2022年3月 熊本市電の女性優先車両の本格導入とその後の動向、当会とのやり取りについて

2020年9月に突然、2両編成の市電に女性専用車両の導入を発表し、翌2021年4月に女性優先車両と名称を変えて本格導入した熊本市交通局。

本格導入から約1年が経ち、最近はあまり話題にならなくなってきましたが、当初からおかしなことだらけだったので当会としても様々な方法で抗議活動を行ってきました。

ここで昨年(2021年)11月に3回目の質問状を出したことも含め、導入発表から現在までの経緯を様々な考察も交えながら振り返ってみることにしました。


感染症の流行で乗客が減った⇒女性専用車両を設けて女性客を呼び込もう

女性専用車両は痴漢対策だから仕方ない?

女性専用車両と言えば世間では痴漢対策だと多くの人が認識していると思われる。

「本当に痴漢対策なのか?」と疑問を呈する人は恐らく少数派だろう。

(以下はインターネット上で良くある専用車両賛成派と反対派のやり取りをこちらで再現したものである)


反対派:女性専用車両は差別!

賛成派:痴漢する男がいるから女性専用車両が出来たんでしょう。そんなに差別差別って言うなら痴漢に文句を言えばいいのでは?痴漢を無くせば女性専用車両も必要なくなりますよ。
(↑痴漢をゼロにすることはほぼ不可能なので、そう言っておけば反対派はギャフンと黙るだろうと計算をしている。また詳しくは後述するが、女性専用車両には痴漢対策ではない存在理由があり、仮に痴漢がなくなっても女性専用車両はなくならない。そして鉄道事業者は痴漢の件数を公表していないため、痴漢がなくなったことを把握するすべがない。)

反対派:痴漢に文句を言っても聞くわけがない。女性専用車両は差別だから廃止するべきです。

賛成派:痴漢被害者がどれほどひどい目にあっているか、知らないんでしょうね。
まあ、痴漢被害が深刻だから設けられた女性専用車両を差別だなんて言ってしまうようではそこまで考えられないのも仕方ないかもしれませんね。

(↑痴漢被害者を引き合いに出す賛成派の常套手段。女性専用車両が絶対唯一の痴漢対策であるかのような前提でものを言い、反対派を「痴漢被害者のことを考えられない奴」に仕立て上げてしまう。こういう人間は男性への差別に無配慮なのはもちろん、痴漢被害者に対しても配慮しているように見えて、実は「自分が女性専用車両を保持・拡大したい」から痴漢被害者をダシにうまく利用しているだけである。

反対派:女性専用車両で痴漢は減っていませんが・・・

賛成派:女性専用車両はシェルターなんだから、痴漢が減る・減らないは関係ないですよ。
それに、そんなに女性専用車両を廃止したいんなら代替案を出すべきです。
(↑女性専用車両で痴漢が減らないと分かったので「これはシェルターであって、痴漢を減らすためのものではない」と正当化。導入当初の目的は「痴漢を減らすため」だった。また「代替案を出せ」といいつつ、実は代替案など望んでいない。「どうせ代替案など出せるわけがないだろう」と思って言っている。)

反対派:車内監視カメラをJR埼京線に設置したところ、痴漢が6割減少しました。痴漢の減らない女性専用車両と監視カメラならどちらが有効ですか?

賛成派:死角も多いカメラで一体何ができるのですか?
まして、監視カメラはプライバシーの侵害です!
それにカメラは設置費用が莫大なんです!

世の中何をするにもお金がかかる…そうすると結局設置が進みませんね。
地に足つけてものを考えないとダメですよ!
(↑あれほど「痴漢被害者が!」と言っていたのに、より効果のある代替案を示すと「女性専用車両を無くすな!」とばかりにあの手この手で反撃。こういうところからも「女性専用車両を保持したいだけ」で、効果的な痴漢対策など実は全く望んでいないのが分かる。)

反対派:設置費用が莫大と言うのはウソですよ、一畑電車など地方の赤字ローカル線でもやっているところがありますから。痴漢対策は監視カメラに任せて、公共の場での差別である女性専用車両は廃止しましょう。代替案は出しましたよ。

賛成派:女性専用車両と監視カメラを同時に運用すればいいんですよ!

