2019年9月 関西本部:南海電鉄南海本線&大阪メトロ御堂筋線&JR大阪環状線 非協力乗車会

当会関西本部では、2019年9月2日の朝、南海電鉄南海本線と大阪メトロ御堂筋線・JR大阪環状線で非協力乗車会を行いました。

南海本線での非協力乗車は当会としては初となります。

以下、その報告です。


南海電鉄・南海本線で、当会初の非協力乗車

女性客や職員からの声掛け無し。少数ながら男性の乗車も。

当会としては初の南海本線 非協力乗車

南海電鉄は現在、平日の朝ラッシュ時に南海本線の上り急行と、高野線の上り急行・区間急行で女性専用車両を運行している。

南海電鉄が女性専用車両を導入したのは相当古く、既に導入から20年近くが経っている。

当会が発足したのは2003年のことだが、南海の女性専用車両導入も、大体そのころである。

当会関西本部では、これまでからも多数の乗車会をこなしてきた。

この「活動報告」に載らなかった乗車会も実は多数あるのだが、当会における、南海本線での非協力乗車は今回が初めてである。

関西では、JR西日本や神戸市営地下鉄など、土日も含めて毎日・終日実施する路線や平日のみであっても、やはり終日実施する大阪メトロ御堂筋線や阪急京都線(の特急関係)、神戸電鉄(ほぼ終日だが、早朝のみ解除)など、運行時間の長い鉄道事業者が多く、またJR西日本は路線数自体も多いので、実施時間帯が平日の朝に限られている路線での乗車活動は後回しになってしまっていた。

近年になって、京阪電鉄や近鉄奈良線など、平日の朝のみ女性専用車両実施の路線でも、平日に仕事の休みの取れる会員を何名か集めて、何とか非協力乗車を行えるようにはなったが、そんな中、今度は南海電鉄についてもやってみようということで、やはり平日の朝に休みの取れる会員で予定を合わせ、実施することにした。

現在、和歌山市内に在住の会員はおらず、大阪や兵庫などからやってきた会員が、前日の夜に和歌山市内のホテルに泊まり、当日の朝、和歌山市駅に集合することとなった。

南海本線・和歌山市~なんば(設定は天下茶屋まで)

9月2日、朝6時40分。和歌山市内はそこそこ良い天気である。

昨夜、和歌山入りし、市内のホテルで一晩過ごして、今、南海和歌山市駅まで朝の市街地を徒歩で向かっている。

まだ朝早いせいか、道行く人も車も少ない。

さらにしばらく歩くと、目の前に現在、駅ビル工事中の和歌山市駅が見えてきた。

朝の和歌山市内
現在、駅ビル工事中の和歌山市駅

駅ビルは現在工事中だが、入り口から中に入ると、駅自体はすでにリニューアルされ、小綺麗になっている。

今回、私達が乗車するのは、和歌山市発7:10のなんば行き急行。

現在、朝6時50分くらいだが、この列車は和歌山市始発ではなく、となりの和歌山港駅からの列車である。

そのため、まだ列車が来るまでしばらく時間がある。

私達はしばらく、和歌山市駅で周囲の状況を観察することにした。

女性専用車両乗車位置には、まだ誰も並んでおらず、ホ―ムも朝のラッシュには時間がまだ早いせいか、人の姿はまばらだ。

しかし、なんば(大阪)方面からやって来る列車が到着すると、多数の乗客が降りてきて、改札口は一時的に人でいっぱいになる。

近くには、JR線の改札もある。

ここ、和歌山市駅は南海とJRの共同使用駅なのだ。

JRの和歌山駅から、ここ(和歌山市駅)までは約2kmあまり離れているが、和歌山駅~和歌山市駅間で、JRの列車が2両編成で細々と運行されている。

和歌山駅・和歌山市駅・和歌山港駅と、よく似た駅名が次々出てくるため、地元の方以外には話がややこしいだろうと思われるので、和歌山市内の鉄道路線と駅の位置関係を簡単に図にしておく。

