実施区間:大阪~尼崎~放出~久宝寺~新今宮~福島
去る6月10日、反対する会関西本部では、JR西日本線において、非協力乗車を実施いたしました。
昨年(2011年)暮れ、JR福知山線で、個人的に非協力乗車していた当会会員に対する強制排除事件があったこと、そして、それに対する当会及び友好協力団体の抗議を受け、JR側が再発防止を約束したことなどから、本当に再発防止のための社員教育を徹底しているか、乗車会の度に確認をしているのですが、今回また、強制排除ではなかったものの、女性専用車が任意協力であることを知らないと思われるJR職員からの声掛けがありました。
また、昨年の強制排除事件で、事件当事者のJR職員と大阪支社の課長代理が当会会員のもとを訪れ、直接謝罪する羽目になったにもかかわらず、JR西日本はこのところ、駅構内のポスターやモニターなどで、実際にはとても痴漢対策と思えないような、毎日完全終日実施の女性専用車を、「乗ってますか、女性専用車?」「毎日終日実施しているからいつでも乗れる」などと宣伝し始めるなど、女性専用車を(痴漢対策ではなく)営利目的で実施していると思われるような姿勢を前面に出してきました。
以下、参加したメンバーからの報告です。
暴走企業・JR西日本
暴走はつづくよどこまでも・・・
いつも当会サイトをご覧くださっている皆様には繰り返しになり恐縮だが、JR西日本と言えば昨年(2011年)の暮れに、福知山線で個人的に非協力乗車していた当会会員に対し、尼崎駅の総括助役らが電車に乗り込んだ上、「あなたが降りないと電車が発車しない。電車を遅延させたら、損害賠償を請求する」などと、脅迫まがいの対応で降車を迫った挙句、当会会員が「女性専用車が任意協力に過ぎないこと」を主張しても一切聞き入れず、次の塚口駅で無理やり引きずり降ろし、さらに駅事務所まで連行した上、そこで氏名や住所などの個人情報を聞き出そうとしたという、とんでもない企業である。
女性専用車両が任意協力に過ぎず、実は男性も無条件で乗車可能であるということは、鉄道会社はもちろん、監督省庁である国土交通省も認めていることである。
つまり、現在の女性専用車両は「任意協力で、男性の乗車を禁止していないから、法の下の平等を定めた日本国憲法に違反しない」ということになっているのである。
よって、「女性専用」という名称の方が事実に反するのだが、鉄道事業者はそれを知っていてわざと虚偽の表示を出し、利用客に強制的なものであるかのように思わせて、法に触れないようにしながら、半ば利用客をだました形で女性専用車両を運行しているのである。(しかも現実には、このような強制排除が後を絶たない)
この強制排除の件については、当会とその協力団体で抗議を行い、結局、「大阪支社の担当責任者と助役らが、当該会員宅に赴いて謝罪すること」及び、「再発を防止するための指導・教育を大阪支社管内全域で徹底すること」という約束を取り付けた。
(この件についての詳細は、当会サイトの「活動報告」内、「2011年12月 JR西日本福知山線・強制排除に対する報告」のページ、及びそのページにリンクされている「男性差別を許さない市民の会」の活動報告(アーカイブ)(現在はリンク切れ)をご覧いただきたい)
そのため、当会ではそれ以後も、本当に女性専用車の任意性の周知が徹底されているか、JR西日本での乗車会の際には、職員の対応を見るなどして必ず確認を行っている。
前置きが長くなったが、以上のことを頭においてこの続きを読んでいただきたい。
大阪駅にて
さて、今回の乗車会だが、大阪駅から東海道線・JR東西線・片町線・おおさか東線・関西線などを回って、大阪環状線の福島までのルートとした。
まず、私たちは大阪駅11:22発、東海道線・須磨行普通の女性専用車に乗車。
すると乗車してすぐに、JRの職員が私たちに声掛けに来たのだが、どうも女性専用車が任意協力だと知らない様子。
職員:「こちら女性専用車となっていますので・・・」
会員:「強制じゃないでしょ?」
職員:「強制です」
会員:「ウソをつかないでください」
職員:「他のお客様に迷惑です」
会員:「迷惑はあなたです」
これ以上やりあってもしょうがないと思ったのか、JR職員はここで退散。
しかし、男性であるというだけで「存在が迷惑」とは恐れ入る。
これでは、「黒人がいると白人の迷惑になる」と言っているのと大差ない。
車内でたばこを吸ったり、携帯で大声で通話するような行為は、本人の意思でそれをやめることは出来るし、やめないのなら「迷惑」と言われても仕方ないだろうが、「男性」という、本人の意思ではどうすることも出来ない、生まれ持った「属性」を理由に排除したり、(居るだけで)迷惑であると言ったりするのは、「公共の場における不当な差別」である。
女性専用車両が「専用」と名乗りながら実際には「任意協力」になっているのも、任意協力にしておかないとアパルトヘイトと同様の、「公共の場における、属性を理由にした差別」になってしまうからである。
また、職員の対応から、JR西日本が本当に任意性の周知を徹底しているのかも、疑問視せざるを得ない。
実はこの後、この職員のものと思われるツイッターでのつぶやきが発見されたのだが、ここでも、「電車を遅らせてでも対応するべきだった」などという内容が書かれており、ますますJR西日本が本当に周知を徹底しているのか、疑問視せざるを得ない。
しかも、このつぶやきは電車発車時刻のわずか5分後のものである。
ということは、この職員は制服姿のまま勤務中にツイッターをしていた可能性が高い。
