2016年7月 名古屋市営地下鉄名城線&東山線 任意確認乗車会

名古屋市営地下鉄名城線・名港線に女性専用車両が導入されましたが、その導入初日となる7月4日の朝、「反対する会」名古屋地区主催で、名城線での非協力(任意確認)乗車会を実施いたしました。

今回は、当会関東本部:関西本部からもメンバーが応援に駆けつけ、関東の市民団体「差別ネットワーク」の代表、ドクター差別氏にもお越しいただきました。

導入初日とあって、主要な駅には駅員が出て、女性専用車両の前で「女性専用車両にご協力をお願いします!」と連呼しており、また途中、マスコミの取材にも遭遇しました。

名城線を一周した後は、東山線でも全線で乗車を行いました。

以下、当日の報告です。


地下鉄名城線・女性専用車両導入初日に乗車

主要駅で駅員が協力呼びかけ、マスコミ取材にも遭遇。東山線にも乗車

名古屋の女性専用車事情(前置き)

これまでから当会サイトでもお伝えしている通り、現在、名古屋では、ある政党が交通局に対し、女性専用車両の導入拡大を行うよう、強く働きかけ続けている。

先日(2016年7月10日)の参院選でも、選挙期間中にツイッターで「公明党の実績・女性専用車両」という内容のツイートが流れてきていた。

つまり、女性専用車両は世間では痴漢対策と言われているが、実際には実績作り・選挙対策などの目的で推進されていると考えられる。

もし時間があるならば、今回の乗車会報告とあわせて2015年1月 名古屋市交通局への意見書提出の報告のページにも目を通していただきたい。

ページ内で、名古屋市議会での議事録からの引用なども交え、2002年の東山線への導入から、2015年春の東山線終日化まで、女性専用車両が推進されて来た経緯などについて、詳しく解説している。

上記リンクのページ(2015年1月の活動報告)で取り上げたもの以外にも、市議会での女性専用車両要求の発言が多数あるので、関心のある方は、【名古屋市議会の議事録サイト】(アーカイブ)(現在はリンク切れ)で「女性専用車両」のワードで検索をかけていただきたい。

それらの働きかけもあってか、名古屋市営地下鉄では昨年4月の東山線の終日化に続いて、今度は名城線・名港線で朝(始発~午前9時)の女性専用車両の運行が始まった。

それも、昨年(2015年)秋に名古屋市交通局が市民からのパブリックコメントを募集し、その結果、反対意見(女性専用車両は廃止してほしい)のほうが圧倒的に多かったにもかかわらず、それを無視する格好で、「拡大導入する路線の時間帯・時期を検討していきます」として、今回、平日朝の名城線・名港線への導入となった。

※パブリックコメント関連については、交通局のページ(http://www.city.nagoya.jp/kotsu/page/0000075741.html)に記載があったが、現在リンク切れになっているようなので、その内容はこちら(当会サイト「反対する会ニュース」の記事からの引用)でご覧いただきたい)

これだけでも十分おかしいが、今年に入ってからのマスコミ報道(2016年1月29日付の中日新聞)によれば、まだ導入もされていない段階ですでに交通局の担当者が、「時間帯の拡大を検討する」と述べていたとのこと。

昨年4月の東山線終日化、そして今回の名城線・名港線への追加導入と来て、さらにこの先、名城線・名港線の拡大も検討されているというわけである。

先に導入された東山線の女性専用車両も、「東山線は痴漢被害が名古屋の地下鉄の中で一番多い」という理由で2002年、平日朝に女性専用車両が導入されたが、導入当初から痴漢件数が減らず、逆に増加した(こちらを参照・・・2003年5月22日付、共同通信)。

普通ならそこで廃止にしても良いようなものだが、逆に朝ラッシュ時だけだったのが夕方にも拡大され、ついには2015年春に完全終日実施になってしまった。

女性専用車両は、同じ運賃を支払っている「痴漢でも何でもない男性」に、「男性である」というだけで不利益を与えるものであり、仮に女性専用車両で痴漢件数が大幅に減ったとしても、公共の交通機関でやるべきことではない。