反対派:あれ? さっき「カメラはプライバシーの侵害」とか言ってませんでしたか?
女性専用車両と併設すると、監視カメラがプライバシーの侵害でなくなるんですか?
それに監視カメラの設置に莫大な費用が掛かるというなら、女性専用車両と同時に運行した場合はもっと費用がかかるはずです。
監視カメラ導入によって女性専用車両が廃止になるのを阻止したいだけなのがミエミエですよ。
本当は効果的な痴漢対策など望んでないのでしょう。
女性専用車両を守るために痴漢やその被害者をダシに使っているだけじゃないですか?

このように正論で応答していると(インターネット上の議論ではありがちだが)賛成派に逆ギレされることもある。

賛成派:女性専用車両は差別だとかくだらないことばっかり言ってるから%$#&@?#Φなんだよ!(・・・以下、暴言のため略)
(↑自分の立場が悪くなると暴言を吐いて反対派をブロックしてしまう。暴言には「モテない」だの、「アホ」「ボケ」「低脳」だの、挙げ句の果ては「○ね!」だのと目を覆いたくなるような誹謗中傷・罵詈雑言・人格攻撃が含まれることも。)

反対派:あぁ、これは賛成・反対以前の問題だね。
女性専用車両を守るのに必死でなりふり構わずになってしまってるよね。
自分で「賛成派なんてこの程度」と言っているようなものなんだけど、気づいてないよねきっと。


一応念のために言っておくと、当会は鉄道事業者の施策に異を唱える団体であって、女性に敵対するための団体ではない。

あくまで活動対象は鉄道事業者であって女性ではない。

また、インターネットネット上では当会のような団体を「非モテ男の集まり」と決めつける人もいるが、実際には多くの男性会員が普通に女性との関わりも持っているし、何なら既婚者だっているし、女性会員もいる。

当会の会員達は鉄道会社の欺瞞を許せない者達の集まりである。

さて、上記の”再現”では敢えて反対派を勝たせたが、実際のやり取りでは「女性専用車両が差別であり不当だ」といくら主張しても「痴漢対策だから差別じゃなくて区別」「ちょっとは被害者のことを考えろ!」「男が痴漢するから悪い!」などと一方的に押し切られた経験をお持ちの方も多いのではないだろうか?

上記の賛成派のように女性専用車両を自分の既得権益と捉え、それを守ろうとしているだけの人間でも、痴漢やその被害者の存在を引き合いに出せば、もっともらしく被害者の擁護をしているフリをして差別を正当化できるのである。

しかし、乗客の中にそうした者がいるだけでなく、女性専用車両を痴漢対策以外の目的で導入しているとしか思えない鉄道事業者がほとんどだ。

以前から述べているように、女性専用車両自体が本当に痴漢対策なのかどうかは非常に怪しい。

今回、以下に紹介する熊本市交通局もそんな事業者のひとつだ。

「迷惑行為防止の取り組み」は表向きの理由だった

熊本市交通局が突然、2両編成の路面電車に女性専用車両を導入すると発表した2020年9月以降、当会から2度にわたって熊本市交通局に質問状を出している。

いずれも交通局から回答があったが、女性専用車両(優先車両)は「痴漢等、迷惑行為防止の取り組み」という前提での回答であった。

(2020年12月に出した1回目の質問状

ところが、女性専用(優先)車両が本導入されることがほぼ本決まりになった翌2021年3月頃になって、熊本市交通事業管理者の古庄修一氏が2020年9月の市議会で「コロナで市電の利用が減っている中で話題作りのため、女性に快適に乗車していただくため、女性専用車両を設けようというアイデアが出ました」といった趣旨の答弁をしていたことが判明した。(下記)

http://kumamoto.gijiroku.com/voices/cgi/voiweb.exe?
ACT=200&KENSAKU=1&SORT=0&KTYP=0,1,2,3&KGTP=3&FYY=2020&TYY=2020&TITL=
%93s%8Es%90%AE%94%F5%2C%8C%9A%90%DD&TITL_SUBT=%97%DF%98a%81@%82Q%94N%91%
E6%81@%82R%89%F1%93s%8Es%90%AE%94%F5%95%AA%89%C8%89%EF%81%7C09%8C%8E17%93%
FA-01%8D%86&KGNO=1558&FINO=2908&HUID=190151&UNID=K_r02091735011

