2020年9月 熊本市電非協力乗車&熊本市交通局訪問の報告

新型コロナウイルス感染症の影響で「三密回避」が言われる中、それに逆らうかのように熊本市交通局が女性専用車両の試験導入を発表しました。

そこで、「反対する会 福岡地区」の会員が導入初日に熊本市電で非協力乗車を行い、その後交通局を訪問して当会の意見書を担当者に手渡しました。

以下、その報告です。


熊本市電、女性専用車両初日に非協力乗車

交通局を訪問し、当会の意見書を担当者に手渡す

突如、女性専用車両導入を発表した熊本市交通局

新型コロナウイルス感染症の影響で、世の中の混乱がまだ収まりきっておらず、いわゆる「三密回避」が繰り返し言われる中、突如としてそれに全く逆行する形で熊本市交通局は9月14日から市内電車で女性専用車両を試験運行すると発表した。

痴漢認知件数が年間1ケタ(6~7件程度)である中で、どう見ても痴漢が「激増」している中でのやむを得ない緊急避難措置とは到底考えられず、しかもこんなコロナ禍の時期に突然、2両編成中の1両を女性専用車両にするとは何かおかしい。

ご存じの方も多いと思うが、女性専用車両は過去に公明党が当時の国交省を巻き込んで強い圧力をかけ、多くの鉄道事業者に導入させたという経緯がある。

女性専用車両は政党の実績作りや女性票を集めるための選挙対策として利用されてきたのだ。

特に公営の鉄道事業者(地下鉄など)や首都圏の私鉄の女性専用車両はこうした政治的色彩が濃い。

また、女性専用車両を金儲け(女性専用車限定広告)や女性客寄せサービス、あるいは「女性にやさしい」というイメージ戦略として利用したり、あるいは「他がやっているから」と横並び意識で導入したりする鉄道事業者も多い。

表向き「痴漢対策が目的」といいながら、実際には「女性専用車両の導入自体が目的」になっているのである。

熊本市交通局は知っての通り、公営の事業者である。

だから「今回もまた公明党か?」と思われたが、当会で市議会議事録などをざっと調べてみた限りでは、熊本に関しては公明党の関与を示す形跡は見つからなかった。

どうやら、交通局内部(恐らく幹部クラス)に女性専用車両をやりたい人間がいると思われる。

しかし、「なぜこの時期に突然?」という疑問はまだ残る。

このように、女性専用車両自体純粋な痴漢対策ではなく、非常に裏表のあるものだが、熊本市交通局の女性専用車両のことを取り上げたマスコミ報道では、必ずと言っていいくらい「痴漢や盗撮を防ぐための女性専用車両」が繰り返し強調されている。

また交通局に抗議が殺到している現状を「県外からの抗議がほとんど」・「利用者からはおおむね好意的に受け止められている」などと、反対派の声を「部外者が騒いでいるだけ」として片付けようとするなど、明らかに賛成派寄りの偏向報道が行われている。

https://www.j-cast.com/tv/2020/09/15394400.html
https://kumanichi.com/news/1601574
https://kumanichi.com/news/1595315

一応、申し訳程度に「県外の男性意見と、県内の女性意見を取り上げているだけでは? という指摘があった」ことを添えている報道もあるが、これではまるで「県内はみんな賛成しているのに、部外者だけがギャーギャー騒いでいる」と言わんばかりだ。

しかしながら、熊本市交通局の利用客とそれ以外のすべての国民であれば、後者のほうが圧倒的多数であり、全国から意見を受け付けている以上反対の声が「県外からのものがほとんど」になるのは、ある意味当然であろう。

「反対意見など聞くに値しない」と思わせるために「反対意見=部外者」とやたらに強調し、県内の反対意見は黙殺されているのである。

ニュースのコメント欄(以下の画像はヤフーニュースのもの)などを見ていると、熊本県内の方のものと思われる反対や疑問の意見もちらほら見かけるが、県内の反対意見についてはマスコミはこの先も黙殺し続けるのだろう。

