2023年2月 関西本部:神戸電鉄線と神戸市営地下鉄線 非協力乗車会

当会関西本部では、2023年2月10日に神戸電鉄線・神戸市営地下鉄線において、非協力(任意確認)乗車会を行いました。

今回、谷上駅で神戸市営地下鉄線に乗車したところ乗務員と清掃員から声かけがありました。

以下その報告です。


夜の神戸電鉄・神戸市営地下鉄で非協力乗車

谷上駅で乗務員と清掃員が声かけ

神戸・新開地に集合

今回は神戸電鉄(正確には神戸高速鉄道)新開地駅に18時集合である。

集合時刻の15分くらい前に新開地駅の神戸電鉄乗り場に着いて他の参加メンバーを待っていると、列車がホームに到着するたび、結構な人数が列車から降りてきていた。

列車から降りて改札へ向かう人々。新開地駅で
18:12の急行三田行きに乗車

神戸電鉄といえば、大都市神戸を拠点としている鉄道事業者であるにも関わらず、粟生線が毎年何億円もの赤字を出し続けており、路線の存廃まで議論されるくらいの状況になっていることから、もっと利用客が少ないのかと思っていたのだが、意外であった。

以前、乗車活動で朝の9時頃にここに来た時は、ホームにも車内にも人気ひとけが無く、これでは赤字になるのも無理はないだろうと思ったりしたものだが、どうやら時間帯によって利用状況がかなり変わるようだ。

さて、しばらく待っていると参加予定メンバーが次々と集まってきた。

そして、その場で集まった参加メンバー達の井戸端会議(?)が始まった。

過去の乗車会のときの話やその他諸々、気の合う仲間が集まれば会話も弾む。

今日はここから神戸電鉄で谷上まで行き、そこで食事をしたあと、神戸市営地下鉄北神線及び西神・山手線で新長田まで乗車、さらに地下鉄海岸線に乗り換えて三宮・花時計前までのルートを予定している。