熊本市議会議事録での「古庄発言」これでは女性専用(優先)車両は、コロナによる減客・減収対策だと言っているようなもの

要するに「コロナウイルスで乗客が減ったから女性専用車両を設置して女性客を呼びこもう!」ということだったのである。

女性客に対する人気取り、コロナによる減客・減収対策であり、最初から「防犯のためのやむを得ない導入」などではなかったのだ。

交通局はそれを「痴漢等、迷惑行為防止の取り組み」などと称していた(今も称している)のである。

しかも、熊本市交通局が女性専用車両の導入を発表した2020年9月から当会で「女性専用車両」「女性優先車両」などのワードで数か月にわたって何度も市議会議事録を検索したのだが、表示されるのは「該当する発言は存在しませんでした」の文字ばかりだった。

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熊本市議会議事録の検索画面。古庄氏の答弁から約3か月経った2020年12月の時点でもご覧の通り

ところが先述の通り、2020年9月の古庄氏の答弁から約半年も経ってから、女性優先車両の本格導入がほぼ決まった翌年の3月ごろになってようやくその答弁が公開されたのである。

女性専用(優先)車両の導入が本決まりになるまで、一般に知られないよう公開を遅らせていたのだろうか。

マスコミも偏向報道で女性専用(優先)車両の正当化に加担

2020年9月に熊本市交通局が女性専用車両の導入を発表した直後からマスコミ報道を見た全国の人々から熊本市交通局に反対意見が殺到するも、偏向マスコミが「女性専用車両=痴漢対策」の前提で報道し、さらに「反対意見はなぜか県外からのものばかり」などと、最初から反対意見を「よそ者の意見」として切り捨てた。

そもそも女性専用車両が差別か否かは特定の地方・路線の問題ではなく、「公共交通における普遍的な問題」であるので、このように県外だからと切り捨てること自体おかしい。

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熊本市電が試行する「女性専用車両」になぜか県外からクレーム相次ぐ?「2両しかないなら片方は男性専用にすべきだ!」と門外漢なのに...
きのう14日(2020年9月)から試みが始まった熊本市電の「女性専用車両」に、意外なところから反響が広がっている。試験運用を発表した1日以来、問い合わせの数が100件以上あり、うち半数以上が県外からのクレームだというのだ。熊本市の中心街を走...
女性専用車両は「男性差別?」 熊本市電、県外中心に意見相次ぐ|熊本日日新聞社
熊本市電 女性専用車両を試験導入へ|熊本日日新聞社

もし、県外からの意見が反対ではなく賛成意見だったら、マスコミはそれを「県外からの意見」と切り捨てただろうか?

恐らく「熊本の女性専用車両導入は地元だけでなく、全国的にも広く支持されている」などとやっていたであろうことは想像に難くない。

要するにマスコミは最初から一方的に賛成側に寄った偏向報道をしていたのだ。

これがマスコミによる世論形成(プロパガンダ)の常套手段ではあるわけだが。

ちなみにネットニュースのコメント欄には地元民からのものと思われる反対意見も少なからず存在したのだが、取り上げられることなく黙殺されてしまった。

 
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また、2020年9月に女性専用車両の試験導入を発表してから翌年3月までの間に交通局は2度にわたって乗客にアンケートを取り、女性専用車両に賛成多数だったとして、女性専用車両の本格導入を決定した(本格導入がほぼ決まってから古庄氏の発言が市議会議事録に公開されたのは先述の通り)。

