まず、3月11日に発生した東日本大震災でお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りすると共に、被災地の1日も早い復興を心より願います。
東日本大震災以来、当会においても街宣等、一部の活動を自粛し、また会員各自で義援金を送るなどしてきましたが、そんな中、関西においてはJR西日本が、(とても痴漢対策とは思えない)女性専用車の毎日終日化を、4月18日についに実行に移してきました。
そこで、当会としても活動を再開し、JR西日本が女性専用車を毎日終日化してきてから最初の日曜日となる、4月24日の日中に非協力乗車会を行いました。
以下、その報告です。
実施区間:大阪~尼崎~放出~久宝寺~新今宮~福島
4・24 関西本部 JR西日本線 非協力乗車会の報告
大阪駅で男性客を降ろしていた警備員に抗議
日中の女性専用車はほぼ形骸化
この春、リニューアルが完成したJR大阪駅。
リニューアルが完成し、構内はすっかりきれいに様変わりしたが、これとほぼ時期を同じくして、表向き痴漢対策と言いながら、実際にはとても痴漢対策とは思えない、日本版アパルトヘイトともいえる女性専用車両を完全終日化してきたJR西日本。
私達もますます抗議の声を大きくしていかなければならないと感じ、JR西日本が女性専用車を完全終日化してから最初の日曜日(4月24日)の日中に非協力乗車会を行うことにした。
今回のルートは以下の通り。
大阪⇒(JR神戸(東海道)線)⇒尼崎⇒(JR東西線・片町(学研都市)線)⇒放出⇒(おおさか東線)⇒久宝寺⇒(大和路(関西)線)⇒新今宮⇒(大阪環状線)⇒福島
大阪駅で警備員に抗議
私達は午前11:30に梅田に集合、そこからまず、大阪駅6番線・JR神戸線(東海道線)神戸・姫路方面行きのホームに向かった。
11:43発、須磨行き各駅停車がホームに入っていたので、その女性専用車に乗ったところ、警備員が車内まで乗り込んで、乗車していた男性客に声をかけ、降ろしていた。
そして、その警備員が当会メンバーにも声かけしてきたため、その場にいたメンバーで警備員に抗議。
電車から一旦降り、ホームに戻って、そこで約20分警備員に抗議した。
私達が、女性専用車は任意である(協力したくない人は協力しなくても良い)ということを説明し、さらに、国土交通省からの
「女性専用車に法的根拠はなく、強制的に下車させる行為は不適切であり、もしそのようなことがあった場合は指導して行きたい」
という女性専用車の法的根拠についての回答(メールをプリントアウトしたもの)を見せて抗議すると、その警備員は「私は強制してないですよ。お願いしているだけですよ」と言うので、当会メンバーが「お願いと言っても、乗客は任意だという事を知らないじゃないか」と反論するなどしていると、他にも警備員がやってきて、警備員2人と私たちとのやり取りになった。
しかし、警備員2人と私たちが論議している間にも、別の警備員が、ホームに入ってきた後続の列車に乗車している男性客を降ろしにかかっていたので、当会メンバーの一人がその警備員にも抗議した。
(つまり、私たちが抗議した警備員は全部で3人)
結局、警備員のほうから、「いくら言い合っても平行線。きりがない」と言って議論を切り上げ、立ち去ったので、そこで抗議は終了。
私達は大阪12:07発、須磨行き各駅停車の女性専用車に乗車した。
大阪~尼崎
大阪駅発車後すぐに、「前から5両目は、土曜祝日も含め、終日女性専用車です。皆様のご理解ご協力を・・・」というアナウンスがあった。(このアナウンスは、この後乗車した列車でもほぼ必ず行われていた。)
JR西日本によれば、「ラッシュ時間帯も、それ以外の時間帯もほぼ同じ割合で痴漢が発生しており、平日・休日の偏りも少なかった」として、女性専用車の完全終日化を行ったとのことだが、私達が乗車した列車は昼間ということもあり、女性専用車以外の車両も含め、車内は空いていた。
立ち客はおらず、座席も空席がある状態。
この先乗車した列車も、ほぼ全てガラガラかそれに近い状態であった。
こんな状態で、どうやって「休日や昼間でもラッシュ時並に痴漢が多発する」のだろうか?JR西日本の女性専用車終日化理由の信憑性は、極めて疑わしいと思わざるを得ない。
実は、ほぼ同時期(平成22年度上半期)に、警視庁が発表した時間帯別痴漢発生状況によると、関西より人が多いはずの首都圏でも、日中は痴漢犯罪の発生がほとんどないとのことである(下記グラフ)。
(警視庁HP・都内における痴漢犯罪の発生状況 ~ 平成22年上半期 ~より。)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kouhoushi/no1/koramu/koramu8.htm(現在はリンク切れ)
首都圏の電車に乗ったことがある人なら分かるだろうが、関西と違い、首都圏では日中でも路線や列車によっては結構混雑することがある。
それでも時間帯別で見れば日中はほとんど痴漢が発生していないという結果が出ているのだ。
先にも述べた通り、JR西日本によれば、「ラッシュ時間帯も、それ以外の時間帯もほぼ同じ割合で痴漢が発生しており、平日・休日の偏りも少なかったので終日化した」とのことだが、これでは「女性専用車を終日化する理由を作るためにこのようなことを言っているだけではないのか?」と疑わざるを得ない。
世間が「女性専用車は痴漢対策」と、何の疑いもなく信じているのをいいことに、「昼間や休日でも痴漢が多発している」などと、強引に理由を付けてきただけではないのか?
