関西本部では、1月下旬の日曜日の日中、JR大阪環状線とゆめ咲線(桜島線)で、非協力乗車会を実施しました。
以下その報告です。
こんなおかしなもの(女性専用車)をいつまで続けるのか
女性客やJR職員などからの声掛けはなかったものの・・・
大阪~桜島
今回は日中、JR大阪駅に集合し、大阪駅から桜島線直通の列車に乗り、終点の桜島まで行った後、桜島から引き返すルートとした。
11:50発桜島行に乗車する予定だが、その前にホームで発着する列車を見ていたら、女性専用車から男性客が降りてくるのが見えた。
「女性専用車は任意協力」だと分かっていて、あえて乗車していたのなら素晴らしいのだが、実際はどうだろうか?
当日は日曜日だったが、他社局が土日・祝日は女性専用車を設定していないことが多いので、その感覚で乗車している可能性もある。
列車の到着時刻が近づいてきたので、私達は女性専用車乗車位置に並んだ。
周囲の女性客は何も言ってこない。
また、私達の近くに駅員がいたが、こちらも何も言ってこなかった。
女性専用車と名前がついていても、実際には「任意協力」である以上、それが本来なのだ。
ただ、声掛けは少なくなったものの、女性専用車が土曜・休日も含めて毎日・完全終日実施で、しかも表向き痴漢対策といいながら、実際には女性専用車を営利目的に利用するなど、まだまだJR西は相変わらずである。
また、同じ関西の路線でも、例えば阪急電鉄などは、現在も男性が専用車内にいると、職員などによる声掛けが大変しつこく、またそれでも男性客が任意協力を主張し、降りないと分かると、周囲の女性客一人一人に謝罪して回るという徹底ぶり。
女性専用車を「女性向け快適サービス」と位置付けているのがはっきりとわかる。
つまり、表向き痴漢対策と言いつつ実際には、「男性がいないと快適」という、一部女性の身勝手なニーズに応えた、「女性特権車両」なのだ。
そしてそこには、「こうすれば、世間(特に女性客)から良い目で見たもらうことが出来るだろう・女性が積極的に自社路線を利用してくれるようになるだろう」という、鉄道事業者側の思惑があるものと考えられる。
だからこそ、男性がいると女性客へのサービスダウンになるので、徹底的に男性を降ろそうとし、それでもだめなら女性客に謝って回るわけである。
そこに、「痴漢対策のためやむを得ず女性専用車をやっている」という感覚は全く存在しない。
今では声掛けが少なくなってきたJR西日本も、4年前(2014年)の、いわゆる「御幣島事件(※1)」の前までは、声掛けどころか、力づくでの強制排除も辞さない姿勢であった(参考までに、2011年の塚口事件(※2)のリンクも貼っておく)。
2014年8月 JR神戸線・JR東西線 非協力乗車会の報告(御幣島事件)
2011年11月 JR西日本福知山線・強制排除に対する報告(塚口事件)
非協力乗車などの活動について、「効果がない」「やってもムダ」などという人が世の中にはいるが、決してそんなことはない。
もし反対派がこのような活動をしていなかったら、今でもJR西日本は男性客を力づくで強制排除していることだろう。
現在、関西では阪急電鉄が「声掛けがしつこい鉄道事業者」の、言ってみれば代表格だが、関西だけでなく、関東のほうでも路線によってはかなり声掛けがしつこいようだ(小田急や東急など)。
そういえば、JR東日本では「サービス品質よくするプロジェクト」と称して、「女性専用車に男性が乗らないよう、ご案内を改善しました」などと、堂々と駅にポスターを貼り出す駅まであったらしい(写真)。こうなるともはや、反対派に対する挑戦と言わざるを得ない。
こうした動きに対し、当会としても引き続き、非協力(任意確認)乗車という形で対応していく。
私達はあくまでも、「女性専用車は任意である」にもかかわらず、強制であるかのような運用をする鉄道事業者のウソを許さないために活動しているのであって、あくまで合法の範囲で活動する。
