2021年10月 関西本部:JR線(大阪環状線&学研都市線&大和路線) 非協力乗車会

JR西日本の大和路(関西)線とおおさか東線では10月2日のダイヤ見直し(減便が主のためダイヤ改正とは言わない)から、これまで設定のなかった221系電車(6両編成)に女性専用車が設定されることとなり、それを受けて10月9日に大和路線を含むJR西日本線で非協力乗車会を行いました。

以下その報告です。


大和路線とおおさか東線で10/2から221系に女性専用車

10月2日より関西地区のJR西日本では新型コロナウィルス感染症の流行による乗客減に伴うダイヤ見直しが行われ、その中で大和路線やおおさか東線ではこれまで主に走っていた国鉄時代からの車両である201系電車がそれよりは少し新しい221系(といっても約30年経つ車両だが・・・)に置き換えられることになった。

201系
221系

これまで、大和路線とおおさか東線は201系を使用した普通・快速列車のみに女性専用車があり、221系は対象外だった。

しかし201系が引退すると、走る列車のほとんどが221系になり、大和路線やおおさか東線から女性専用車のある列車がなくなってしまう。

そこで、6両編成の221系にも女性専用車を設定してきたものと思われる。

221系への女性専用車設定を告知するポスター

表向きは痴漢対策ということになっているが、実際にはJR西日本に女性専用車導入前後の痴漢件数について問い合わせると「公開するために統計は取っていない」などとして答えない(2016年1月の活動報告)。

これは他の鉄道事業者でも大体同じで、公開すると都合の悪い結果しか出ていないことが分かる。

要するに、実際には女性専用車を導入しても痴漢は特に目に見えて減っていないわけだが、それでも何とかして女性専用車を存続させる意向なのだ。

つまりJR西日本は痴漢対策としてではなく、女性専用車を「女性客を惹きつけるためのサービス」と捉えた上で【女性専用車が減ったりなくなったりすると、サービス水準の低下につながる】と考えているのである。

これは混雑のない日中や土日祝日などにまで通年毎日・終日実施していることからもお分かりいただけるだろう。

JR西日本は過去(2004年)にも大和路線と阪和線の平日朝夕に女性専用車を設定した際にパンフレットなどで「他線区に比べて女性専用車の設定割合が低くなりますが、ご理解願います」などと書いてきたことがあった。

あと(こちらも過去の話だが)、大阪駅など一部の駅で列車の到着案内をする際に女性専用車のない列車が来ると「ご不便をおかけいたしますがご理解ください」という趣旨のお詫びの放送を入れるなどしていたこともあった。

さらに言うと、つい最近(2021年)にも通勤電車ではないが、特急らくラクはりまの宣伝に「らくラクはりまには、もちろん女性専用席あります!」などと書いたポスターを貼り出すなどもしていた。

特急らくラクはりまのポスター

JR西日本は今も女性専用車(席)を他社との競争で優位に立つための切り札のように考えているのであろう。

しかし、実際には女性専用車にさほど熱心でない鉄道事業者も多いことから、女性専用車が女性客を惹きつける決定打だとは思えないが・・・

JR西日本が少し前に出していた宣伝だが、女性専用車を客寄せサービスと考えているのがありありと表れている。

よく賛成派が使う言葉で「反対する前に女性専用車がなぜできたか、その背景を考えろ」というのがあるが、こうした状況を見れば賛成派の言う「女性専用車が出来た背景」と実際の状況がかなり乖離していることが分かる。

しかし反対派の側が「女性専用車=痴漢対策」という前提でものを考えていると、賛成派がこれ(=背景を考えろ)を言うだけで反対派をいとも簡単に撃退し、公共交通機関における営利目的の差別を全面的に正当化することが出来てしまう。

だからこそ反対派は「女性専用車は痴漢対策などではない」ことにもっと気付く必要がある。

もし上記の賛成派の言葉に返すとしたら、
「私達はなぜ女性専用車が出来たかを考えているからこそ反対しています。女性専用車が痴漢対策だと未だに本気で思っておられるのですか?」
だろう。