しばらくすると、少しずつだが次の7:10発のなんば行急行が到着する予定のホームにも、人が並び始めた。

そこで、私達もそろそろ女性専用車両位置に並ぶことにした。

近くには駅員がいたが、特に声をかけてくる様子はなし。

周囲の女性客も特に声をかけてきそうな雰囲気はなかった。

とは言え、いつ何が起きるか予想がつかないのが非協力乗車である。

だから、駅のホームで並んでいる時から、気を抜くことは出来ない。

やがて列車の到着時刻になり、ホ―ムにいた駅員が「この電車の前から4両目、なんば側から4両目は女性専用車両です」というアナウンスをした。

和歌山市駅ホームの女性専用車乗車目標
和歌山市駅ホームの様子

列車がホームに滑り込んでくると、車内はガラガラだったが、女性専用車両内に一人の男性客が着席して乗車しているのが見えた。

そして列車が停車するとドアが開き、私達は一斉に乗車。全員着席出来た。

私達も含め、和歌山市駅で待っていた乗客が乗車したが、車内はまだ空席がある程度の乗車率。

先ほどの、「すでに乗車していた男性客」は女性専用車両と気付いたのか、和歌山市駅から乗客が乗ってきたのを見て、隣の車両に移動していった。

男性であっても本来、移動する必要はないのだが・・・

和歌山市駅でしばらく停車の後、発車。

和歌山市を発車してすぐ、「皆様にご案内いたします。この電車の前から4両目は、天下茶屋駅まで女性専用車両としております。皆様のご協力をお願いいたします」と、自動音声の専用車両アナウンスが入った。

さらに続けて、英語や中国語などでも自動音声による専用車両アナウンスが・・・

よく、「先進国で女性専用車両のような、前時代的なものが運行されているのは日本だけ」といった声が、ネット上などでは聞かれる。

それに対し、一部のマスコミ報道などには「日本はとりわけ痴漢が多い国」・「日本特有の現象」・「日本は痴漢大国」などと、「日本の特殊性」を強調して、日本の女性専用車両を正当化しようという向きがある。

しかし、凶悪な(痴漢の範囲を超えた)性犯罪が日本よりも海外で多いのはさることながら、痴漢などについても日本が特別なわけではない。

諸外国でも、痴漢は問題になっている。

しかし、欧米諸国など他の先進国では女性専用車両のようなものは、ほぼ設けられていない。人権問題になるからだ。

そういう意味でも、日本の女性専用車両は、かつてのアパルトヘイトを彷彿とさせるものであり、やはり前時代的といえるだろう。

日本特有の現象ではない

日本では「痴漢対策と言いつつ、実際には多くの鉄道事業者が女性専用車両を営利目的で運行している」という点、そして「多くの国民が今も『痴漢対策』という表向きの綺麗事にすっかり騙されている」という点においては、ある意味「日本には特殊性がある」と言えるのかも知れない。

なお、中東のイスラム圏の国々などでは、宗教的な理由から女性専用車両が設けられていることが多い。

また、日本の女性専用車両と異なり、「女性は全ての車両に自由に乗れる」というものでもない。

次の停車駅の和歌山大学前で少し乗客が増え、その先で和歌山県と大阪府との境を越えて、みさき公園駅に停車。

ここでもまた乗客が乗ってきたが、立ち客はまばらで、まだ混雑とは言えない状況。

みさき公園を発車後、「ただ今から車掌が車内に参ります」という、車掌の肉声アナウンスが入り、そのあと私達の乗った車両まで、車掌が車内を歩いてやってきた。

「何か言ってくるか?」と思ったが、車掌は私達の目の前を通りすぎて、さらに隣の車両へと抜けていった。

そして、しばらくしてまた戻ってきたが、もちろんその時も私達の目の前を通り過ぎただけで、何も言ってこず。

どうやら南海電鉄も、男性が女性専用車両位置に並んだり、乗車しているのを見ても、声はかけてこない方針のようである。

すでに何度も言っている通り、女性専用車両は、専用という文字が入っているだけで、実際は専用ではない(任意)なのだから、それで良いのだ。

次の尾崎駅から多数の乗客が乗ってきてやや混雑し始めたが、その中に一人の男性客もおり、つり革をもってそのまま乗車し続けた。

また、ここから地元の女子高生の集団が乗車してきて、私達の近くに立って乗車したのだが、座席にいる私達のことは全く気にする様子もなく、何気ないおしゃべりに華を咲かせていた。それで良いのだ。