神戸電鉄線 新開地~谷上

さて、18時を過ぎたので私達はホームに移動することにした。

今回、最初に乗車するのは新開地18:12発の三田行き急行である。

新開地駅の駅標
新開地駅ホーム

18:05頃、私達の乗る列車がホームに入ってきた。

神鉄の新開地駅は行き止まりの終点だからここで全ての乗客が降り、列車は折り返す。

列車側面、窓上の方向幕がくるくると回り、「急行 三田」の表示で止まった。

列車の方向幕

到着した時点では私達以外に女性客が数人乗っている程度だったが、徐々に人が乗って来て、少しずつ座席が埋まり始め、発車直前の時点ではほぼ座席が埋まっていた。

どうやら男性客は私達だけのようだ。

そして定刻通り18:12に新開地の駅を発車した。

新開地発車直後、隣の車両から男性客が入ってきてつり革を持とうとしたので、そのまま女性専用車両内に留まるかと思ったが、歩いて隣の車両に抜けていった。

新開地から地下トンネルを400メートルほど走るとすぐ次の湊川に到着。

ここからも人が乗ってきて、車内は少数だが立ち客も出始めた。

湊川の先で線路は登り坂になり地上に上がるが、地上に出てからもそのままかなりの急勾配で登り続ける。

神戸は海岸のすぐ近くまで急峻な山岳地帯が迫っているような地形であり、市街地は海沿いの東西に細長いわずかな平地に広がっている。

神戸電鉄はそこを市街地に沿って東西に走るのではなく、新開地からいきなり内陸に向かって進んで行くので、もろに山岳地帯に突っ込んでいく形になる。

ここはまだ神戸の街中だが、私達がしばらく地下にいる間にすっかり日が暮れて辺りは完全に夜になっていた。

急勾配を登りながら、やがて時速30〜40㎞くらいで列車は神鉄長田をゆっくりと通過した。

急勾配とカーブのため、あまり速度を出すことが出来ない。

更に勾配を登りつつ、続いて丸山を通過。遠くの方に街明かりが見える。このあたりは山の斜面に住宅が建ち並んでおり、その明かりが暗闇の中に点々と見える。

そして丸山の次の鵯越ひよどりごえを通過すると、近くに街明かりも無くなり本当に真っ暗になる。そして再び街明かりが見えはじめると、次の停車駅鈴蘭台である。

時刻は18:24。新開地からは12分ほどでここまで来たが、真っ暗な深い山中を走って来たせいか、それ以上に長く感じた。

私達はここで一旦下車して、少しでも多く任意周知するために後続の列車に乗り換えることにした。

鈴蘭台の駅標
鈴蘭台駅ホーム

神戸電鉄の女性専用車両は平日のほぼ終日運行であるが、早朝は除外されている。

2002年に神戸の地下鉄が最初からいきなり女性専用車両を終日導入した頃、当時の報道によると神戸電鉄は「うちは編成が短いから」と様子見をしていた。

しかし、他の鉄道事業者が次々と導入を決めていったため、2003年の暮れになって突然4両編成での平日終日導入を発表。2004年4月に運行を開始した。

もともと列車の編成が短いところに終日導入したため、利用者から多数の抗議の声が上がり、大騒ぎに。

それを受け2ヶ月後の同年6月から「早朝は女性の利用が少ないことが判明した」などと後から理由をつけて、早朝のほんのわずかな時間帯だけ女性専用車両の設定を解除した。

周りに合わせて女性専用車両を短編成で終日導入したら、思いのほか抗議の声が大きかったので、ほんの少しだけ「譲歩」して、怒りの声の沈静化を図ったのである。

これだけを見ても、神戸電鉄が痴漢対策を真剣に考えて女性専用車両を導入したのではなく、ただ「周りに合わせていただけ」なのがわかる。

そのような経緯で早朝だけ解除にしたため、神戸電鉄の各駅にはこのような案内が掲出されている。

早朝のみ解除の女性専用車両開始時刻表示(鈴蘭台駅で)

女性専用車両が発着するすべての駅にこの表示があるのだが、神戸電鉄もダイヤ改正のたびに余計な仕事が増えて面倒ではないのだろうか?

今ではもう当たり前になっているからと惰性で運行を続けている状態だと思われるが、そもそも公共性の高い鉄道事業で、生まれ持った属性である性別を理由に特定の車両から人を排除しようとするのはしてはならないことである。

それを痴漢対策という名目で(しかも密かに「任意協力」にして、男性は排除していないと言い逃れできるようにして)押し切っているのが女性専用車両なわけだが、神戸電鉄の場合、ただの横並び意識での導入であり、しかも短編成でのほぼ終日運行だ。

導入されて20年経ち、今では当たり前のように思われているかもしれないが、私達の立場からすれば、このようなおかしいものを黙って放置するわけにはいかない。

新規入会者も募集しているので、是非こちらからお願いしたい。

当日の鈴蘭台駅の様子

さて、次の鈴蘭台発18:33の岡場行き普通は3両編成で女性専用車両設定対象外なので見送り、その次の18:40発三田行き準急に乗り換えた。

到着した三田行き準急は立ち客が少しいたが、鈴蘭台で結構な人数が降りて、私達が乗った時点で車内は座席が埋まっている程度になった。

鈴蘭台を発車。ここからはしばらく住宅地が続く。

ここもまだ神戸市内だが、海沿いの市街地とは全く別の街のような気がする。

新開地から鈴蘭台まで8㎞弱ほどだが、神戸電鉄はその間に約300m近い標高差を上ってくる。

列車はさらに標高を上げながら北鈴蘭台に到着。ここでも乗客が降りて空席が目立つようになり、私達も着席した。

北鈴蘭台の次の山の街でもまた降りて、車内は私達以外に10数人程度になってきた。

新開地からずっと登り続けてきた線路は、ここに来て一旦下り勾配に転じる。

箕谷ではあまり乗り降りはなく、その次の谷上には18:51に着いた。

ここ谷上は神戸電鉄と神戸市営地下鉄の共同使用駅であり、神戸市営地下鉄はここを終点としている。

神戸の都心である三宮から地下鉄でここまでやって来て、神戸電鉄の三田方面に乗り換える乗客も多く、山の中の駅だが、駅自体は結構大きくて立派である。

谷上駅

私達が乗ってきた三田行き準急も、谷上から多数の乗客が乗り換えてきて、車内は再び賑やかになった。

そして、それと入れ替わりに私達は全員ここで下車した。

谷上駅近くで夕食

駅ホームからコンコースに降りると「日本一標高の高い地下鉄駅」との看板があった。

2年前に、当時北神急行電鉄という別会社だった北神線(谷上~新神戸間)が神戸市営地下鉄に編入され、ここが日本で一番標高の高い地下鉄駅となったのだ。

谷上駅改札
コンコース内の看板

改札を抜け外に出ると、駅前はロータリーになっており、バスの発着場がある。

ここもまだ神戸市内だが、周辺は住宅開発がなされており、神戸の都心へ通勤通学する人々のベッドタウンとなっているのだろう。

駅からしばらく歩いて、近くの飲食店で食事をとることにした。

谷上駅近くで食事

神戸市営地下鉄北神線、西神・山手線 谷上~新長田

食事を終え、谷上駅に戻って次は神戸市営地下鉄線で新長田まで乗車する。

先にも述べたとおり、谷上は神戸電鉄としては途中駅だが、地下鉄はここが終点である。

そのためすべての地下鉄の列車がここで折り返す。

次に乗車するのは19:57発の西神中央行きだが、折り返しのため発車の10分前くらいにホームに入ってくる。

列車到着の際、自動放送で「この列車の前から4両目は終日女性専用車両です」とアナウンスが入った。

地下鉄西神中央行き

折り返しのため乗っていた乗客が全員降り、入れ替わりに私達が乗車したのだが、車内は私達以外には女性客が1人だけ。

ガラガラの車内でしばらく過ごしていると、おそらく運転士であろうと思われる乗務員が車内にやってきて「ここは女性専用車両です」と声をかけてきた。

私達が「知ってます」というとすぐ引き下がったが、それだけかと思いきやその直後、今度は清掃員が声かけしてきた。

先の乗務員と違いこの清掃員、こちらが移動する意思が無いことを伝えても引き下がらず、しつこく移動を要求してきたので会員の1人が清掃員を一喝。渋々ながら清掃員も引き下がっていった。

