2014年3月18日、当会の札幌地区メンバーが札幌市交通局を訪問し、約45分間に渡り、交通局の担当者2名と意見を交わしました。
今回の訪問は、3月4日の北海道新聞夕刊の投書欄に、札幌市営地下鉄の「女性と子どもの安心車両」(女性専用車両)に知らずに乗車していた子連れの外国人夫婦に、ある女性客がかなりの剣幕で文句を言い、無理やり追い出したという内容の投書が掲載されていたことから、それに対する抗議と、今後このようなことがないようにしていただきたいという要望を伝えるために行ったものです。
また、ちょうどその頃、サッカーJリーグの浦和レッズのサポーターがJapanese onlyという横断幕を掲出したことが人種差別だとして世間で大きな問題になっていたこと。
そして、それに関連してtwitterなどネット上では、「なぜ今の日本では、”Japanese only”がこれだけ差別だとして問題になるのに、”Woman only”は(差別と認識されず)平然とまかり通るのか」といった不満の声が多数上がっていたこともあり、そちらについても交通局の見解を聞いてみました。
以下、活動に参加したメンバーからの報告です。
札幌市交通局に任意周知の徹底などを要請
Woman only 表記の問題性も指摘
3月4日の北海道新聞の夕刊に、札幌の地下鉄で、女性と子どもの安心車両(女性専用車両)に、知らずに乗っていた子連れの外国人夫婦を、ある女性客がすごい剣幕で怒鳴りつけ、無理やり追い出したという、非常に許しがたい内容の投書があった。
投稿者は、同じ車両に乗り合わせていた70歳の女性。
投稿によると、若い女がその夫婦に「女性の乗る車両なのになぜ乗った!」とかなりの剣幕で怒鳴りつけ、無理やり追い出したということらしい。
大体、子連れの夫婦が車内で痴漢などの悪事をはたらくとはまず考えられないし、第一、女性しか乗ってはいけない車両ではない(任意協力であり、性別に関わらず、実は誰でも乗れる)投稿者の女性も、「この女の配慮のなさに恥ずかしい思いがした」と述べており、同じ女性から見ても、この女の行為は恥ずかしいということなのだろう。
いずれにしても、これは黙っておくわけにはいかない。
交通局に行って担当者にひとこと言ってやらねば、ということで、会の札幌地区メンバーで交通局に抗議に行くことにした。
札幌市交通局へ
札幌市交通局にはこれまで、何度も足を運んでいる。
前回は昨年の7月で、この時の模様はこの「活動報告」にも掲載された。
今回も16時半ごろから交通局の担当者と面談することになったが、まだ時間が少しあったので、その前に札幌市内のファストフード店に入り、参加メンバーで軽く打ち合わせを行った。
そして、「新聞にこういう記事が載ったということを、交通局側は関知していないかもしれないから、新聞記事をコピーして持っていこう」という話になり、近くのコンビニで新聞のコピ-をとることにした。
また、ちょうどサッカーの浦和レッズのサポーターが”Japanese only”という横断幕を掲出して、人種差別だと大問題になり、浦和レッズが「無観客試合」を行う羽目になるなど、こうしたことが世間の関心を集めている時期でもあったので、そのあたりのことも含めて交通局に見解を聞いてみようという話にもなった。
やがて時刻は15時40分を回り、そろそろ時間だということでメンバー一同、地下鉄で交通局のある大谷地に向かうことにした。
そして16時20分頃、大谷地駅に到着。
駅のすぐ上(地上)にある交通局に向かった。
地下鉄を担当する、「交通局高速電車部」は、この建物の4Fにある。
私達はエレべーターで4Fに上がり、ここで担当者が来るまで待つことにした。
高速電車部の方に会議室まで案内していただき、そこでしばらく待っていると、交通局の担当者のS氏とH氏が来られたので、まずはあいさつを交わした。
そして、北海道新聞の記事について、「このようなことがあったことをご存知でしょうか?」と、私達が新聞のコピーを出そうとしたところ、交通局のS氏が「この記事のことでしょうか?」と同じ記事のコピーを出してきた。
どうやら交通局側でも把握していたようだ。
以下、当会会員と交通局のやり取りである。
黒字で表記しているのが、当会の会員達の発言。
赤字が交通局のS氏およびH氏の発言である。
3月4日の北海道新聞の記事について
会員:3月4日の北海道新聞の記事について、交通局さんとしてはどのようにお考えなんでしょうか?