さらに、泉佐野・貝塚・岸和田、と停まり、岸和田の次の泉大津駅あたりから本格的な混雑に。

松ノ浜・北助松・高石の駅を通過し、列車は泉大津の次の停車駅、羽衣に到着。
ここで更に多くの乗客が乗車。まさに朝のラッシュの光景となった。

その次の堺駅では降りる乗客は少しだけいたものの、そこから乗ってくる乗客のほうが多かった。

堺を出て、列車は大阪市内に入り、次の停車駅の天下茶屋駅に到着。

ここで多数の乗客が降りていき、車内はまだ混んではいるものの、かなり乗車率が下がった。

南海の女性専用車両は、南海線・高野線とも、天下茶屋駅で解除となる。

もっとも、本来は法的に見ても、「本当に女性専用」の女性専用車両は存在せず、いつでも男性が乗車可能であることに変わりはないのだが…。

しかし、解除されたとはいえ、その後は男性客の乗車は全く確認できなかった。

次の新今宮駅でもそこそこ多くの乗客が降りていき、終点のなんば駅には8:23頃に到着。

全区間通じて、女性客や鉄道係員からの声かけは全くなく、また途中から乗車してきた女子高生のグループが私達のそばで普通に会話していたりするなど、男性客が車内にいても特に気にしているような様子はなかった。

ただ、和歌山市発車直後に多国語での女性専用車両アナウンスがあったので、そのことが「国際的に見ても人権問題に繋がらないか?」ということで、なんば駅の駅長室へ抗議というより、軽めにこちらの意見を言いに行くことにした。

南海なんば駅に申し入れ

なんば駅の駅長室に入り、「すみません、ちょっとお聞きしたいことがあるんですが・・・」と声をかけると、中にいた職員が応対してくれた。

南海難波駅・駅長室

会員A:平日朝の女性専用車両は任意ですか?

職員:はい、お願いですね。ご協力頂いています。

会員A:強制ではない?

職員:そうですね。

会員A:先ほど、和歌山市から乗ってきたんですが、女性専用車両の案内放送、日本語だけでなく、英語や中国語などでもやってますね。海外では、このようなものについては人権という観点から、日本よりももっと敏感であると言われていますが、いつまでもこのような車両を運行し続けるのは、いかがなものかと・・・

職員:はい、今仰っていただいたようなご意見というのは、こちらからまた本社に「こういうご意見がありました」ということで、必ずお伝えさせていいただきますが、まあ、すぐにそういう風になる(女性専用車が廃止になる)というのは、なかなか・・・・

会員A:車内での喫煙や携帯での通話は、本人の意思で止められることですが「男性であること」は本人の意思でやめることは出来ないじゃないですか。ですから女性専用車両は禁煙や車内通話の禁止とは違うと思うんですよ。

会員B:そうですね。公共交通機関である以上、性別によって乗れる・乗れない(乗りにくい)があるのは本来、まずいことですので、今すぐに廃止はなかなか難しいというようなことを仰っていましたが、将来的にはこういう物はなくす方向で考えていただきたいです。

会員A:私達も防犯対策には賛成なんで、車内監視カメラなどを推進していただきたい。

その他、「南海では女性専用車両が平日朝ラッシュのみだが、車体にステッカーが貼られているため、女性専用車両ではない時間帯でも女性専用車両があるかのように見えてしまう。

女性専用車両の運行列車・時間帯などが限られているのだから(本当は女性専用車両は廃止していただきたいが)、阪神電鉄や、関東の京成・京急がやっているみたいに、車内の窓ガラスの突起に、穴のあいた『女性専用車』のボードを掛けるような方式にしてみては?」という提案もした。