そしてその後、これまで述べてきたJR西日本の実態や、女性専用車の導入が政治に利用されてきたこと(これは主に地下鉄などの話で、JR西日本にはあまり関係がないが)などを反論として出せば、話を「女性専用車は痴漢対策か否か」の方向に持っていくことが出来る。

「女性専用車=痴漢対策」を否定せずに「痴漢対策だけど差別だから反対」みたいなスタンスを取ればこれは最初から賛成派のペースにはまっているようなもの。

「痴漢対策だから差別じゃない」

「差別だといっても痴漢がいるから仕方がない。文句を言うんだったら痴漢に言え」

「痴漢をゼロにしたら女性専用車は必要なくなりますよ」

※↑痴漢をゼロにすることはほぼ不可能(日本の司法が女性の証言ばかり採用するせいという側面もある)なので、それを良いことにしている

などと、痴漢やその被害者の存在を盾に、どこまでも女性専用車を正当化してくるだろう。

だからこそ「女性専用車=痴漢対策」が建前だと、良く知っておく必要がある。

もっとも、女性専用車が仮に本当に痴漢対策のため設けられたものであったとしても、男性すべてを痴漢予備軍として排除するのは差別以外の何物でもないし、他に痴漢対策の方法はいくらでも取れる(車内監視カメラはJR埼京線で痴漢6割減の実績あり)のだから、私達はやはり女性専用車には反対である。

今回のルート

①大阪→京橋(大阪環状線)

②京橋→木津(学研都市線)

③木津→奈良(大和路線 ※女性専用車の設定なし)

④奈良→天王寺(大和路線)

⑤天王寺→森ノ宮(大阪環状線)

大阪環状線(外回り):大阪~京橋

さて、前置きが少し長くなったが、今回は大阪駅に18時に集合。

私達は大阪18:03発、環状外回り列車に乗車するべくホームに並んだ。

当日は土曜日だったが、やはり関西一の大ターミナル駅であるJR大阪駅は多くの人であふれていた。

すぐ近くには駅員が立っていたが、私達が並んでも特に声をかけてくる様子はなかった。

当日の大阪駅の様子
女性専用車位置に立っていた駅員

ただ、並んだだけでは声をかけてこなくても乗車しようとしたら声をかけてくる可能性がある。

大阪駅の環状線ホームに到着する列車の中でも普通列車には女性専用車があるが、大和路快速や関空快速などには女性専用車はない。

そのため、女性専用車の乗車位置に男性が並ぶことも多いのだ。

しばらくすると、その18:03発の外回り列車がホームに入ってきた。

駅員はやはり並んでいる私達のすぐ近くにおり、手に持ったマイクで「この電車の前から5両目は女性専用車です。お客様のご理解とご協力をお願いします」等のアナウンスをしていた。

