この一つ前の記事でも述べられているとおり、阪急が3月から宝塚線に女性専用車両を設置すると発表したが、今回の設定について阪急電鉄ではサイト上になんと
「女性専用車両」の導入が、「人にやさしい、魅力ある鉄道サービス」を実現するためのサービス水準向上の一施策であると考え、このたびの宝塚線のダイヤ改正にあわせて・・・(中略)・・・「女性専用車両」を設定します。
などと記載し、女性専用車両を痴漢被害が深刻なための「やむを得ない措置」ではなく、「サービス水準向上のための一施策」であることを堂々と明かしている。
女性専用車両は当初、「深刻化する痴漢被害から女性を救うための緊急的措置」として設定されたが、当初から終日実施する路線が存在するなど、本当に痴漢対策なのか、疑わしい面はあった。
しかし、女性専用車両が設定され始めてから10年余りが過ぎ、大都市近郊路線ならどこでも女性専用車両が当たり前のように存在している状態が既成事実になると、このように平然と「やむを得ない措置」ではなく、「ウケ狙い」の施策であることを公言するようになってきたのである。
(これは阪急電鉄に限った事ではなく、先日(2015年1月)女性専用車両拡大に関するアンケートを取った福岡の西鉄も、CS(顧客満足度)向上アンケートと称して、女性専用車両の拡大の是非を問うていた)
当会が過去、くり返し述べているとおり、「公共交通機関においては同じ運賃を支払えば誰でも公平に利用できる」のが大原則である。
しかし、「痴漢対策」と称して女性専用車両を導入しておきながら、年数が経って、女性専用車両が当たり前のようになってくると、このように公共交通機関の大原則を完全に覆しておきながら平気で「サービス向上のための施策」などと公言してくる。
つまり、「女性専用車両が痴漢対策である」と世間が信じきっているのを良いことにしているのである。
阪急電鉄は同じ運賃を支払って電車を利用している男性客の立場をどう考えているのであろうか。
そして、「痴漢対策だから」と女性専用車両を認め、協力している男性客の心配りを、こうした発表をすることによって完全に踏みにじっていることに気がついているのだろうか。
もちろん、痴漢対策でも何でもない、「ただの女性優遇」「鉄道事業者のイメージ、CS(顧客満足度)向上策」(実際にイメージ・CS向上につながるかどうかは別にして)である女性専用車両に協力する必要など微塵もない。
なお、阪急電鉄は昨年(2014年)5月に当会会員が「人にやさしい、魅力ある鉄道サービスの、”人”というのは女性客のことのみを指すのか」「男性客も含めて”人”というのなら、女性専用車両が男性にどうやさしいのか」などの質問を記載した質問状を送付し、「各質問に個別に回答頂きたい」と明記したにも関わらず、個別の質問には回答せずに「個別の質問について、回答に該当する箇所がないものについては、回答を差し控えさせていただいている」などとして、肝心のことには全く答えなかった。
しかもその上、当会会員が本名を名乗って質問したにも関わらず、回答者名を記載せずに「阪急電鉄株式会社運輸部」とだけ記載して返答を返すなど、完全にふざけているとしか言えない対応をしているのである。
(詳しくは当会サイトの「活動履歴」内の「2014月5月 阪急電鉄への質問状送付とその回答についての報告」を参照頂きたい)
「女性専用車両が痴漢対策である」というウソに気づく人が少しでも増えることを願ってやまない。
情報元:
(代替)阪急宝塚線など3/21に改正。川西能勢口始発「通勤特急」を新設