交通局:大変残念な案件だというようには思います。
我々も再三ご説明してます通り、任意のご協力という形でこの車両の運行を行っているものですから、そういった形でのPRというのもしておりますし、掲示物等でもご案内をしているという状況です。
この文面、事実のほうについてはこちらでつかんでいるものではありませんので、実際何があったのかということはちょっとわからないんですけども、事実であるなら大変残念なことだと思います。
会員:こういうことが起こるということは、任意ということが十分周知されていないのではないでしょうか?
確かにポスターに(男性の協力によるものと)書いてはいるんですが、札幌市民でも「専用車両」と言っている人が多い(※)ですし、任意だと知っている人はまだ少ないのではないでしょうか?
会員:前にも言いましたけど、案内放送ありますよね?それで周知してもよいのでは?
こういうことが起きてしまったということで・・・
会員:やはり、(今回排除されたのが)外国人の方なんですけど、こういうことがあると、言われた方は札幌のイメージが悪くなりますね。
例えば、もし私たち(日本人)が外国に行ってこういうことを言われたら、「もう行きたくないなあ」となりますので、こういうことが起きないよう、任意の周知はもっとやっていただきたいと思いますね。
交通局:周知の部分をもっと手厚くというか・・・
会員:他の鉄道事業者に比べると、こうやってポスターに(男性の任意協力ということを)書いてくださるあたり、札幌市さんは良心的だと思うんですけど、それでもこうしたことが起きるというのは、まだまだ周知不十分ではないのかと私達としては思うんですね。
会員:そもそもこういう車両があること自体、日本のイメージが悪くなるんではないだろうかと。
これからもいろいろな国の方が札幌に来られると思うんですが、アメリカとか南アフリカとか、かつてアパルトヘイトをやっていた国の方もいらっしゃると思うので、そういう点でも、外国人に対する札幌のイメージ、いや、日本全体のイメージが悪くなるんではないだろうかと。
そういう意味で、今すぐには無理でしょうけども、出来ることならばこういう車両は、いずれはなくしていただきたいと思います。
会員:前のOさん(交通局の前担当者)という方が、「交通局も目指すところは一緒だ、こういう車両は本当は無いほうがいい」と言っていました。
今すぐは無理でしょうけど、少しずつ改善していっていただきたいなと思います。
交通局:Oの方からもお話ししていた通り、私達の目的はこの車両を設けたいということではなく、迷惑行為をなくしたいということですので、まあ、費用のこともありますが、他により良い方法があるのなら検討していく必要があるだろうかと思います。
会員:前(昨年7月)に監視カメラのことをお話しさせていただきましたが、それについては費用的な面で難しいというお話でしたが、本当にそれだけ難しいものなんでしょうか?
交通局:そうですね・・・私たちも他社で(カメラを)つけているところがあるというのは耳にしていましたが、決して多くない状況であるということも聞いています。
費用的な面でもかなりかかるという話を聞いたことはあります。
もちろん、「つけない」と言っているわけではなくて、そういったご提案ご意見のほうは頂戴して、内部で検討の材料にはさせていただきたいとは思います。
会員:こういう車両は公共の交通機関として、本来はないほうが良いものですし、監視カメラは是非検討していただきたいんですよ。
今回札幌でこういうことが起きましたけど、今後もこういうことは次々起きる可能性あると思うんですね。
実際、他の地域でもこういうことは度々起きています。
やはり外国人の目から見ると、日本がアパルトヘイトをやっているように思われても仕方がないのではないでしょうか?
会員:2020年に東京でオリンピックがありますが、その時にも多数の外国人が日本に来ると思います。
任意協力なのに、「Only」表記は不適切では?
会員:女性専用車両には英語で”Women Only”札幌市さんでも”Women&Children Only”と(車両のステッカー等に)書いていますけども、実際は任意協力ですからこれは不適当ではないでしょうか?
