【熊本】2025年6月 熊本市電(A系統)で非協力乗車

活動履歴

2025年6月2日朝、熊本市電の女性優先車両に非協力乗車を行いました。

今回、乗務員からも女性客からも声掛けなどは全くありませんでしたが、途中で車内に貼り出されていた「女性優先車両」の案内掲示に変化があることに気づきました。


乗車会前日に一部区間が不通

昨年(2024年)から事故やインシデントが止まらない熊本市電。昨年も走行中にドアが開いたり、脱線したりするなど10件以上の事故・インシデントを起こしたが、今年(2025年)の3月25日にはついに10名以上の負傷者を出す衝突事故を起こしてしまった。

そのため当会内からも「熊本市電に乗るのはやめておいた方が…」という声まで出たくらいだが、こんな状態でもやはり熊本市交通局(市電)はまだ女性優先車両をやっているのかどうか、それを確かめる意味もあり今回、乗車会を行うことになった。

現在、熊本市交通局のウェブサイトには女性優先車両導入当初の過去記事が「お知らせ」のコーナーに残っているだけで、それ以外は全く触れられておらず、サイトを見るだけでは現在も女性優先車両をやっているのかどうか分からない状態である。

当会が昨年(2024年)の3月に乗車会を行った際、交通局サイトには(過去記事以外)全く女性優先車両の記載が無い一方で実際に市電の電停に行ってみると、電停の時刻表に「平日7時~9時前後を運行する低床車両には女性優先車両があります」と表示されている状態だった。

地元の利用客以外にはなるべく女性優先車両の存在を知らせないようにして、出来るだけ批判をかわそうとしているのだろう。

恐らく今回も昨年3月の時と同じ状態(=ウェブサイト時刻表に記載なし&現地でのみ「女性優先車両があります」と案内)だと思われるが、とりあえず実際にやっているかどうか確認するということで、乗車会前日(6月1日)の夜に熊本駅前電停の時刻表を見に行った。

熊本駅前電停の時刻表は印刷ではなく、モニター画面に時刻やその他いろいろ表示されるタイプのものである。

熊本駅前電停のモニター時刻表(写真は過去の乗車会の際のもの)

画面を見てみると小さい文字ではあるが『平日7時~9時前後を運行する低床車両には女性優先車両があります』の表示があった。やはり女性優先車両は今でも実施されているのだ。

なお画面上に『時刻表はホームページでもご覧になれます』とあるが、ホームページ(交通局サイト)の時刻表では、女性優先車両の案内がない。

熊本駅前電停の時刻表(画面)にあった女性優先車両の案内

ここで画面(電停に設置の時刻表)を見ていた会員の1人があることに気づいた。

画面に表示された「次の電車」の行き先が「臨:辛島町行」となっており、時刻表と違うと言うのだ。

熊本駅前電停から出る電車はA系統の健軍町方面行きと上熊本方面に向かうB系統の2種類があるが、時刻表上ではA系統の電車はその多くが終点の健軍町電停まで行く。つまり通常、辛島町止まりはほとんど運転されない。

乗客が多すぎて臨時便でも走らせているのかとも思ったが、今はGWやお盆などの多客期でもなく、また沿線で何か大きなイベントがあるという話も聞いていない。乗客が多すぎて臨時便を出しているというわけではなさそうだ。

周りで電車を待っている人々の会話から、どうやら辛島町電停から先の一部区間で運休になっているらしいことが分かってきた。

そこでスマホで検索をかけて調べると、辛島町電停から水道町電停までの間が現在も運休になっており、熊本市電A系統は中間が運休していて、その両側で折り返し運転をしている状態らしいことも分かった。

運休になった理由は今日の日中に走行中の列車で異音が発生したことから線路の点検・復旧のため一部区間運休にしているとのことである。

どうやらレールが破損していたために異音がしたということのようだが、ただでさえ、相次ぐ事故やインシデントで利用者の信用を失っているだろうに「またか」という感じだった。