ましてや、痴漢が減らないことが分かっているにも関わらず、さらに拡大するなど、言語道断である。

こんな車両のために、移動の困難な男性の障がい者や、足腰の弱った高齢の男性などが事実上排除され、健常者の女性の方が優先されているのである。

それも、本来同じ運賃を支払えばだれでも公平に利用できなければならないはずの【公営の公共交通機関】において、このようなことが当たり前のようにまかり通っているのだ。

また、女性専用車両を利用する女性客の多くが、実は痴漢対策以外(臭いオヤジがいなくてよい・空いていて快適など)の理由で利用しているという調査結果もある。

しかし、通常マスコミはどこもそのような事実には一切触れない。

だから今でも多くの市民が、「女性専用車両は、痴漢から女性を守るためのもの。必要があって導入されているのだから、差別だ何だと反対するほうがおかしい などと思っているのが実情であろうと思われる。

そういう意味でも、私達としては、少しでも真実を世に伝えていかなければならないと考えている。

名城線右回り、金山~栄

さて、前置きが長くなってしまったが、そろそろ本題に入ろう。

今回は、午前7:45に金山駅に集合。

導入初日ということで地元名古屋のメンバーだけでなく、関東や関西のメンバーも応援に駆け付けた。

さらには専用車両反対派の間では有名な、「差別ネットワーク」代表のドクター差別氏にもお越しいただき、平日の朝にも関わらす、10名の参加者が集まった。

全員そろって乗車を行うのはこれからだが、実は金山駅に集合する前からすでに、地元名古屋のメンバー及び、前日から名古屋に宿泊していた関東・関西のメンバーの一部は、それぞれ個別に早朝の名城線で乗車活動を行っていたらしい。

集合場所に集まったメンバーたちが、各自で先に個別で乗車した際のことを話していた。

それによると、「初日だから交通局側も徹底して男性排除に来るかと思ったが、実は男性の乗車も結構あった とのこと。

また早朝のためか、乗車率自体もそれほど高くなかったらしい。

ただ、私達がこれから乗る時間帯は、恐らく最も乗客が集中する朝の最ラッシュ時に当たると思われるため、区間によってはかなり混雑するであろうと思われる。

その時に交通局がどう出てくるか、それは実際にやってみなければわからない。

やがて集合時刻の7:45になり、私達は集合場所から地下鉄の金山駅に移動。

地下鉄の金山駅改札付近は、やはり朝ラッシュ時のためか、多くの人が行き交っていた。

当日の地下鉄金山駅の改札口付近。
朝ラッシュ時なので多数の人々が行き交う。

改札を抜け、ホームに降りるとやはり、ホームにも人が多数並んでいた。

東京のラッシュほど人は多くないだろうが、10両編成以上が当たり前の首都圏と違い、名城線は小型車両の6両編成なので、もしかしたら相当混雑するかもしれない。

金山駅駅標
名城線の車両

私達は列車を一本見送り、女性専用車両乗車位置に一斉に並んだ。

駅員が2人ホームにいて、「女性専用車両にご協力ください!」と連呼していたが、私達に対して、個別に声をかけては来なかった。

周囲の女性客からの声掛けもなく、次にやってきた7:56発、名城線右回り大曽根行に乗車した。

予想した通り、車内はかなり混雑していた。

とは言え首都圏のように押し合いへし合いというところまでは行かない。

立ち客が一杯で車内の移動が出来ない状態ではあるが、普通に立っていれば他の乗客と体が触れ合うことはない。

ただ、他の車両はもっと混雑しているかもしれない。

東別院・上前津・矢場町と過ぎ、やがて列車は名古屋の中心部に位置する、栄に着いた。

ここで多数の乗客が下車。車内は一気に空いた。私達もここで一旦下車。

いわゆる「自由が丘作戦」(=少しでも多く任意周知するため、途中で下車し、後続列車に乗り換えする作戦。東急東横線・自由が丘駅でよく行われていたことが名前の由来)である。

電車が過ぎ去ると、また少しずつホームに乗客が集まってくる。

その乗客に対し、ここ栄駅でもホームに立った駅員が、大きな声で「女性専用車両へのご協力お願いしまーす!」と、連呼していた(ただし、個別声掛けはせず)。

そこで、その様子を見ていたドクター差別こと兼松氏がその駅員に、「女性専用車両に男性は乗れるのか、乗れないのか」を尋ねた。

それに対しその駅員からは、「乗れないことはない」という返答。

なるべく、「男性が乗れる」と取れる表現は出来る限り使わないようにしているのが分かるが、多分上から、「女性専用車両が強制できないもの」であることは知らされているのだろう。