その後、少しずつ乗客が乗ってきて、発車時点で車内は女性客が10人くらいいる程度になった。

谷上発車直後、車内でも「この電車の前から4両目は女性専用車両です」と自動アナウンスが流れた。

現在神戸市営地下鉄では、基本的に駅構内でも車内でも女性専用車両の案内放送は行っていない。

音声ではなく、ホームと車体に貼り付けられたステッカーなど掲示類のみで案内しているのだが、どうやら谷上駅近辺は例外のようだ。

先に「2年前まで北神線区間は別会社だった」ということに少し触れたが、これはその名残なのだろうか?

谷上駅を出てすぐ地下に潜り、そのまま地下トンネルを約8㎞近くも走り続けて次の新神戸駅に到着する。

神戸の都心から急峻な山岳地帯を急勾配・急カーブの連続で超えて谷上までやってくる神戸電鉄に対し、こちらは地下トンネルでほぼ真っすぐに神戸の都心と谷上を結んでいる。

新神戸でややまとまった乗車があり、座席がほぼ埋まった。

新神戸の次は神戸の都心、三宮である。ここで乗客の多くが入れ替わる。

三宮からは多くの乗客が乗ってきたため、車内は立ち客が目立つようになった。

三宮の次の県庁前を発車した直後、ここから乗車してきた女性客が座席に座っている私達に声をかけてきた。

しかし、悪気のない声かけのようだったので「はい、承知しています」とやわらかく返事をした。

大倉山を過ぎて、その次の湊川公園は先ほど通り過ぎた神戸電鉄の湊川駅の近くである。

その後は特に何もなく、新長田に20:19頃到着し、ここから海岸線に乗り換えるために通路をしばらく歩いた。

新長田で下車
海岸線ホームへの通路

地下鉄海岸線 新長田~三宮・花時計前

私達が海岸線ホームに到着すると、20:30発の三宮・花時計前行きが停まっていたが、女性専用車両には誰も乗っていなかった。

新長田駅海岸線ホームに停まっていた列車
列車到着時以外は人気(ひとけ)が無い新長田駅海岸線ホーム

私達はこれには乗車せず1本見送って、20:40発の三宮・花時計前行きに乗車することにした。

乗務員等の声かけがないかどうか見るためだ。

しばらくホームで待っていると20:35頃に列車が入線してきた。

海岸線は新長田が終点のため、全列車がここで折り返す。

当然ながら乗っていた乗客は全員下車し、入れ替わりに私達が乗車した。

しばらくして運転士が車内を移動して私達の目の前を通過したが、一切声かけはなかった。

女性専用車両内は新長田発車時点で私達以外に女性客が2人だけ。

苅藻で女性客2人乗車。御崎公園で女性客2人が降りた。

隣の車両も数人程度乗っているだけでガラガラである。

和田岬ではホームに結構な数の人が並んでいたが女性専用車両に乗って来たのは女性2人だけで、隣の車両と乗車率が明白になった。

こちらはガラガラなのに対し、隣の車両は立ち客もいる。写真に撮りたいくらい見事な混雑差だったが、撮影は出来なかった。

中央市場前で女性客が数人乗って来たが、やはり女性専用車両はガラガラ。

ハーバーランドで女性客が5人降りて新しく女性客が乗って来なかったため、ますますガラガラに。

隣の車両は立ち客はいなくなっていたが、ほぼ座席が埋まっている。

結局、女性専用車両は新長田からずっとガラガラのまま、終点の三宮・花時計前に20:56に到着した。

参加メンバーの1人の話によると、私達が乗車したこの列車の運転士は声はかけてこなかったものの、三宮・花時計前駅で降りる際、私達のことを怪訝な目で見ていたらしい。

その会員は、

「多分こっちが気づかずに乗っているのではなく、意図的に乗車していると分かっていたのだろう」

「後で同僚や上司とかにも『女性専用車両に乗る男性グループがいた』と話すんじゃないかな?」

と言っていた。

「今も反対派が存在しており、しっかりと活動も続けている」ということを交通局側に認識させるという意味では、こちらとしても、むしろそうしてくれた方がありがたい。

今回は谷上駅で乗務員と清掃員からの声かけがあったので、三宮・花時計前駅から徒歩で西神・山手線の三宮駅まで移動し、そこで谷上駅でのことについて少し抗議して、その後解散した。

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