車内には私達の他にも、何人か男性客の姿もあった。
そして大阪駅から約7分で尼崎に到着。JR東西線に乗り換えた。
尼崎~放出(はなてん)
尼崎から12:18発、JR東西線経由・片町線(学研都市線)同志社前行き快速に乗車。尼崎では大阪駅と異なり、警備員の姿もなければ、声かけも無かった。
尼崎発車後、しばらくして列車は地下線へ・・・車内は座席がほぼ埋まっている程度で、少し空席もある。
先ほどの須磨行きと同様、私達の他にも、男性客が何人も普通に乗車している。
途中、北新地駅で警備員か何かの声かけがあるかと思ったが、ホームにいた警備員は何も言ってこなかった。
京橋駅手前から再び地上に上がり、JR東西線から片町線に入ったが、鴫野駅を通過したあたりでまた、「前から○両目は土日も含め、終日女性専用車」のアナウンスが流れた。
やがて列車は放出駅に到着、ここでおおさか東線に乗り換え。
放出(はなてん)~久宝寺
放出12:41発、おおさか東線久宝寺行き各駅停車に乗車。久宝寺発車後、すぐにまたまた、「前から○両目は土日も含め、終日女性専用車」のアナウンスが・・・
駅や車内には「これからは、いつでも女性専用車」というキャッチコピーで、女性専用車をセールスポイントとして宣伝しているかのようなポスターや車内吊り広告が多数掲示され、車内では列車に乗り換える度に、「毎日終日女性専用車」のアナウンス・・・
各列車の車掌は、上から言われてアナウンスしているだけだろうが、それにしてもJR西日本の女性専用車に対する力の入れようは、他社と比べても異様である。
おおさか東線は、2008年に開通した新しい路線だが、JR西日本は、痴漢被害件数のデータが無いはずの開業当初から、このおおさか東線にも女性専用車を設定した。
もはや、「痴漢被害が深刻だから」とか「やむを得ない緊急措置」ではなく、「女性専用車はあって当たり前」という感覚で設定しているとしか思えない。
おおさか東線では、東海道線・JR東西線に比べても車内は一段と空いていた。(1車両に30人弱程度)
しかもその上、私達の他にも男性客が何人も乗車していたため、「女性専用車」という名前はついていても、実際には男性客の割合の方が高いという状態であった。
また、乗っていた女性客も、他の男性客のことは全く気にならない様子で、何気ないおしゃべりに花を咲かせていた。
この日の関西地方は穏やかに晴れていた。
やわらかい日差しが差し込む、ゆったりと空いた車内で、乗客たちが会話を楽しんだり、新聞・雑誌を読んだり、車窓の景色を眺めたり、それぞれが思い思いの時間を過ごしている。
何とも平和な光景である。
こんな時間帯・場所にまでなぜ、「”痴漢対策”の女性専用車」が必要なのか?
しかも完全に形骸化している。
女性専用車の完全終日実施が、いかに無意味なものかをよく表しているようにも思えた。
久宝寺~新今宮
久宝寺から13:01発、JR大和路線(関西線)JR難波行き各駅停車に乗車。
乗車しようとホームで待っていると、女性専用車内から男性客が降りてくるのが見えた。
その後、私達も女性専用車に乗車。こちらも車内はガラガラで、また男性客が私達以外に何人も普通に乗車していた。
久宝寺発車直後、またもや「前から○両目は土日も含め、終日女性専用車」のアナウンスが・・・(これで何回目だ!?)
加美・平野と過ぎ、車内が少し賑やかになってきた。
と言っても、座席がほぼ埋まって、立ち客が若干いる程度。
それにしても、先のおおさか東線もそうだったが、この関西線も女性専用車内の男性客の比率がかなり高い。
恐らく、私達以外にも10人以上いたであろう。
天王寺でまとまった数の乗客が下車し、車内は再びガラガラになったが、それでも確認しただけで、(私達以外に)7人の男性客が乗車していた。
天王寺駅では、女性専用車の位置に階段がある。
大和路(関西)線に女性専用車設定されたのは2004年(当時は平日朝夕の設定)のことだが、その際、JR西日本は「天王寺駅での乗り換えに便利なよう、女性専用車を前から4両目に設定しました」と、パンフレットで案内していた。
こういうところからも、JR西日本の女性専用車が「痴漢対策のためのやむを得ない措置」ではなく、「当社は女性に特に配慮しています」という女性乗客へのアピールであると考えられるのである。
JR西日本はこのような女性優遇をすることで、自らの企業イメージのアップや増収増益につながると考えているのではないだろうか?
JR西日本のやっていることは「痴漢対策を建前にしたアパルトヘイト」である。
新今宮~福島
新今宮駅で関西線から大阪環状線に乗り換えた。やはり車内はすいている。そして私達以外の男性客の姿も見られる。
列車は大阪市内の古びた市街地を走っていく。
途中の西九条駅で、桜島線(ゆめ咲線)が分岐する。
これまで桜島線内は専用車適用外(大阪環状線からの直通列車も西九条で女性専用車解除)だったが、今回の女性専用車拡大に伴い、桜島線も終日女性専用車設定となった。
先のおおさか東線もそうだが、JR西日本からは、女性専用車を「やむを得ず設定している」という感覚は全く感じられない。
やがて大阪駅の1つ手前の駅、福島に到着。私達はここで下車した。
福島駅のホームで軽く今回の乗車会を振り返り、「こうした活動は継続して行う必要があること」そして「少しでも多くの人数で行うことが重要であること」などを確認、最後は「お疲れ様でした」ということで、解散した。