この前、サッカーの浦和レッズの一部サポーターが”Japanese Only”という横断幕を出して問題になったこと、ご存知かと思いますが、一部のサポーターがこういう横断幕を出しただけで、かなりの反発がありました。
民族や出身地、性別もそうですが、人間の生まれもった属性・・・つまり本人の努力で変えることができないものを理由に、公共の場(公共交通)において「●●Only」と称して、特定の属性を持つ人間を排除する・・・実際には任意となっていますが、このようなことをいつまでも続けるのはよくないと思います。
会員:”Japanese Only”も”Women Only”も、私としては理屈は同じなんじゃないかなと思いますが、どうですか?
交通局:私達としては、全く同じものとして同列には考えられないというところはあります、今こちらで取り組みしているもの(車両)と、「応援席に入れないよ」というお話とは、同じ文脈では言えないんじゃないかと・・・
交通局:あれが問題になったのは、サポーターが(横断幕を)掲げたっていう問題であって、私達の立場からすると、あれを「運営側がサッカー場内でやった」ということと「観戦するサポーターがやった」ということでは、趣旨として全然違うと思うんですね。
私達は事業者ですから、サッカーに例えると運営側になるので、運営側がやったのでなければ全く違うでしょ、ってのはありますし、また浦和レッズ側も、実施したサポーターを入場停止にしたりということで、運営側の責任に沿ってやっていると思うんですよね。
会員:あれは確かに一部のサポーターが勝手にやったようなものですが、私達が思うのは、先にも述べたとおり、本人の努力でどうにもならない属性を理由に、「●●Only」と称して、事実上排除してしまっているという点では共通すると思いますし、もっと言えば、今の日本の女性専用車は、事業者(運営側)がやっていることですので・・・、一部のサポーターが勝手にやっただけであれだけ反発があったんですから、やはりどうなのかと・・・
交通局:ひとつには、前提として、こういった車両を作るのが目的ではなくて、まず迷惑行為があるという現実がある、それをなるべく不安のある方に安心して乗車していただく環境を提供するために、任意の協力を得たうえで、実施しているというのはあります。
英語の表現上、ああいう書き方になってしまっているというのは、まあ、スペースの制限や分かりやすさという部分もありまして、英語の文面で私たちの取り組みを説明しきれていないというのはありますけれども、何かご意見をいただけるというのであれば、丁寧にこちらとしては回答をしていきたいと思っておりますが、今回の浦和の件とは全く同一には出来ないのかなとは思っております。
会員:わかりやすくということですが、短い表現でもっと的確に表現できないものですか?
会員:今回の件を見ると、やはり「Only」というのは誤解のもとですね。
交通局:海外の方からこうしたご意見を多く頂戴するということになれば、今の表現では誤解が多いということは言えるんじゃないかと思いますが・・・
会員:海外の人からたくさん意見が来るというのは、まあ実際に地下鉄を訪れた外国人が、そこで何かに遭遇しないと(心の中で思うだけで)なかなか言ってこないでしょうけども・・・
交通局:旅行者の方もいらっしゃるでしょうし、札幌在住の外国人の方もたくさんいらっしゃいますけども、そういう方から、不適切ではないかというご意見がたくさんあるということであれば、当然対応は考えなければいけないとは思いますけれども・・・
誤解のないようにしたいというのは私達も同じ思いではあるんですけども、ただどうしても、事細かに書いた時にかえって分かりづらくしてしてしまって、それが逆にそういったケースを発生させてしまうという一方ではあるでしょうから、なるべく分かりやすくというのが今の私たちの方針ではあります。
代替案は検討しているのか?
会員:今まで、この車両以外でどのようなことを検討されてきたんですか?
先に「迷惑行為とか乗車に不安のある方がいらっしゃるという前提で、任意協力で実施している」という話がありましたが、この車両を設けることが目的ではないということなら、今もそれ以外の方法は検討されているのでしょうか?
交通局: いま、こちらの車両を設けて経過を見ている状況ではありますので、もともとそんなに多くはないのですが、被害の申し出がどうなのかとか、経緯を見ながらという形にはなるのかと思います。
ある程度効果が出ているのであれば、いったんはこれを継続してということにはなるかもしれませんし、他に他業者などがいろいろ取組をされるというのであれば、こちらもアンテナ張って情報集めていきたいなと思います。
会員:迷惑行為の件数というのは、前も聞いたんですけど、どういう感じになってますかね?