阪神電鉄の女性専用車両表示
ステッカーではなく、窓ガラス内側に取りつけられた2つの突起に、穴の空いた「女性専用車両」のボードを掛けている。

「ステッカーだと定期的に貼りかえる必要があるが、ボードならそのような必要もなく、ステッカー代や貼り替えの手間が省けるのではないか?」とも伝えた。

大阪メトロ御堂筋線・なんば~梅田

南海なんば駅の駅長室での申し入れを終えて、私達は徒歩で南海なんば駅から、大阪メトロ御堂筋線のなんば駅に向かった。

南海難波駅から、大阪メトロ御堂筋線なんば駅まで、地下通路を歩いて移動

通勤ラッシュの時間はすでに過ぎたが、大阪の主要駅のひとつということもあり、ホームにはまだたくさんの人がいた。

その人並みの中を進み、女性専用車両位置に向かった。

しばらく進むと、目の前に大きくて派手な表示の貼られた柱が見えてくる。

御堂筋線なんば駅ホームの女性専用車位置の柱には、これでもかと言うくらいに目立つ、女性専用車両表示が貼られているのである。

さらに、足元(ホーム)にもしっかりと、女性専用車乗車位置の表示がある。

大阪メトロは男性を乗せないよう、(特に外国人を乗せないよう)しっかりと対策しているようだ。

御堂筋線なんば駅の女性専用車両位置の柱

これは、大阪メトロに限ったことではないが、痴漢対策と言いつつ、実際には男性を乗せないようにすること、つまりは女性専用車両自体を守ることが目的になってしまっている。

そして、女性専用車両以外の車両では今まで通り、痴漢がやりたい放題になっている。

女性専用車両は痴漢対策ではなく、「男性対策」になっているのだ。

私達はそれでも構わず、9:00発の千里中央行きの女性専用車両に乗るべく、御堂筋線なんば駅のホームに並んだ。

するとその際に、「女性専用車両は6号車です。ご理解とご協力を頂きありがとうございます」という自動放送が流れた。

私達が並んだ女性専用車両の乗車位置の近くには、女性の駅員が立っており、女性専用車両に男性が乗らないようにするための見張りかと思ったが、私達が専用車位置に並んでも、何も言ってこなかった。

しばらくすると、9:00発の千里中央行が到着するアナウンスが入り、電車が到着した。

すると、車内から視覚障害があると思われる女性客が降りてきて、ホームの女性駅員はその障がい者の方のアシストをしていた。

どうやら「視覚障がい者の方がなんば駅で下車する」という連絡を受けて、待機していたようだ。

車内はそこそこ混雑していたが、私達が乗っても女性客や駅員からの声かけはなく、梅田駅に9:09頃に到着。

大阪環状線外回り、大阪~(京橋)~天王寺

地下鉄(大阪メトロ)御堂筋線の梅田駅から、徒歩でJR大阪駅に移動。

9:19発の大阪環状線・普通・外回り方面(京橋・鶴橋方面)の女性専用車に乗車した。

JR大阪駅を発車してすぐ、1人の男性客が車内を通り抜けて行き、車内では車掌による女性専用車アナウンスが流れた。

大阪駅発車時点で、立ち客は約10人ほど。

座席がほぼ埋まっているものの、比較的すいている状態だった。

こちらも途中、特にこれといった事はなく、天王寺駅に9:41頃に到着。

ここで解散した。

JR天王寺駅で
JR西日本は階段やエレベーターの位置にちょうど女性専用車が来る駅が多い

今回の乗車会では鉄道係員や女性客などからの声かけは全くなく、無事に乗車会を終えることが出来た。

もちろん、誰も声をかけてこなかったため、私達が乗車しても、電車が遅延することも無かった。

以前、トラブルがおきて列車が遅延したりすると、私達が電車を遅らせたかのように言う者がよくいたが、私達が乗車しても声掛けがなければ、トラブルにもならないし遅延もしない。

そして、私達はあくまで「任意協力」というルールに基づいて乗車しているだけである。

つまり、電車を遅延させていたのは、声をかけてきた乗客や鉄道員のほうである。

「反対派が乗車して電車を遅延させている」というのは、「誤認識」なのだ。

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