列車のドアが開き、私達は全員そのまま乗りこんだ。

駅員は一瞬こちらを見てきたものの、声はかけてこなかった。

そのままメンバー各自着席、またはつり革を持って乗車。

大阪駅でしばらく停車時間があるが、車内からホームにいるその駅員のほうを見てみたところ、やはり声をかけにくるようなそぶりは全くなかった。

声かけはしなくて正解である。

女性専用車という名前であっても実は任意協力であるし、また任意協力だからこそ「男性に対する差別ではない」ということに建前上なっているのだから。

ただ、声掛けがなかったのは良かったのだが、車内を見渡したところ、どうやら乗車している男性は私達だけのようだ。

やはり、もう少し乗ってくる男性が増えて女性専用車が形骸化するようにならないと、と思う。

一部に誤解があるようだが、私達は騒ぎを起こすために女性客や駅員などから声掛けされるのを待っているわけではない。

あくまで、「任意」なのだから声掛けされない(=任意性が担保されている)ことを確認しているのだ。

やがてドアが閉まり、列車は大阪駅を静かに発車した。

周囲の女性客も特に私達に声をかけてくるような気配はない。近くにいた女性グループは私達のことなど全く気にすることなく、何気ない会話に華を咲かせている。

これはこれで良いのだが、私達以外にもう少し男性が「任意協力」であることを承知で乗ってくれれば・・・というところ。

そのまま、天満、桜ノ宮と過ぎて、京橋駅に18:11ごろ到着。

ここで学研都市線に乗り換えのため下車した。

JR学研都市線:京橋~松井山手

大阪環状線から学研都市線への乗り換えのためホームを歩いていると、自動放送で女性専用車の案内アナウンスが流れていた。

高架の大阪環状線ホームから階段を降りて学研都市線のホームに向かうのだが、階段を降りた目の前が女性専用車である。これは京橋駅に限ったことではなく、学研都市線やその他の路線もその多くの駅がほぼ一番便利な位置に女性専用車が来るようになっている。

(参考:2021年6月の活動報告

他社でも駅によっては偶然そうなることもあるが、JR西日本は可能な限り駅の階段やエスカレーター・エレベーターなどの目の前に女性専用車が来るよう、意図的に位置を合わせている。

京橋駅・学研都市線木津方面行ホーム階段を降りた目の前が女性専用車である。
逆方向のJR東西線方面は位置を合わせられなかったのか、階段と女性専用車の位置が離れている。

もちろんこれは、私達が勝手にそう思い込んでいるのではない。

JR西日本の過去の資料に「お客様のわかりやすさとご利用の動線を考慮し、女性専用車を●両目に設置します(つまり『一番便利な位置に女性専用車を持ってきました』と言っているのと同じ)」などという物がある。