2~3年くらい前にOさん(交通局の前担当者)の時に聞いたときは、「そんなに変わってないじゃないか」と思ったんですよ。全部出してもらったんですけど。
会員:確か年間で痴漢件数が1ケタだったと思いますが・・・
交通局:もともとそうなんですよね。
会員:やはりこの車両って、今回もこういうことが起きましたし、いろいろと弊害が多いと思うんですよ。
よほど迷惑行為が多発していて深刻な状況だというならまだしも、痴漢件数が年間で1ケタという状況で、そして混雑も中心部に限られているという、そういう状況の中で、始発から全区間でやる必要があるものか?
そして交通局さんとしても、こういう弊害のあるものをいつまでも続けるのではなく、本当に代替案などをどこまで考えようとしてくださっているのか? と言いたいのはあります。
交通局:(専用車の)実施時間帯と区間については、前回(昨年7月)もお話しさせていただきましたけど、これ(専用車の時間帯・区間縮小)をやるとなるとそれなりに人的な部分ですとか、設備的な部分についてコストもかかる話となりまして現状ではなかなか難しいというのはありまして、それが昨年から変わったかというと、あまり変わっていない状況ではあります。
会員:私達としては、交通局さんとしてはどれだけ女性専用車(あんしん車両)の弊害について認識なさっているのだろうかというのはあります。
そのあたりはどうなんでしょうか?
本来、公共交通機関で、性別という生まれ持った属性を理由に、特定の人を乗せないということをするのは望ましくないことですし、現実にこんなトラブルも起きているわけです。
また、「Only」という表現が誤解のもとになっているとか他、色々あるんですがそうした中で、そうした問題点については交通局さんとしてはどれくらい認識されているのかと・・・?
交通局:どれくらいというのは?
会員:「専用車には大きな問題があるが、現状やむを得ない」というのか、それとも、「特に取り立てて言うほどの問題はない」ということなんでしょうか?
どちらに近いのか・・・ということなんですが。
交通局:こちらとしても今の取り組みをやっている以上は、質的にも人的にも、それなりにそういう対応をしていくという部分がありますし、また、さまざまなご意見をいただくということもありますが、その中でお願いをしてやらしてもらっているという認識ではあります。
ただ、今の段階で即、これをやめられるかというと、今のところ交通局としてはそういう認識はないというところです。
会員:今までからも申し上げておりますが、このままいつまでも続けるのではなく、いずれは代替案を見つけ、実行に移すべく、取り組んでいただきたいと思います。
交通局:こちらとしても、もっといい解決方法があれば当然それは検討していきたいというのは、これまでもお話ししたとおりです。
ただ、なかなか難しいという状況でして・・・一旦は今の状況をご理解いただきたいな、というところです。
再発防止について
会員:今後こういうこと(新聞記事の件)が起きないようにということで、今後どのように取り組まれますでしょうか?
交通局:この車両については、そもそもご存じないという方もたくさんいらっしゃいますし、それが今回のようなトラブルの原因になっているというのもありますので、「こういう車両がありますよ」というご案内をやっていくことは、思っております。
特にこれから4月でちょうど人の入れ替わりがあったり、引っ越しなんかがあったりしますので、そのタイミングなんかもとらえて、改めて安心車両の周知はやっていきます。
交通局:「任意」というところをピンポイントに出来るかどうかというのは、なかなか限られた時間とか、アナウンスなんかも他にもやる内容がございまして、あんしん車両のことだけやるというわけには行きませんので、必ずしもそういった文言を乗せられるかというのはお約束できませんけれども、少なくとも車両の周知というのは力を入れてやっていきたいと思います。
会員:色々難しいと仰いましたけれども、車両の周知だけではなく、是非とも「任意の周知」も必ずしていただきたいと思います。
会員:「任意」によって運用しているわけであって、それを言わないというのは違うんじゃないですか?