JR西日本の社員教育は一体どうなっているのやら・・・
大阪~久宝寺
やがて列車は大阪駅を発車。
車内にはところどころ空席も見られる程度の乗車率。
男性客は見たところ私たちだけのようだった。
大阪から2駅先の尼崎で、JR東西線・木津行快速に乗り換え。
毎度のことであるが、こちらも車内は空いている。
私達の他、お父さんと思われる男性を含めた家族連れが乗車。
今回の乗車会では、大阪駅でJR職員からの声掛けはあったものの、女性客からの声掛けはなく、また私たちのことを異様な目で見たり、睨みつけてくる女性客なども(私たちが確認した限りでは)いなかった。
中には私たちの座っているすぐ隣に座ってきて、そこで居眠りをする女性客もおり、関西では女性専用車内に男性がいることも、そう特別なこととは捉えられていない感じもする。
しかし、乗客は関東ほどうるさくないが、JR西日本の企業としての態度の悪さ(不遜さ)は全国でも群を抜いている感じがする。
やがて列車は京橋駅を過ぎ、ここから片町(学研都市)線に入る。
そして、そこから2駅先の放出(はなてん)駅で下車。おおさか東線に乗り替え。
おおさか東線は、JR東西線や片町線にもましてガラガラだったが、途中、JR河内永和駅で男性客2人が乗ってきた。
特に何事もなく終点、久宝寺に到着。
久宝寺~福島
久宝寺駅では、構内にあるモニターテレビで女性専用車の宣伝をやっていた。
あからさまに女性専用車を(痴漢対策ではなく)「売り物」にしている内容で、「女性の皆様、男がいない快適空間を終日提供するJR西日本をどうぞご利用ください」と言わんばかりの大変悪質なものであるため、当会の会員がこのモニターテレビの画面を撮影しようとしたが、乗り換え時間があまりなかったため撮影できなかった。
久宝寺12:17発、JR難波行きの普通列車に乗車。
車内は空いており、特に何事も無かった。
新今宮で大阪環状線の列車に乗り換え、結局こちらも何事もなく福島駅に到着。
乗車会はここで解散となった。
福島駅にもモニターテレビがあったため、さっきの悪質な女性専用車の宣伝を撮影しようと当会メンバーがモニターテレビの前でカメラを構えたが、出てくるのはツアーの宣伝や車内非常ボタンについての案内など、違うものばかりで、先ほど久宝寺駅で見た女性専用車の宣伝は出てこなかった。
どうやら駅によってやっているところとやっていないところがあるらしい。
そこで、乗車会の後、改めて筆者が天王寺駅で撮ったのが以下の写真である。
まず、「女性専用車、乗ってますか?」と、まるで話しかけるように、女性客の潜在意識に訴えかけているのが分かる。(上段左の写真)
そして、「毎日終日運行しているからいつでも乗れる」と、明らかに完全終日実施であることを「ウリ」にしている。(上段中の写真)
終日化の際、JR西日本は「昼間や休日にもラッシュ時並に痴漢が多発している」と理由付けして女性専用車を終日化したが、昼間のJR西日本の普通列車は大抵ガラガラである(上の「大阪~久宝寺」の項に貼った写真を見ていただきたい)こんな状態でラッシュ時並に痴漢が発生するということ自体、おかしいというものである。
そして、痴漢対策を理由にして拡大しておきながら、痴漢件数の問い合わせを受けると、「個人情報なので教えられない」などと、わけの分からない回答をしてくる。
痴漢件数の数字のどこが個人情報だというのか。
これだけを見ても、JR西日本の女性専用車は痴漢対策ではないことがわかる。
そしてさらに、「行きも帰りも女性専用車。もう私の習慣です」「私は乗る、女性専用車」などと、さらに女性客の潜在意識に訴えかけ続けている。(下段の2枚)
「JRなら、男性のいない快適な車両にいつでも乗れますよ」と、女性客の潜在意識に訴えかければ、JR西日本を選んで利用する女性客が増えるだろうという意図が見え見えである。
一方、女性専用車両に賛成している女性客の大半(※「女性専用車両に賛成している女性の大半」であって、「全女性の大半」ではないことに注意)が、「臭いオヤジがいなくていい」「空いていて快適」「車内で化粧直しができる」といった、痴漢対策とは全く違う理由で女性専用車両を利用・支持しているというアンケート結果もある。
大体、痴漢対策ならガラガラの昼間や休日まで終日実施する必要はないし、また女性専用車内に身だしなみ直し用のものと思われる鏡を取り付ける必要もない。
つまり、JR西日本は一部のわがままな女性の欲求や、男性嫌いの女性の(男性に対する)敵対心・嫌悪感を客寄せに利用しているということになる。
また、宣伝の仕方から、JR西日本は女性をあやつりやすい(だましやすい)ものと考えて、このような宣伝をしていると見ることも出来る。
さすがにここまでくると、女性専用車に特に反対ではない一般の人々の目にも奇異に映るらしく、ツイッターなどでも、「これは痴漢対策というより、女性向け快適サービスだ」「JR西日本の異様な女性専用車推しは気持ち悪い」「これはある意味、女性をも馬鹿にしているのではないか?」といったつぶやきも見られた。
このJR西日本の宣伝を見て、女性専用車両が痴漢対策を建前にしているだけで、実際には痴漢対策などとは似ても似つかない別物であるということに、一人でも多くの人が気付いてくれればと思う。
そして、「男が痴漢するせいでこうなったのだから仕方がない。女性専用車両に文句を言う前に痴漢を撲滅するべき」「女性専用車両は痴漢被害者を救済するために作られたのだから、差別でも何でもない」などという認識が実は、「誤った認識」であるということに気付く人が一人でも多く増えることを願うものである。