当サイトで毎度言っていることだが、そもそも公平性が強く求められる公共交通機関において、本当に女性「専用」の車両など作れない。
だからこそ、鉄道事業者も表向き強制のように装いつつ、実際には女性専用車を任意協力ということにして、法的な問題に触れないように上手くかわしているのだ。
そして、女性専用車が実は任意協力でしかないことを利用者にできるだけ知らせずに、「男性客が自主的に協力して乗らないだけ」ということにして、体よく片付けてしまっているのだ。
つまり、そんなことをしなければならないほど、女性専用車の存在そのものが、公共交通機関においては非常にまずいものであるということなのである。
やがて、列車の到着を知らせる放送が流れ、ホームに桜島行の列車が入ってきた。
大阪環状線では列車の置き換えが進み、今では到着する列車の多くが新型の323系だが、私達が乗車する予定の桜島行として入ってきた列車は、国鉄時代の古い車両(201系)だった。
桜島線がUSJ(ユニバ―サルスタジオジャパン)へのアクセス路線である為、今ではこの201系も、車両全体にキャラクターなどのラッピングが施された姿で走っている。
ドアが開き、私達は乗車してすぐ開いていた座席に各自着席した。
車内は私達以外に女性客が10数人ほどで、空いている。近くに、私達以外に若い男性客が一人、座席に座っているのを確認した。
やはり周囲の女性客は特に何も言ってこない。(もちろんそれで良いのだ)
しばらく大阪駅で停車したあと、ドアが閉まり、列車は大阪駅を発車した。
乗車率は空いた状態で特に変化しないまま、福島・野田と過ぎ、やがて桜島線が大阪環状線と分岐する西九条駅に到着。ここで両側の扉が開き、少し乗客が乗ってきた。
座席はほぼ埋まったが、それでも立ち客はほとんどおらず、まだ空いている。
大阪やその近辺の方ならご存知かと思うが、桜島線は大阪環状線から分かれ出た、全長4キロほどの小さな行き止まり路線である。
大阪環状線の普通列車は大阪環状線を回り続けるものが多いが、私達が乗車したこの桜島行のように、大阪方面から桜島まで直通する列車もある。
西九条でしばらく停車して、大阪環状線を走る後続の快速列車と連絡を取った後、私達の乗った列車は桜島線内へ走りだした。
さっき大阪駅で確認した若い男性客もまだそのまま乗車している。
次の安治川口駅を過ぎ、列車はUSJの最寄り駅であるユニバーサルシティ駅に到着。ここで乗客の多くが降りた。先ほどの若い男性客もここで降りた。
再びガラガラになった状態で、ユニバーサルシティ―を出発。ほどなくして、次の終点・桜島駅に到着。
今回は大回り乗車ではないので、ここで改札を出て、切符を買い直した。
折り返しの列車までしばらく、十数分ほど時間があるので駅前でしばらく休憩を入れることに。
桜島~天満
やがて、折り返し列車の発車時刻も近づいてきたので、再び改札を通り、私達は桜島駅のホームへ向かった。
ホームには私達が先ほど乗ってきた列車が折り返し、西九条行として停車していた。
日曜の昼下がりの桜島駅は、人の姿もまばらで、折り返しの車内もガラガラである。発車までしばらく時間があることもあり、女性専用車にはまだ誰も乗っていなかった。
そこで、JR西日本が女性専用車内に、「一応」出している、「男性の障がい者や介護者も乗れる」(という主旨の)、案内のステッカーを撮影することにした。(他の乗客がいる状態でむやみに車内撮影を行うと、それ自体がトラブルのもとになることがある。だからそうそう車内での撮影は出来ない)
写真をご覧いただいても良く分かると思うが、ステッカーの存在自体が本当に目立たない。
また、その上ステッカーに記載されている文字も細かいので、わざわざ読む人はほぼ皆無だろう。
駅や車内・車体のいたるところに「女性専用車」と、これでもかと言うくらい目立つように掲示しているのとは、非常に対照的である。
