない?
駅員:放送はさせていただくんですけども、急いでいたり、いろんな理由で駆け込んだり、いろんな状況で乗ってしまう方もいらっしゃるので・・・
会員:それは一人でも乗せるまいと・・・
駅員:えーと、ご本人さんにもし、乗る意思がなければ・・・
会員:乗る意思があるから乗ろうとしたんでしょう、今。
こんな感じでしばらく抗議していると、もう一人駅員がやってきた。
そしておもむろに携帯を操作しはじめた。どこかに連絡しているようだ。
やがて、その「後から来たもう一人の駅員」が、「ここでは何なので、下で事情を聞かせていただきたいのですが・・・」ということで、その駅員の案内で、ホームから下のコンコースに降り、そこで引き続き、手を出した駅員に抗議することになった。
下のコンコースに降りると、その駅員の上司の当直駅長もやって来て、まずは私達にお詫びの言葉を述べた。
私達はまず、ここまでの状況を説明し、さらに抗議を続けた。
会員:この人(駅員)が車両の前に立って、このようにされた(両手を広げた)んですよ。声かけだけだったらまだ分かりますよ。ご案内の一環ですから。でも、ドアの前でこんなことされたら乗れないじゃないですか。これではどう見ても乗車を拒否したと捉えられても仕方ないんじゃないですかね?
駅員の上司:申し訳ございませんでした。(普段は)そういう風に手を出して、乗車をとめるというような、まあ、こちらの方としても、そういう風にはしていませんので・・・
会員:普段はされないんですか。
駅員の上司:そうですね。そういう風にはしませんので・・・
会員:では何でこんなことが起こったんですか。
駅員の上司:まあ、あの本人、とっさにということで・・・
駅員:このように団体で乗られるというのが、ちょっと・・・状況としてあまり良くないかと判断してしまいまして、「女性専用車」という案内をしている上で男性の方を目の前で乗せるというのは、周りの方からしても声をかけないのかという・・・
会員:単なる声かけじゃなかったですよね。
・・・この他、つい先日(昨年12月)にも、すぐ隣の新大阪駅で、非協力乗車していた当会会員に対する不適切行為があったばかりであることなどについても、JR側に厳重に抗議した。
そして、「今後は二度とこのようなことのないように」と念を押し、その場は納めることにした。
大阪~高槻(往路)
私達がホームに戻ると、20:32発高槻行き普通列車がホームに入線していたので、私達はそれに乗ることにした。
大阪駅発車時点で、結構な数の乗客が乗車していた。しかし押し合いへし合いするほどではない。
普通に立っていれば周囲の乗客と身体が触れることはないと思われるが、念のためつり革を持って乗車。
乗客が多いため、車内全体を見渡すことは出来なかったが、恐らく両隣の車両はもっと混雑しているのだろう。
東淀川・吹田と過ぎ、吹田駅で車内が少し空いてきた。
岸辺・千里丘でも乗客が降りて行き、茨木駅を出る頃には私達も着席できるようになった。
車内が空いて、車内全体を見渡せるようになったが、そのとき参加メンバーの一人が「あれ、専用車限定広告と違いますか?」と、ドア窓に出ていた公告を指した。
JR西日本では女性専用車のドア窓のみに鏡が取り付けられており(下の写真)、これまで当会が「女性専用車が痴漢対策というなら、なぜ鏡が必要なのか?」と言い続けてきたものだが、その鏡のすぐ下のスペースに、(鏡のサイズに合わせるように)小さいながら専用車限定広告と思われる広告が出ていた。
「生理痛で病院に行くのは大げさだと思っていました・・・」等と書かれており、内容からしても、いかにも女性専用車限定という感じである。
すっかりガラガラになった車内で、周りを見回すと、どうやら全てのドア窓にこの広告が出ているようだ。
先ほど、広告に気付いた会員が、両隣の車両にも同じ広告が出ているかどうか、確認しに行った。
その結果、専用車両以外の車両には鏡がついていないため、鏡のすぐ下の広告スペース自体がない。
また、他の広告スペースを見ても同じ内容の広告は見つからなかったとの事。
やはり女性専用車限定広告だったのだ。