これだけでも交通局・マスコミ共にやり方が非常に汚いといえるが、良く考えてみてほしい。

そもそも公共交通機関に女性専用車両のようなものを設けること自体が「同じ運賃を支払えば誰でも公平に利用できる」という、公共交通の大原則に真っ向から反するものだ。

そこを「痴漢対策のため」と言って、原則を無視して導入されたのが女性専用車両なのである。

なのに今回の熊本市交通局は感染症の流行で客が減ったからと、女性客を呼び寄せ収益を上げるための人気取りサービスとして女性専用車両の導入を行っており、まさに言語道断。

ましてや熊本市交通局は❝公営の❞公共交通事業者である。

公営の公共交通機関がこんなことをしても良いものだろうか?

もっとも、そのあたりを追及しようとすれば「任意のご協力で強制ではありませんので、公共の場における差別には当たりません」と言い逃れすることだろう。

そう考えて行くと、なぜ熊本市交通局が女性専用車両を本導入の際に「女性優先車両」と改名したのか、良く分かろうというものである。

熊本市交通局への3回目の質問状とその回答

先述の通り、1回目と2回目の質問状を出した時点では当会もそうした情報(=古庄氏の発言など)を知らされておらず、何かおかしいと思いつつも一応「女性専用車両は痴漢等の迷惑行為防止の取り組み」という前提で質問せざるを得なかった。

しかし「女性優先車両が痴漢対策ではない」といえるほぼ決定的な証拠が市議会議事録で公開されたため、当会では2021年10月に3回目の質問状を熊本市交通局に出すことにした。

(質問状冒頭の挨拶及び、末尾の連絡先等の記載は省略)

それに対する熊本市交通局の回答は実にふざけたものだった。

(こちらも冒頭の挨拶及び、末尾の連絡先等の記載は省略)

【女性優先車両に関する質問に対する回答】

<質問 1> 貴局市電における女性優先車両の導入について、本当の目的は何でしょうか。

【回答】

これまでお答え申し上げたとおり、市電車内で痴漢や盗撮等の迷惑行為が毎年発生しており、その被害を受けるおそれのある女性のお客様に対し、少しでも安心して利用できる環境を提供するために導入いたしました。

<質問2> 導入理由が変遷しているといえる点」について、その経緯をご説明願います。 また、当初「女性専用」としていたものを「女性優先」と変更した件はこの導入理由の変遷とは関係があるのでしようか。

【回答】 導入理由が変遷している認識はございません。

(補足) 令和2年 第3回都市整備分科会での発言は、委員からの質問に対し、その導入を検討するに至った切っ掛けについてお答えしたもの(他の団体等からのご意見ではなく、現場の提案をきっかけに検討を進めたこと)でありその後局内において検討した結果、被害を受けるおそれのある女性のお客様に対し、少しでも安心して利用できる環境を提供することで、快く市電を利用いただくという趣旨で導入することにしたものでございます。

交通局からの回答はこれだけである。

当会からの質問状には、質問の前に前置き(女性優先車両の導入理由が交通局の発表と市議会の内容とで大きく異なることなど)を記載し、その上で「【これらの経緯を踏まえ】以下の通り質問します」と書いてある。

ところが交通局は「これらの経緯」をほとんどスルーして回答しており、都合の悪いことには触れず、ただシラを切ったようなものである。

<質問1>への回答について、質問状の中で当会からは

「迷惑行為防止の取り組み」に端を発したものではなく、「女性専用車両(女性優先車両)の導入によって話題作りと女性客の呼びこみを行い、新型コロナウイルスの影響による減収対策にしよう」という意図が明白であります。

と言った上で、「本当の理由は何でしょうか」と質問しているのだから、それでもやはり交通局が「女性優先車両は痴漢や盗撮等の迷惑行為防止の取り組みだ」というのなら、きちんとその根拠・理由も言わなければ説得力がない。

