2023年2月 関西本部:近鉄奈良線と大阪メトロ谷町線&御堂筋線 乗車会

当会関西本部では、2月24日に近鉄奈良線と大阪メトロ谷町線および御堂筋線にて、非協力(任意確認)乗車会を行いました。

大阪メトロでは過去、度々乗車活動が行われてきたせいか、職員による声かけは全くありませんでしたが、近鉄奈良線の方は普段乗車する男性がいないのか、女性客や乗務員などの声かけが合計3回もありました。

以下その報告です。


朝の近鉄奈良線と大阪メトロ谷町線・御堂筋線で非協力乗車

普段乗車活動している路線とそうでない路線での対応の違いがくっきり

近鉄奈良~大阪難波

今回は近鉄奈良駅に朝7:15に集合である。朝早いせいか、改札口付近に人はそれほど多くない。

列車が到着すると、降りてきた人々で改札は一時的に少し賑やかになるが、すぐまた人がいなくなり元の状態に戻る。

近鉄奈良駅の改札口。朝早いせいか列車到着時以外、あまり人気(ひとけ)が無い
7:25発の快速急行に乗車予定

集合時刻になったので、私達は改札を通り中へと入った。

ホームは改札口がある駅コンコースからさらに階段でもう一階下った地下にある。

近鉄奈良駅の駅標。奈良公園の鹿がデザインされている
私達がホームに着くと、乗車予定の列車がすでに入線していた

今回最初に乗車するのは7:25三宮行き快速急行である。

7:18頃に私達がホームに着いた時点で既に入線していた。

ほとんど人が乗っておらず、私達は乗車して着席した。近鉄奈良線の女性専用車両は車掌がいる最後尾の車両である。

車掌が私達の存在に気づいたのか、「この列車の一番後ろの車両は・・・」と、車内に女性専用車両の自動放送を流した。車掌はさらに続いて肉声でも女性専用車両の放送をした。

直接声掛けはして来なかったが、放送で追い出そうとしているようだ。

もちろん私達はそんなもので移動するわけはないが、気づかずに乗ってくるような男性客にはこれで十分なのだろう。

近鉄に限ったことではないが、痴漢対策と言いつつ実際には「男性を追い出すための車両」になっている。

発車時刻が近づくにつれ、少しずつ人が乗ってきた。

しばらくして隣の席に座って来た女性客が「ここは女性専用車両です」と声かけしてきたが、会員の1人が「女性専用車両という名前だから強制力を帯びると思っているのですか?」と返し、こちらと議論になりそうになったので「すみません」と引き下がった。

ところどころ空席もある状態で奈良駅を発車、奈良駅を出てからしばらくは地下を走るが、すぐ地上に上がり次の新大宮に到着、ここで結構な人が乗って来て、立ち客も出始めた。

すると、新大宮から乗ってきた女性客の一人が座席の私達に「ここは女性専用」と声かけしてきた。

「知ってますけど」と返したら引き下がっていったものの、前後の行動から明らかに座席狙いの声かけである。

まだ座席狙い程度ならある意味「かわいいもの」かもしれないが、ネットに目を移せば「臭いオヤジがいないので快適」・「男が乗っていると女性専用車両が臭くなる」などという書き込みなども当たり前のように多数存在する。

下記のツイートもそんな暴言ツイートのうちの一つだ。

上記ツイートは、日付(2/13)からも分かるとおり、当日の乗車会(2/24)に居合わせた女性客のものではない。恐らく他路線での話だろうが、内容はひどいものだ。

「男性なら叩いても問題にならないから大丈夫」と思ってツイートしたのかもしれないが、これを黒人に置き換えて「黒人が乗ったら白人専用車両が汚れるやろうが」などとしてみれば、これがいかに重大な差別発言であるかがよく分かる。

しかも「しかも椅子に座ってて死ねばいいのに」という表現から、「男の分際で女性専用車両に乗り込んだ上に、座席に座りやがって!」という特権意識を無意識のうちに持っているのが分かる。

そして、女性専用車両は女性客にそうした特権意識・差別意識を植え付けてしまう代物でもあると言うことだ。

念のために言っておくが、当会はここで「女性専用車両は特権だ!」と主張しているのではない。

「特権と勘違いしている人がいる」と言っているのだが(当会が「女性専用車両=特権」だと思っているわけではない)世の中にはそのあたりが分からない人もいるようだ。

このツイートのような発言を見れば、少なくとも女性専用車両というものが世間一般で思われている「ひどい痴漢被害にあって心を深く傷つけられた、かわいそうな被害者が何とか逃れることの出来る最後の避難所」というイメージ(「専用車両ファンタジー」とでも言うべきか?)とは完全にかけ離れているのが分かるだろう。