これだけでもJR西日本が(足腰の弱った高齢者を含め)いかに男性客を軽く見ているか良く分かるだろう。

それも【痴漢対策】は表向きの建前で、実際には女性客に対する顧客満足度向上サービスと化しているもののために・・・。

いつも当会サイトを見てくださっている方ならご存じかと思うが、資料の画像を貼っておく。

つまり、JR西日本の女性専用車は「女性を優遇すれば、女性客が選んでJRに乗るようになり増収増益につながるだろう」という、レディースデー的発想のものである。

ただ公共交通機関である以上、本来そういうことはするべきではないし、それはJR西日本も分かっているだろう。

だからこそ痴漢対策(「迷惑行為防止」や「女性の安心のため」と言い換えられることもある)を装うのである。

私達が乗車したのは18:21発の快速・木津行
京橋駅の駅標

さて京橋駅学研都市線ホームの女性専用車位置にしばらく並んでいると、18:21発快速木津行きが到着。

車内に入ると、押し合いへし合いするほどではないものの、そこそこ混んでおり、私達は全員つり革を持って乗車した。

人の多い車内に男性多数で乗車したため声をかけてくる女性客が出るかもしれないと思ったが、声掛けは無くそのまま京橋駅を発車した。

ついこの間までは夏でこの時間(18:30前頃)でもまだ明るかったのだが、10月ともなれば街明かり以外すっかり真っ暗である。

夜の市街地を走行しながら鴫野(しぎの)駅を通過、ほどなくして次の停車駅の放出はなてんに到着した。

ここはおおさか東線との連絡駅だが、降りた人はさほど多くなかった。

放出を出て徳庵、鴻池新田を通過し、住道すみのどう駅で先行の各駅停車と連絡、多くの乗客が下車した。

1人の女性客が降り際に少しだけこちらを見てきたが、声かけは無し。

また、近くの女性客の中には私達のことは気にせず何気ない会話を続けている2人組もいた。

住道を出て車内はまだ座席が埋まっているものの、立ち客がまばらにいる程度まで空いてきた。

車内全体を見渡せるようになったが、どうやら私達以外に男性客はいないようだ。

野崎を通過して、四条畷しじょうなわてに到着。

その次の星田あたりから空席が出はじめた。

忍ヶ丘を通過し、河内磐船かわちいわふねに停車したあと、藤阪、津田を通過して列車は大阪府最後の駅、長尾に到着。

ここでもまた、まとまった下車があり、車内は半分以上空席になった。

快速もここからは終点の木津まで各駅に停まる。

長尾の次の松井山手でさらに乗客が降り、車内はガラガラになった。ここで2分停車。

しばらくすると向かい側のホームに反対方向(京橋方面)の列車が入ってきた。

どうやら行き違い待ちをしていたようだ。

学研都市線はここから先、終点木津まで単線になる。

JR学研都市線:松井山手~木津

松井山手を出ると学研都市線は通勤路線というより、どちらかというとローカル線を思わせるような雰囲気になってくる。

車内もガラガラだが、窓の外も駅を離れると街明かりがほとんどなく真っ暗。

痴漢対策として考えるなら、そのような路線の全列車にそれも平日だけでなく休日ダイヤの日にまで女性専用車を設定する必要があるのか?

更には途中の同志社前駅からはほぼ30分に1本の運転でしかなくなるが、そんな路線に女性専用車が本当に必要なのか?

甚だ疑問である。

・・・と言いたくなるがこれも、先ほど述べたような「女性向け優遇サービス」と考えれば辻褄は合う。

女性専用車を「女性優遇だ」というと「痴漢対策なのだから優遇じゃない!」と必死で返してくる人が世の中にはいるが、ここまで見てきたような現状があれば、そう思われても仕方がないだろう。

  • 女性専用車の土日祝日まで含めた通年毎日・終日実施
  • ガラガラで混雑のない路線や時間帯まで女性専用車を運行
  • 痴漢対策と言いながら、導入後の痴漢件数は答えない
  • 女性専用車で女性客を呼びこもうとする宣伝の数々

など、これだけでもJR西日本の女性専用車が痴漢対策などではない(それを名目にしているだけ)と思われても仕方のない事柄だと言えるが、その他にもう一つ、女性専用車が痴漢対策ではないと言えるような事柄が存在する。

「女性専用車限定広告」である。

ご存知の方も多いと思うが、女性専用車限定広告自体についてはこちらのページにまとめているので「女性専用車限定広告とは何ぞや?」という方は見てほしい。

簡単に言えば、女性専用車だけ車内広告を他の車両とは別枠で募集しているのである。

そして、「女性しかいない場所に女性向け広告を出すと効果的」ということで、広告料を他より高く(JR西日本の場合、広告一枚当たりの料金が非女性専用車両の約4倍)取って、利益につなげているのである。

つまり痴漢対策と称して男性に差別的な負担を負わせておきながら運行されている女性専用車が実際には金儲けに使われているというわけである。

ドア窓広告(赤マルで囲った部分)
女性専用車だけ他の車両とは別の広告になっている。

以前、JR西日本のドア窓の位置の広告は女性専用車のもののみサイズが大きく、車外から見ていてもすぐに女性専用車だけ広告が別だと分かった。

しかし、最近では非女性専用車両の同じ位置の広告とサイズが統一され、パッと見ただけでは分からなくなっている。

女性専用車で非協力乗車中は車内をうろついたり露骨に撮影するなど、不審と思われるような行為は厳に慎まなければならない。

だから今まで限定広告のことを調べることがなかなかできなかった。

今回、車内がガラガラになってきたこともあり、不審に思われない範囲(座席に座ったまま目視)で車内の広告を調べてみた。

その結果、ドア窓以外の広告は他の車両と共通のものが多く、女性専用車限定とは言えないものの、ドア窓広告については明らかに女性専用車だけ別の広告になっていた。

(他の車両の広告はこの後、木津駅で下車した際に調べた。)

やはり女性専用車限定広告は今でも続けられているのだ。

またドア窓以外の広告も、他の車両には男性向けエステティックサロンの「Men’s TBC」の広告が一部に見られたが、女性専用車には無い(まあ、女性しかいない場所に男性向け広告を出しても仕方ないが・・・)など、やはり非女性専用車と女性専用車で使い分けしているのではないかと思われる状況もあった。