なのにそこにはまったく触れずに、ただ「これまでお答え申し上げた通り、痴漢など迷惑行為防止の取り組みです」と、シラを切ったようなもの。

シラを切るだけなら小学生でも出来る。

なぜまともに回答しないのか。

一言で言えば「答えられないようなことをやっているから」である。

当会の言っていること(=女性優先車両は迷惑行為防止のためではない)が違うというのなら、きちんと反論すれば良いのである。

それをせずにこのようなふざけた対応をするということは熊本市交通局がどういう考えで女性専用(優先)車両を推していたか、良く分かろうというものだ。

<質問2>への回答についても同様。

「導入理由が変遷している認識はございません」と、とぼけるだけなら小学生でも出来る。

古庄氏が「コロナで人が減っている中で、話題作りのため・・・」と言っていたのが、いつの間にか「迷惑行為防止の取り組み」に変遷しているのは誰の目にも明らかではないか。

(熊本市交通局サイト内、一般向けお知らせページ)

女性優先車両試験導入の結果について
一般向け お知らせ / 熊本市交通局

それを理由も述べずに、ただ「変遷している認識はございません」とすっとぼけて済まそうとするのはみっともないにも程がある。

まるで不正を追及されて言い訳ができなくなり、「記憶にございません」を連発している政治家のようだ。

また、回答の最後に(補足)として、

令和 2 年第 3 回都市整備分科会での発言(=古庄氏の発言)は、その導入を検討するに至った切っ掛けについてお答えしたもの(他の団体等からのご意見ではなく、現場の提案をきっかけに検討を進めたこと)であり・・・

と書いてきているが、そもそもコロナ禍で客が減ったからと、女性専用(優先)車両を導入する話が出てくる時点で「迷惑行為防止の取り組み」はウソである。

逆に言うと、コロナ禍による減客・減収がなければ女性専用(優先)車両導入の話は出て来なかったわけで、これを

その後、局内において検討した結果、被害を受けるおそれのある女性のお客様に対し、少しでも安心して利用できる環境を提供することで、快く市電を利用いただくという趣旨で導入することにしたものでございます。

などと言っても、客寄せのために女性専用(優先)車両を導入したのを、後から「迷惑行為防止の取り組み」にかこつけて正当化しているだけなのがバレバレである。

これだけ見ても、熊本市交通局がいかに腐りきっているか、よくわかるだろう。

このすぐ下の「熊本市交通局は女性専用(優先)車両に集客効果を期待していた」の項で後述するが、
実は交通局自身も女性専用(優先)車両導入による集客効果に非常に大きな期待を寄せていたのである。

当会は熊本市交通局に対し「(交通局が自ら)女性客寄せのためにやったんだろう?迷惑行為防止は建前だろう?」と今回の質問状で追及したわけだが、いずれにしても交通局は当会の追及には答えず、シラを切っただけで完全スルーした形である。

「女性専用(優先)車両も本決まりになったので、あとは反対派が何を言おうがもう女性優先車両の本格導入は動かない。だから都合の悪いことを突っ込まれても、まともに答えず適当にあしらっておけばそのうち諦める。」と見くびって、交通局はこのようなふざけた回答をしてきたのだろう。

だからこそ徹底的に非協力(任意確認)乗車して、こちらからも「決して諦めない」と意思表示をする必要がある。

諦めたら交通局の思う壺だ。

インターネットを見ていると、我々の非協力(任意確認)乗車という「諦めない意思表示」に対し「女性専用車両に不満があるなら、無理やり乗り込んで迷惑かけるという馬鹿なことはしないで本社(本局)に直接言えばいいのに反対派って何でこんな簡単なことも分からないんだろうね。」などという人間がいる。

だが何も分かっていないのは実はそのように言う人間である。

本局に直接言えば交通局が言うことを聞いてくれると思っているのだから。

それに女性専用車両(熊本は「優先車両」だが・・・)と書いてあっても、これは「男性は乗車禁止と勘違いさせるため」であって実際は任意協力なのだから、乗ったから迷惑と言うのもおかしい。

本当に「女性専用」だと勘違いしているから迷惑と思うだけである。

他の車両に男性がいただけで迷惑と思うかどうか考えてみれば良い。

女性専用車両も「”女性専用”車両と書いたステッカーを貼った、ただの一般車両」であって本当に女性専用というわけではない。

我々の非協力(任意確認)乗車という「諦めない意思表示」に対し「反対派は本局に行け」と批判する人は、一度ご自身が交通局に直接行って「男の乗車を禁止にして下さい」と申し入れてみてはどうだろう?

