2024年2月17日に当会の会員が個人的に神戸市営地下鉄で非協力乗車していると、女性客から「ここは女性専用車両です」と声をかけられたが移動を拒否したところ、突然髪をつかまれて顔などを数発叩かれるという事件が発生しました。
それを受け、急遽2月25日に神戸市営地下鉄で乗車会を行うことにしました。
以下その報告です。
名谷駅で起きた事件を受けて急遽乗車会を設定
開始早々に女性客から声かけ
今回は15時に西神・山手線の三宮駅の改札前に集合した。2月17日に女性客に暴行された会員も参加して、まずは15:14発の西神中央行きに乗車することにした。
各自、1日乗車券を買い、自動改札機に通して改札内へ。そこからまずは長い下りエスカレーターを降りて西神中央方面のホームに向かった。
ホームに着くとすでに列車を待つ乗客が並んでいたが、私達はホームをしばらく歩いて列車中ほどにある女性専用車両位置で並ぶことにした。
列車が来るまであと数分ほどある。
並びながら会員の1人がスマホの画像を他の会員達に見せて大阪のJRゆめ咲線ユニバーサルシティ駅の女性専用車位置表示が更新され、さらに”パワーアップ”していると報告。
ご存じの方も多いと思うが、ユニバーサルシティ駅はあの有名なUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)の最寄り駅である。
会員達が「JRもまだ男性排除を諦めてないみたいだな」とか「USJに行く家族連れ恋人などの男性が痴漢するとでもいうのか?」などと話していると、会話内容を聞きつけたのか前に並んでいた女性客がこちらを振り返り「ここ女性専用車両だけど」と声をかけてきた。
会員達がそれぞれ
「分かってますよ」
「任意協力で、男性の乗車を禁止する法律はありません」
「無用な声かけはトラブルの元!」
などと返すと「承知で乗るんですね?」と言って、また元のように並び直した。
「男性が気づかずに並んでいる」と思って親切心で声をかけてくる女性客(自称)はときどきいるが、今回は私達の会話の内容を聞いて声をかけてきており、明らかに「気づかせてあげよう」という親切心からではない。
一体何のためだったのか?
こちらが承知の上で乗車しようとしていると分かっているなら、声をかけても無駄だと分かりそうなものだが・・・
西神・山手線 三宮~西神中央
しばらくして、乗車する15:14発の西神中央行きが到着。私達も並んでいた他の女性客らとともに乗車した。
車内は座席がほぼ埋まる程度の乗車率。
そのまま大きな乗車率の変化はなく、何駅か過ぎて列車が新長田駅に差し掛かろうとする辺りで、車掌が肉声で「車内で痴漢や暴力行為などを見かけた場合は車内通報装置によって・・・」というようなアナウンスをしてきた。
先日の名谷駅での事件も女性専用車両に乗っていた男性に対する女性客の「暴力行為」である。痴漢も犯罪だが暴力も犯罪である。
一部には私達が車内通報装置を扱うことがあることに対して文句を言っているようであるが、車掌の言うように暴力を振るわれたら車内通報装置を扱うのは当然である。
女性専用車両に非協力乗車することと、暴力の被害を受けて車内通報装置を扱うことは全く別の話であって、「女性専用車両に非協力乗車する者は暴力を受けても車内通報装置を扱ってはならない」なんてことを言うほうがおかしい。
地下トンネルを抜け、妙法寺駅で一旦地上に出る。堀割の中にある駅で、ホームの両側はどちらもすぐトンネルである。
ここでふと見ると先ほど三宮駅で私達に声をかけてきた女性客が向かいの座席にまだ座っていた。
妙法寺駅を出てすぐまた地下トンネルに入り、それを抜けると先日、事件のあった名谷駅である。今回ここでは何もなかった。
ここから先、終点の西神中央まで地上区間だが、本日は雨模様で空はどんより雲に覆われている。
そして総合運動公園駅で向かいの座席に座っていた(三宮駅で声をかけてきた)女性客は黙って降りていった。
この辺りから車内は少し空席が増えてきた。
学園都市駅でまとまった下車があり、車内は半分くらいが空席に。
三宮からここまで日曜日の日中ということもあるが、ほとんど立ち客も出ず、およそ痴漢が多発するような混雑にはなっていない。
神戸市営地下鉄では土日も含め女性専用車両が毎日終日運行されているが、こういうところからも痴漢対策という理由が女性専用車両を正当化するための口実であることがうかがえようというもの。
終点一つ手前の西神南駅を出て、私達以外に女性客が10人程度となった状態で15:45に終点の西神中央駅に到着した。
駅近くのお好み焼き・焼きそばの店で食事
時間的には16時前で食事をするにはやや中途半端な時間だが、私達は乗車前から西神中央で食事タイムを取ることに決めていた。