明日は通常ダイヤで運行されるのかどうかも分からないが、とりあえず明日の朝に一応、集合場所に集まろうという話になった。

朝、集合場所の電停で

一夜明けて6月2日朝、集合場所は市立体育館前電停である。

先述の通り、朝から通常ダイヤで運行されるのかどうかも分からない状態だったが、目の前の電停にやって来る列車は「熊本駅前・田崎橋」「上熊本」などの表示を掲げて走っており、どうやら今日は運休区間はなく平常ダイヤで運行されているようだ。

今日はここから熊本駅前方向に向かって非協力乗車を行う。とはいえ、この状況で女性優先車両は実施しているのだろうか。

市立体育館前電停

電停の時刻表によれば、女性優先車両があるのは平日朝の2両編成の低床車で、7:39発の熊本駅前・田崎橋行きがそれに該当するようなので、とりあえずその電車を待つことにした。

市立体育館前→熊本駅前

電停でしばらく待っていると、その7:39発の列車がやってきた。

列車が電停に入ってくる際、後ろの車両に着脱式の女性優先車両表示が掲出されているのを確認した。

到着した列車

ドアが開いたので電停にいた他の乗客と共に私達も乗車。車内はすでに立ち客が結構いる状態だった。

今回は単純に熊本駅前方向に向けて一回乗るだけで、途中下車や折り返し乗車などはしないため一日乗車券は購入せず、各自ICカードで乗車。

私達が乗車した女性優先車両にはドアの所(つまり今、私達がいるすぐ近く)で扉の開け閉めなどの操作をしている乗務員がいたが、私達には全く声掛けはしてこなかった。

さらに車内にはすでに男性が1人乗車していて、座席に着席していた。

熊本市電は女性専用車両(現在は女性優先車両)を導入して以来、男性が乗車しても声をかけることはしていないようである。当会も過去何度か熊本市電で非協力乗車しているが、男性が乗車しているからということで乗務員に声をかけられたことはこれまで一度も無かった。

それ自体は良いのだが、熊本市電の女性優先車両がとんでもない理由・背景で導入されたことは当サイトでも過去に何度か触れているので、出来れば改めてよくご覧いただきたい。

表向きは「迷惑行為防止対策・いろいろな取り組みをしてきたが(痴漢などの)迷惑行為が減らないため導入に踏み切った」ということになっているが、決して痴漢被害が深刻なために取ったやむを得ない措置ではない。

熊本市議会の議事録にも「コロナウイルスで人(利用客)が減っているので、アイデアの一つとして」とあり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による減収対策として(つまりは客寄せと収益アップのために)女性専用(優先)車両を設置したことが分かる。

これは公営の公共交通機関がするべきことではない。

(参照)

2021年3月 当会からの質問状に対する熊本市交通局の回答および熊本市議会議事録について

2022年3月 熊本市電の女性優先車両の本格導入とその後の動向、当会とのやり取りについて

(熊本市議会の議事録より)

列車は市立体育館前電停を発車。乗務員だけでなく周りの女性客も私達には何も言ってこなかったが、次の電停に到着する直前になって会員の1人が市立体育館前電停で乗車した際にICカードをタッチし忘れたことに気づき、近くにいる乗務員に「前の電停から乗ったが、そのときにタッチし忘れてしまった」と申し出た。

すると乗務員は「今タッチして下さい。全然問題ありませんので」と丁寧に対応した。

熊本市電の運賃は乗車区間に関係なく一律200円である。だから必ず乗った電停でタッチしなければならないということはない。(余談だが、この乗車会の前日の6月1日から200円に値上げになった)

以前から何度も乗車しているが、熊本市電の乗務員は接客の丁寧な人が多いように思う。

それだけに、上層部の利益優先思考で女性優先車両を導入したことで現場の乗務員を含めて、一部の人々(当会も含め)から「熊本市電は女性車両を導入する差別的な事業者」となってしまうのは残念なことである。

もちろん、COVID-19感染症の大流行で人(乗客)が減ったからと「話題作り・客寄せ」のため女性専用(優先)車両の導入を推し進め、それを表向き「迷惑行為防止の取り組み」とサイトで発表した交通局がとんでもないことに変わりはないが…