局がどういう対応をするか、よくわかるはずだ。

熊本市交通局は女性専用(優先)車両に集客効果を期待していた

ここまで、

「熊本市交通局は女性優先車両を女性向け人気取りサービスとして捉えている」

「迷惑行為防止の取り組みはウソだ」

と言い続けてきたが、中には「本当にそうなのか?」と思う人もまだいるかもしれない。

「確かに市議会で交通事業管理者の古庄氏が『コロナで人が減っているので何とかしたい中で、女性専用車両を設けたらどうだろうというアイデアが・・・』と発言していたが、それは古庄氏がそう言っていただけで交通局全体が女性専用(優先)車両を『女性客を呼びこむための切り札』だと考えていたと言えるのだろうか?」と。

実は交通局側が女性専用(優先)車両をどのように考えていたかが良く分かる、こんなエピソードがある。

2020年9月に交通局が女性専用車両の導入を発表した際「わずか2両編成で女性専用車両を設置して混乱を生じないか?」という懸念の声がネットをはじめ、あちらこちらで上がったのだが、交通局がそれに対して、

「乗客の男女比が1:1なので、2両に1両女性専用車両を設けても今まで一緒に乗車していたのが分かれて乗車するようになるだけなので問題ない」

などと答えていたことがある。

すでに女性専用車両が導入されている路線を利用している人なら分かると思うが、女性専用車両を設けたからと言って女性がすべてそちらに行くわけではない。

だからこそ女性専用車両を導入しても痴漢がなくならないのである。

交通局は「女性専用車両を設けると女性が100%女性専用車両に乗るはず」という、ありえない思い込みをしていながら、それを全く意識していないのだ。

さらに交通局はその「女性専用車両を設置すると100%男女が分かれる」という思い込みを前提にして、

「他の時間に利用していた女性が女性専用車両に乗りたいと考えることで、女性専用車両の混雑率が上がるかも知れない」

などと、さらにぶっ飛んだ回答をしていた。

つまり、「熊本市電の利用者の男女比は1:1で、女性専用車両を導入すると女性がすべてそちらに行く。なので男性が乗る非女性専用車両はこれまで通りだが、女性専用車両の効果で女性客が大幅に増えて、そちらが混雑してしまわないか?」と言っているのである。

これは2020年9月11日付の「FNNプライムオンライン」で報道されたものだが、これを見ても熊本市交通局の考えがいかにズレているか、手に取るように良く分かるだろう。

2両編成の1両を“女性専用車両”に…路面電車に試験導入する熊本市に聞いた(FNNプライムオンライン)

https://www.fnn.jp/articles/-/81330

熊本市交通局は「女性専用(優先)車両を設けると、まるでアイドルにキャーキャー言って群がるファンのように女性客が女性専用車両に乗りたがり、どんどん集まってくるだろう」と考えていたのである(もちろん実際にはそんなことにはならないが)。

すなわち、「熊本市交通局は女性専用車両設置による客寄せ効果に強い期待を寄せていた」ということになる。

またこの発言(報道)について、2020年12月に出した当会からの1回目の質問状で交通局に「本当に事実なのか」と確認を取ったところ、回答で「事実であること」を認めていた。

(質問6とその回答を参照)

なおこれは余談だが、熊本で2両中1両女性専用(優先)車両を設けても混乱しなかったのは、もともと首都圏や関西圏ほど人が多くないというのもあるが、一番の理由は朝の時間帯は数分に1本程度の高頻度運転を行っている上、女性優先車両がある列車はその中のごく一部(10本中1本程度)だからである。

交通局の言うように「今まで一緒に乗っていたのが男女分かれて乗るようになっただけだから」では、決してない。

それは2020年12月に行った、熊本市電への非協力乗車会で女性専用車両でない前方車両にも女性客が多数乗っていることを確認済みである。

質問状への回答だけではない、熊本市交通局のふざけた対応

上記の「3度目の質問状」(2021年11月)からは少し戻るが、熊本市交通局通局は2021年の3月に女性専用(優先)車両の本格導入を決める前に、一度「1月から本格導入を行う」と発表したことがある。

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この時は市議会で「拙速すぎる」との批判を受け、とりあえず3月に延期したようだが、なぜ熊本市交通局はこのような「拙速な」本格導入を実行しようとしたのか?