まあ、こうやって批判すると今度は「釣りネタを本気にしている」などと言い出す者が出てくるかもしれないが、たとえ仮に上記ツイートが釣りやネタであってもこのような悪質な差別発言は決して許されない。

それにしても、ここまでわずか2駅、時間にして恐らく5分程度で声かけ2回。

やはり普段、男性の乗車がないとこうなるのか。

ちなみに普段度々乗車活動をしているJR西日本や大阪メトロの路線だと、最近では声かけ自体が非常に少ない。

列車は新大宮を出て平城宮跡の中を通りぬけ、次の大和西大寺駅に到着、ここで一旦下車し「後続乗車作戦」をとる。少しでも多く女性専用車両が任意であることを周知するためだ。

下車してホームに立っていると、大和西大寺から途中参加のメンバーが私達のところにやってきて合流した。

大和西大寺駅の駅標
当日の大和西大寺駅の様子

互いに挨拶を交わし、大和西大寺駅のホームでしばらく雑談するなどしていると、後続の7:42発難波行快速急行が到着、押し合いへし合いにはなっていないが車内は既に立ち客で一杯だ。

近鉄奈良線の女性専用車両は車掌のいる最後尾だが、私達はあえて車掌室の近くに乗車した。

しばらく走行して菖蒲池あやめいけ駅通過手前で女性専用車両の自動放送、続けで英語の放送も。

やはり近鉄は「放送で追い出す作戦」のようである。

次の停車駅、学園前で下車し、ここでも「後続乗車作戦」を行った。

学園前駅の駅標
当日の学園前駅の様子

そして、後続の学園前7:54発快速急行に乗車しようとすると車掌が私達に直接声掛けしてきた。

その場では「知ってます」・「任意でしょう?」と各自で返したが、時間が無いのでそのまま乗車した。

次の停車駅は生駒いこまである。

列車は富雄・東生駒を通過し、生駒に到着。

発車時間まで少し間があったのか、しばらくホームに停車していたので、先ほどの学園前での声掛けについて、その場で車掌に抗議した。

生駒駅
列車が到着すると、多数の人々が乗り降りする(生駒駅)

それにしても奈良からここまでで、先ほどの奈良・新大宮での女性客からの声かけ×2に加え、さらに学園前で車掌からも声かけで合計3回。

最近では声かけが非常に少なくなったJR西日本や大阪メトロとは明らかに状況が違う。

近鉄奈良線の女性専用車両は平日の朝ラッシュ時、上り(奈良→大阪難波)のみの運行で、それ以外の時間帯には運行されていないのもあって、近鉄奈良線での活動は疎かになっており、たまにしか活動できていない。

そのため、普段から活動しているJRや大阪メトロなどに比べると、こうした状況の違いが出てくるのかもしれない。

(過去の近鉄奈良線での乗車活動)

2019年4月 関西本部:近鉄奈良線・大阪メトロ御堂筋線 非協力乗車会の報告

2019年12月 関西本部:近鉄奈良線・JR西日本線 非協力乗車会の報告

2021年1月 関西本部:近鉄奈良線・大阪メトロ御堂筋線・阪急京都線・JRおおさか東線等 非協力乗車会の報告

生駒のホームでしばらく待って、後続の生駒8:08発、尼崎行き快速急行に乗車した。

最ラッシュ時は過ぎたのだろうか。混雑していると言えばしているが先ほどの大和西大寺から乗車した快速急行などに比べると、乗車率は高くなかった。

生駒駅を出ると、すぐ長い生駒トンネルに入る。

快速急行はここから大阪の鶴橋までノンストップである。

生駒トンネル内で女性専用車両の自動案内放送が流れた。どうやら男性を見つけると放送を流すようなマニュアルがありそうだ。

生駒トンネルを抜けると大阪府に入る。列車は山の中腹を走り、右側の車窓からは大阪の市街地が一望できる。

山を下って瓢箪山ひょうたんやま駅を通過するあたりからは大阪の街中に入り、さらに駅を次々と通過する。

そして次の停車駅鶴橋に到着、ここでも後続乗車作戦を行った。

そして、鶴橋8:31発難波行快速急行で大阪上本町まで1駅だけ乗車し、下車した。

大阪上本町駅の駅標
大阪上本町駅ホーム

大阪メトロ谷町線・御堂筋線

近鉄の大阪上本町駅から大阪メトロ谷町線、谷町九丁目駅までは地下通路を5分ほど徒歩で移動する。

大阪上本町から谷町九丁目まで地下通路を歩く

しばらく歩いているとやがて目の前に谷町九丁目駅の改札が見えてくる。

そこから改札内に入ると、女性専用車両が改札の目の前である。

これはJR西日本のような「意図的に位置をあわせたもの」ではなさそうだが、それにしてもこれはちょっと考えものである。

谷町9丁目駅の女性専用車両前に立つ駅員(右・黄色○印)