一応、熊本市電の女性専用車両(現:優先車両)は、現場の運転士のアイデアだったということになっている。お偉方から「感染症の大流行で乗客が減っている状況を打開するアイデアはないか?」と現場に問いかけたところ、そういうアイデアが出てきたというのだ。

しかし、これがもし本当だったとしても上層部がこんな意見を採用して実際に実行に移した時点で、交通局自身が公平性を強く求められる「公営の公共交通事業者である」という自覚にあまりにも欠けていたと言え、利益優先思考になっていたと言わざるを得ない。

列車は新水前寺駅前電停で多数の乗客が乗車してかなりの混雑になった。恐らくJR豊肥本線からの乗り換え客だろう。男性客も何人か女性優先車両に乗車してきた。

しばらく混雑したまま進んでいくが、電停に停車する度に少しづつ人が降りて、水道町電停辺りまで来ると、女性優先車両は少し余裕が出てきた。

熊本市電では女性優先車両の運行時は車外の他、車内にも着脱式の女性優先車両の表示を出す。

先ほどまで車内が混雑していたため気づかなかったが、よく見ると車内の女性優先車表示に

●男性のお客様のご協力により運行しています

男性のお客様もご乗車いただけます

と明記されていることに気づいた。

「男性のお客様もご乗車いただけます」と明記

以前はこういう表示はなかったのではないか?

女性専用(優先)車両導入の経緯があまりにもひどいものだったことに加え、昨今の事故・インシデントの連発で強いお叱りを受けた結果なのだろうか。

今回、熊本市電が女性専用(優先)車両を実施している鉄道事業者の中では恐らく初めて「男性のお客様もご乗車いただけます」と案内を出したわけだが、本当は日本国内で「女性専用車両」とか「女性優先車両」と表示されている列車は全て「実は男性も乗れる」のである。

しかし、現時点で熊本市電以外の鉄道事業者では全くこのような案内はされていない。

そういう意味では熊本市電の表示は一歩前進と言えるのではないだろうか。

さらに熊本市内中心部を走行し、通町筋電停では家族連れと思われる男性も乗車してきた。そしてその次の熊本城・市役所前電停では多数の乗客が降りて車内の立ち客はまばらになった。

辛島町電停を過ぎ、ここからは(JRの)熊本駅前に向けて走って行く。

熊本は熊本城・市役所前電停や辛島町電停周辺が中心部でありJRの熊本駅はやや街外れにある。列車も市街中心部で多数の乗客を降ろしたため、今は女性優先車だけでなく、前の車両も車内に余裕がある。

いくつかの電停を過ぎて8:14頃、熊本駅前電停に到着。私達はここで下車し、今回の乗車会はここで終了とした。

車外の女性優先車両表示。『男性のお客様もご乗車いただけます』と明記

下車した後、車外に掲出されていた女性優先車両の表示を改めて撮影した。

こちらにも「男性のお客様もご乗車いただけます」と明記されていた。

熊本駅前電停でほとんどの乗客が降りてガラガラになった列車はしばらく停車したあと、終点の田崎橋電停に向けて発車していった。

熊本駅前電停で降りた電車を見送る

追記

後日、このページを編集している時に熊本市電の電車が動かなくなり牽引というニュースが入ってきた。

本当にトラブル続きで大丈夫なのかと思う。

こんな状況で(男性も乗れると明記したとは言え)女性優先車両などやっている場合だろうか。

以下のコメント欄では当会会員以外も、どなた様でもコメントができます。

なお、コメントが当会にご意見・ご回答を求められている内容の場合には当会はコメント欄での返信は行わず、別途「ご意見・体験談の紹介」ページで当会公式の返答として掲載させていただく場合がございます。

※現在、不具合により、コメントへの[返信]ができなくなっております(投稿はできます)。

0 コメント
古い順(昇順)
新しい順(降順) 「いいね」の順
インラインフィードバック
コメントをすべて表示