先の金山でも、ここ栄でも、駅員はホームでの呼びかけは行うものの、個別の声掛けは避けているような感じだった。

交通局が現場の職員に対して事前に教育を行っていたのだろうか。

ちなみに、女性専用車両に貼られているステッカーには、女性の同伴があった場合「のみ」、男性の障がい者や小学生以下の男児も乗れると取れるような表現がなされているが、これは改めていただきたいところである。

車内の扉の窓に貼られている専用車ステッカー。
写真では分かりにくいが、女性の同伴無しでは障がい者や小学生以下であっても男性は乗車してはいけないかのような記載がある。

すでにご存の方も多いと思うが、女性専用車両という名前がついていても、「それは名前だけ」で、障がい者や小学生以下の男児だけでなく、実は年齢や性別に関わらず、誰でも(女性の同伴無しでも)乗れる。

そういう意味では、女性専用車両という名前自体、改めるべきだろう。

久屋大通駅でマスコミ取材に遭遇

しばらくして、後続の列車が到着したので、私達はそれに乗車。

私達以外にも、男性客が一人・・・

次の久屋大通駅では、ちょうど私達が乗車している位置にTVカメラマンが大きなカメラをもって立っており、ドアが開くと、車内を撮影してきた。

そして、乗車していた私達に「女性専用車ですけど?」と言ってきた。

ドクター差別氏が「栄駅で駅員が(男性も)乗れると言っていた」と返すと、近くにいたレポーターと思しき若い女性が横から、「違法にはならない」と一言。

しかし、単に「違法ではない」というだけではない、ということでドクター差別氏が「(男性を)降ろそうとしたら違法になる」と返した。ここでドアが閉まり、列車は先に向けて走り出した。

この一連の模様は、以下の動画をご覧いただきたい。

名城線女性専用車両の初日 テレビ局による声かけ

名城線女性専用車両の初日 テレビ局による声かけ
駅員からは何回も声かけされましたが、テレビ関係者に声かけされたのは初めてです。こちらがドクター差別さんのカメラから撮影した動画です。

これまでからも、多くのマスコミが、女性専用車両に対しては好意的な報道の仕方しかしてこなかったことから考えて、このやり取りが放送されることは多分ないだろうと思っていたが、後日、そのテレビ局の番組を録画で確認してもやはり、私達とのやり取りは完全にカットされていた。

別に賛成・反対どちらの側につくでもなく、「このような事もあった」と報じることは出来たはずである。

今回の名城線・名港線への女性専用車両の導入は、他のテレビ局の番組や新聞などでも報道されていたが、どれを見ても女性専用車両に好意的な報道のされ方で、男性側の意見としても、「女性が快適に乗車できるのならいいと思う」とか、「痴漢もあるのだし仕方がないか・・・」とか、反対意見でもせいぜい「次からは乗る車両を変えないと・・・」ぐらいで、これでは、反対意見といっても、「女性専用車両があるせいで一両分余計に歩かないといけないから面倒くさい」という程度のものという印象しか伝わってこない。

さらに、このところでは鉄道事業者だけでなく、マスコミの論調も、痴漢対策と言うよりは、女性が「安心して乗れる」・「楽に乗れる」などといった方向に傾きつつあるようで、いつの間にか痴漢対策よりも「女性の快適」のほうがメインになっている感じである。

一例を出すと、2016年7月4日付の中日新聞では、「(女性専用車両を設置して)女性に快適に利用してもらう」などと記事にあり、さらに乗車した女性のコメントとして、「男性には悪いが今朝はとても快適」というコメントを出すなどしている。

痴漢対策と言って導入したものの痴漢が減らなかった(年度によって増減を繰り返している)上、東山線などではすでに終日実施しており、混雑のないガラガラの状態でも女性専用車両があるなど、ますます「痴漢対策」で説明がつかなくなってきているので、痴漢対策という建前は残しつつも、少しずつ「痴漢対策」から「女性の快適」へと主旨がすり替わってきているのではないだろうか?

さらに下記の、交通局が出した表によると、東山線では、(平成14年の導入時よりも女性専用車両の実施時間帯が拡大されているにもかかわらず)、平成25年度においても、(最初に導入した平成14年頃とほとんど変わらない)痴漢件数22件という結果がすでに出ているが、それらの点についてはマスコミ各社とも完全にスルー。

また、今回の(一部マスコミの)報道では、名城線・名港線の痴漢件数が導入前の1年分の件数ではなく、なぜか3年分の合計(22件)で報道されている。

平成25年度の名城・名港線での痴漢件数が、「年間で5件」しかなかったからだろうか?

