名古屋市交通局が今後の経営計画として「名古屋市営交通事業経営計画(2015-2018)(案)」をまとめ、今年(2015年)9月30日を期限としてパブリックコメントを募集していたが、その結果が公表された。
(現在はリンク切れ)
そのうち、女性専用車両についての市民のコメントと名古屋市交通局の考え方は以下の通り。
子どもや女性にも安心してご利用いただける環境づくりについて (31件)
【市民意見】
- 女性専用車両は廃止してほしい。(8件)
- 地下鉄の車内にカメラを設置すべきである。(5件)
- 東山線以外にも女性専用車両を拡大してほしい。(4件)
- 女性は女性専用車両に優先して乗るよう案内してほしい。(2件)
- これ以上女性専用車両を拡大しないでほしい。(2件)
- 地下鉄車内のパトロールを行ってほしい。(2件)
- 女性専用車両を車掌のいる車両にしてはどうか。
- 女性専用車両を廃止し、代わりに高齢者、妊婦、乳幼児のための車両を作るべきである。
- 女性専用車両の拡大は慎重に検討すべきである。
- 女性専用車両に色を付けるなど、男性が間違えて乗車してもすぐに気が付くよう工夫してほしい。
- 男性専用車両も導入してほしい。
- チャージ機付近に手荷物置場を設置してほしい。
- 子どもや女性だけでなく一般の男性にも安心して利用できる環境づくりも忘れないでほしい。
- 地域貢献のため、地下鉄駅・市バス営業所を子ども110番事務所としてほしい。
【交通局の考え方】
子ども、女性、高齢者、障がい者、外国人、観光客など、利用者特性にあわせた取り組みを進めることにより、誰もが利用しやすい快適な市バス・ 地下鉄の環境づくりに努めていきます。 女性専用車両は、女性のお客さまに安心して乗車いただけることを目的 として導入したものであり、路線ごとの痴漢被害届出件数などを踏まえて、拡大導入する路線の時間帯・時期を検討していきます。車内カメラの設置には、撮影範囲が限られるなどの制約があることや、多額の費用を要することなどの課題があり、現状では設置は難しいと考えています。
女性専用車両については「廃止してほしい」(8件)に対し、「拡大してほしい」は4件で、「廃止してほしい」のほうが明らかに多く、それ以外のコメントを見ても「これ以上拡大しないでほしい」(2件)、「女性専用車の拡大は慎重であるべき」、「女性線票車両を廃止して、代わりに高齢者、妊婦、乳幼児のための車両を作るべき」など、明らかに否定的な意見のほうが多いのが分かる。
しかしそれにも関わらず、交通局は「路線ごとの痴漢被害届出件数などを踏まえて、拡大導入する路線の時間帯・時期を検討していきます」などとコメントしている。
パブリックコメントを募集したと言ってもこれは「女性専用車両を拡大する前に、きちんと市民の意見も聞きました」というポーズを取っているようなものであり、市民の反対意見はほぼ無視されているようなものだ。
ちなみに、先日女性専用車両が終日化された地下鉄東山線では、交通局の発表によると女性専用車両を朝夕導入していても平成22年度12件→23年度18件→24年度22件と、件数が減るどころか近年は逆に増えており、女性専用車両に痴漢を減らす効果がないことは明白なのだが、女性専用車両で痴漢は減っていない(逆に増えている)のに「痴漢が多いから」とさらに拡大導入した。
これが逆に減少していたら「女性専用車両で痴漢が減ったのでさらに拡大」となっていたであろう。
また、女性専用車両で痴漢の件数が減らないとわかると、関西など他の地方では「痴漢被害を減らすため」から「女性に安心して乗っていただくため」と、理由がすり替えられるケースが見られたが、今回の「交通局の考え方」(上記)でも「女性専用車両は、女性のお客さまに安心して乗車いただけることを目的として導入したものであり・・・」などとコメントされており、ここからも痴漢対策のために導入されたのではなく、導入拡大を正当化するために後から理由をつけていることが分かる。
ご存知の方も多いと思うが、市議会で公明党が女性専用車両の拡大を非常に強く推しており、痴漢件数が減ろうが減るまいが、市民の反対意見が多かろうが多くなかろうが、そのようなことは関係なく、初めから「女性専用車両の拡大ありき」なのである。
詳しくは当会サイト内の以下のページに詳しく記載しているので、お時間がある方は改めて目を通して頂ければ幸いである。