多くの人は女性専用車=痴漢対策と信じて疑わないが、実際には痴漢対策は世間を納得させるための「上手い方便」である。

賛成派の言う「女性専用車をなくしたいんだったら、痴漢をなくせ」も、全くの的外れである。

痴漢がなくなったからといって、鉄道事業者が美味しい広告料収入源をなくそうとするかどうか、良く考えてほしい。

痴漢がなくなっても女性専用車はなくならないのだ。

当会はもちろん、痴漢自体は最低だと考えているし、また問題だとも思うから監視カメラの推進や警備の強化、さらにはどうしても混雑する列車が怖い人には私服警官の付き添い乗車も出来るようにしたり、中・長期的には時差通勤通学や都市集中型社会構造の解消などもするべきと主張しているが、これまで述べてきたように女性専用車が痴漢対策だとは考えていないし、痴漢をなくせば女性専用車もなくなるとも考えていない。

さて、そうこうしているうちに列車は西木津駅を出て、終着駅木津に到着。

私達が乗ってきた列車は木津で折り返すためしばらく停車するので、ここで非女性専用車両の広告も調べた。

終点、木津駅で下車

大和路線:木津~奈良

木津駅からは19:25発の奈良行きで移動した。

この区間は女性専用車の設定のある列車はないので単なる移動である。

木津~奈良間は大和路線の一部であるが、同時にここは京都からのJR奈良線(の221系)が乗り入れる区間でもある。

大和路線とJR奈良線の221系の運用が共通のため、大和路線木津~奈良間のみならず、JR奈良線全区間にまで(女性専用車の設定対象外であるにもかかわらず)女性専用車ステッカーの付いた221系が走るようになった。

JR京都駅などで「JR奈良線内では女性専用車の取り扱いはありません」と周知のポスターを出すなどしてはいるが、こんな紛らわしいことをしてまで、221系に女性専用車を設定する必要があるのか?

本当に痴漢対策なら車内監視カメラ(JR埼京線で痴漢6割減の実績がある)の設置を強化するなどすればよいのであって、221系にわざわざ女性専用車を設けることもないだろう。

・・・と言いたくなるが、やはり痴漢対策よりも実際には「男性のいない”快適な空間”を提供することで、女性のお客様の顧客満足度を高め、増収増益につなげること」を主眼にしているから「女性専用車をなくすとサービス低下になり、女性客が逃げていくのでは・・・」ということになるのだろう。

奈良線に女性専用車がないことを告知するポスター。

木津を出るとすぐ、県境を超えて京都府から奈良県に入る。

木津駅から奈良までは途中、平城山(ならやま)駅を挟んで2駅8分ほどの距離だが、奈良駅のすぐ近くに差し掛かるまで、街明かりは少なく外はほぼ真っ暗である。

ここでツイッターを見ていたところ、こんなツイートを発見した(下右の写真)。

221系の車内と勘違いツイート(右)

これまで女性専用車が設定されていた201系はロングシート(通勤電車に良くある、横長の座席)に対し、221系はクロスシート(特急列車などに良くある、向かい合わせの座席)である。

「横の座席に座ってくる痴漢が多いから快速(221系)にも女性専用車を」という主張も221系にまで女性専用車を設定させようとして理由をつけている感がしないでもないが、先も述べた通り、今回の221系への設定は、これまで女性専用車を設定していた201系の老朽化による置き換えに伴うものであり、この人が声を上げたからではない。

にも関わらず、自分が声を上げたから実現したのだと思い込んで「みんな声上げてこうな」「言うてくれる人が他にもどっさりおったんや」などとすっかり達成感に浸っておられるのなら勘違いもいいところ。

ご本人がいい気分になっているところ申し訳ないが、これは「イタい」としか言いようがない。

しかし、これに気を良くしてさらに女性専用車を拡大させようと、この先行動をエスカレートさせてくる可能性はある。

賛成派・推進派もあの手この手で女性専用車を拡大させようとして動いているわけであり、私達反対派も引き続きしっかり動いていかなければならないと言えるだろう。

鉄道事業者に直接言葉や文書で抗議しても、それだけなら適当にやり過ごされて終わりだから、ここは実際に非協力乗車して、反対派の存在を世間にも鉄道事業者に対しても示しておかなければならないところ。