また、コロナ禍のこの時期に他車両を混雑させる可能性のある女性専用車両を導入することについての批判は、マスコミ各社とも見事に完全スルーしている。

交通局といい、それを取り上げるマスコミといい、本当にふざけているとしか言いようがないが、当会としてもこうした現状を放置するわけには行かない。

そこで熊本に近い「反対する会・福岡地区」の会員が導入当日の朝熊本で非協力乗車と交通局への訪問を行い、当会の意見書を担当者に手渡した。

以下、当該福岡地区会員からの報告である。

女性専用車両導入初日に非協力乗車

今朝は熊本の女性専用車両の初日ということで乗車してきました。

行程は

熊本駅前7:22→通町筋7:40

通町筋7:51→健軍校前8:12 (通町筋→健軍校前は車両運用の都合上、非女性専用車両)

健軍校前8:16→田崎橋9:00


熊本駅前から乗車。

導入初日ということでマスコミ(熊本朝日放送)の関係者がホ―ムにいました。

ホームで待っていると、田崎橋行き(これには乗らない)が到着。

都心とは逆方向へ向かう便のためか、乗務員以外には乗客が3名ほど乗っているだけでした。

しばらくして、乗車予定の7:22発の辛島町方面へ向かう列車が到着。

熊本駅前に到着した列車

熊本市交通局は女性専用車両について、サイト上で「個別の声かけは行わない」としていますが、一応その記載通り実際に男性である私が乗車しても、乗務員がアナウンスで「後ろの車両は女性専用車両となります」とは言うものの、声かけは行ってきませんでした。

ただし、あくまで「個別の声かけは行わない」というだけで、車内での女性専用車両アナウンスは非常にしつこく行っていました。

混雑は前(非女性専用車両)の方がやや混み気味。

途中、祗園橋で男性が女性専用車両に乗車してきました。

この男性客に対してもやはり個別の声かけはなかったものの、しつこいアナウンスでのせいで非女性専用車両のほうに移動してしまいました。

河原町あたりで前の車両(非女性専用車両)はほぼ満員になりましたが、女性専用車両はまだ余裕が。
私以外にもう一人、女性専用車両内に男性がいるようです。

女性専用車両に乗る男性には直接声をかけないが、近くにいた中学生の会話の声量が大きかったのか、こちらに対し職員が声をかけて注意していました。

辛島町からは都心部に入るので降車が増え、そして熊本城・市役所前で大量に降車しました。

通町筋で上熊本からのB系統に乗り継ぐため降りましたが、乗る予定にしていた電車がこの日は運用の都合で1両編成に変更になっていました(女性専用車両があるのは2両編成のみ)。