実は、当会が2020年の12月7日に熊本市交通局本局を直接訪問し抗議活動を行ったのだが、それに先立ち11月の下旬に「12月7日にそちらを訪問したい」と、交通局に申し入れていたのである。

すると当会が訪問する直前の12月4日になって突然「熊本市交通局が2021年1月から女性専用車両を本格運用」というニュースが流れ、12月7日の交通局訪問の前日(つまり12月6日の夜)全国から熊本に集まったメンバーが急遽、交通局に直接質問する内容を変更する話し会いを行わざるを得なくなったのである。

2020年12月 熊本市電非協力乗車会&熊本市交通局訪問の報告

もちろん、女性優先車両の本格導入発表がたまたま当会の訪問の直前になった可能性も完全に否定は出来ないが、当会の申し入れを受けて交通局がそれに合わせて本格導入を発表したのなら、かなりやり方が露骨だとも言えるだろう。

それこそ当会が抗議に行った時点で「既に本格導入は決まってしまいましたので、残念でした!」で片付けようとしていたのではないかと勘ぐってしまう。

しかもその上、当会が12月7日に実際に交通局を訪問すると「このあと研修があるので」と対応を非常に短い時間で切られてしまい、こちらが言うべきことも十分に言えないまま抗議を終わらされてしまった。

これも本当に研修があった可能性もゼロとは言いきれない(あるいは当会が抗議に来ると知って、わざと研修を入れた可能性もある)が、やはり当会をさっさと帰らせるための作戦だったと見るほうが自然な気がする。

当会が訪問の一か月以上前から話し合いを重ね、本格導入を阻止するべく作成していた質問の数々も、訪問直前の「本格導入決定発表」で大幅に書き直さざるを得なくなった。

仕方なく訪問前日に熊本市内でミーティングを行って、限られた時間内で必死で質問の内容を話し合いなんとか作り直したのだが、それで実際に訪問したらこれである。

このことからも、熊本市交通局は女性優先車両を本格導入するため、反対派対策としてあの手この手を尽くしていたことが分かる。

もちろんここまで再三述べて来たように、痴漢被害から女性を守るためではない。

世間一般の人々からすれば、恐らく「女性専用車両は痴漢被害から女性を守るために設置されたのに、それを理解できない男たちが差別だの不公平だのとゴネている」程度の認識しかないだろう。

そして交通局もそれを知っていてわざと「迷惑行為防止の取り組み」などとウソを言っているのだろう。

「コロナによる減客・減収対策」という本当の目的を隠すために・・・

先ほども貼ったが、交通局がウソつきだと再認識していただくため、もう一度熊本市交通局サイトに記載されていた「女性優先車両導入の背景」を貼っておく。

痴漢対策・迷惑行為防止の取り組みではないからこそ、交通局はそれを指摘される前に先回りしてわざわざこのようなページをアップし、「これは迷惑行為防止のための取り組みなんです!」と予防線を張っておく必要があったのだろう。

ここまできっちりとこのページを読んでくださった方なら、当会に偏見のある人や女性専用車両を自分の既得権益だと捉えているような人でない限り、交通局の言う「迷惑行為防止の取り組み(痴漢対策)」など、単なる「表向きのキレイごと」であることがお分かりいただけると思う。