これ以上拡大させないためにも、このページを見ている反対派の皆様も当会に入会して非協力乗車会に参加してほしい。

まだまだ非協力乗車する人の数は決して多いとは言えないし、新しい人が来ないとただでさえ少ない非協力乗車する人がこの先さらに減ってしまう。

今活動しているメンバーも家庭の事情や遠い場所への転勤、さらには本人の病気や死亡など、いつ何時活動出来なくなってしまうか分からないからだ。

「反対する会が活動してくれているから、自分はひそかに期待だけしておこう」ではなく、実際に行動する人が増えないとダメなのだ。

特に女性専用車を形骸化させようとすれば、もっとたくさんの人数が必要なのは良く分かるだろう。

入会申込フォームで随時入会申し込みを受け付けているので、我こそはという方、ぜひお願いしたい。

大和路線:奈良~天王寺

JR奈良駅に着いてから、乗車予定の快速JR難波行きの発車までしばらく時間があるので、私達はホームで待つことにした。

この奈良駅もまた、エスカレーターとエレベーターが女性専用車の位置に来るようになっており、ホームの女性専用車位置表示も221系への設定に合わせて更新されていた。

奈良駅の駅標
奈良駅ホーム。奈良県の県庁所在地駅だが、この時間になると人影もまばらである。

一部の賛成派からは女性専用車両(JR西日本では女性専用車と表記)が「女性を痴漢から守るためにやむを得ず作られたものだから、そんなものに腹を立てるんだったら痴漢をなくせばいいのに」との意見を聞く。

しかし先にも述べた通り、私達は女性専用車両が導入された本当の経緯を知っているので、こういうものを見ていると許せないのだ。

もちろん仮に何らかの効果があったとしても差別的な手段が許されないのは言うまでもない。

何度も言うが、痴漢対策自体には私達は決して反対ではない。監視カメラの設置や警備の強化、混雑列車がどうしても怖い人のために私服警官の付き添い乗車や時差通勤通学の普及なども大いにするべきだろう。

しかし実際には、痴漢対策にかこつけた女性専用車両を拡大することがやたらと強調され、反対派が監視カメラなど代案を出すと、なぜか(監視カメラがJR埼京線で痴漢6割減の実績を出しているにも関わらず)女性専用車両賛成派からは「カメラごときに一体何が出来るのか」「カメラの設置には莫大な費用が掛かるからできない」「混んだ電車では死角ができる」「プライバシーが侵害される」などと、反発の声が上がる。

「監視カメラには莫大な費用が掛かる」というのはウソである。

大都市圏の鉄道路線では既に駅構内などに多数の監視カメラが設置されていることや地方の赤字ローカル線で車内に監視カメラを設置するところが現れるなどしたため、真っ赤なウソであることがバレた。

しかしウソがばれるまで、専用車両賛成派たちが監視カメラを何とかして否定するために「設置費用が莫大だ!」と言いまくっていたのみならず、鉄道事業者も監視カメラを設置したくないがために「設置費用が莫大で設置するのは難しい」などと言ったりしていた。

・・・そう言えば、今年(2021年)に入ってから「女性専用車両を廃止して多目的車に・・・」などと一部のマスコミで報じられたため、賛成派からは「女性専用車両に反対するんだったら男性専用車両を導入する運動にしたほうがいい」「女性は誰も反対しない」「反対派も頑張って署名とか声を上げればいのになぜやらないの?簡単でしょう」などという声が次々に上がったりということもあった。

以前から男性専用車両の導入を唱えていたならまだしも、マスコミで反対派寄りの記事が出たからといって急に「男性専用車両!」と言いだした人はほぼもれなく「反対派の活動ベクトルを変えたいだけ」だと思われる。

つまり、反対派に女性専用車両を廃止させないよう、男性専用車両の実現を求める活動へと誘導したいだけで、実際はそれで男性専用車両なんて実現するわけがないと思っているから言っているのだ。