行き先はこのところ神戸市営地下鉄での乗車会では毎回のように立ち寄っている、西神中央駅近くのお好み焼き・焼きそばの店である。
今回、そのためにわざわざ昼食を抜いてきた会員もいた。
今回も美味しいお好み焼き・焼きそばを食べながらいろいろな話で盛り上がったのだが、ちょうど前日(2月24日)に当会サイトのニュースのページに2月17日の名谷での事件の記事を公開したところだったので、X(旧ツイッター)の当会公式アカウントのインプレッション数(閲覧数)が急上昇しているところだった。
店に入る前にふと見てみるとその時点ですでにポストのインプレッション数が39万に達していたのだが、私達が店で食事をしている間にどんどん増え、17:30頃に店を出たときには約43万になっていた。
私達が食事をしていた1時間半ほどの間だけで約4万回も閲覧されたことになる。
その後も閲覧数は伸び続け、乗車会の翌日(26日)には60万を超えた。
大変な反響に少し驚きながらも「世間が良い意味で女性専用車両の問題に関心を持ってくれれば・・・」と思いつつ、私達は再度乗車するために西神中央駅に向かった。
西神・山手線 西神中央~新長田
西神中央駅に戻ると、17:48発の谷上行きがすでにホームに入っていた。
女性専用車両内は私達以外には女性客が5~6人程度いるだけでガラガラ。
車掌が肉声で「まもなく発車します」とアナウンス(女性専用車両には触れず)
隣の車両を見ると座席がほぼ埋まっており、西神中央駅の発車時点ですでに乗車率にはっきり差が出ていた。
冬至の頃に比べるとだいぶ日は長くなってきたが、それでもこの時間になると外はすでに少し薄暗くなり始めている。空はどんより曇ったままで少し雨も降っているようだ。
途中の学園都市駅で何人か乗車してきたが、その中に男性が1人いた。そしてそのまま女性専用車両内に着席。私達はお互いの顔を見合わせ、小さな声で「いいぞいいぞ」などと話していた。
男性客は私達から少し離れたところにいたので私達の声は多分聞こえていないと思う。
しばらく走って、17日に事件のあった名谷駅を再び通りかかったが何も無し。
名谷駅からは地下区間に入って、次の妙法寺駅では隣の車両に立ち客が出始めた。こちら女性専用車両はまだ空席が多い。
列車はさらに進んで板宿駅で先ほど運動公園駅から乗車していた男性客が席から立ち上がった。
ここで降りるのだろうか。
私達は男性の行方を目で追ったが、ホームに降りるのではなく隣の車両に移動して、そこでそのまま乗車し続けた。
どうやら気づかずに乗車していただけだったらしい。
乗車するしないは乗客の意思だからこれは仕方がないが、私達にとってはちょっと残念だった。
そうこうしているうちに列車は18:09に新長田駅に到着。私達はここで海岸線に乗り換えるために下車。
新長田駅の西神・山手線ホームからやや長い通路を歩いて海岸線のホームに向かった。
海岸線 新長田~三宮・花時計前
西神・山手線のホームから通路を歩いて新長田駅の海岸線ホームに到着。
次は18:20発の三宮・花時計前行きである。しばらくホームで待っていると列車が到着したので乗車。
折り返しのため、発車までまだ数分ほどある。車内は私達以外には女性客が1人だけ。
運転士と思われる職員が車内を通り抜けたが、声かけは無し。
女性専用車両内に私達と女性客1人の状態のまま新長田駅を発車した。
隣の車両もちらほら乗客がいる程度で空いている。
駒ヶ林駅、苅藻駅と過ぎたが女性専用車両は乗降無し。
御崎公園駅で私達以外に唯一乗車していた新長田からの女性客が下車し、代わりに別の女性客が1人乗車してきた。
一方で隣の車両は人が増えてきて、見た感じ座席がほぼ埋まっているようだ。
列車は和田岬駅に到着。今日は日曜日だからかホームにあまり人がいなかったが、平日のこの時間帯は沿線の工場等の従業員の帰宅ラッシュでホームが混雑しており、女性専用車両がガラガラで他の車両が混雑している様子が見られる。
今日も平日ほどではないがすでにこの時点で混雑差が生じている。
和田岬駅からは女性専用車両に2人女性客が乗車してきた。
隣の車両では立ち客が出始めたようだ。
中央市場駅では女性専用車両に10人くらい乗ってきた。全員女性客である。
次のハーバーランド駅で結構降りていく人がいた。中央市場から一駅だけの利用客も少なくないらしい。女性専用車両は再びガラガラになった。
旧居留地・大丸前駅を過ぎ、18:35に終点の三宮・花時計前駅に到着。
三宮・花時計前駅で一旦改札を出たあと、三宮の地下街を数百メートルほど歩いて西神・山手線の三宮駅に到着した。
西神・山手線・北神線 三宮~谷上
三宮駅からは18:48発の谷上行きに乗車した。車内は座席が埋まりわずかに立ち客がいる。
