2023年1月~ 関東本部:東京都交通局訪問の報告

2023年1月20日の都営大江戸線での任意確認乗車会の後、一部のメンバーで東京都交通局を直接訪問し、申し入れと再度抗議書を提出しました。

抗議書は一度、昨年(2022年)の11月に提出し、郵送で回答を得ていましたが、短文のテンプレート回答で、こちらの質問や抗議に対してまともに回答していなかったことから、今回改めて抗議書を作成し、交通局にも事前に訪問することを申し入れした上で直接提出することといたしました。

以下その報告です。


東京都交通局に2度目の抗議書を手渡す

初回の抗議書では短文のテンプレ回答だった東京都交通局

当会関東本部では昨年(2022年)11月28日に東京都交通局に対し一度、大江戸線への女性専用車導入に対する抗議書を手渡して、同年12月31日にまでに回答するよう要請して帰った。

これについては、下記リンクのページをご覧いただきたい。

2022年11月~ 関東本部:JR東日本本社&東京都庁訪問等の報告

2023年の年明け早々に東京都交通局から回答はあったものの、短文のテンプレート回答で、こちらがした質問にまともに答えておらず、実質上回答していないも同然のひどいものであった。

その前に比較のため(上記2022年11月の報告ページ内でも一度掲載しているが)昨年11月に当会が交通局に手渡した1度目の抗議書をここで改めて掲載する。

そしてその下に、それに対する交通局からの回答も掲載するので、改めて両方を見比べてみてほしい。交通局が誠意のない対応をしているのがよくわかるだろう。

(↓昨年11月28日に交通局に手渡した抗議書)

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一方、それに対する交通局からの回答がこちら↓である。

女性専用車両に反対する会 福山 博様

ジェンダー平等を実現する会 様

いつも都営交通をご利用いただきまして、ありがとうございます。

都営地下鉄では、社内での痴漢等の性犯罪・迷惑行為の撲滅に向け、車内防犯カメラの整備や新宿線での女性専用車の運行、痴漢撲滅キャンペーンの実施など、警察や他の鉄道事業者とも連携しながら様々な取り組みを実施しています。

しかしながら、依然として痴漢等の被害に遭われている方がいらっしゃいます。

被害に遭われた方は、精神的な苦痛を受け社会参画に支障が出ることもあります。

痴漢等の行為は決して許されないものであり、より安心して電車をご利用いただけるよう、

この度、大江戸線に女性専用車を導入することとしました。

大江戸線への女性専用車の導入に関するご意見につきましては、以下のとおりします。

○項目 1

女性専用車は、被害等を防止する一つの有効な手段として認識しています。

○項目 2

女性専用車は、女性のお客様のほか、小学生以下のお客様 お身体の不自由なお客様とその介護者の方もご利用いただけます。

また、お客様の任意のご協力のもとに運行しているものであり、強制力を帯びないことや導入目的の運旨等が 差別には当たらないと考えています。

○項目 3 及び 4

女性専用車は、痴漢被害を防止する一つの有効な手段として認識しています。

また、女性専用車の運行のほか、車内防犯カメラの設置や鉄道事業者・警察と共同での痴漢撲滅キャンペーンの実施、駅員等よる巡回などを継続的に行っています。

○項目 5

車内防犯カメラの設置や駅係員等による巡回、警察と連携した訓練等を継続的に行っています。

○項目 6

・都営地下鉄の車内防犯カメラについては、令和 6 年度までに全車両への設置完了を予定しています。

・都営地下鉄では痴漢行為を防止するため、女性専用車の運行のほか、車内防犯カメラの設置や鉄道事業者・警察と共同での痴漢撲滅委キャンペーンの実施、駅員等による巡回などを継続的に行っています。