女性専用車両付近に駅員が立っていたが、私達が女性専用車位置に並んでも特に声掛けは無し。

しばらくしてやってきた8:45発、喜連瓜破きれうりわり行きに乗車した。車内は座席がほぼ埋まる程度。

そのまま、四天王寺前夕陽丘を過ぎ、天王寺に到着。

谷町線では全く何事もなく、そのまま御堂筋線に乗り換えるため下車した。

同じ天王寺駅でも、谷町線から御堂筋線のホームへは、地下通路を結構歩く。

そして御堂筋線の8:57発千里中央行きに乗車した。ラッシュは過ぎたが、立ち客が多い。

難波で後続に乗り換え、9:06発の新大阪行に乗車、こちらも結構混んでいる。男性が1人乗車していた。

御堂筋線なんば駅のホーム支柱には、大きな女性専用車両位置表示が

この後さらに本町と梅田でも後続乗車作戦を行ったが、本町ではホームの女性専用車両位置に駅員はいなかった。

そして、梅田から途中参加の会員がさらに1名合流し、後続の千里中央行きに乗車した。

この列車には私達以外にも何人か男性が乗車しているようだ。

次の中津で男性が1人下車した。

中津発車後、列車は地上に上がり、西中島南方・新大阪・東三国と過ぎ、江坂あたりから車内が空いてきた。

地上に上がってからは新御堂筋という高架道路と御堂筋線がぴったり並行する。

まるで列車と自動車がレースしているみたいだ。

中津の先から千里中央手前まで、御堂筋線は道路と併走する。

以前に比べ、女性客や駅員・乗務員などから声をかけられることも少なくなったから、こんなこと(列車と車がレースしているみたいだ)を考えながら乗車できるようになったのかもしれない。

本来、女性専用車両と名乗っていても「男性に乗車しない義務を課さない」からこそ、公平性が求められる公共交通機関において問題ないということになっている(「痴漢対策だから問題ない」のではない)のだから、ある意味、男性も当たり前のように乗車できるのが本来なのである。

というか、そもそも今の女性専用車両があるのは、一部政党の人気取り政策として推進されてきた結果であり、痴漢対策は建前である。

※公人のため、名前や画像を隠す処理をしていません

江坂からは北大阪急行線に入り、あたりの風景も大都会からいつしかニュータウンの風景に変わり、線路が再び地下に潜ると、終点の千里中央に到着する。

現在はここが終点だが、まもなく箕面市内までもう2駅ほど路線が延長され、千里中央は途中駅になる。

千里中央駅

私達は一旦改札から出て切符を買い直し、千里中央からなかもず行きに乗車した。

停車中に乗務員などからの声掛けがないか注意して見ていたが、声掛けは無く、車内には空席もある状態で千里中央を発車した。

車内の男性は私達だけのようである。

途中の江坂から男性客が1人乗車したが、すぐ移動。

声かけがなくなっても男性が乗らないのなら、女性専用車両と名のつく「誰でも乗れる車両」は形骸化しないが、こればかりは無理に乗れとは言えない。

江坂を出て、車内は立ち客が出るくらいの乗車率になった。

その後、西中島南方の先で淀川を渡り、地下に潜って中津を過ぎ、再び梅田に戻ってきて、ここで乗車会は終了とした。

結局、大阪メトロでは谷町線・御堂筋線(北大阪急行含む)とも乗務員や乗客などからの声掛けはなく、普段乗車会をあまり行わない近鉄奈良線とは状況の違いがはっきり分かった。

もう少し男性が乗っていれば良かったのだが、御堂筋線などは列車や時間帯によっては女性専用車内に結構な数の男性がいたりすることもある。

属性による差別である女性専用車両をゆくゆくは縮小・廃止させる課程において、今後どうやって形骸化させていくかが課題ということになるが、このページをご覧の皆様で女性専用車両に疑問や不満をお持ちの方は、是非 入会申し込みフォーム からお申し込みいただければ幸いである。

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