当会関西本部では、2019年8月22日の夜、阪急京都線で非協力乗車会を行いました。
ここしばらく、当会としては阪急での乗車会を行っていませんでしたが、やはりこうした活動は継続して行っていく必要があるため、また今回も阪急京都線で実施することにしました。
今回、関西のメンバーだけでなく、名古屋地区からも会員が1名参加しました。
以下、その報告です
女性客から2回、乗務員から1回声掛け
女性の特権意識につながる女性専用車両
梅田~河原町
今回は阪急梅田に集合。
平日だが、仕事帰りのメンバーが集合場所に次々と集まってきた。
今回は、名古屋地区からも会員が1名参加し、関西のメンバーと挨拶をかわしていた。
しばらくして、参加予定メンバーが揃ったので、私達は19:00発、通勤特急 京都河原町行に乗車するため、改札口を抜けて、梅田駅京都線ホームの女性専用車両位置に並んだ。
近くに黄色い服を着た、アルバイトの駅員がいたが、並んでいる私達には声をかけて来なかった。
しばらくして列車が到着、私達は一斉に乗車した。
阪急京都線の女性専用車両は平日の終日設定で、特急及び通勤特急のうち、クロスシート車(向かい合わせで座る座席)の列車が対象である。
私達は4人掛けのクロスシート2つ分に分かれて着席したのだが、後から乗車してきた、やや高齢の女性客が着席していた私達に「ここ女性専用」と言ってきた。
こちらからは「知っている」「任意協力だ」などと返したが、高齢だからということで、会員の一人が席を譲ったところ、この女性客は礼も言わず当たり前のようにそのまま着席した。
そして着席してからは、それ以上何も言ってこなかったのだが、どうやら着席したいがために「ここは女性専用」だと言っていたようだ。
つまり、女性専用車両という名前のせいで、この女性客は当たり前のように「特権意識」を持っていたわけである。
こういうところにも女性専用車両の弊害が出ているといえるが、譲らなかったら譲らなかったで「専用車両反対派は、『任意だから』といって優先座席にも協力しないのだろう」などという、的外れな批判が来ることがある。
どちらにしても、女性専用車両などというものがあるせいで話がおかしくなっているとは言えるだろう。
梅田では、それ以外の女性客や駅員・乗務員などからの声掛けはなく、そのまま19時ちょうどに発車。
淀川を渡って、すぐに次の停車駅十三に到着。
十三発車直後に「この列車の前から●両目は女性専用車両です。皆様のご理解ご協力をお願いします」と、女性専用車両アナウンスが流れた。
阪急では、「この列車の前から●両目は女性専用車両です。皆様のご理解ご協力をお願いします」
というアナウンスに続けて、「車内ではマナーを守り、快適な車内環境づくりにご協力をお願いします」というアナウンスをしてくることがよくある。
遠まわしに、女性専用車両をマナーだと乗客たちに思わせようとしているのではないか?(女性専用車両がマナーだなんて、とんでもない!)と、当会でも過去何度か指摘してきたが、今回私達が乗った列車の車掌は「この列車の前から●両目は・・・」だけで、後ろに「車内ではマナーを守り・・・」とは続けてこなかった。
これ自体はまあ良いのだが、阪急ではこのような、女性専用車両をマナーと思わせるかのような車内アナウンスをやめたのか、それともたまたま「この車掌がしてこなかっただけ」なのかは、これだけでは分からない。もう少し様子を見る必要がある。
淡路駅の手前で速度を落とし、淡路駅をゆっくりと通過。
ここでJRおおさか東線と交差。
今年の3月、開業したばかりのJR淡路駅がすぐ近くにある。
淡路を出ると速度を上げ、途中の正雀駅で先行列車を追い抜いた。
大阪メトロ堺筋線の車両である。
首都圏では地下鉄車両の私鉄・JRへの相互乗り入れは当たり前だが、関西ではここ以外ではあまり見られない。
ふと隣の車両を見ると、女性専用車両との混雑差は明らかであった。
特に何事もなく茨木市を過ぎ、その次の停車駅の高槻市駅では男性が1人乗車してきた。
高槻市発車後、また女性専用車両アナウンスが入った。
後ろに、「車内ではマナーを守り・・・」のアナウンスは付けていない。
大阪と京都の府境を超え、長岡天神に到着。
このあたりから少しずつ女性専用車両は空きはじめ、その次の桂では、ガラガラになった。
しかし、隣の車両はまだ若干だが立ち客もいる状況。
そのまま西京極を通過し、西院からは地下へ。
大宮・烏丸と停車し、終点の京都河原町に19:44着。
河原町~梅田
河原町で一旦改札を出て、駅近くのラーメン屋に入り、つけ麺を注文した。
実はこの店、過去の乗車会でも入ったことがある。
今回も、参加メンバーで食事をしながらいろいろと雑談して、次に乗車する列車までの時間を過ごした。
食事のあと、河原町駅に戻り、20:29発梅田行通勤特急に乗車するべく、少し早めに駅のホームで並んだ。
私達が並んでいると、後から小さな子連れの外国人夫婦が女性専用車両乗車口に並んできたのだが、しばらくしてから気がついたらしく、慌てて列を離れ、隣の車両の乗車位置に並び直していた。
女性専用車両は一応表向き、痴漢対策という名目になっているが、子連れの父親が家族の目の前で痴漢をするとでもいうのだろうか?