・今後の事業運営の参考にさせていただきます。

当会からの質問状(全7ページ)に対し、交通局からの回答はたったこれだけ(回答全部で1ページのみ)である。

しかも回答内容は「女性専用車の運行のほか、車内防犯カメラの設置や・・・」など、同じようなことの繰り返し。

これだけでも十分誠意のなさが表れているが、さらに個別にみていくと、

項目1について

女性専用車は、被害等を防止する一つの有効な手段として認識しています。

当会の質問には全く答えておらず、ただ「女性専用車は有効だと認識している(そう思う)」と言っているだけである。

当然ながら「有効だと認識している=有効である」ではない。

また、有効だと思うにしても「どう有効だと思うのか」・「なぜそう思うのか」すらも答えていない。

項目2について

女性専用車は、女性のお客様のほか、小学生以下のお客様 お身体の不自由なお客様とその介護者の方もご利用いただけます。

また、お客様の任意のご協力のもとに運行しているものであり、強制力を帯びないことや導入目的の趣旨等が 差別には当たらないと考えています。

まず、女性専用車が強制力を帯びないから問題ないといいつつ「女性のお客様のほか、小学生以下のお子様や障がい者が介護者も乗れる」などと、あたかも「それ以外の男性は乗車できない」と勘違いさせる言い方をしている。

「強制力を帯びない」のなら、子供や障がい者・介護者に限らず「誰でも乗れる」が正解であろう。

また、「導入目的の趣旨等が差別には当たらない」というのなら、なぜ任意協力にしているのか。

強制すると差別に当たると認識しているから「任意協力です」と言って、「差別だ!」と追及されても逃げられるようにしているだけではないのか?

それ以前に、そもそも交通局が回答の中で言っている「導入目的の趣旨」って何?という話である。

「公明党や共産党の人気取り政策に付き合い、女性専用車と称する”実は誰でも乗れる車両”を、強制であるかのように見せかけて導入し、男性が自分の意志で協力くださっているので問題ありません」というのが差別ではないというのか?

(※公人のため名前や顔を隠す処理をしていません)

世間は痴漢対策だと思ってくれているから表向き「痴漢対策だから差別ではない」と言っておけば問題ないということなのだろうか。

ざっくり言うと、

差別とは「差をつけて分けること」

区別とは「差をつけず、ただ分けること」

であるから、同じ運賃を取りつつ男女で乗れる車両数が違うのなら、「導入目的の趣旨」が何だろうとこれは立派な差別である。

こういう言葉がある。「目的は手段を正当化しない。」

これは、「目的が正当であっても手段が正当でなければその行いは不当である」という意味だ。

つまり、女性専用車を実施することに「導入目的の趣旨」で正当化されることはなく、やっていることが正当な手段なのか不当な手段なのか、それだけでしかないのでである。

もし、手段も正当であると認識しているなら強制すればいいが、それをしないのは薄々手段が差別であると認識しているからではないのか?

(だからこそ女性専用と言いつつ「任意協力」にして「乗れる車両数に差をつけていません」と言い逃れできるようにして、その上で「女性のほか、男性の子供や障がい者・介護者も乗れる」と案内し、「それ以外の男性は乗れない」と乗客に勘違いさせるのだろう)

「痴漢に遭うのがほぼ女性だからそうしているのであって、これは合理的差別だ」という反論もあるかもしれないが、女性専用車は「痴漢対策を理由にして、合理的差別を装っているだけ」だ。

先にも述べた通り女性専用車は政党の人気取り政策であり、痴漢対策は建前である。

項目3・4について

女性専用車は、女性のお客様のほか、小学生以下のお客様 お身体の不自由なお客様とその介護者の方もご利用いただけます。

また、お客様の任意のご協力のもとに運行しているものであり、強制力を帯びないことや導入目的の趣旨等が 差別には当たらないと考えています。

項目1と同様、理由も言わずにただ「女性専用車は有効と思う」と言っているだけ。

思う(認識している)だけなら誰でもできるし、先にも述べた通り「有効だと認識している=有効である」ではない。

あと、監視カメラはもともと「女性専用車を廃止しろというなら、ただ反対するだけでなく代案を出せ」という賛成派からの声に対して、当会をはじめとする反対派が「代案」として奨励してきたものだが、いつしか女性専用車の代案としてではなく「女性専用車だけでなく、監視カメラなど幅広くきちんと痴漢対策を行っています(→女性専用車にこだわっているわけではありません)」という、言い訳の道具になってしまっている。

項目5について

車内防犯カメラの設置や駅係員等による巡回、警察と連携した訓練等を継続的に行っています。

項目3・4と同様、監視カメラや巡回が痴漢対策の代案ではなく「女性専用車だけでなく総合的に痴漢対策をきちんとやってます」という、女性専用車を正当化するためのうまい言い訳になっている。

