新型コロナウイルスの影響により、当会もその活動に大きな影響を受けておりますが、そんな中で当会名古屋地区のメンバーによる東山線での非協力乗車会、および駅での抗議活動を実施しましたので報告いたします。
ソーシャルディスタンスが望ましい時期に、混雑に拍車をかける女性専用車両は運用停止を
名古屋市営地下鉄栄駅にて抗議
名古屋市営地下鉄東山線にて非協力乗車
当会では新型コロナウイルスの影響により、今年3月以降は全国的に乗車会などの活動が思うように行えない状態が続いているのですが、名古屋もその例外ではありません。
名古屋でもここしばらく乗車活動は行っていなかったのですが、コロナ騒動後から地下鉄の混み具合や女性専用車両の運用状況を見ていなかったため、今回私達「反対する会 名古屋地区」において、千種から栄までの短い区間ではありますが、非協力乗車会を実施することにしました。
地下鉄東山線・千種駅ホームでは相も変わらず列車到着間際に「女性専用車両のステッカーのある車両は・・・」との無粋な案内放送が流れていましたが、しばらくして到着した14時45分発の高畑行きの女性専用車両に乗車。
女性専用車両内はこの時間帯にしてもかなり空いており、やはりコロナウイルス感染症の影響かと思われる状況。
参加メンバーも着席。
車内をざっと見渡すと、見事なまでに女性専用車両内の座席は「一席空け」で乗客が座っており、立ち客はありませんでした。
これだけを見れば、立派な「ソーシャルディスタンス」であると言えましょう。
しかし、これは「多くの罪のない男性客」達のお陰であると思えば、感心してばかりもいられません。
(他車両は明らかに女性専用車両よりも密な状態になっていました)
乗車中も駅ホームでも何事も起きませんでしたが、栄駅で抗議することにしました。
栄駅にて抗議
栄駅で駅長室に出向くと、受付の所にはやはり「コロナ対策」のクリアシートが吊り下げられていました。
最初に応対したのは、30代くらいのA氏でした。
「女性専用車両のことで意見があるのですが・・・」と切り出しましたが、今回は女性専用車両の存在そのものについて苦情を入れるよりも、時節柄「コロナ対策」に絡めて、「ソーシャルディスタンスの重要性が指摘されている現在、女性専用車両の存在は混雑に拍車をかけ、非常に問題である。このような時期にまで女性専用車両が必要であるとはいえない。一時的にでも、運用を中止してはどうか?」と抗議しました。
A氏は私達の話をわりと淡々と聞いてくれていましたが、ここに名も名乗らず割り込んできたのがWという50代くらいの男性。
最初気が付きませんでしたが、途中で胸の名札を見ると「助役」と記載が・・・。
私達がA氏と話をすすめていく過程で、当然女性専用車両の正当性(実際には男性も乗車できるという事や性別による乗車拒否の問題性など)に関する話もせざるをえなくなり、そのことについて意見していたところ、W助役が横から「私達もね、犯罪対策っていうことで、警察にも頼まれてやっているんですよ」と口を挟んできました。
すでにご存知の皆様も多いと思いますが、実際は女性専用車両は警察よりも公明党のごり押しで導入されたものであり、また「犯罪対策」も表向きの理由です。
・・・唐突な助役の出現に一瞬、戸惑ったものの「警察に頼まれてやっている」などという、真偽のほどはともかく、その場しのぎの無責任な発言を許すわけにはいきません。
この後、私達はこのW助役と話の続きをすることになり、いつのまにか最初話をしていたA氏は退散してしまいました。
続けてW助役は「女性専用車両についてはね、導入当初、確かに賛成・反対で色々と議論がありましたけれど、もうね、それは10年くらい前に終わっているんですよ、はい。」などと、またも無責任極まりない適当な言い分を返してきました。
女性専用車両問題を「過去のこと」にして片付けてしまおうという魂胆(?)がありありですね。
実際には当会においても、ここ数年、名古屋市交通局への訪問や非協力乗車会などを行っていますし、また世間でもオリンピックイヤーということで、反対派が女性専用車両廃止の声を上げてくることを見越したマスコミが、それに先回りするように女性専用車両必要論を盛んに報道していたのはまだ今年(2020年)の年明け早々のことです。
その後、コロナの大流行によってオリンピックは延期となり、マスコミが女性専用車両必要論を盛んに報道していたことも世間からすっかり忘れ去られてしまいましたが・・・
W助役に対し、こちらからは女性専用車両の抱える問題性を色々と指摘しつつ、「10年前と今では時代も違う。女性・男性の定義も外見だけではなくなっている時代だ。我々のように、抗議しにわざわざ駅長室に来る利用者がいる以上、女性専用車両の問題に関する議論は終わっていない証拠だ」と反論しました。
助役はこの後も「多くの方には理解してもらっていますし、社会が必要だとしているので云々」などと、苦しい言い訳をしていたので、次に障がい者と女性専用車両に関する問題点を指摘すると、今度は「そういうトラブルは少なくなってきている」と反論。
この助役、どうやら「自分たちが直接苦情を受けなければ、それで良い。問題は起きていない」と思っているようです。
更にW助役は「あの、まあ、こういう事はね、正直私たちに言ってもらうより、直接交通局の方に言ってもらった方が良いと思います。現場の私たちが上に言っても変わらないと思うので・・・」と逃げようとしました。
「それはおかしくないですか?私達のようにわざわざ駅長室まで来て意見を言っている人に言うことではないですよね?」と反論すると、W助役はさすがにマズイことを言ったと思ったのか、この後、急激にトーンダウンしていきました。そして、
「はい、もちろん、今お客様のご意見いただた事についてはこの後私がレポートを書いて提出はしますけどね、それに加えて直接交通局の方へ言っていただく方が、効果はあると思うんですよ」
「正直、現場の私達もね、中には(女性専用車両を)快く思ってない人達もいますけどね、上にやれって言われて、色々大変なんですよ。お役所仕事っていうかね・・・」
などと、今度は親近感を持ってもらおうとでもするかのような変に態度を軟化させ、謝罪しました。
こちらからはさらに、台湾の台北市の地下鉄の「夜間安心ゾーン」を引き合いに出し、「こうした事例なら、公平に安全を保てる可能性もある。鉄道の安全は本来事業者と警察の仕事であり、男性乗客に負担を強いて女性乗客の安全を保とうとするのは誤りだ」と追撃しました。
余談になりますが、台北市の「夜間安心ゾーンは」もともと「婦女待合ゾーン」という名称だったようです。
日本で「公共交通機関での安心・安全」といえば、イコール「女性の安心・安全」で「男性を排除することが安全で安心出来る環境づくりにつながる」という思考になっているようなフシがありますが(実際にはさらにその上に事業者の「女性にやさしい」というイメージ戦略や女性専用限定広告などによる増収・増益狙いも絡んで酷いことになっていますが)女性専用車両を運行している日本の鉄道事業者も今の極端な女性偏重から対応を改めて、台北市を見習っていただきたいものです。
W助役からは、改めて「今日いただいたご意見は、この後、確実に上の方へ上げさせていただきますので・・・どうもありがとうございました」との言葉が聞けたので、私達も駅長室を後にしました。
この助役を話している間中、時折後ろから40代か50代くらいの同僚らしい男性が心配するかのように状況をのぞき込んでいたのですが、彼が誰だったのか分かりませんでした。
今回の抗議で今後も引き続き、活動を継続して行く必要性を改めて感じました。