任意でなかったら運行できないわけで、国交省も「任意だから運行できる」と、「任意だから男性も乗れる」と。 交通局さんもホームページには「男性も乗れる」と書いてますし。
交通局:そうですね。
会員:ホームページには載せているとは言え、現場では周知しないのかと・・・
今、「時間が限られている」とか、「他にもアナウンスする内容があるので・・・」と仰ってましたが、「この車両は男性の任意協力で運行しています」とアナウンスするのは10秒くらいで出来ること・・・いや、5秒くらいで出来ることなんで、それはそんなに難しいことではないのではないですか?
会員:「任意協力」であるからこそ、憲法をはじめとする諸々の法的なものに反しないということで、こういう車両が運行出来るわけですが、そこのところ(任意)を十分に周知しないと、結局のところ、交通局さんにそういうつもりはなかったとしても、利用客を騙したようなことになってしまいます。
ですから、いろいろ大変かもしれませんが、そのあたりはきちんとしていただきたいです。
それを周知しないということは「任意」ということをあまり知られたくないのかな?と思ってしまいますが・・・
交通局:「乗っていいですよ」というご案内はなかなか出来にくいですけど・・・
会員:そりゃまあ、「乗っていいですよと言って下さい」というわけではないんですけど、「任意協力であり、強制力はない」ということは伝えて、利用客が任意であることを承知の上で、自分の意思で協力する・しないを決められるようには最低限するべきではないかと思います。
利用客が任意と分かって、その上で協力しているのならまだしもなんですが、知らない人がいるとなると、これはやはりよろしくないのではないでしょうか。今回のトラブルも、そのあたりが原因ではないのかと思いますが。
交通局:私達としても、同じ任意協力だというスタンスですので、ポスターにも書いてますしホームページにも載せているわけで・・・
会員:ホームページには(任意だと)書いてありますが、実際には知っている人が多くないからこういう事件が起きるのではないですか?
別に私達は、「車両を豪華にしろ」とか言っているわけではないんですよ。
「最低限伝えるべきは伝えていただきたい」ということなんですが・・・
交通局:私達もこれをやるにあたって、伝えたいことというのはありまして、もっていきたい方向というというか、お願いしたい方向というのがある中で、様々なご意見もいただく中で、何とかわかりやすくこの取り組みについて伝えたいと思っているんですよ・・・
会員:分かりやすくやるんだったら、アナウンスするのが一番わかりやすいんじゃ・・・
交通局:今回、こういうこと(新聞記事の件)があって、非常に残念な思いも強いんですよ。
今ちょうど春の移動(異動?)時期で、それまであまり札幌市の地下鉄を利用したことがない人も多くいると思われるこの時期に、そういうこともあわせて周知もするのもひとつの手かなと思っていますので・・・。
こういうことが起きたのは非常に残念であると思いますし、何か改善が必要だというのはありますが、今後の課題として私達としても、何かしらやらなければならないかと思います。
交通弱者保護?? 痴漢対策??
会員:この新聞投稿ですけど、投稿者も女性の方なんですよね(投稿者は、同じ車両に乗り合わせた70歳の女性)。
やはりこういうことがあると、男性だけでなく、女性からしても不快だと思うんですね。
交通局:個人的には・・・ですけど、このことは、あんしん車両の取り組みがどうとかいうよりも、(女性客のほうが)人としてどうなんだという・・・
会員:確かにこの女性客は問題あると思いますけど、こういう車両をやっていると、どうしてもこういう勘違いした人間は出てきますよ。
こういう人間が世の中にいるということも含めて、本当にこの車両が正しいのかということも考えていただきたいです。
交通局:利用する方のモラルというのも当然ありますし、私達の求めてるものっていうのが、交通弱者に対して安心スペースを確保してあげるということが目的でやっているので、男性を含めてだれもが安心して乗車できる環境を作りたいというところでやっているというところなんですよね。
安心車両でないところでも当然いろいろありますし、やはりそういうのは利用者のモラルやマナーという点で、これも取り組んでいかなければならないということでもあるんですよね・・・
会員:「交通弱者を保護する」というのは、大いに結構であるとは思うのですが、「交通弱者=女性」とは限らないと思うんですよ。
男性でも高齢者や障がい者はいますし、一方で女性客が全て交通弱者なのか?