もう一度言うが「女性専用車が痴漢対策は建前」であり、監視カメラや巡回は女性専用車と組み合わせて「女性専用車をいかにも本当に痴漢対策であるかのように装うためのもの」ではない。

当会が本社抗議する理由

このように、当会の1度目の質問状については、ほぼ答えていないも同然の回答で、ひどいものであった。

よく乗車活動をしていると直接、あるいはネット上で「女性専用車に文句があるんだったら本社(本局)に直接言えばいいのに、なぜそんなこともわからないのか。女性専用車に乗って女性客や現場の職員に文句を言ったって仕方ないのに・・・」

などと言ってくる者がいたりするが、そういうことを言う者こそ実は【何もわかっていない】。

本局に直接言ってもこういう態度をとるだけだから、あえて乗車しているのである。

男性が乗車できないように強制すれば、そちらの方が問題になるような代物を「女性専用車」と称して強制的なものに見せかけつつ、法的に問題にならないよう「任意協力」だと言ってごまかしながら運行するという茶番を演じているのだから、反対派としてはそこを突かない手はない。

また乗車活動をせず、交通局に言うだけなら適当にやり過ごされて終わりの可能性が高いし、しかもその上、世間からは女性専用車に反対の声があること自体、全く認知すらされない。

「ならば、交通局に文句を言いに行ってもそれ自体無駄ではないのか?」と思う人もいるだろうが、それでも私たちが本社・本局を訪問しているのにはきちんとワケがある。

もちろん「交通局に直接言いに行けば言うことを聞いてくれるだろう」と思っているからではない。

まず、上記のような「女性専用車に文句があるんだったら本社(本局)に直接言えばいいのに、なぜそんなこともわからないのか。」などと、よく知りもせずに言ってくる者がいる。

しかし、当会は現場(車内)での活動も本社(本局)での活動も車の両輪と考え、たとえ本社が聞く耳持たずとも、どちらも大切にしていると言うことである。

そして本社(本局)に対し、こちらの存在をしっかりと示しておくためという意味もとても大きいし、このページのように本社(本局)の態度を世間に知ってもらうという意味も大きい。

やはり「女性専用車には反対する者がいて、それは現在でもしっかりと活動している」ということを交通局に認識させておかないと、いずれ反対の声自体が存在しないことにされてしまう。

今、東京都交通局も大江戸線に新規導入した女性専用車をなんとか定着させようと、全駅に警備員を配置し、壊れたスピーカーのように「ただいまの時間、こちらの車両は女性専用車となっておりまーす」と繰り返させているが、そんな警備員の目の前で男性が女性専用車に乗っても決して個別に直接声をかけてきたりはしない。

ましてや両腕を広げて通せんぼをしたり、腕をつかんで乗車を阻止しようとは絶対にしない。

以前は男性が女性専用車(と名のつく一般車両)に乗ろうものなら個別の声かけは当たり前であり、しかも鉄道事業者によっては男性が移動するまで何度もしつこく声かけをしたあげく、それでも移動しなければ力ずくで引きずり降ろすなどということもあった。

(参考:2011年12月 JR西日本福知山線強制排除に対する報告

このような鉄道員や他の乗客による強制排除行為は、暴行罪・強要罪に当たるが、以前はそれが珍しくなかったのである。

しかし今では、このようなことはもちろん、声かけ自体も(路線にもよるが)少なくなってきた。

なぜこのように鉄道事業者の対応が変わってきたのかといえば、反対派が地道に活動を続けてきたからである。

女性専用車反対運動をしていても目に見えて大きな成果がすぐに得られることはまずない。

それゆえ途中で諦めてしまう人も少なくないのだが、諦めずに根気よく続けることでこのように少しずつ状況は変化してくる。

女性専用車反対運動には「諦めない心」が必要なのだ。

改めて東京都交通局を直接訪問

2023年1月20日、関東本部では朝から都営大江戸線の任意確認乗車会を行った。

そのときの模様は「2023年1月関東本部:都営大江戸線任意確認乗車会」のページで報告しているのでそちらをご覧いただきたいが、その乗車会の後に一部のメンバーが近くの喫茶店に入り交通局に提出する2回目の抗議文(前回、年明け早々に交通局からテンプレ回答があった時以来、再度抗議するべく、当会メンバーの間で話し合いを重ね作成していた)の内容について、最終的な打ち合わせを行った。