そのため、移動に困難の伴う男性の障がい者などが、何とか階段を降りて、ホームにたどり着いたら目の前に女性専用車が停まっていた(JR西日本は、女性専用車の目の前に階段やエレベーターがちょうど来るように設定している駅が多い)ので、「障がい者なら乗っても良いだろう」と思って乗ったら、女性客から白い目で見られたうえ、暴言を吐きかけられたり、暴力を振るわれたりということも往々にしてありえる。
しかし、車内に一応、「障がい者や介護者は男性も乗れる」という案内ステッカーがあるため、「女性専用車に乗ったら、女性客から暴言を吐きかけられた」と抗議しても、「障がい者は男性でも乗れるので問題ありません(=障がい者は男性単独でも乗れるということを知らない女性客が悪いので、文句はそっちに言って下さい)」で、片付けられてしまう可能性が高い。
ちなみに、当会の「ご意見紹介」のページにも過去、鉄道事業者に「女性専用車を設置するにしても、男性の障がい者などにもう少し配慮してほしい」という意見を送ったものの、まともに相手にされず、非常に不誠実な対応を取られたという投稿があった。
(こちらの最初(一番上)の投稿「関西の方からのご意見投稿」参照」)
つまり、「移動に困難の伴う、男性の障がい者よりも女性の健常者を優先するのか?」とクレームをつけられても、「障がい者は男性も乗れますので問題ありません」とうまくかわせるよう建前上、「男性の障がい者は単独で乗れる」ことにしているだけで、実際は障がい者であっても、出来るだけ男性は乗せないようにしているのである。
もちろん、女性専用車問題の本質は「公共の場における、属性による差別」であるから、仮にJR西日本が女性専用車を営利目的に利用するのをやめ、さらに駅構内や車内に「男性障がい者は乗れる」と大書きし、女性専用車を一番不便な場所に持っていったとしても、「それで問題ない」ということにはならない。
男性客への差別に当たる女性専用車は、その存在自体が不適切であり、廃止するべきである。
さて、発車時刻が近づき、車内にもパラパラと乗客が乗車してきた。
そして時刻通り、列車は桜島駅を発車。
しばらく走ってすぐに次のユニバーサルシティ―駅に到着。
やはりというか、ここで多数の乗客が乗車してきた。
私達が乗車していた女性専用車にもまとまった乗車があったが、日曜日のUSJ最寄り駅ということで、カップルが多かった。
私達が確認しただけで3組ほどのカップルが乗車してきたが、女性専用車だということは見たところ気にしていない様子。
これも「女性専用車は任意」と分かって乗車しているなら結構なことなのだが、実際のところはどうなのか、見ただけでは分からない。
安治川口を過ぎ、列車は終点の西九条駅に到着。ここで大阪環状線外回り(大阪方面)に乗り換え。
西九条のホームで待っていると、しばらくしてやってきたのは新型の323系。
乗車するとすでに一人、男性客が乗車していた。車内は一部空席もあるくらいで空いている。
車内を見渡すと、車端部のほか、車内中ほどのドアの上にも、先ほど述べた、「障がい者や介護者は男性も乗れる」(お体の不自由な方(介護者含め)乗っていることがありますが・・・)のステッカーが貼ってあった。
しかし、やはり文字が細かく、目を近づけて見ない限り、書いてある内容が読めない。
野田駅でカップル一組乗車。
結局、今回の乗車会もJR職員や女性客からの声掛けは全くなく、無事終了した。
今回は日曜日だったせいか、男性客の乗車がやや見られたものの、やはり平日でも普通に男性が乗車してくるくらいにならないとということで、また平日に乗車会を行いたいところだが、各自仕事があるため、どうしても土日よりも平日のほうが人が集まりにくくなる。
少しでも多い人数で乗車会なども行えればそれに越したことはないので、当会では引き続き、新規入会者を募集する。
入会申し込みフォームより、お申し込みいただきたい。