・・・こう考えていくと、男性・女性ではなく、「交通弱者」と「そうでない人」という区分にすべきではないかと・・・もちろんこういう車両を設けるなら、ですが。
会員:(新聞記事を指さし)少なくとも、こういう女性客は交通弱者ではないですよね。
(ここで、当会・交通局側双方から笑い)
会員:ハハハ・・・確かに。
会員:で、こういう車両があると勘違いしてこういう行動におよぶ人が出てくると・・・・ですので、交通弱者を保護することに関しては私達も、全く異論はないのですが、ただやり方として、あまりにも男性・女性というところに比重を置きすぎではないのかという気はします。
交通局:この取り組みに関しては、ということですか。
会員:はい。ですから、あえて言うなら「交通弱者専用車両」ですか?
(再び、当会・交通局双方から笑い)
会員:長いですね。
交通局:ちょっと長いですね。
会員:まあ、意味的にはそういう車両ということで・・・私達は専用車両には反対の立場ですが、もし設けるとしたら女性専用よりもそっちではないかと・・・
交通局:この「安心車両」に関していえば、痴漢とかそういった迷惑行為に対する不安をもっている方に対して安心を提供するという趣旨でして、弱者かどうかというのとはちょっと違った話になるんですけど・・・
会員:痴漢もよろしくない行為ですが、この車両にしても、私達が今まで言ってきた通りで、いろいろと問題は多いわけで・・・
あと、私達からすれば、実際には痴漢対策として推進されたというよりも、導入に関して、これは札幌に限らず全国的にそうなんですが、ある政党が動いているということで、「本当に痴漢対策なのか?」という、そういう気持ちもあります。
まあ、簡単にやめることはできないのかもしれませんが・・・
会員:前にすすきののマクドナルドで、女性専用席というのがあって、自分たちで電話で抗議したら一日で無くなりました(※)。まあ交通局ではそういうわけにも行かないでしょうけど・・・
※これは当会の活動として行ったものではなく、一部のメンバーが個人として行ったもの
会員:でも、マクドナルドは私企業ですけど、交通局さんは公営ですよね。
交通局:そうですね。
会員:ですから、本当のことを言えば、こういう差別と取られかねないようなことは、マクドナルドよりもより一層、本当はやってはいけないはずなんですけどね・・・
交通局:頂戴したご意見は、内部で検討する場で参考にさせていただきたいと思います。
PRの部分も今お話しした通り、4月の年度明けあたりから何かやれないかというのは考えているところなんで、その際の参考にさせていただきますんで・・・
声掛けはする?? しない??
会員:ツイッターなんですけど、(男性があんしん車両に乗っていたら)乗務員から声掛けされたというツイートがありまして、自分も過去に何度か運転士に声かけられたことがあるんですけども、そういうことはしないってホームページに書いてますよね。確か。
交通局:降りてくださいっていうような・・・
会員:そうですね。乗務員から声掛けはしないって・・・
交通局:こういう取り組みをしているという周知はすることはあるかもしれませんが・・・
会員:直接、声掛けはしないと書いてあるわけで、乗務員さんの中にそういうのわかってない人がいるのかな・・・って。
自分が言われたのも結構前のことなんですけど、他社でもそうなんですが、運転手さんとかが(任意協力を)知らないところがたくさんあって、札幌市さんは乗務員が任意協力だということを分かっているのですかね?