世間には、「女性専用車両は痴漢対策なのだから差別ではない」という意見もあるが、これまで述べてきたように、ちょっと調べれば、現状の女性専用車両が痴漢対策とはおよそ別物であることはすぐに分かる。

私達としても、政治家や政党が「差別にならない方法」で痴漢対策を推進してくださるのなら、何も言うつもりはない。

「女性専用車両は非常に問題の多いものだ」ということを認識していただき、女性専用車両の推進をやめていただきたいだけであって、決して政治的に対立したいわけではない。

私達は、女性専用車両の「置き換え」としての監視カメラの設置とともに、公共の場における差別にも当たる女性専用車両は廃止していただきたいと考えている。

久屋大通~(大曽根・金山)~栄

久屋大通を出た列車は、市役所・名城公園と過ぎ、黒川あたりから少しずつ空いて来はじめた。

一部空席も出始めたが、両隣の車両は専用車よりもやや乗車率が高いようだ。

沿線の主要駅の一つ、大曽根に到着。ここでも「自由が丘作戦」(途中下車)をした。

全員降りたつもりだったが、1人そのまま乗車して先へ行ってしまったようだ。

さすがに参加者数が2ケタとなると、少人数の場合と異なり、こうしたこともよく発生する。

その参加者にはすぐ携帯で連絡をとり、2つ先の砂田橋駅で待ってもらうことにした。

私達は大曽根駅の女性専用車位置で並び後続の列車を待った。

やがて後続の列車が到着、私達は乗車した。

その際、隣の車両の位置にいた駅員が、乗車しようとしたメンバーの一人に駆け寄って声をかけ、さらに腰に触ってくるなどした。

声掛けだけならまだしも、乗客の体に直接触ったのなら、これは非常に問題である。

その場で駅員にも注意したが、女性専用車両の設定時間(午前9時まで)等のこともあるのでとりあえず乗車し、この件については後で(栄で)抗議することにした。

先ほどの金山や栄では、駅員は声を出して女性専用車両の案内はするものの、乗客への個別の声掛けや、まして体に触れるというようなことはして来なかった。

交通局も事前にきっちりと社員(職員?)教育をしていたのだろうと思っていたのだが、そうではなかったのだろうか?

大曽根を出て、しばらくすると専用車両と両隣の車両の混雑差が目立つようになってきた。

先ほどの栄駅手前ほどではないが、再び車内は混雑してきた。

砂田橋で先ほどの参加者と再度合流。茶屋ヶ坂を過ぎ、東横線と同じ駅名の自由が丘へ。

「次は自由が丘・・・」という車内アナウンスが流れると、メンバーの一人が「どこかで聞いたような駅名だなあ・・・」と一言。参加メンバーの間で少し笑いが起きた。

ちなみに「名古屋の」自由が丘駅では、「自由が丘作戦」は行わず、そのままスルー。

本山でも駅員がいたが、任意であることを知っているのか、私達を見ても声を掛けて来なかった。

本山は東山線との乗換駅でもあるが、恐らくは東山線からの乗り換え客であろう、多数の乗客が乗りこみ、車内は先ほどの栄駅手前の時のように結構な混雑になった。

しかし、次の名古屋大学駅に着くと、ここでほとんどの乗客が降り、車内は一気に空いた。

名古屋大学駅では、改札へと上がるためのエスカレーターがまともに女性専用車両の前に来る。降りた乗客の多くは恐らく名古屋大学の学生や職員など、大学の関係者なのだろう。

つまり、一番利便性の高い車両だったから女性専用車両が利用され、混雑していたわけである。

名古屋大学駅を出発。すっかり空いた車内で、メンバーは各自、座席に座った。

そして、メンバーの一人がツイッターを検索したところ、早速、私達の乗車会に対する反応と思われるツイートがいくつか見つかった。

ドクター差別氏はこの時、背中に「女性専用車両 法律上も契約上も 誰でも乗れます」と書かれたシャツ(下写真)を着ていたが、これを見た女性客がつぶやいたものと思われる、「名城線に、女性専用車両は男性も乗れますみたいなこと書いた服着たおじさんがいて、このまま会社行くのかな」というツイートもあった。