当会サイトを以前からご覧くださっている方ならすでにご存知かとは思うが、「女性ばかりの場所に、女性向けの広告を出すと効果が高い」ということで、広告主を募集し、女性専用車を広告料収入源として利用しているのがこの女性専用車限定広告である。
鉄道事業者によっては、他の車両よりもかなり高い広告料を取っており、鉄道事業者の美味しい収入源になっているのだ。
女性と同じ運賃を支払っている男性客を、男性であるというだけで特定の車両に乗せないようにした上、「痴漢対策」と称して、男性全てが痴漢予備軍であるかのように扱っておきながら、その実態は「金儲け」なのである。
それも公共性の高い「鉄道」がこのようなことを当たり前のように行っているのだ。
まさに言語道断と言えよう。
「女性専用車両をなくしたいんだったら、差別だの何だのと文句を言う前に痴漢をなくしてください」などという賛成派がいるが、これは「全く現実を知らない・見ていないが故の発言である」と言わざるを得ない。
痴漢がなくなったからと言って、鉄道会社が「美味しい広告料収入源」を手放すのかどうか、よく考えてみれば良いのである。
高槻~大阪(復路)
列車は高槻駅に到着。私達は一旦、改札を出た。
しばらくしてから、再び改札内にもどり、高槻21:09発西明石行き普通列車で大阪駅に戻ることにした。
こちらは大阪市内まではラッシュと逆方向になるためか、比較的空いていて空席も多かった。
もちろん私達も着席して乗車。
車内を見回すと、先ほどの高槻行き列車でも見た、「生理痛で病院に行くのは大げさだと思っていました・・・」の女性専用車限定広告が、こちらでも全てのドア窓に掲出されていた。
女性専用車を「痴漢対策・弱者保護・思いやり」などと信じている人は、今すぐ認識を改めていただきたいものだ。
私達の乗った列車は、新大阪駅の1つ手前の東淀川駅まで、比較的空いた状態のままだったが、新大阪駅からは多数の乗客が乗ってきて、車内の乗車率が一気に上がった。
と言っても、私達の乗った女性専用車は座席がほぼ埋まった程度で、立ち客はほとんどいない。
一方、両隣の車両を見ると、かなりの混雑になっている。
女性専用車のある路線でのラッシュ時の混雑格差に対する不満の声は、ネット上などでも良く見られる。
当会としても、その点を問題にすることがあるが、単にそれだけで反対しているのではない。
当会がこれまで、過去の「活動報告」などでも述べてきたように、女性専用車は推進した者(政党など)の思惑が絡んだものであり、分かりやすく言えば、「推進した者が何らかの形で得をする」、あるいは「得をすると思っている」から推進されているのであって、「痴漢対策」などは、世間に女性専用車をもっともらしく思わせるための、「うわべの理由」である。
もっと言えば、「痴漢対策」はウソなのだ。
もっとも、JR西日本の場合は政治的圧力ではなく、自ら女性専用車を推進してきたようなところがあり、他の多くの鉄道事業者が政治的圧力で導入を決めたのとは事情が異なる。
しかし、これまで述べてきたとおり、「痴漢対策は建前である」ことに変わりはない。
痴漢対策でやむなく設けられたものならまだしも、そんな推進者の思惑で設置されたもののために、男性であると言うだけで、公共の場において不利益を被らなければならない理由はどこにもない。
しかし実際には、それが体よく「痴漢対策」で済まされているのだ。
さらに表向き痴漢対策で通っているから、「女性専用車が出来たのは男が痴漢するから悪い」などと、その「責任」まで押し付けられてしまう。
この問題に関心を持っている人の間には、「痴漢対策」という導入理由がウソであることも、この車両が「女性専用」と名乗りながら、実はそれもウソ(任意協力の一般車両)であることも徐々に広まってきているが、やはり非女性専用車の利用客の中には未だに男性乗車禁止と思っている人がまだまだいると思われるし、痴漢対策という理由そのものを疑う人は、まだまだ少数派なのではないだろうか?
やがて列車は次の大阪駅に到着。
私達はここで降りたが、大阪駅ホームは多くの人でごった返していた。
私達は最後に軽く、今回の乗車会の評価・反省を行ない、ここで解散した。