だからこそ私達は抗議活動を行っているのだ。

そして抗議の対象は「女性」ではなく、このようなふざけた態度をとる鉄道事業者である。

当ページをお読みくださっている皆様へ

世間では特にインターネット上の女性専用車両賛成派や当会アンチなどは、反対派が『女性だけ優遇されてずるい!』という認識で女性を憎んだり怨んだりしているという方向に話を持って行きたがる傾向がある。

「常に女性に恨みや憎しみを抱いており、そのうち女性に対して恐ろしいことをやりかねない」といった実際とかけ離れた反対派のイメージを世間に垂れ流しているのだ。

またマスコミがそういった記事を流すこともある。

「女性専用車両を許せない男」が女性に抱く6種類の怒り-「この世は女尊男卑」と信じる人たち
PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

https://president.jp/articles/-/37888

この記事の書き手は「女性専用車両反対派=ミソジニスト(女性嫌悪者)」と、本当にそう思って書いているのなら、もう少し当会をはじめ反対派のことを良く見るべきだろう。

まさかとは思うが、意図的に女性専用車両反対派=ミソジニストと世論を誘導しようとしたのならとんでもない事である。

(とは言え、この世に一人でも「女性専用車両反対を唱えるミソジニスト」がいれば、この記事も一応は「嘘はついていない」となってしまうので、こちらとしては何とももどかしいところではある。)

先ほども言ったが、私達の活動対象は鉄道事業者である。

鉄道事業者に文句が言いたいのであって、女性に文句が言いたいのではない。

女性の側から文句を言ってくればこちらも対応せざるを得ないが、それが当会の目的ではない。

私達は鉄道事業者や専用車両推進派(男女問わず)に異を唱えているだけであり、女性を憎んでいるわけではない。

ただ、公共交通機関における男女差別に疑問を抱き、活動しているだけなのだ。

当会は性別に関係なく、当会の活動の趣旨を理解し同意してくださる方なら入会を受け付けているし、実際に女性の会員もいる。


以前、当会関東本部の活動を取材していただいたマスコミ記事。女性会員の存在も記載されている(左の記事のアップ)

大体、当会が本当に女性を憎悪するような団体なら、そもそも女性の入会を受け付けるわけがない。

当会は「男女が憎しみ合わない社会を」をスローガンに掲げている団体であり、女性に対する憎しみや恨みから「坊主憎けりゃ袈裟まで憎し」で「女性専用車両反対」を言うような人は当会に入会を申し込んできたとしてもお断りである。

もちろん当会の活動趣旨を正しく理解し、賛同いただける方には是非とも当会に入会していただきたい。

先ほど、交通局は反対派など軽くあしらっておけばそのうち諦めると思っている。だから徹底的に非協力(任意確認)乗車して、こちらからも「決して諦めない」と意思表示をする必要があるのだと述べた。

しかしながら現在、熊本には非協力乗車する会員がいない状態である。

当会から何度か会員が関東・関西・名古屋などから熊本に出向いて非協力乗車などをしているが、毎日のように乗車するわけには行かない。

この先も交通局を牽制する意味でも、熊本やその周辺にお住まいの方で女性専用車両に反対の方や交通局のやり方・態度に疑問を感じる方は是非入会申し込みフォームより入会申し込みいただきたい。

今回は「熊本市交通局の女性優先車両は迷惑行為防止の取り組みを口実にした女性客寄せサービス」という話をしたが、これは熊本だけの特殊事情ではない。

当会サイトでは関西のJR西日本の実態なども再三取り上げてきた。

もし興味があれば過去の活動履歴も読んでみてほしい。

もちろん熊本市交通局通局やJR西日本以外の鉄道事業者でも、女性専用車両が客寄せやイメージ戦略・広告料収入源などになっていることは往々にしてある。

引き続き関東・関西・名古屋(札幌や福岡も)の新規入会も受け付けているので、熊本以外の方も是非お願いしたい。

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女性専用車両に反対する会では新規入会者を随時募集しています。
当会は男女を問わず、さまざまな年齢や立場の会員が在籍しています。
女性専用車両について疑問に思っておられる方や不満に思っておられる方はぜひ当会にお越しください。

入会申し込みフォーム よりお待ちしております。

活動履歴
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