ホームページにも、「直接声掛けはしないが案内放送で周知はします」というようなことを実際に書いてあるわけで・・・
交通局:基本的にはお話しの通りですが、ご存じないで乗られる方もいらっしゃいますので、「こういう取り組みをやっていますよ」というご案内をすることはあろうかと思います。
会員:あ、そうなんですか。
交通局:まったく案内をしないということではないです。
交通局:乗務員が声掛けするときって、終点について、運転士が運転台替わってから発車前に点検してから放送をするんですけど、たぶんその移動中に・・・
会員:そうですね。私、宮の沢(駅利用)なんですけど、電車が宮の沢について乗客がすぐ乗りますよね。
で、運転手さんが移動しますよね。その時に男性がいると声掛けをするんですけど、そういうことも含めてしないのかと・・・
交通局:「あんしん車両なので、ご協力ください」ということは、当然ですけどします。
ただ、知らずに乗っている方もいるので、逆にそれをスルーすると、それを見たお客様も、「なぜ間違って乗ってる人がいるのに、なんで何も言わないんだろう」ということになりますので、強制的に「だめですよ」ということではなく、「こういう車両になっていますよ」ということでちょっと声掛けをするということはあると思います。
会員:任意協力であるということを、もっと女性客も含め広く知れ渡れば、男性が乗っているからと言ってそれだけで不快になったりということはないかも知れませんが・・・
会員:やはり任意の周知ですね。さっきから何度も言ってますけど、「任意」だからこそこういう車両を運行できるんですから。
(ここで、17時15分(勤務時間終了)を知らせるチャイムが鳴り響き、話し合いはここでお開きとなった。私達は、「本日はお忙しいところ、ありがとうございました」と、交通局のS氏とH氏に礼を述べ、交通局を後にした)
交通局訪問を終えて
交通局を後にした私たちは、各自帰路に就くべく、大谷地駅から地下鉄に乗った。
今回、任意周知の徹底を少々しつこいくらいに要請したが、やはり、これを見る限り、交通局は任意周知よりも安心車両そのものの存在をアピールして、専用車(あんしん車両)に乗る男性を極力なくして行くことによって、今回のようなトラブルが起きないようにしようという考えのようである。
しかし、そうさせてはならないのである。
上記のやり取りの中で、メンバーの一人が言っていた言葉を思い出してほしい。
>でも、マクドナルドは私企業ですけど、交通局さんは公営ですよね。
>ですから、本当のことを言えば、こういう差別と取られかねないようなことは、マクドナルドよりもより一層、本当はやってはいけないはずなんですけどね・・・
交通局は「痴漢対策」とか「交通弱者への配慮」と言いつつ、実際には、「公営の公共交通機関がやってはいけないこと」をやっているのである。
そしてその、「やってはいけないこと」を続けられるようにする抜け道が、「任意協力」なのである。
つまり、「強制していないから差別ではない」というわけである。
そして、任意協力であることをなるべく知らせないようにして、専用車(あんしん車両)を維持しているわけである。
また、
>あと、私達からすれば、実際には痴漢対策として推進されたというよりも、導入に関して、これは札幌に限らず全国的にそうなんですが、ある政党が動いているということで、「本当に痴漢対策なのか?」という、そういう気持ちもあります。
上記の交通局とのやり取りの中で少し出てきた、「女性専用車の推進に特定の政党が絡んでいる件」であるが、札幌においても、実はとても痴漢対策のためとは思えないような状況で女性専用車(あんしん車両)は推進されてきた。
つまり、痴漢対策というのは表向きで、実際には特定の政党・政治家による「人気取り政策」と化しており、札幌市交通局にも市議会などからの圧力が相当あったのである。
痴漢件数が年間1ケタという状況で、本来なら公営の公共交通機関がやるべきでないことを、「任意協力」を抜け道にしてまで”断行”しているあたりからも、そのあたりの事情がうかがえるであろう。
これらのことについては、ここで詳しく紹介したかったが、交通局とのやり取りの紹介でページがかなり長くなっているので、今回は省略する。
女性専用車といえば、「痴漢対策」で思考停止している人があまりにも多く、そのため、なかなか女性専用車に対する疑問の声もあまり大きくならないし、また反対意見も言いにくいという現状がある。
しかしながら(札幌に限らず、ほぼ全国的に)上記のような経緯があったことは最低限知っておいたほうが良い。
そして、任意協力であることを知らされないまま(あるいは知っていても)、男性客が女性専用車(あんしん車両)に一切乗らなくなってしまえば、そのような政治目的で作られた、痴漢対策とはおよそ言い難い女性専用車(あんしん車両)を、表向き「痴漢対策」として、体よくまかり通らせてしまうことになる。
現在、関東地区や関西地区では、当会やその友好・協力団体が、非協力乗車(任意確認乗車)という活動を行っている。
札幌でもいずれはそういう活動を定期的に行えるようにしたいと思っているが、そのためにはもう少し人数が必要である(現在は札幌の会員が各自、地下鉄を利用する際に個人的に行っている状態である)
札幌やその周辺にお住まいの方で、女性専用車両(あんしん車両)に疑問や不満をお持ちの方は、是非当会までお越しいただきたい(入会申し込みフォームよりお願いいたします)