そのため健軍校前までは非協力乗車ではなく、単なる移動となりました。

健軍校前に到着した列車

健軍校前からA系統(熊本駅前方面)に・・・

健軍校前からはA系統の熊本駅前方面に乗車。既に立ち客も多く出ていました。

今のところ、女性専用車両も非女性専用車両も混雑は同じくらい。

やはり女性専用車両に乗る男性に対する個別の声掛けはないものの、アナウンスがしつこいです。

女性専用車両内には私以外に男性はいないようです。

「男性は1本見送って後続の列車を待つのか?」と思っていたら実際に神水交差点(電停)で男性客が乗車を見送ったのを確認しました。

交通局前で乗務員が交替し、男性の乗務員に替わって女性の乗務員が乗車してきました。

この女性乗務員はあまり女性専用車両の案内をしつこくはしませんでした。

水道町から都心部に入り乗客は減っていき、辛島町で多数下車して車内の混雑は大幅に緩和しました。

女性専用車両内には私以外に男性客が2人。

どこの局かは分かりませんが、前の非女性専用車両にマスコミ関係者も乗車していました。

辛島町を過ぎてからは女性専用車両への男性の乗車がやや増えてきました。

時間的に女性専用車両が終了したと思っているのかもしれません。

熊本駅前で残りの乗客もほぼ降りて、終点の田崎橋に着く直前ではほんの数人になりました。

そして到着後、女性専用車両の時間が終わったので「女性専用車両」の表示をはがしていました。

車内から「女性専用車両」の表示を外す作業をしている。

この後少し休憩して交通局に向かい、会の意見書を提出し、今日の活動を終了しました。

熊本市交通局
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(福岡地区会員からの報告ここまで)

熊本の女性専用車両について考察してみる

会員からの報告を見る限り、確かに女性専用車両の設置で車両による混雑差は生じていたようだ。

実際、「いつもより混雑しておらず、乗りやすかった」などという女性客の声(その分、非女性専用車両や後続列車が混んでいるはずだが・・・)を紹介したマスコミ記事が女性専用車両の導入早々に出ているので、女性専用車両のほうが空いているのはどうやら間違いなさそうである。

しかし、2両編成中の1両を女性専用車両にするということで、恐ろしいまでの混雑格差が生じるかと思われたが、どうやらそこまではいかなかったようである。

恐らく、女性専用車両のある列車がごく限られていることや朝ラッシュ時には列車を頻繁運転しているためだろう。

つまり、列車自体は編成が短いが頻繁に運転をしているため、実質編成の長い列車が1時間に2~3本程度来るのと、輸送力としてはさほど変わらないのである。

そして、女性専用車両のある2両編成の列車がごく限られている(下の時刻表の〇印のみ)ため、全体としては編成の長い列車に女性専用車両が1両あるのと割合としては変わらないのである。

熊本駅前電停の平日朝(健軍町行)の時刻表
女性専用車両があるのは〇印の列車

もし、上記〇印の列車だけでなく、すべての列車で(1両の列車でも中に仕切りを設けて)車内の半分を女性専用車両にしたならば、恐らく大混乱は必至だろう。

しかしながら、混乱に至らないからそれでいいというものではない。

建前ではあっても痴漢対策・盗撮対策を前面に出している時点で、男性を全て犯罪者予備軍として特定の車両から締め出そうとしていることには違いない。

そして同じ運賃を取りながら、生まれもった「性別」という本人の意思や努力では如何ともしがたい「属性」で排除することは男性に対する不当な差別である。

(だからこそ、任意協力という名目にして、「強制してないから差別ではありません」と言えるようにしているのである)

また、男性であるというだけで乗車を見送っている人がいることを考えると、すんなり差別を受け入れてしまっているわけで、大いに問題ありだろう。

男性自身の自己肯定感が、無意識のうちに失われているのではないか?

そう言うと、「痴漢がいるのだから仕方がない」などと言いだす者が必ず出てくるのだが、先述の通り「痴漢対策は建前」である。

痴漢対策という表向きの綺麗ごとに騙されてはいけない。

交通局にメールや電話で抗議をするのも一つの方法だが、これ【だけ】ではいずれ抗議の声は「沈静化」してしまう。

いつまでもメールや電話で抗議し続けられる人などそうそういないし、また実際の乗車活動などと組み合わさなければいずれ抗議で言う(書く)こと自体なくなってくるのだ。

また、メールや電話での抗議は、個人と鉄道事業者とのやり取りであり、それだけでは世間には活動としてなかなか認知されない。

やはりこうした活動は、世間に認知されないとなかなか影響力を持つことは出来ないから、そういう意味でも実際に乗車する活動は重要である。

熊本は現在試験導入中だが、今後さらなる拡大をさせないためにも実際に非協力乗車を定期的に続けるなど、継続的に活動をして行く必要がある。

熊本の方で女性専用車両に不満や疑問を持たれている方は是非、入会申し込みフォームより、当会に入会申し込みいただきたい。

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