さらに、今度は私達の後ろに並んでいた女性客が声をかけてきた。
女性客:女性専用ですけど大丈夫ですか。
会員A:知ってます。法的根拠はありませんので。
こちらが承知の上で並んでいることを伝えると、それ以上は言ってこなかったが、やはり鉄道事業者が「女性専用」と銘打つから、こうして声をかけてくる者が現れるのである。
いつも言っている通り、「女性専用は名前だけで、実は任意協力」である。
ただ、この女性客の声のかけ方を見る限り、「任意協力であることは知っていたのではないか?」ともとれる声のかけ方である。
恐らくは、私達が気付かずに並んでいると思ったのではないだろうか?
任意協力であるということは、2018年2月に関東の専用車両反対団体、差別ネットワークの乗車活動でのトラブルがマスコミで大きく取り上げられて以来、かなり広く知れ渡った感はあるものの、それでもまだやはり、私達のように明確な意思を持って乗る者以外は、非常に乗りにくい状況である。
なぜ、女性専用と名乗りつつ任意協力なのかといえば、公共交通機関で男女同じ運賃を取りながら、乗れる車両の数が違う(男性であるというだけで、男性を排除する)のはまずいので、強制力は持たせず任意協力にしているわけだが、阪急に限らず他の鉄道事業者でも「任意性を知らせていない」と抗議すると、「乗客にお願いをしているだけのもの」「男性の協力で成り立っているだけのもの」と、任意であることを認める。
そして、他の乗客が声をかけてきたり、場合によってはトラブルに発展しかねない状況があることを話すと、「それ(任意協力)を認識していない女性客がいる」と言う。
しかし、「それを認識していない女性客がいる」のは任意協力が周知されていないからである。
とは言え、どこの鉄道事業者も任意協力であることは知らせるつもりはないようであるし、中には「任意協力であることは、一切告知しません」などと明言する鉄道関係者もいる。
任意と知らせず、強制のように思わせて男性を移動させ、それを「任意で移動していただいたので、問題ありません」と片付けるのは卑怯であるというのも、いつも言い続けてきたとおりであるが、やはりここは任意周知だけでなく、さらに乗車する男性の数自体も増やしていく必要がありそうだ。
さて、しばらくすると列車が到着。私達はそのまま乗りこんだ。
着席してしばらくすると、一組の男女のペアが乗ってきた。
これまでの乗車会では、河原町駅停車中に乗務員などが声をかけてきて、こちらが移動を断ると、今度は途中の桂駅で(河原町駅からの連絡を受けているであろう)駅員が乗りこんでくるというパターンがあったが、今回は河原町駅での駅員や乗務員による声掛けはなかった。
やがて発車時刻になり、列車は河原町駅を発車。
烏丸・大宮・西院と停車し、地上に上がって西京極を通過後、桂に到着。
今回は河原町での声掛けはなかったが、念のため、駅員等が乗りこんでこないか注意して見ていた。
桂駅ではホームに駅員がいたものの、こちらには向かって来ず・・・
と思ったら、しばらくして駅員が女性専用車両のほうに向かってきた。
「来るか!?」と思ったが、どうやら専用車内の女性客の一人に用があったようである。
私達には声をかけてくることはなく、列車はそのまま発車。
そのまま、長岡天神・高槻市・茨木市と何事もなく過ぎ、このまま今回は終わるかと思ったが、茨木市を出てしばらく経って、ちょうど上新庄駅を通過したあたりで、阪急の制服を着た乗務員がやってきて、車内を通り抜けようとしてきた。
そして、私達が座っているところを過ぎてすぐ、思い直したように振り返り、声をかけてきた。
乗務員:すみません。こちら女性専用車両になっております。
会員:知ってますよ。理解はしていますが。(←もちろん、「任意協力であると理解している」という意味)
乗務員:わかりました。
状況から、恐らく、私達に声をかけるためにやって来たのではなく、たまたま私達と遭遇したので声をかけてきたものと思われる。
以前のようにしつこく声掛けしてきたり、私達にくっついて乗車してきたりということはなかったが、こんなところで乗務員からの声掛けがあるとは思わなかった。
その後は終点の梅田まで、特に何もなく終わったが、女性客から2回声掛けがあったことなどから、「もっと任意であることを告知せよ」ということで、梅田駅で抗議を行うことにした。
梅田駅で抗議
私達は梅田駅の駅事務室に向かった。
そして、女性専用車両は任意協力であるかどうか、一応、中にいた職員に確認した。
対応した女性の職員は、
「強制は出来ないので、私達はお客様にご協力をお願いしている立場ですね」
と、任意であることを認めた。
会員A:今日も乗車していたら複数回声掛けがあったんですよ。
女性職員:お声掛けはさせていただいていますね。
会員B:乗っていると、女性の(乗客の)方でも、「ここ女性専用車両」と言ってくるんですよ。そういうことがないようにしていただきたい。
会員A:周知が出来ていないということではないですか?