また「女性は誰も反対しない」という意見もこれは大嘘である。過去の話になるが、インターネット上で男性専用車両の実現を訴える意見などが掲示板などで出ると、すさまじい勢いで「男性専用車が出来ると女性がそこに連れ込まれて集団レイプされる」「男性専用車を欲しがる奴は男女の違いが分かってない。男が女と同じぐらい被害にあえば男性専用も作ってもらえるでしょww」などと、男性専用車両実現派への批判(というより、ほぼ罵倒)のレスが大量についていた。

しかし最近は鉄道事業者に男性専用車両を導入する気が全くないと分かったため、叩く必要がなくなったのである。

そして今では「男性専用車両には誰も反対しない」などと言って、反対派の活動の方向を逸らすために男性専用車両を勧めてくるのである。

だから、反対派としては安易に「男性専用車両も作った方が良い」などという言葉に騙されないよう、十分に気をつける必要がある。

また、署名やその他の活動で男性専用車両が実現できるかと言えば、これもほぼ不可能といって良い。

「努力すれば何とかなるはずだ」という人は、男性専用車両を実現させようとした西武鉄道の株主の話を調べてみると良いだろう。

さらに言うと、賛成派からすれば男性専用車両が実現しないのを「お前らの努力が足りないからだ!」で、体よく片付けることが出来るようになる。

つまり、反対派の意識を「実現しそうにもない男性専用車両」の実現に向かわせて、誰も女性専用車両に反対しない状況を作り出し「いつまでも女性専用車両のみ安泰」にすることが出来るのだ。

なお念のために言っておくが、当会は設立当初から男性専用車両には反対の立場である。

女性専用車が足腰の弱った男性の高齢者などに負担をかけているのと同様に男性専用車を設ければ、今度は女性の高齢者などに同じような負担をかけることになるだろう。

もしかしたら、女性専用車で起こっていることと同様に勘違いした正義漢の男性が乗車してきた女性に事情も知らず、排除にかかってくるかもしれない。

また、トイレや風呂とは違い、車両は着衣を脱いだり陰部を露出するところではないので、性別で立ち入りを区分するような場所ではない。

それに、男性専用車を増やしたところで差別が解消されるわけでなく、差別が2つに増えるだけであり、「目には目を、歯には歯を」の考え方では何も解決しないし、誰も幸せにはなれないのだ。

そして、男性専用車の実施は女性専用車の実施の正当化(男性専用車がある状態で女性専用車の廃止を訴えるのは不公平になる)に繋がり、私達の女性専用車両の廃止の目的が更に遠のくことなってしまうのだ。

・・・さて、JR奈良駅のホームで数十分は待っただろうか。

私達がこれから乗る221系使用の20:11発、快速JR難波行きは発車の6分前にホームに入線してきた。奈良駅始発である。

女性専用車がエスカレーターの目の前(奈良駅)
女性専用車がエレベーターの目の前(奈良駅)

列車の入線時にホームからドア窓広告を注目して見ていたが、非女性専用車のドア窓広告はすべて同じもので、女性専用車だけ別の広告になっていた。

やはり女性専用車限定広告はまだ続けられているのだということをここでも改めて確認した。

列車が停車し、ドアが開くと私達はすぐに乗った。そして4人掛けのクロスシート2区画分に全員で座った。

奈良駅始発でしかもラッシュとは逆方向のためか、車内は比較的すいている。

私達以外にパラパラと乗客がいるが、今のところ私達以外は女性だけの模様。

しばらくして、車内清掃の人が車内を歩いてきたが、私達には何も言わずに通り過ぎていった。

そのあと、男女のペアが一組乗車して着席した。

車内で車掌が「この電車の前から4両目は女性専用車です。皆様のご協力をお願いします」とのアナウンスを流したが、その男女ペアは移動しなかった。

しかしそのあと、下のコンコースからホームに上がってきた中年の男性客のグループは女性専用車ステッカーを指さしながら「ここ女性専用やからね」と、ホームを歩いて隣の車両へと乗車していった。

