女性専用車両等での男性客盗撮・SNSへの晒し行為を非難する声明

最近、『女性専用車』『女性専用車両』のステッカーが貼ってある車両内で男性乗客を盗撮し、顔を隠す処理もせず、XなどSNSに誹謗中傷コメントと共に顔を晒す迷惑行為が横行している。

このXの投稿を見ていただきたい。

車内に貼られている女性専用車両の案内ステッカーから名古屋市営地下鉄東山線と思われるが、東山線は平日終日女性専用車両を運用している。

そんな『女性専用車両』のステッカーが貼られた車両に乗る男性(この事例では男性を含む女性も)を顔の処理もせずにSNSに晒し上げている。

乗り合わせた乗客を疑問に思ったなら、乗務員や駅係員に対応を求めればいいのであって、このようなSNSへの晒し行為は肖像権や名誉を著しく侵害する許されない下劣な行為だ。

そもそも男性が女性専用車両に乗ること自体は、国土交通省や鉄道会社の公式見解、そして過去の判例から、何ら犯罪でも迷惑行為でもないことが明確になっている。他方、女性専用車両に乗っている男性を盗撮し、SNSに晒す行為は迷惑行為だ。

投稿者は「正義」のつもりでやっているのかもしれない。しかし、このような歪んだ「正義感」は「自分は正しいことをしている」という誤った確信から暴走し、悪意なき加害者を量産する。これは昨今、社会問題となっているカスタマーハラスメント(いわゆるカスハラ)にも通じるものだ。

次はこちらのXの投稿を見ていただきたい。

今度は「女性専用車に男が乗ってくる」というコメントを付けて『女性専用車』のステッカーが貼られた車両に乗る男性を顔の処理もせずに晒し上げている。だが、こちらの車両はそもそも女性専用車両として運用されていないことが既に明らかになっている。

もちろん実際に女性専用車両であっても、乗客を盗撮しSNSに晒すことはしてはならないことであるが、本当にその車両が女性専用車両として運用されているかどうかも確かめずに、かつ女性専用車両だと認識したとしても「女性専用車両にご乗車になれる男性」の例示列挙に大概明記されている「お体の不自由な男性なのかもしれない」という想像もせずに、「『女性専用車両』にはいかなる場合でも男は乗ってはならない」という誤った考えばかりが暴走するあまり、事実と異なる内容を世界に向けて発信し、人の名誉を傷つけるという事態が発生している。

次はJR奈良線の車内において「外国人から『ここは女性専用車両だ』と注意された」という投稿である。

JR奈良線では女性専用車は運用されていない。しかし、女性専用車両が運用されている他路線と車両を共用しているため、「女性専用車」のステッカーが貼られた車両が使われているのだ。網棚に貼られたステッカーには「女性専用車 Women only」としか書かれておらず、この列車が女性専用車両の運用外であることなど、一見しただけでは分からないだろう。

このような事例は関西に限ったことではない。似たようなことは関東でも起こり得る。

例えば東武伊勢崎線(スカイツリーライン)、東京メトロ半蔵門線、東急田園都市線の3路線を直通する車両には、両端の2両に「女性専用車」のステッカーが貼られており、進行方向によって最後部の車両1両のみが女性専用車として運用される。しかし、女性専用車ステッカー内の「この車両が最後部のとき」の説明書きは日本語でしか表記されていない。「この車両が最後部のとき」が読めない外国人が画像の事例のように「男性に注意」する事例が発生しうる。

Xに(女性専用車両の運用外の列車において、女性専用車ステッカーのある車両に乗っている)男性客を「女性専用車に乗っている男」などと晒す行為をした者も、JR奈良線にて「ここは女性専用車両」などと注意した者も、単なる勘違いか、それとも身勝手かつ歪んだ正義感によるものなのか、それとも「ここは男どもがいないはずの自分たちのスペース」という縄張り意識によるものなのかは不明である。

しかし、いずれにせよ「車両に『女性専用車』『女性専用車両』ステッカーが無ければこれらの迷惑行為は起こり得ない」のである。

女性専用車両のステッカーと男性客を一緒に撮影すれば、たとえそれが女性専用車両の運用時間外・区間外・対象外列車だったとしても、その男性客を「女性専用車両に乗っている悪質な男」と簡単に名誉毀損できてしまう。ステッカーは、盗撮やSNSへの晒し行為といった迷惑行為、犯罪行為を助長させるものなのだ。だからこそ、「女性専用車両ステッカー」は即刻剥がすべきだ。

一部の鉄道事業者では、女性専用車両の運用時間帯のみステッカーを貼り付け、それ以外は剥がしたり、車両自体に「女性専用車両」の表示を行っていない事業者がある。

しかし、ステッカーをなくせば迷惑行為が起きないという単純な話ではない。女性専用車両ステッカーと関係なく、女性専用車両に乗れる対象と例示列挙で明示されているお体の不自由な方さえも男性であれば女性専用車両内で女性客に声かけされて降ろされたという被害に遭われた体験談が当会に寄せられている。

「正義であれば何をやっても良い」という考えは大間違いである。

女性専用車両という存在そのものが歪んだ正義感や縄張り意識を持つ者を生み出し、また増長させているのだ。

女性専用車両自体、一刻も早く廃止されるべきだ。