そして出来上がった抗議書がこちらである。

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前回2022年11月28日の際は単に抗議書を手渡して「回答してください」と言っただけだったので(そしてその結果、ほとんど答えていないも同然のテンプレ回答が返って来ただけだったので)今回は交通局に事前にアポを取り、訪問する日時を伝えた上で直接、抗議書の内容を読み上げ、その場で回答していただくことにしたのである。

東京都庁
交通局が入っている第二本庁舎

対応したのはお客様サービス課の課長とその他に職員が2人の計3人。一方、こちらは代表・副代表と田中関東本部長の3人。

田中本部長が抗議書の内容を一点一点読み上げて質問して行くも、課長は「今ここで回答しても私個人の私見になるので、交通局としての回答は出来ない」として、やはりはっきりとは回答しなかった。

この課長、物腰は柔らかく話した印象は悪くないものの、こちらの質問についてはうまくかわしているように見える。

いろいろ話をするうち、どうやら東京都交通局も当会のサイトをチェックしているらしいことが分かった。

交通局側としてもこちらの動きは意識しているようだ。

結局、約1時間ほど話をした後、2月末までに回答をしていただくよう要求し、改めて職員3名に挨拶し、交通局を後にした。

後日、交通局から・・・

交通局訪問を終え、回答が来るのを待っていたが、2月下旬になって交通局から当会に「先日の抗議書について、ご意見としては賜るが回答はしない」という連絡が入った。

先に「交通局側も当会サイトをチェックしているらしい」という話をしたが、当会内部からは「もしかすると当会サイトで『交通局から回答があれば報告する』と記載してあるのを見て、回答した内容をサイト上で公開・批判されることを警戒したのではないか?」という意見も出た。

しかし、いずれにしても結局、交通局はこちらが直接持って行った質問にも回答しなかったわけで、やはり誠意のない対応と言われても仕方がない。

ここまでの流れををまとめると、

  1. 2022年11月28日に東京都交通局に抗議書を手渡し、12月31日までに回答を求める。
  2. 2023年の年明け早々に回答があったが、短文テンプレ回答でほぼ答えていないも同然。
  3. そこで、2023年1月20日の大江戸線乗車会の後で再度交通局を訪問して、その場で直接抗議書を直接読み上げ回答を求めることにした。
  4. しかし、対応した交通局の課長が「私見になるのでここでは交通局としての回答は出来ない」と言うので、2月中に改めて回答するよう伝えて交通局を後にした。
  5. 2月下旬になって「ご意見としては賜るが回答は出来ない」と、交通局から当会に電話連絡が入った。

―こんな感じである。

交通局は当会に対する1回目のテンプレ回答でも、交通局自身のサイトでも、

しかしながら、依然として痴漢等の被害に遭われている方がいらっしゃいます。被害に遭われた方は、精神的な苦痛を受け社会参画に支障が出ることもあります。
痴漢等の行為は決して許されないものであり、より安心して電車をご利用いただけるよう・・・

と、いかにも「痴漢被害者に寄り添った政策を真剣に考えて、女性専用車を導入しました」というような意味のことを述べている。

しかし、ではなぜ日本若者協議会という団体の呼びかけに応じて公明党や共産党が動き出したのに合わせて女性専用車を導入し、このようなことを言い出すのだろうか?

女性専用車が本当に「痴漢被害者に寄り添った政策を真剣に考え実行した結果」なら、当会の抗議書(質問状)に対して「意見としては賜るが回答しない」などと逃げを打つ必要はないだろう。

結局、交通局からまともな回答は得ることは出来なかったということであるが、やはり今後も「男性も乗れること(男性の乗車は禁止できない)」や、実は「痴漢対策は建前で、政治に利用されていること」などを引き続き情報発信し続けていく必要があるだろうと思っている。

また、今後も乗車活動を続けて行くことで、反対派の存在も示していく必要があるだろう。

そして今の状況を動かすために、1人でも多くの方に活動に参加していただけたらと考えている。

我こそはと思う方は、入会申し込みフォームよりお申し込みいただければ幸いである。

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