八事駅に到着。ここも女性専用車のど真ん前に改札が来る。

ここでも駅員が専用車前にいたのだが、ここでは私達に「女性専用車両にご協力お願いします」と声掛けしてきた。

私達はとりあえず無視したが、もう一度言ってきたため、「しつこいぞ」と言ったら引き下がった。

八事を出発。

妙音通辺りでは、私達以外にも男性客の姿がちらほら見られるようになってきた。

伝馬町で8:50を過ぎ、そして8:57に名城線を一周して再び金山に到着。

私達は栄まで行くことにしていたので、そのまま続けて乗車。ほどなくして名城線の女性専用車両解除時刻の午前9時になった。

9時を過ぎると男性客が次々乗車してきて、車内は名実ともに一般車両となった。

その後すぐ栄に到着。栄からは終日設定の東山線で引き続き乗車会を行うことにしているが、とりあえず先ほどの、会員の体に触った大曽根駅の駅員の行為について、駅で抗議することにした。

栄駅で抗議

栄で名城線から降りた私達は、改札口付近にいた駅員に、先の大曽根駅での出来事を話した。

すると、「担当の者を呼んできますので・・・」ということで、しばらく待っていると、今度は助役と思われる職員がやってきたので、その職員に再度事情を話し、抗議を行った。

その助役と思われる職員から謝罪の言葉があり、その後私達から、「女性専用車両の隣で高齢の男性客が立っている」など、女性専用車両の問題点についていろいろと話をすると、その助役と思われる職員は、「名古屋の女性専用車両が上(市議会)での決定によるものである」こと、そして、「他のお客様からも同じような意見(女性専用車両に対する抗議)をいただくので、そうした意見を上にあげてはいるんですが・・・」というようなことを言っていた。

実は昨年4月、東山線終日化の際、当会が交通局の本局に抗議に行った際も、対応した担当者が、女性専用車両の導入・拡大は市議会の議員からの圧力であることを認めていた(2015年4月・名古屋市交通局訪問の報告)し、またその他、これまでに個人的に名古屋市交通局に抗議を行った会員の話なども総合すると、どうやら名古屋市交通局では、現場においても女性専用車両に対する反対意見が少なくないようである。

「痴漢対策」を名目に、こんなおかしなことがいつまで続けられるのだろうか・・・。

引き続き、東山線で非協力乗車

抗議を終えた私達は、続いて東山線で乗車活動を行うことにした。

東山線栄駅ホーム

栄から9:23発、高畑行に乗車。

ラッシュ時間帯を過ぎたせいか、若干立ち客はいるものの、混雑しておらず余裕がある。

次の伏見を発車直後、自動音声で、東山線では女性専用車両を始発から終発まで実施していることを知らせるアナウンスが流れた。

先ほどの名城線ではすでに述べた通り、現時点で午前9時までだが、このままでは名城線も東山線と同じようなことになりかねない。

名古屋駅に到着。乗客の多くが下車し、車内はガラガラに。

女性専用車両には私達のほかには、女性客が数名いるだけの状態になった。

東山線・高畑行の車内。
私達以外ほとんど乗客がおらずガラガラだが、終日女性専用車両がある。

両隣の車両もガラガラ。岩塚駅で反対方向(藤が丘行)の列車とすれ違ったが、そちらもガラガラ。

こんな状態で、痴漢対策と言いながら女性専用車両をやっていること自体異常だが、もはや女性専用車両の導入拡大に、痴漢件数や車両の混雑率は(少なくとも推進派にとっては)もう関係ないのかもしれない。

事実、東山線の終日化が決まった時の、名古屋市議会の議事録(平成27年 土木交通委員会03月03日-01号(現在はリンク切れ))を見ても、

東山線に関しては、男女という、男女平等、男女差別という、そういった観点があるにせよ、そういったお声もあるけれども、件数が多いから、ここはやっていくし拡大もしたと。だけど、そういった声が多いので、これは男女不平等だとか、そういったお声がある中で、件数の少ないところはやはりそちらの声を重視していった結果が今回の結果という、そんな印象を受けます。

というような発言、つまり、「東山線以外では痴漢被害が少ないからといって、やらないのか?」と、他路線への拡大を遠まわしに要求する発言や、

拡大という言葉の中には、そこのところだけを拡大するんではなくて、時間とかね、ほかの路線のところでも声も出ているとおっしゃっていますし、そして今本当に私も一番感じたのは、男女の差別とかいろんなこともおっしゃいますけれども、一人一人が受けた思いは本当につらくて、ずっと一生ついていくものです。

と、「痴漢件数は少なくても、被害を受けた人の傷は一緒なんだから、痴漢件数が少なかろうと、男女差別という意見があろうと、そんなものには構わず、痴漢被害の少ない東山線以外の路線にも女性専用車両をどんどん拡大するべき」という意味合いの発言が見られる。

「件数が少なくとも、被害を受けた人がどんなつらい思いをしているか・・・」というのなら、東山線で女性専用車両を導入しても痴漢被害が減っていない現実をどう受け止めるのだろうか?

