2011年6月 関西本部:阪急京都線で非協力乗車会

活動履歴

(実施区間:梅田~河原町~梅田(往復)

関西での女性専用車両事情といえば、4月18日に全日終日化されたJR西日本がとかく話題にされがちであるが、それ以外の社局も決して安心できる状況ではない。

例えば大阪市営地下鉄御堂筋線では、産経新聞(大阪本社)5/25付夕刊の「夕焼けエッセー」で、87歳の男性から次のような投書が紹介されている。

この男性が夫婦で梅田から御堂筋線の電車に乗ろうとすると、駅員に「ここはダメです」「女性専用車両です」と声掛けされた。

男性は決まりだから仕方がないと思い、他の車両に移動しようとすると、足が悪い妻は移動に時間が掛かってしまい、結局その列車に乗り遅れてしまったというものである。

このサイトで何度も言及しているように、女性専用車両には「男性はダメ」という“決まり”は存在していない。

まして年配の乗客や足が悪い乗客に対しては、道義的にもわざわざ他の車両への移動を要求することなど出来ないはずである。

そういった事情も併せて、今回はJR+大阪市営御堂筋線の乗車を計画していた。

ところが乗車会の前日(6月9日)、当会メンバーが阪急京都線で個人的に非協力乗車を行っていたところ車掌から執拗に声掛けされたという話を受けて、乗車会の対象を急遽阪急京都線に変更することにした。


6・10 関西本部 阪急京都線 非協力乗車会の報告

阪急電車=片道45分の奇怪=

梅田~河原町

当初は梅田20:00発の通勤特急に乗車することも考えたが、19:40発の通勤特急に間に合ったので、それに乗車。

座席は全て埋まっており、立ち客も出ている。

ただ他の車両も含めて「ぎゅうぎゅう詰め」というレベルの混雑ではない。

我々は各扉位置に分散して立ってみることにした。

我々の他に男性客の姿は無し。

十三では専用車の位置にアルバイト駅員が立っていたが、メンバーの一人が「女性専用車両は任意です」のフリップを見せても(見せたから?)何の反応も見せず。

長岡天神を過ぎると、終点が近いからか男性の姿も2,3人見られるようになった。

一方、長岡天神駅で見た9300系(阪急の専用車設定列車に使われている車両の形式名)使用の梅田行き準急では、専用車は実施されていない(阪急では特急・通勤特急以外の種別では女性専用車両は実施されない)のに、車体に「女性専用車両」シールが付いている5号車の車内には女性客しか乗っていなかった。

河原町~梅田

河原町到着後、帰路は往路の列車の折り返し(20:31発)ではなく、20:51発の列車に乗車することになった。

梅田行き通勤特急は、「夜間に京都(ベッドタウン)から大阪(都心部)に行く列車だから空いているだろう」という予測に反して、往路と変わらない混雑度。

ただ我々は早くから並んでいたので転換クロスシートの2区画分(8人分。1人分は途中まで空席状態)を確保することができた。やはり我々以外には男性の姿は無し。

ハプニングは帰りの車内で起こった。

桂発車後、和服姿の女性二人組のうちの一人が我々に「ここは女性専用車両だから男性が乗ってたらダメでしょ」と声掛け。

当会メンバーが「ダメじゃないですよ。男性の任意協力に基づいて実施しているんですよ。」と反論すると、

女性客:日本人なら普通は乗らないでしょ

会員:私は乗ります。男性差別に反対していますから。

女性客:あなたたち最低ね!

会員:平気で男性差別する人よりマシです!