すると横にいた男性の職員(恐らく上司だろう)が出てきて、
「すみません、代わります。私、首席助役の●●と申します」
と、女性職員に代わって、私達へ対応してきた。
会員A:首席助役さん・・・
首席助役:女性専用車両のことで・・・
会員B:はい。乗っていると、そう(=女性専用)書いてあるからそれを見て、「ここ女性専用車両」と言ってくる人もいますけど、事情があって乗る人もいるので、せめて「男性でも乗られる方がいる」ということは、書くなり放送するべきではないでしょうか?
首席助役:(阪急のHPには書いているが)HPだけでは、皆さん見ませんのでね・・・
会員A:HPといっても、HPにもそういうことしっかりとは書いてないんじゃないですか?
会員C:やはり「専用」と書いてあると、誰でも本当に専用だと思いますよ。本当は障がい者とか、その他もろもろ男性は乗っても良いとか・・・
首席助役:本社にこういうのを総括しているところがあるので、今日の日付でこういう要望があったことはお伝えいたします。
会員C:お願いします。
首席助役:京都線? ですか。
会員C:そうですね。
そして、さらに参加メンバーで
「任意周知が足りない」「専用という名前がいけない」「男性は乗車禁止だと思っている女性客がいる」
など、伝えるべき内容をいろいろと、詳細に話した。
そして、さらに帰りの梅田行特急の車内で、乗務員が声をかけてきたことについても話し、
「私達のように、任意だということを知っている者ならともかく、そうでない者は『女性専用車両です』と言われれば移動してしまうだろう。やはりご協力をというなら、任意であることを知らせなければ、任意でご協力いただいたということにはならないのではないか?」
ということも伝えた。
会員A:この車両を設定している意図は何なのでしょうか?
首席助役:(少し考え込んで)これは、ちょっと私も・・・この件というのは非常にデリケートなもので、議論をして行くと、賛成・反対になって、口論になってしまうので、特段答えは控えさせていただきたいと・・・
会員A:女性向けサービスになっているのではないですか?
・・・この首席助役の責任ではないのだが、阪急では過去HPに「女性専用車両の導入が、人にやさしい魅力ある鉄道サービスを実現するためのサービス水準向上の一施策であると考えて、●●線に女性専用車両を導入します」等と記載して、女性専用車両の導入・拡大を告知していたことがある。
つまり阪急は、女性専用車両をやむを得ない痴漢対策としてではなく、「女性専用車両を設置すれば、サービス水準や企業イメージのアップにつながる」と考えていたと思われるフシがあるのだ。
男性にとってはサービスダウン以外の何物でもないのだが・・・
特に高齢者や障がい者など、移動に困難の伴う男性に対して、女性専用車両はどう「やさしい」というのだろうか?
会員C:痴漢対策と当初は言われてましたが、だんだんそこから外れてきているでしょう。やはり公共交通機関なんですから、男女とも同じ運賃を取りながら、このようなものをいつまでも運行するのはいかがなものかと・・・
首席助役:女性専用車両に反対の立場の方からのご意見ということで、本社に報告させていただいてよろしいですか?
会員C:はい、お願いします。
・・・このような感じで、約10分余り抗議して、最後は首席助役に「お忙しいところ、ご対応ありがとうございました」と述べて、私達は駅事務室を後にした。