次の新神戸駅でややまとまった下車があり、少し乗車率が下がった。
ここまでは西神・山手線だが、新神戸駅を出るとそこから先は北神線となり、車内アナウンスが自動放送に変わる。
新神戸駅発車後に男性が1人車内を通り抜けていった。
新神戸を出ると次は終点の谷上だが、六甲の山々の地下を通るため列車は谷上駅まで約8kmの間ひたすら地下トンネルを走り続ける。
そして長いトンネルを抜け地上に出るとすぐ谷上駅である。
名谷からここまで私達が地下にいる間に日が暮れて辺りはすっかり真っ暗になっていた。
西神・山手線・北神線 谷上〜三宮
18:58に谷上駅に到着すると、同じホームの向かい側から神戸電鉄の三田方面行きの列車が地下鉄からの乗り換え客を乗せて発車していった。
谷上駅は地下鉄と神戸電鉄の共同使用駅である。
ここで会員の1人が谷上駅の駅標のすぐ隣に缶コーヒー、ワンダの広告が出ているのに気付いた。
ワンダといえばあの「朝専用」缶コーヒーである。
偶然だろうが、女性専用車両を土日も含めて毎日終日しかも短編成で運行している神戸市営地下鉄の駅に朝専用缶コーヒーの広告とは何とも・・・
いつも当会サイトをご覧くださっている方ならご存知かと思うが、朝専用缶コーヒーは単なる商品名であって別に夜中に飲んでも全然問題ない。
女性専用車両も単なる車両名であって実は何の強制力もないし、マナーですらない。
むしろ鉄道事業者や他の乗客が(男性に)乗らないよう強制したら、そちらの方が実は問題である。
公共交通機関で性別などの属性を理由に定められた運賃を支払っている乗客を排除したり、乗れる車両数に差をつけることは出来ない。
「小学生以下のお子様やお身体の不自由な方とその介護者はご乗車いただけます」と案内されていても、それは「子供や障がい者・介護者以外の男性は乗れない」と勘違いさせるための案内であり、それ以外の男性について触れていないだけで実は誰でも乗れる車両である。
そして、女性専用車両自体も一部政党の人気取り政策として進められたものであり、痴漢対策は建前である。
X(旧ツイッター)などを見ていると、未だに
「女性専用と書いてあるのだから、男は禁止。ルールは守れ」
「痴漢がいるからこうなったのに、そのことを棚に上げて差別反対とかいうのはおかしい」
などという意見が少なくないが、こういうのを情弱(情報弱者)というのである。
さらにこういう人々の中には「痴漢対策は建前」「専用はウソ」「女性専用車両をルールには出来ないし、鉄道会社のルールブックである輸送約款にも一切触れられていない」などといくら説明してもひたすら「痴漢対策に決まっている!」「男は禁止!」と言い張る人がいる。
そういう人はいくら説明されても理解できない人なのかも知れない。
説明を理解できる能力がある人ならば「本来、女性専用には出来ないのに『女性専用車両』と表記して乗客を勘違いさせるのは問題」と気づけると思われるが、それが出来ない人もいるようだ。
「本当は女性専用でもないし痴漢対策という理由も実は怪しい」と分かっていながら言い張っているのであれば、いわゆる「構ってちゃん」やネット工作員の可能性もあるが・・・
さて、先ほど私達が乗車してきた谷上行きはそのまま19:09発西神中央行きとして折り返す。
私達は車内に戻り乗務員などの声かけチェックをすることにした。
谷上駅では他の終着駅と同様に乗務員が場所を替わるために車内やホームを移動するほか、清掃員も車内に入ってくる。
以前、谷上駅で「女性専用車両は任意協力」だと知らない清掃員が当会会員にしつこく声かけをしてトラブルになったこともあった。(後に当会会員の抗議により、神戸市交通局側がその清掃員を指導した)
しばらくして運転士と清掃員が車内を通りかかったが、今回は何も言ってこなかった。
(運転士と清掃員の)対応としてはこれで良いのだ。
車内は私達以外ほとんど人がおらずガラガラだったが、発車直前に神戸電鉄の新開地行きと連絡。乗り換え客が10人弱くらい乗って来た。
若い男女も乗ってきたが、車内で何やら話しだし2人とも隣の車両に。本当は移動する必要は無いのだが、やはり「専用」という文言に騙されている。
結局、私達以外に7〜8人程度の女性客を乗せて列車は発車。
発車直後、自動放送で「この列車の前から●両目は女性専用車両です」とアナウンスが流れた。
神戸市営地下鉄では車内や駅の放送などで女性専用車両の案内は行わないのが基本だが、北神線だけ扱いが異なるようだ。
地下トンネルを延々と走って次の新神戸駅に到着すると、新幹線からの乗り換えと思われる乗客が多数乗車してきた。
乗車してきたのは全員女性で、車内の男性はやはり私達だけのようだ。
ここで多くの座席が埋まったがまだ少し空席がある。
新神戸駅を出て19:19に三宮駅到着。今回はここで終了とした。