さらに先ほど着席した男女ペアも席から立ち上がり移動した。

結局、車内の男性は私達だけになったところで奈良を出発、やれやれと思っていると、次の郡山でまた別の男女ペアが乗車してきた。

大和小泉を過ぎ、法隆寺駅でも男性が一人乗車してきたが、すぐに隣の車両に移動した。

郡山からの男女ペアはまだ乗車しているようだ。

法隆寺の次は王寺で、大和路線の快速はここまでは各駅に停まるが、王寺からは快速運転となり、王寺の次は大阪府内の久宝寺駅まで停まらない。

三郷、河内堅上、高井田、柏原、志紀、八尾と次々通過し、速度もかなりのもの。

多分120kmくらい出ていたと思う。

かつて東海道本線を新快速として走っていた221系の本領発揮といったところか。

20:40久宝寺着。ここで先行の普通列車を追い抜く。

久宝寺駅の待避線に停まっていた普通列車は間もなく引退する201系だった。

久宝寺でもあまり人は乗ってこず、車内は空いた状態のまま。

なぜこんな状態で女性専用車があるのか、痴漢対策として考えたらおかしいのだが、「もう誰も疑問を持たなくなっているのだろうか?」とも思うが、こういうツイートもある。

因みにこの日は土曜日だったが、ほとんどの鉄道事業者と違い、JR西は痴漢対策と言いつつ、休日ダイヤの日にまで終日運行するなど、露骨に痴漢対策が建前と化していることに対して「西は違うなぁ」と皮肉っているようにも見える。

そのまま、加美、平野、東部市場前と通過し、20:47頃天王寺駅に到着。

ここで大阪環状線に乗り換えるために下車した。

大阪環状線(内回り)天王寺~森ノ宮

大和路線の快速を降りた私達は大阪環状線に乗り換えるため、跨線橋を渡って大阪環状線ホームへ移動した。

階段を降りてホームに到着すると、ここもまた階段を降りたところがまともに女性専用車乗車位置である。

天王寺駅大阪環状線ホーム
女性専用車が階段の目の前
大阪環状線の221系は女性専用車設定対象外だが、大和路線の221系に設定されたので、紛らわしい。

本当に「いい加減にしろよ」と言いたくなるが、その時ホームには221系電車が停まっていた。

大阪環状線内回りの列車だが、8両編成のため女性専用車は無し(女性専用車のある221系は6両編成のみ)だったので、一本見送ることにした。

そこへ一組の男女ペアらしき乗客が階段を降りてきたのだが、女性専用車設定外であるにも関わらず、隣の車両に移動していった。

JR西にはますます「いい加減にしろよ」と言いたくなってきた。

その221系が発車してしばらくすると、駅員が女性専用車の位置にやってきて私達のいるすぐそばまで来た。

声をかけてくるかと思ったが、私達が女性専用車位置に並んでも声はかけてこず。これで良いのだ。

やがて、女性専用車の設定がある20:54発の内回り列車がやってきたので乗車した。

車内は私達の他に十数人程度乗客がいるだけで、空いている。

周囲の乗客は特に私達たちのことを気にしている様子ではなさそうだ。

天王寺を出て、寺田町、桃谷と過ぎ、途中の鶴橋駅で一組の男女ペアらしき乗客が乗車して、そのまま着席した。

今回は大阪駅からの大回り乗車である。

ご存知の方も多いと思うが、東京や大阪などの大都市近郊区間内のJRでは、どのような経路で乗車しても途中下車しない限り、運賃は乗車駅と降車駅の最短ルートで計算するというルールがある。

ただし、この場合に乗車経路が一周を超えたり、同じところを2度以上通ってはならない。

このまま進むと、先ほど大阪環状線から学研都市線に乗り換えた際に通った京橋駅を2度通ることになる。

だから今回の乗車会は京橋の2駅手前の森ノ宮で終了である。

列車は玉造を過ぎ、結局特に何事もなく21:03頃に森ノ宮に到着、予定通りここで乗車会を終了とし、解散した。

森ノ宮駅の駅標
乗車してきた環状線列車をホームから見送る

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女性専用車両に反対する会

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