女性専用車両があれば、他の車両で痴漢が多発していても、それは構わないというのだろうか?

そういうと今度は、「被害を受けた人が女性専用車に逃げ込めば被害は100%完全に防げる」という反論があるかもしれないが、先に述べた通り、女性専用車両を利用している乗客のほとんどが実は、「空いてて楽」・「臭いオヤジがいなくていい」など、痴漢対策以外の理由で利用しているという調査結果がすでにある。

そんなもののために、男性の交通弱者を事実上ほぼ排除してまで、女性専用車両の設置・拡大を何が何でも推進する必要があるのだろうか。

また、現状の女性専用車両に痴漢が入ってこないのは、東山線の痴漢件数が減っていないことからも分かるように、わざわざ女性専用車両に乗らなくても非女性専用車両でいくらでも痴漢が出来るからである。

本当に、「つらい思いしている人がいる」というのなら、このように痴漢対策からはおよそ外れてしまっている女性専用車両を、「痴漢件数が少なかろうが、そんなことには関係なく」、どんどん拡大しようというのではなく、JR埼京線で痴漢件数6割減の結果を残した監視カメラを推進して、女性専用車両は廃止するのが筋であろう。

過去の市議会議事録を見る限り、監視カメラの設置も要求はされているようだが、これとて、女性専用車両の代替ではなく、女性専用車両はそのままで、監視カメラの追加が要求されているようなふしがある。

私達は痴漢対策自体には決して反対しないが、女性専用車両と監視カメラの「併設」など望んではいない。

先にも述べたが、女性専用車両は公共の場での「属性」による差別であり、痴漢対策からも外れているので廃止するべきである。

列車はガラガラのまま、やがて終点、高畑に到着。

以前の活動報告でも触れたが、ここでも女性専用車両のど真ん前にエレベーターが来る。

「弱者=女性」ではない。

男性の障がい者や高齢者を無視してまで健常者の女性を優先する異常さがここにもある。

私達はそのまま折り返し、高畑から9:45発、藤が丘行きの電車に乗った。

名古屋まではやはりガラガラ。

名古屋からは多くの乗客が乗車し、結構な乗車率となった。私達に声をかけてくる女性客はおらず、係員などからも今のところ声掛けはない。

栄を過ぎると、また少しずつ乗客が降りていって、一社あたりからは少し空いてきた。

その先で地下から地上に上がり、電車は本郷を過ぎて終点藤が丘へ。今日も良い天気である。

藤が丘駅で

結局、東山線では、女性客からも係員からも全く声掛けはなかった。

「男性も乗車可能であり、拒否は出来ない」ということを分かった上で声掛けしてこなかったのならそれで良いのだが、名古屋では「女性専用車両は任意協力である」ということは、どのくらい知られているだろうか・・・?

今回のような、関東・関西・名古屋合同での乗車会はそう度々行えないにしても、今後も引き続き、更なる任意周知のため、名古屋での乗車活動を続けていく必要があるだろう。

名古屋及びその周辺の方で、女性専用車両に疑問を持っておられる方は、是非当会に入会してほしい。

最後は、リニモに乗車

私達は藤が丘駅の改札を抜け、外へ出た。

「この後、どうしようか・・・」という話になり、藤が丘駅から出ている「リニモ」に乗車して、少し早めだが、沿線で昼食を取れる場所を探すことにした。

藤が丘から八草までを結ぶ、リニモ

念のために言っておくと、リニモには女性専用車両はない。

ここから先は、関東からやってきたドクター差別氏や関西のメンバー、そして地元名古屋のメンバーとが交流を深めあうための時間としたのである。

リニモに乗車して、一旦終点の八草まで乗車した後、折り返し藤が丘行に乗車し、途中の駅で下車。

沿線のショッピングセンター内の飲食店で、少し早めの昼食となった。

ドクター差別氏を囲んで、食事をしながら皆で話をしていると、時間の経つのも忘れるくらい話は尽きない。

数時間ほどいろいろ話をした後、ここで解散し、各自それぞれの方向に帰っていった。

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