と口論となった。

しかもその女性、「男と一緒に乗りたくないからここに来ている」「あなたたちが向こうに行けばいいのよ!」などとも主張。

当会メンバーが反論すると、わざとらしく耳を塞ぎ、「お~こわ!」などと人を馬鹿にしているかのような態度も取ってきた。

そこに別の当会メンバーが、「女性専用車の大ウソ」というチラシをこの二人組に渡そうとすると、女性は「もう、いいです。」と拒否。

車内は静かになったが、車内の至る所から「女性専用車両…」「男性も乗れる…」といった話し声が聞こえてきた。

和服女性二人組のうち、一人は途中で下車し、もう一人は梅田まで乗っていた。

結局、途中駅である程度は降りるものの座席はほぼ全て埋まった状態で梅田到着。

我々が座っていた区画も空席だった座席と途中で下車した会員が座っていた座席には女性客(声掛けしてきた女性とは別人)が着席していた。

梅田駅で抗議

梅田で列車を降りて改札に向かっていると、先ほどの和服の女性が駅事務室に“通報”したようで、駅員2人が我々のもとに歩いてきた。

当方にしても、あんなことがあった以上は駅事務室で抗議するつもりでいたので、むしろ望むところとなった。

会員:阪急さんは女性専用車両をどう捉えているのか、任意協力ということをちゃんと認識しているのか、任意協力なら、協力している男性客に感謝の念があって当たり前だし、協力したくなければしなくていいはず。なぜ駅員さんが2人も来るんですか。

駅員:女性の方(かた)から、申し出がありましたので、ご事情を伺おうと思いまして。

会員:私ら最低だと言われたんですよ。平気で男性差別する人の方がよほど最低じゃないですか。そんな人の言う事の方が大事なのですか、おたくらは?

駅員:そういう意味じゃないですよ。

会員:「男と一緒に乗りたくないからここに乗っている」と言うんですけどね。女性専用車両は男と一緒に乗りたくないと言う人のために存在するんですね?犯罪防止のためではないんですね。

会員:それに「日本人なら普通乗らないでしょう」というのは、人種差別発言ですよ。そういうことを言うお客さんのほうが大事なのですか?

駅員:私もおたくと同じ日本人の男性ですので・・・

会員:はるな愛なら(女性専用車両に)乗れるのですか?
駅員:そういう方は想定していないですね。

会員:大体、男性の任意の協力に基づいて実施されているものであると、国(国交省)が定義しているわけですよ。

会員:にもかかわらず、「男と乗りたくないからここ(専用車)に来ている」という客がいるなら男性の任意協力など成り立たない。

会員:で、その客の申し出で私たちのところに来たんでしょう。

会員:おかしいじゃないですか?事情を説明しないと乗れないのは任意とは言えない。

駅員:怯えていらしたのでね、先程のお客様(女性客)が・・・

会員:どこが!

駅員:(大変怯えて)お申し出されたので、こちらとしても・・・

会員:偉そうに「あんたら最低やわ!」とか、どこが怯えてるんですか?

会員:私が(専用車は)「任意です」と教えようとしたら、突っぱねましたよ。

駅員:ああ、そうですか

会員:で、(わざとらしく耳を塞いで)「お~こわ!」・・・ どこが怯えているんですか?和服の女性がここで怯えたフリをしたのか知りませんが、騙されているんですよ。

といったことを我々は訴えていった。

駅員は立場上のこともあるせいか、我々の主張に対してはただひたすら頷いているだけだった。

この日はJR山科駅で事故があったため駅員はJRからの振替輸送客への対応で時々席を外したものの、駅員と我々との話は約20分間続いた。

ところで、駅員は「(和服の女性が)怯えていた。」と言っていたが、これまで記してきた様に、我々に対しては怯えている様子は見せていなかった。

我々は女性が“通報”していたその場に居合わせたわけではないので、「怯えていた」のがこの女性の演技によるものなのか、あるいは駅員の主観でそう見えた結果なのかは定かではないが、もし前者であれば痴漢でっち上げ等と同様の「女性から男性に対しての悪巧み」が通ってしまったことになるし、後者であるなら駅員は「男性=悪・女性=善」という色眼鏡を持っているということになる。

我々が女性専用車両に反対するのは、単なる「乗れない車両がある」「女性にだけ専用車両が与えられるのが不愉快」といった僻みからではない。

本当に反対しているのは「女性にだけアドバンテージを与えておけば、あるいは男性を悪者にしておけば八方丸く収まる」という歪んだ価値観であり、その象徴が女性専用車両なのである。

女性専用車両が、一見すると無関係な人々の人生を大きくアンハッピーにしてしまっている。

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